初夏の eavam展 (original) (raw)

昨日の続き。

混んでてなかなか座れない。神保町でようやく。

地下通路を歩く。新宿線浅草線、JRと3駅つながっていて案外地下通路のエリアが広い。

でも店があるわけではなくただ通路があるだけ、閑散としている。

地上に出る。

以前にも別なギャラリーで写真展を見たことがあったが、本来は繊維の問屋街。

その中にチラホラと、古いビルをリノベーションしてできた

ギャラリーやスタートアップ向けのオフィスが点在していて面白いエリア。

その中の一つ、『組む 東京』に入る。

タイのチェンマイを本拠地とする eavam が日本で展示会を開くというとき、

この数年はここを利用しているのだという。

eavam

組む 東京

大橋さんの VJ をバックに、というのでそれに合わせて17時に入った。

2階でダンス、1階が eavam の展示。

今回は本がテーマということで、展示スペースのうち2/3に本が置かれていたか。

1/3 が eavam のプロダクト。

バーム、ガスール、石鹼など。どれもオーガニックな身体にやさしいものとなる。

もちろん2024年の新作、ジャスミンのバームも並ぶ。

多くが白い紙や布に包まれて、繊細で優美な優しさをまとっている。

何かを妻に、と思ってトラベルセットにしてみた。

バームやガスールが少しずつ入っていてサンプルとしていいかもというのと

竹を編んだポーチに包まれているのがいいなと。

(「組む 東京」の小沼さんより、建物の屋上で育てているという薔薇の花束を添えてもらった)

5,000円以上買うと、大橋さんがかつて編集していた

『SAL MAGAZINE』のバックナンバーがもらえるというので、

1冊選ぶ。002号。

これのメインの特集が、New Order の架空のCDジャケットをつくる、というもので。

5人のビジュアル・アーティストに New Order の曲を2曲ずつ渡してイメージを広げてもらったのだという。

例えば、「Regret」と「Your Silent Face」であったり、「Ceremony」と「Leave Me ALone」であったり。

実際に、自分たちのレーベルで New Order のトリビュートアルバムも出したとある。

大橋さんって何者なんだ……

肝心の本。

本棚のように詰め込むのではなく、多くは平置き。

1.eavam 自身の蔵書、2.作品社から出た本、3.青熊書店から選ばれた本が並ぶ。

作品社、青熊書店の本は販売も行っていて、その1冊1冊に内容紹介の短文が添えられている。

もしかして大橋さん、花岡さんが自らテキストを書いたものなんじゃないか……

いつのまに。チェンマイから日本に来て、まずはその作業? そこがなによりもびっくりした。

本が好きなのだなあ……

ひとつひとつの本が独立した個性を持った、出自・来歴を持った人格のように見えてきた。

彼ら彼女たちが、黙したまま手に取られるのを待っていた。

青熊書店からは芥川龍之介の『桃太郎』、内田百閒の『第三安房列車』、

中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』など30冊ほどが大橋さんによって選ばれ、

僕の推薦はフィルムアート社の『映画暦 1986』、『ザKLF伝』、『誰が音楽をタダにした?』の3冊。

妻からは橙書店の『アルテリ』など。

気になったのは1.eavam 自身の蔵書であって、やっぱ僕らごときには敵わない。

『タイの花鳥風月』と、中沢新一『イコノソフィア』という本がどうにも面白そうで

恥ずかしながらその場で amazon でオーダーしてしまった。

18時より、2階の空間を客席とステージとしてパフォーマンス。

大橋さんは床にノートPCやCDJなどの機材を直に置いて、座りながら操作する。

チェンマイなのだろう、日本でいうところの国道沿いの風景、水田、宮殿といった映像が流れる。

そこに花岡さんが現れ、手足を揺らぐようにゆっくりと伸ばしていく。

その身体に映像が、その光と影が重なる。

舞い踊るひとつひとつの所作の意味、メッセージは直接にはわからない。

しかし、eavam が身体やそれを取り巻く環境と真摯に向き合っている、

単にプロダクトをつくっているのではなく

それはひとつの詩的な表現であり、思索なのだというのがよくわかった。

花岡さんのファンと思われる妙齢の女性たちがグループになって見に来ていた。

パフォーマンスが終わって、花岡さん、大橋さんは1階に下りてはこなかったが、

二人と話したい人は多いだろうなあと思って僕は挨拶することなく先に帰った。

後で花岡さんのメールを読むと

(名前はわからないが)編集学校から3名の方が見に来てくれたとのこと。

青熊書店の本をお買い上げいただいた方も。

ありがたいことです。

自由が丘のグリーンマルシェは19時まで。

その後も片づけがあって終わったのが21時近く。

明日もマルシェで朝早いということで従姉妹が泊まりに来ることになっていた。

僕はいつものドライカレーを作って待った。

初夏の eavam展