ウィーンプラハ旅行記5。王宮、シュテファン大聖堂を巡り、青き美しきドナウを眺める (original) (raw)
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ご無沙汰しております。試験後続きを書こうと思っている間に、3ヶ月も経ってしまいました。ウィーン・プラハ旅行記ひっそり開始したいと思いますので、もしお時間がありましたらお付き合いください。
それではウィーン旅行記最終です。
ウィーン美術史美術館は、城壁跡である外環道路(リング通り)の外側に面しています。
よってリング通りの内側は旧城壁内(旧市街)になります。道路を渡って、旧市街に突入してホーフブルク宮殿に入っていきます。
外門であるブルク門
ホーフブルク宮殿はハプスブルク家、神聖ローマ帝国の王宮であり、政治の中枢でした。
王宮は現在、大統領府やコンベンションホール、図書館、美術館などがある総合施設です
歩いて行くと右手に新宮殿が見えてきます。新王宮は衰退を目の前にハプスブルク家が復権を掲げて建設した一大プロジェクト。しかしこの宮殿の主となることなく、ハプスブルクは終焉を迎えました。
新宮殿を守るのはハプスブルグの要石、プリンツ・オイゲン・フォン・サヴォアの銅像
オイゲンは軍事の天才として、オーストリア・ハンガリー帝国をはじめヨーロッパ各国の軍艦に彼の名が使用されています。
クリムトが所蔵されているベルヴェデーレ美術館は彼の邸宅でした。
新宮殿の美しい円弧
新王宮の左側(英雄広場)には、これまた名軍人であるカール大公像。
建立された時期の前後はわかりませんが、ハプスブルクの名将二人が守護神のようにこの新宮殿前に設置されていることに、ハプスブルクの衰退への焦りと再興への願いがあるような気がしました。
さて、その足元ではあんまり穏やかそうではないイベントが絶賛開催中でした。
まあ危険ではそんなになさそうだけど、なんとなく雰囲気的から右翼っぽい。
君子なので危きに近づかずに、正面に向かって進んでいきます
全般に、装飾過多気味の王宮建造物の中で、あれここは結構手抜いた?という感じの建物(大統領公邸)を抜けると、4宮殿に囲まれた中庭に出ます。
写真左の建物がアマリエ宮、右が帝国官房棟
中庭の主は、マリアテレジアの孫で最後の神聖ローマ帝国皇帝、フランツ2世
ドイッチュラントドイッチュラントではじまる現在のドイツ国歌は、オーストリア帝国国歌で、ハイドンがフランツ2世のために作曲した「神よ、皇帝フランツを守り給え」の替え歌編曲です。
カール大公に謁見したので、ミヒャエル門から王宮を退出します。
初夏の午後の日差しが良き
ドームも美しい。シシー博物館へはこちらからも入れます
観光馬車が頻繁に通る。馬の足音って規則的で落ち着きます。
鉄の装飾も美しいです。ここ車も入って来れるんかい。
ミヒャエル宮正面
ちょうど逆光で写真の色が飛んだけど、それはそれでなんかいい感じになりました
手前左の銀行の建物は、「装飾は罪悪である」という確固たる信念をもつ建築家アドルフ・ロースの代表作、ロースハウスです。
モダニズム建築の先駆的建造物
装飾過多に慣れきった市民から、
デコらないなんて貧乏くさすぎ!
