理不尽な×がついてしまう本当の理由 (original) (raw)

全教科を一人で教えること

小学校の教師が、みんな林先生や伊沢君だったら全教科を一人で教えたところで問題は起きないと考えられます(実技科目や芸術科目は分かりませんが)。普通の人間だったらそれはまず無理だと思いませんか。無理でも全教科教えないといけないとなればどうすれば良いか。その方法と問題点は次の通りと思われます。

① 「指導書」を「神」とし、授業中に見ながら教える(コピーしている場合も)。

何と「板書ノート」という本まで存在するので、見ながら教える(コピーも)。

② 業者テストに出題されている内容・解答に合うように教える。

③ 先輩に質問する。質問するには教材研究をしないといけないのでハードルが高い。

文科省が残業として認める教材研究の時間は、1コマ5分だからブラックを覚悟で おこなわないといけない。

⑤ 分厚い拘束力の無い「解説」を見ている先生はあまりみない。

教科書はこの「解説」に沿って出来ているが、都合良く捉えている。

⑥ 教えていない方法だと、その都度正しいかどうか考えないといけない。

「面倒だから解答例以外は×にしろ」と新採用当時に教わったと30代教師。

したがって、学習指導要領にある「自主的・自発的に学ぶ生徒の育成」

「主体的な学び・対話的な学び・深い学び」は当然到達不可能になってしまう。

中高では先生の解答例でなくても合っていれば○にする。そこを見てあげることが 先生の役割。先生より素晴らしい解答をいつも期待しています。

学習内容以外での理由

真面目な人間が多く、教えてもらったことを疑うことをしない。この教え方、この解き方が良いと思ってしまうと、他の考え方・解き方が入る余地がなくなってしまう。大人になって学び直し、そうだったのかと思い込んでしまうのである。また、昔は、小学校教師も専門科目が1つはあったが、現在は小学校だけの免許を取れる大学があるので、私は「専門科目がないんです」と若い先生。

あり得ない×がついてしまう例が多い単元

4,5年生において、数学でいう「数量を表す式」と「関係を表す式」が同時に区別をはっきりさせない状態で出てきます。中1では別々に区別してしっかり教えますが、小学校では、数量を表す式の次ページに関係を表す式が何の説明もなく、当たり前のように出てくるのです。先生も別物とは気がつかず、流していきます。等式の性質は習わないのですが、頭で考えたとしても、関係を表す式では正解が複数作ることが出来ます。5年生のテストで、ある児童がことごとく解答例と異なる式を書いしまいました。「これ合っているんですか」とベテラン教諭。「はい、全部合っています」と私。良い業者テストには、正解が複数書いてあり最後に「など」と書いてあるが、ダメな業者テストには解答例が1つしか書いてないのです。

かける順番、たす順番が決まっているとの考えが、あちらこちらに影響してしまう

かける順番、たす順番、公式通りの順番が決まっていると信じているので、色々な場面において、解答例以外は×なのではと思ってしまう。つまり、教師側に確かな自信が無いことも原因となっています。悪く言えば基礎学力不足です。まだ小学生なので混乱しないように嘘を教えておこうというのはある意味仕方の無いことですが(中学校でも嘘はあります)、本当の内容を知らないで、教科書に書いてあることが本当に正しいと思っている教師がいることも事実です。小学校の理科では、天動説を教えています。さすがにこれは嘘だと分かっていると思いますが、正方形は長方形に含まれるとか、倍数には0も入るとかについては、本当のことを知らない教師もいます。知らないと教科書に書いてあることが正義だと思ってしまい、正しい内容を学び理解している解答には×をつけてしまいます。大体それに触れる問題を作る業者にも問題はあります。

教科書は絶対だと思うあるいは教科書に頼り切っている教師が多い

教科書とは、

文部科学省HPによると、「教科書は,学習指導要領に示された教科・科目等に応じて作成されています」。「各学校においては,教科書を中心に,教員の創意工夫により適切な教材を活用しながら学習指導が進められています」。「学習指導要領の法的性格から、教育課程を編成する主体は学校である」とある。

教科書会社からの回答では、

教科書の検定に通った内容というのは,先生のおっしゃる通り,「このような教え方がありますよ。」と提案しているものでして,もちろん他の教え方を否定するものではございません。教科書の内容はあくまで一例であって,各クラスの実態によっては別の内容で学習を進めることが最適という場合もあるかと思いますので,先生方の工夫で自由にご指導いただければと思います。

教科書をよく調べてみると

記号の書き順について(東京書籍Q&Aより)

以前は「確かでないことは教科書には載せない」との立場から、演算記号や分数の筆順など、明確な筆順が存在しないものについては教科書には載せておりませんでした。

しかし、「児童に好きな筆順で書いてよいと指導すると、混乱が生じることもあるので、正式な筆順がないとしても、何らかの筆順を示して欲しい」との要望も多く、現在の教科書では、「+、-、×、÷」などの演算記号や等号、「%」の記号、分数などについても筆順を示すようにしています。

以下に、「演算記号や等号、パーセント記号」「分数」「わり算の筆算」について、教科書または指導書で示している筆順について説明します。ただし、以下に示されている筆順は、あくまで筆順がわからないことによる児童の混乱を防ぐためのものであり、単なる一例にすぎません。必ずこの通りに書かねばならないというものでも、そのように指導しなくてはならないというものでもありません。

教科書HPには他にも書いてあります

① 九九の唱え方には様々なものがあり、正しい唱え方というものは定められません。九九を唱える目的は正しい積を得ることですので、先生方や児童に分かりやすい唱 え方でご指導いただくことが適切であると考えます。

② 補助数字の書き方には様々な方法がありますが、正式なものはありません。また、補助数字は必ず書かなければならないものでもありません。

③ 「あまり」を「・・・」と表記することは、児童にとって書きやすく、負担の軽減になります。「あまり」を「・・・」と表記することは学習上大きな問題はないと考えます。

④ 筆算について、正式な基準や方法が定められているわけではなく、「斜線を用いて0を消去していないから誤りである」や、「小数点を斜線で消去したから誤りであ る」などといったことは全く意図していません。

⑤ 概数で答えることが明確な場合は、答えに「約」をつけていません。それは、概数 で答える数に必ず「約」をつけますと、概数を答える問題では必ず「約」をつけな ければいけないという誤解や、「約」がついていない数は概数でないという誤解を 生む恐れがあるからです。概数であることが明確な場合には、「約」をつけなくて も差し支えないと考えます。ただし、教師用指導書の答えに「約」がついていない ところで、「約」をつけても誤りではありません。