放射脳だった僕が、放射能のこと勉強した結果|TK工房@TKTKfactory (original) (raw)

僕は正直なところ、原発問題に関しては無関心な方で

まぁ、合理的な代替エネルギーが出てきたらええのになぁ

科学者頑張ってや

程度にしか思っていない

そんなわけで、福島を中心とする放射能問題に関しても、実生活で目に見えてほとんど関わってこないので

普段の生活で関心を持っていないのだが

メルトダウン当時、茨城県が謎に放射線量が高かったという記憶だけは鮮明に残っているので、未だにスーパーで茨城県産という文字を見ると買い控えてきたのは事実だ

よくわからないけど、疑わしきは罰しておこうという安直な考えで生きている

よくわからんけど、良くなさそうなら避けるというのは生物の本能的な生き方なので、多くの人がやってるのではないだろうか

正直、「よくわからないから、しっかり調べよう」というモチベーションが湧く人の方が珍しい

そして、たとえモチベーションが湧いて調べようとしても、放射能で検索すると、ネット上にはクソミソ混ぜ合わせた情報が山ほど出てくる

見るからに頭が悪そうな意見から、専門用語が並んでていかにも真っ当そうな意見まで

一緒くたになっていて、大多数の素人からすると、どれが正しいのか判断がつかない

なので、諦めてまたテキトーに安直な感覚に従って生きてしまうわけだ

と、こんな風に生きてきた僕だが

尊敬する知人が、いつの間にか「第1種放射線取扱主任者」という国家資格を取得してたので

今まで放ったらかしにしていた、放射能の事について、色々と聞いてみた

もともと医療業界に所属していた彼は、職場の都合で、数年前にこの資格を取らされる羽目になったらしく

初めはブーブー文句を言っていたようだ

しかし、結果的に彼は勉強して良かったと言う

そんな彼に、ネットでよく見る疑問を次々とぶつけてみた

私:福島の食べ物ってぶっちゃけ安全なの?

彼:安全やで。毎日食うてる。

私:その安全の根拠がわからん

彼:震災以降、福島近隣の都県の農産物、海産物は放射線モニタリング検査してるからね。福島の米にいたっては全数検査してて、全て基準値以内に収まってる。ちゃんと調べてるから、むしろ他の地域よりも安全とも言える

私:基準値って、メルトダウン後で、100倍以上基準が緩和されたって話やん?

彼:それがまずごっちゃになってる。食品に関して基準が緩和されたというのは完全にデマ。2012年以降はむしろ厳しくなってる。てか、それ言わん方がええで。マジでアホやと思われるから。

私:食品に関する基準が変わってないことはわかったけど、ごっちゃになってるて言うことは、何か他の基準値が緩和されたの?

彼:結論から言うと、基準は緩和されてない。けど、平時基準と避難勧告基準という二つの基準をごっちゃにして、緩和されたと勘違いしている人がいるという話。

私:ほうほう。詳しく。

彼:平時基準というのは、一生そこに暮らすことを前提とした基準。つまりこの基準内なら、一生そこに暮らしてても良いですよ。ということ。

私:なるほど。

彼:避難勧告基準というのは、一時的ならこの基準で暮らしても大丈夫ですよ、という基準。当然、平時基準よりは緩くなる。具体的には20倍緩い。これは国際基準で決まっている。で、これを超えてくると、一時的にも住まれへんから、避難しましょうという話。

私:で、事故前は平時基準しか注目されてなかったけど、事故後はこの避難勧告基準に従って、避難指示が出されたので、みんなは「何その基準?今までの20倍緩いってどういうこと??」と勘違いしたというわけか。

彼:そう。デマというより、勘違い。まぁ、結果的にデマ。

私:なるほど。で、その基準値自体はどうなの?緩いの?

彼:この時の避難勧告基準が20mSv/年なんやけど、これは国際基準としては最も厳しいレベルやねん。

私:え?20mSv/年やっけ?100mSvじゃなくて?なんか「基準が100mSvとかザルすぎてヤバい!」みたいなこと言うてる人もいない?

彼:それはこの基準が、5年間平均の数値なので、100mSv/5年とも言いかえられるのを悪用して、不安をあおりたい人が100の方を強調するというカラクリ。

私:なるほど。詐欺の手口やな?