と非難の集中砲火を喰らったロースハウス。
当時の皇帝も、
余はあの建物を見るのも嫌じゃ
と言ってミヒャエル門を使わなかったというエピソードも残されています。
(主典:https://en.wikipedia.org/wiki/Adolf_Loos)
近代化、合理化というヨーロッパの西から起こった風が、東のウィーンにも吹いたという記念建造物です。
ロースハウスの手前の堤防みたいになってるところが見えると思いますが
ここには、この地がウィンドボナと呼ばれていた頃のローマ時代の遺跡が保存されています。
2000年前の技術力。ローマ帝国まじすごい。
写真がなぜか撮れてなかったので、wikiから拝借しました
https://en.wikipedia.org/wiki/Vindobona
ローマに支配されたということは、当時の最先端文化流入を受けたわけで、支配という屈辱のカードの裏面は文明化であり、ウィーン(ウィンドボナ)はヨーロッパのイケている街の仲間入りをしました。
では、イケてるウィーンを歩いていきます。
中央ピンクのスーツのおにいさんがミュージカルの舞台感を街に醸し出します。
振り返ったミヒャエル門
H&Mが高級ブランドショップに見える錯覚
ウィーンのシンボル、シュテファン大聖堂
シュテファン大聖堂内の無料エリアをさくっと見学してきました。
ヨーロッパの主要な教会はどこもそうですが、高い天井です
大聖堂内中央
地下にはカタコンベ(骸骨墓地)もあります。王族からペスト流行時に蔓延を防ぐため教会に閉じ込められた人々まで貴賤問わず、骸骨になったら同じだよね。見学ツアーもできるそうです。
教会の左側にそって無料エリアが広がっているので進んでみます
中央に見えるのは、ウィーンノイシュタットの祭壇
無料の民にはここが限界のようです。
1985年から20年間、130万ユーロ(概算で1.5億円)かけて修復した祭壇だそう。20年か、日本人なら3年で完了してるな。終わらない、終わらせないをモットーにゆっくりやるのがヨーロッパ流(例:サグラダ・ファミリア)。
荘厳な雰囲気に違和感を付与するサムソンのスクリーン。
美しくない
天使の装飾多すぎて、天使酔いするのもヨーロッパあるある。
翌日早朝プラハに移動するので、今回の旅では大聖堂はこれで見納めです。
マックの入っている建物のデザイン素敵です
ここからサクッと歩いて、旧市街を抜け紅茶屋さんデンメア(DEMMERS TEEHAUS)へ。
六本木にも店舗があるそう。日本なんでもありますね。
ホテルザッハーに卸しているザッハブレンドとアールグレイを購入。ザッハブレンドは缶なしだと100g€7.5なので、1000円くらい。ザッハブレンドはマリアージュフレールのマルコポールをあっさりさせた感じ。ドイツの紅茶ロンメルフェルトと系統は似てる感じです。個人的にはフォートナム&メイソンの方が好みですが、美味しい紅茶でした。
缶なしを購入したけど、缶がすごくウィーンぽいので、お土産向けにも良いと思いました
Photo from https://www.fromaustria.com/en-GB/demmers-teehaus
ティバッグもおすすめ。デンメアは観光客が何が欲しいかよくわかっていらっしゃる。
Photo from https://www.tee.at/shop/tee/geschenkewelt/alle-geschenke/?order=name-asc&p=2
せっかくなので、すぐ近くにあるウィーンの台所、ナッシュマルクトを少しぶらついてから、一旦アパートメントに帰ります。
カフェもとても賑わっていました
現地でも感じましたが、人種が東欧系の白人に偏ってるなと思います。
日本食のお店も多く、寿司も食べられます。
ポスターを見る限り外してないけど、惜しいので、日本人の経営じゃないことはうっすら伝わる。
Liさんなので経営者は韓国系か中国系だと思います。日本食は人気なので、ぜひ日本人に海外展開してほしい。
新鮮そうな野菜が並ぶ八百屋さん
値段設定はロッテルダムの市場より少し高め
ロッテルダムは欧州最大の港ユーロポートがあるため、輸送費がコストダウンでき、欧州産、中東産、アフリカ産の新鮮な野菜果物が安価な値段で提供されています。
左端のつぶれモモ(ドーナッツピーチ)めちゃくちゃ美味しいです。
