Our Bodies Ourselves(OBOS) (original) (raw)

2つの邦訳版がある

私の訳したローラ・カプランの『ジェーンの物語 伝説のフェミニスト中絶サービス地下組織』
『ジェーンの物語 伝説のフェミニスト中絶サービス地下組織』ローラ・カプラン|海外文学エッセイ、評論|海外文学|書籍|書肆侃侃房
の中でも紹介されている本。

Women's Action Network(WAN)のサイトで、荻野美穂さんのエッセーエッセイ > 40周年を迎えた『OBOS からだ・私たち自身』 荻野美穂 | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
で紹介されています。以下、そこから引用します。

OBOSは1969年、ボストン大学での小さなワークショップ、「女とそのからだ」から始まった。集まった女たちは話し合う中で、自分たちが自分自身のからだについていかに何も知らず、医者や男の言うなりに生きてきたかに気づき、女のからだについての情報集めを始めた。そうやって調べたことを持ち寄って女による女のための健康講座が開かれ、その資料として手作りで作られたパンフレットが、OBOSの始まりだった。

1960年代にはアメリカ全土で公民権運動やヴェトナム反戦運動、学園紛争など、改革の嵐が吹き荒れた。けれど、「反体制」を叫ぶニューレフトの男たちの中にも厳然と存在する性差別、女性蔑視に憤った女たちは、各地でウィメンズ・リベレーション(女性解放)運動を立ち上げた。女が自分のからだについて知ること、そして性や生殖にかんして自分で決める権利を主張する女の健康運動は、その重要な一部となった。中絶の合法化を求める運動や、スペキュラムと手鏡を使って自分の子宮口を見る運動、あるいはピルの危険性や婦人科手術の濫用を告発する運動など、70年代を中心にさまざまな活動が展開された。

2つの邦訳版とは:

①ボストン「女の健康の本」集団 、秋山洋子・山田美津子・桑原和代抄訳『女のからだ 性と愛の真実』(合同出版)1974年(原著1973年版)

②ボストン女の健康の本集団編著、藤枝澪子監修、日本語版編集グループ編、日本語版翻訳グループ訳『からだ・私たち自身』松香堂、1988年(原著1984年版)

②についてはWANサイトで読むことができます。
ミニコミ図書館 > 団体一覧 > (旧)有限会社 松香堂書店 | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network

また、最初の抄訳版の前文がいい! いいんだけど、悲しくなる!?

日本語版まえがきには、彼女たちの思いを伝える次のような一節がある。

「本書が誕生するきっかけとなった、女同士がばらばらに孤立させられ、自分の体や自分の性についての正しい情報や感覚を奪われているという状況は、日本でもまったく同じように存在している。いやそれ以上に、女の体までも管理の網の中に組み込もうとする攻撃が、手をかえ品をかえ政府や会社からかけられてきている。その中でこの日本語版のはたす役割は、決して小さいものではないだろう。著者たちは言っている――知識は力である、と。」

これが今も全く古びていないことが、とても残念だ。