彼:そう。だから、この言いかえを信じる=こいつ100万で壺買うタイプやな、って思われるって話。ちなみに今は福島の居住区域のほぼ全域で1mSv/年以下。一部の高い地域でも2mSv/年を超えていない。場所によっては関西の方が線量高いぐらい。
福島から出荷される食品はさっき言った通り、もちろん出荷されているものは1mSv/年以下。

私:なるほどね~。じゃあ、「人工放射性物質は何百種類とあるのにセシウム2種類しか測ってない」なんて意見がネットでは散見されるけど、これは?

彼:まず、「人工放射性物質は何百種類とある」というのは嘘ではないけど、マヌケな意見。ほとんどは数秒から数日で消滅する核種。現在ではほとんどが考慮するに値しないほど下がってる。もう少し勉強しましょうね、という話。

私:ほうほう。ストロンチウムを測ってないのがおかしいって意見もありますけども。

彼:存在比率が最も高くて測定が容易な放射性セシウムを測定することで、割合の少ない放射性ストロンチウムの影響を考慮した規制になってんの。

そして放射性セシウムの基準値は、放射性セシウム以外の核種の被ばく量を合計しても年間1ミリシーベルト(mSv)を超えないように設定されてんのよ。

私:難しいから噛み砕いて。

彼:ある空間の中で、一番多い放射性物質がセシウムなのね。で、ストロンチウムを含むその他の放射性物質も当然そこにはいっぱいあるのよ。

私:ほうほう

彼:で、その放射性物質ってのは、空間あたりの量がだいたい一定の割合で決まってるから、セシウムの量だけわかれば、その他の放射性物質は全部計算で割り出せるの。

私:なるほど

彼:で、セシウムの量と、その他の全ての放射性物質の量の合計はどっちが多いかというとセシウムなのよ。だから、セシウムを基準にして安全値を決めといたら、まず問題ないってこと。

私:そういうことね。誰やねん。ストロンチウムはヤバイ的に言いだしたやつ(笑)

じゃあ次の質問、「100ベクレル以下は安全なんて馬鹿基準に騙されるな!」ていうのは?

彼:「100ベクレル以下は〜」と言う奴は、「私は何もわかってないです」て言うてるようなもん。まずこの手の意見が、すぐにデマかどうかを見極める簡単なポイントを教えるわ。

私:教えて!

彼:普通、単位はベクレル/kgで表すねん。口頭でいうときに暗黙の了解として略すならまだしも、文字で書くときは略さない。
人間が1日に食べられる量は限界があるねんから、重さあたりの放射能で考えなあん。

私:ほう

彼:つまり、100ベクレル以下とかザル!という意見は何もわかってない証拠。何その単位?って、なる

私:醤油1リットル飲んだら死ぬ!というのと同じか

彼:そう。一気飲みしたら死ぬかもしらんけど、10年で1リットルなら、なんの問題もない。それくらい意味のない文章をドヤ顔で述べてるの。恥ずかしいやろ?

私:恥ずかしい。とはいえ、そいつらが言うてるのが100ベクレル/kgやったとしようや。それはヤバイの?

彼:天然に放射性炭素や放射性カリウムというのがありまして

私:ふむふむ

彼:人間の体の中には4000ベクレルぐらい含まれてて、常に内部被曝してますねやわ

私:まじかよ

彼:ほんでそのカリウムってのは、全ての食品に含まれてる

私:え?(笑)

彼:今手に持ってる、そのペットボトル。ミネラルウオーターやろ?成分表見てみ。

私:カリウム書いとる!(笑)

彼:はい、被曝ー。お前それ飲み続けてたら死ぬで

私:マジ?

彼:たぶん92歳くらいに老衰で死ぬと思う。

私:老衰かよ(笑)

彼:放射線量、いわゆる被曝の基準値って、そういう風に決めてんのよ

私:え?

彼:基本的に生きてる限りみんな被曝してんの。で、国が設ける被曝量の基準値ってのは、国民の食生活を考慮した上で、寿命に影響しない量を許容値にしてんのよ。

私:ほうほう

彼:だから、お前がその水飲んで被曝し続けようが、先に寿命で死ぬんだわ。たまに「基準値以内に収まってたとしても、出来るなら被曝しない方が良いよね!」という意見は、意味ないことわかるやろ?

私:例えば上限が10,000だとして、100被曝しようが9,000被曝しようが、寿命には影響しないし、そもそも5,000たまるくらいには、老衰でこの世を去ると。

彼:大筋はあってる

私:でもさ、福島の子どもたちの甲状腺癌検査で、癌がめっちゃ発見されてるやん。あれは事実としてあるよね?あれはどう説明すんの?

彼:個人的にはあれは虐待やと思ってる※

私:どゆこと!?