ジューシーで濃厚で、噛めば噛むほど甘味が増す美味しさです。5月くらいから8月くらいまで出回るので、もし旅行先で見かけたら食べてみてください。桃なのであまり安いものは、かびてたりするので注意です。1キロ(10個くらいで)€5くらいの硬めのものを選べば外れません。
サラミハムなどが並ぶ加工肉屋。肉食文化圏なので多分全部おいしい。
豆とかナッツってこんなに種類あるんですね
イタリア食品店と書いてますが、手前ではバクラヴァなどトルコ系のお菓子も売ってます
地元の方や観光客でとても混み合っていました
ナッシュマルクト、散策するだけでも楽しかったです。市場は、日常の街の雰囲気や生活感が感じられて、興味深いです。
ここからメトロに乗り、宿泊地最寄駅ランゲルフェルト駅に帰ってきました。
駅構内は綺麗です。地下鉄4番と6番が走ってるので、結構便利な駅。
改札がないので、自分で右にある青い打刻機にチケットを通す必要があります。忘れて捕まると、高額罰金が課せられます。
初日の夜、あまりの暗さに怯えながら通った道
落書きは治安のバロメータです。ウィーンは治安が良かったけど、アメリカだったら絶対こんな道夜1人で歩いちゃいけないよなと思います。
一旦ホテルに戻り、明日の朝食などを買いつつ、ケバブを夕食にして、19時15分に再度出かけます。
車窓から。窓ガラスが色付きなのもありますが、夕日が美しい。
目的地はこちら。
荒川です。ドナウです。
美しき青きドナウは、上流だからか結構小さいな、と思いますが、実はこれは中洲を挟んだノイエドナウ(新ドナウ川)で、本流はこの倍ほどの川幅です。
対岸のように見えるのが、ドナウインセル(ドナウ島)です
20キロに及ぶ中洲で公園などが整備されているようです。
もう20時近いのですが日が長いので、ウィーンっ子たちがのんびり過ごしていました。
結構イスラム系の人々がウィーンはいるんだな、という印象
外務省によるとオーストリアの4%がムスリムらしいですが、体感3割ぐらいイスラム系の方々でした。
自転車と重なって見難いですが、中央のグループは巨大な水タバコ持参してます
地元の人を横目に、川から離れてドナウタワーを目指します
ドナウタワーは、ドナウパークとういう巨大な緑地内にあります
アカシア?が満開。すごくいい香りがしていました。
水辺なので蚊が結構いる。歩いていると寄ってきます
着きました。
それでは登っていきます
ドナウタワー
展望台からは、眼下に先ほど歩いてきた道が見えます
夕暮れの街っていいですね
このタワーは20分ほどで1回転するそうなので、カフェでコーヒーを飲みながらゆっくり展望することにしました。
ウィナーコーヒーを注文
20時20分、夕陽が沈んでいきます
ドナウの対岸には市街地が見えます
反対側は住宅地が広がっています
見えている川はアルトドナウ(旧ドナウ)です
アルトドナウは、旧本流跡で三日月湖。周辺は、おしゃれカフェが多い人気スポットのようです。
円弧を描いているビル群は国連事務局です
ウィーンはニューヨーク、ジュネーブと並ぶ国連都市です。
もう1周したら、だいぶ暗くなってきました。
そろそろ21時、明日早いので帰るとします
来た道は暗いので、明るい国連側の道を通って帰りました。
国連ビル。週末なのに仕事している人がいる
日本では珍しくないですが、欧州ではかなりレアなのではと思います。
ごさごそと音がするので、なに?と思ったらうさぎでした
地下鉄1号線の駅が見えてきました。
22時前にホテルに帰りつきました。これでウィーン編は終了です。
重厚な街並みと、おしゃれ感と、東欧らしい素朴さと、ヨーロッパ最大の帝国だったハプスブルグの都は美しい街でした。治安もヨーロッパの都市にしては非常に良く、緑豊かで、世界で最も住みやすい都市に何度も選ばれているのにも納得です。
ただ、人種の構成的に東欧系が多くそれほどダイバーシティがあるわけではなさそうなので、ウィーン子はプライドも高いと言われるし、現地の方と結婚して住んだり、イスラム系のように密接なコミュティを作って暮らしたりしない限り、アジア系には若干住みにくいかもなとも思いました。でも母国ではないので、どの国でもそれなりの住みにくさがあるという意味では同じで、オランダ並みに治安がいいウィーンはそれだけでも安心できる住みやすい都市だと思います。
さらに個人的には、水の味というのは生活に直結するので、アルプスの美味しい雪解け水が水道から供給されるウィーンはいい街だと思います。
来訪して、ウィーンフィルや、ベートーヴェンの家にも行きたいです。
ウィーン市庁舎。オーストリア国旗の赤の色、かっこいいです。