あじさい (original) (raw)

大学の研究室にゆくと、後輩のハチヤ君が大きなテーブルでコピーを整理していた。

ハ「♪ フフフ フゥン・・・あめ あめ あじさいの あめにぃ~(『あじさいの雨』渡哲也 作詞:水木かおる 作曲:遠藤実)」

私「お、季節うたかい?調子がよさそうだね」

ハ「あ、のりもさん。おはようございます。

いえね、今日、大学に来る途中であじさいが色づいてきて

そのことが頭に残って、なんとなく、この歌になったんですよね」

私「なるほど・・・だけど・・・あじさいってわりと寂しい状況に合う花だから、

あまり朝の歌には合わなそうだけどねぇ」

ハ「はは・・そうなんですよねぇ。

あ、それで思い出したんですけど、

あじさいって万葉のときの、漢字っていうのがあるの知ってます?」

私「うん?紫陽花って書くんじゃないの?」

ハ「ちがうんですよ。万葉集では『味狭藍』『安治佐為』って書くんですよ」

私「へぇぇ~~。何か理由があるの?」

ハ「うちの師匠に教わったんですけどね、あじさいって青色のものが多いでしょ。

それでその色が藍色なんで、

藍の色が集まったってことで『集真藍』と書いて

『あずまぁるさぁぃ』→『あずさい』って言ってたんですって。

それがなまって、『あじさい』になって、

字も『味狭藍・安治佐為』になったんだっていう説が有力だっていわれてるんです」

私「ははは・・・すごい・・・言語学だねぇ・・・」

ハ「♪ くちなしの雨の 雨のわかれと~ あじさいの花とはちがいますぅ~

あじさいのあおい はな~(本歌『くちなしの花』)なんてね」

私「・・・・(なにそれ・・・わたりてつや つながり?)・・・・」

思ひ出して又紫陽花の染めかふる (子規)