彼:2017年から世界的に甲状腺癌検査はやらないように推奨されてるデメリットの方が大きいとされる検査なのよ

私:わかるように説明してよ

彼:甲状腺癌は、基本的に進行が遅くて、仮に早期に発見してもそれが命にかかわるやつなのかわからんっていう、ややこい癌やねん。ほんでそのほとんどがほとんど進行しないまま一生を終えるねん。実際に悪いかどうかは症状が出るまでわからない。

私:つまり?

彼:事前に発見したところで、何も出来ひんのに、発見された患者は一生ビクビクして暮らすことになるやろ?

だから、検査するメリットよりデメリットの方が大きいから、検査するのは辞めましょうって世界的になったのよ。

私:え、良性か悪性かわからんでも、発見されたら手術で取り除いたらあかんの?

彼:ほとんどが予後が良くて症状もなく何不自由なく暮らせるのに、無駄に手術で甲状腺取り除いて、その後副作用で一生不自由な暮らしさせるわけ?

私:ま、、、まぁ、本人の気持ち次第じゃないんかな、、

彼:そして世界的に非推奨となった決定打があってね。それが韓国のレヴュー。韓国で甲状腺癌検査しまくって、早期発見しまくったのよ。その結果どうなったと思う?

私:え、どうなったん?

彼:甲状腺癌による死亡率に全く変化なかってん。めちゃめちゃ早期発見できたのに。

私:え?

彼:つまり、早期発見で甲状腺を取り除いた例のほとんどが、別に悪さしないがんやったことがわかった。もはや医療行為としても疑問符がついたということ。これが決定打になって、世界的に甲状腺癌検査は辞めましょうとなった。

私:まじか。それやのに何で福島の子達はやってんの?

彼:始まったのは2011年やから、まだ甲状腺がんのスクリーニングが有効と思われてた時期やったの。当時から問題点を指摘する人はいたけど、時代背景としてはしょうがない。でも、こういった世界的な流れがある以上、俺個人は虐待ちゃうの?と思ってる。一部のアホがデマをまき散らして騒ぐから、地元の親も不安になって、要望としてあるから、しぶしぶ続けさせられてる。無駄に不安を駆り立てられて。可愛そう過ぎる。

私:マジか

彼:ほんで3.11後に甲状腺癌が増えてるとかも嘘やからな。測ったらあかんのに測ってるから、本来は一生症状が出ないような癌が発見されまくってるだけ。あれ、東京でやっても大阪でやっても沖縄でやっても、結果同じ。そもそもが被曝の程度からして甲状腺がんの発生には影響しないことは過去の疫学研究でわかってる。実際に、得られた検査で統計データからも放射線影響は見られないという結論になってる。結論ありきで思考停止して、信じない人多いけど。
理系の人でも、「福島以外の他の地域で、同じようなスクリーニングして比べたらわかる」って言う人おるやん?
あれ、俺も当初は同じこと思ったからその気持ちはわかるんやけど、甲状腺がんのこと何もわかってない証拠やからな。
さっき言った通り、無症状者への甲状腺がんのスクリーニングはやったらあかんの。データとるためだけにやるなんてもってのほか。

私:てか、この話もっと広められるべきちゃうの?

彼:まともな科学者はずっと言うてるがな。放射脳が根拠レスに全否定して、デマを流して、風評被害を出して、メチャクチャにしてるだけで

私:放射脳恐ろしい

彼:お前もこれを理解してなかった今日まで放射脳やったけどな

私:せ、せやな

以上、非常に勉強になりました

皆さん、やっぱり学問せなあかんで

追記:ちなみに彼は反原発です。なので、足を引っ張るデマ屋をだいぶ憎んでます(笑)

追加2※甲状腺検査を実施している関係者の名誉を毀損する表現になっているという指摘を受けたため、当該部分の表現の修正を行いました。 文意は変えておりませんが、表現を修正しております。2019.7.20

本記事情報ソース

IARCの勧告(甲状腺過剰診断について)
上記の日本語解説(BLOGOS記事)
環境省HP(ストロンチウムについて)
事故前の輸入食品基準(国内の食品基準はそもそもありませんでした:基準値100倍の嘘)
事故後の食品基準値(事故後に新設。上記基準比較で厳しくなっている:基準値100倍の嘘)

文部科学省放射線副読本(その他放射線の基本)
韓国の論文(有料)

福島復興ステーション(福島の農産物モニタリング)
福島ステーション(福島の空間線量)
韓国の教訓を福島に伝える