仕事と人生に効く教養としての映画 | 伊藤 弘了 (著) | 2024年書評91 (original) (raw)

映画を観ることを意識的にしようと思った中で何を考えながら映画を観たらよいのだろうと思い手に取った一冊です。

トイ・ストーリーという有名な映画がありますが、そこに登場する主人公はカウボーイ姿のおもちゃです。アメリカでは西部劇が開拓者としてのアイコンとして文化的な背景があります。トイ・ストーリースティーブ・ジョブズの手に戻ったピクサーが大ヒットを賭けて生み出したCG映画であり、アメリカでCG映画の先駆者として命運を賭けた作品でした。

映画の背景を知ることや横の繋がりを知ることでもう一つ映画を楽しむ方法を探していくというのが本書の内容になります。

仕事と人生に効く教養としての映画

📒 Summary + Notes | まとめノート

映画について

映画の始まりはリュミエール兄弟の向上から出てくる人を移した映像を現在の観客を集めた舞台で放映しました。エジソンも同時期に映像の記録装置キネトスコープを開発していましたが一人で覗き込んで観る形式であったために今の映画の形を作ったのはリュミエール兄弟だと言われています。

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日本の映画の始まりは関西です。現在のTOHOシネマズなんばにある南地演舞場、神戸のメリケンシアター、京都など映画発症の地が存在します。

映画の発祥こそフランスのリュミエール兄弟になってしまったもののエジソンはビジネスとしての映画を発展させた存在です。その場がハリウッドになります。ハリウッドにより、制作、配給、興行という形をつくっていきました。

当初は見せることが主流でしたが次第に物語性が発展していきます。映画監督のグリフィスは物語を伝えるために様々な技法に挑戦し表現が発展します。

日本の映画

日本の映画監督の代表として、小津安二郎黒澤明溝口健二、の三人に一人を加えて成瀬巳喜男が挙げられています。

黒澤明の表現は世界でも評価され、スター・ウォーズでも参考にした構図が使われています。スピルバーグシンドラーのリストでは画面の一部に色がつくような黒澤明が行っていた表現が使われています。

溝口健二は演出と長回し表現が語られています。黒澤明はハリウッドで、溝口健二はヨーロッパで特に評価されているようです。溝口健二のお遊さまhttps://amzn.to/3MJEldeの導入部分で多くを語らずに三角関係の関係性を表現しました。

小津安二郎https://amzn.to/3XJ34Vu東京物語にて同じ場所のショットを巧みに使い時間帯の変化だけでなく映画のテーマを伝える手法を用いました。何でもない日常を美しく表現した小津安二郎は余白の意味を考えさせる作品を生み出しています。

海外の映画

海外の映画監督ではヒッチコックエリック・ロメール、らが紹介されており、彼らが巧みに観客を騙すような予期せぬ物語にさせる撮影について語られています。

また、映画と扇動活動は切り離せないものであり、意志の勝利https://amzn.to/3Xpk3uvではナチスプロパガンダ作品なのですがドキュメンタリー調に撮られているにも関わらず創作の部分を多分に組み込み大衆を動かす技法が使われました。

紹介されている映画リスト

カサブランカ https://amzn.to/3MInwPZ

天井桟敷の人々 https://amzn.to/4e36Pe7

ベニスに死す https://amzn.to/3XoWMsA

嘆きの天使 https://amzn.to/3XTqqYF

戦艦ポチョムキン

第三の男 https://amzn.to/4gs3feU

ダンサー・イン・ザ・ダーク https://amzn.to/3TvJ2et

大地のうた https://amzn.to/3XIaPuz

第七の封印 https://amzn.to/4gqMhgZ

灰とダイヤモンド https://amzn.to/3XJBibs

ドラゴン危機一発 https://amzn.to/4gmvMCN

霧の中の風景 https://amzn.to/3z97knN

非常城市 https://amzn.to/3B1dy9z

さらば、わが愛 https://amzn.to/3AZTRPs

桜桃の味 https://amzn.to/3TttPuC

嘆きのピエタ https://amzn.to/4gr94JS

浪華悲歌 https://amzn.to/3XIqRot

ギルダ https://amzn.to/3zfilE1

ローラ https://amzn.to/3XHiObp

去年マリエンバートで https://amzn.to/3XHCrju

西陣

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エル・トボ

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セラフィータの日記

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汚れた血 https://amzn.to/47qSAgt

百年恋歌 https://amzn.to/3B2V20R

感想

映画の鑑賞方法についてとてもわかり易く歴史を紐解きながら勉強できるとても面白い本でした。黒澤明ヒッチコックなど名監督と呼ばれる人たちの作品を観たことが無かったのですが、素晴らしさが記載されておりとても興味がそそられます。

映画を観た後の鑑賞記録をつける事がおすすめと書いてあり、映画を観て考えをメモしてみることや発信してみる事、また発信している人の情報を読んでみる事が書かれています。

何も考えずに映画観て「良かったなあ」「つまらなかったな」などの感想ばかり持ちがちだったので、映画の背景や表現について語れるようにいろんな映画に触れてみたいと思います。

📚 Relating Books | 関連本・Web

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