詩歌本三冊 (original) (raw)

今月の詩歌を読む読書会(「河童読書会」)では、意外な事前課題が出た。課題図書を指定を読みあうのではなく、各人が思い思いに詩歌に関する本(評論も含む)を三冊持ち寄る会とするそうだ。

いつものギリギリで課題本を読み切って、頭をひねって3作品を選びだすという緊張感はないが、そのかわりどの本を選ぼうかとあれこれ空想する楽しみがある。

主宰の神保さんがわざわざ評論の文言を入れているのだから、一冊は詩論を選びたい。俳句とそれを批評する言葉の深さを教えてくれた山本健吉の『現代俳句』がまず思い浮かぶ。十代の終わりに初めて批評の世界に導いてくれた岡庭昇『萩原朔太郎』はどうだろうか。こちらなら、個人的なエピソード以外でも、文芸評論や詩人評論家の時代について語る糸口になる。

詩集を一冊選ぶならば何になるだろうか。詩集に書き込んで汚して読むという方法を見つけた粕谷栄一の詩集からお気に入りの一篇を紹介するのもいい。堀川正美の骨太な詩と共に、堀川の住んだ米軍ハウスのエピソードを話すのはどうだろうか。

神保さんは古書店主だから、氷見敦子の貴重な詩集を自慢する手もあるかもしれない。詩集の手軽さと作品の良さなら、清水哲男や松井啓子などもいいだろう。

僕は、学校の教科書や詩の入門書や解説つきのアンソロジーによって詩を好きになった。軽く見られがちなジャンルだが、言葉の断片である詩には、こうした親切な導き手がどうしても必要だ。そこからも一冊は選びたい。若い頃お世話になったが学燈文庫シリーズのなかでは、なんといっても『現代詩の基礎学習』。現代教養文庫山本太郎の『詩の作法』も思い出深い。ただし、現在愛用しているのは、優れた詩論家にして詩人の郷原宏が編んだ『日本の詩』だ。

さて、何をえらぼうか。