心の基本のススメ、空手における〝体の基本〟と並立する〝心の基本〟 (original) (raw)

先週末からの土曜日 (10/5)、日曜日 (10/6) は、東京都体育館にて第 56 回全日本空手道選手権大会が行われました。

私は審判員として参加させていただきましたが、国内最高峰の素晴らしい大会を開催していただいた新極真会・緑代表をはじめとする関係者の皆様、誠にありがとうございました。

今大会からは型部門が新設されましたが、型部門に新極真会徳島西南支部からカイト君が出場、結果は初戦敗退でした。

カイト君には、今回の経験を今後に活かして欲しいと思います。
同行された保護者様もお疲れ様でした。

さて、空手には「基本」と呼ばれる稽古があります。

1. 体移動せずにその場で突き・蹴り・受けの動作を行う、〝その場基本 ( 省略して通常「基本」と呼ばれる )〟

2. 体移動を伴う基本稽古である〝移動〟

3. 組手を想定し、決められた基本動作を行う〝型〟

私は以上 3 つの稽古を総じて、空手の「基本稽古」と認識しています。
空手の基本稽古の動きは、実際の自由組手の動きとは、かけ離れている動きもあります。
空手の基本稽古が実際の動きとは、かけ離れて編 ( あ ) まれている意図としては、千変万化する自由組手の動きの中で、組手に必要な動きの〝軸〟を必要に応じて瞬息的に構築できるように、汎用性を広げるため抽象的に編まれていると、私は認識しています。

例えば、代表的な基本稽古である〝正拳突き〟は、主に突きとしての腕の軸を通す稽古であるように、私は認識しています。
また移動稽古で行う〝追い突き〟は、前足重心となる〝前屈立ち〟の前足と後ろ足の軸を通し、前足に乗った重心を腕を通して拳に伝え、また拳に伝える際の中継地点である体幹の軸も同時に通す稽古であるように、私は認識しています。

あらゆる動作の機能性、合理性の最大の要訣は、動きの〝軸〟にありますが、空手の基本稽古を正確に練り上げた修練者の組手には、空手としての風合い、そしてその修練者の内面が醸し出されます。

基本稽古は、空手の体における〝基本〟となるものです。
空手には、〝体の基本〟があるように〝心の基本〟も存在します。
空手における〝体の基本〟は〝動作の軸を通す〟ことですが、私は空手の〝心の基本〟は〝謙虚である〟こととして道場生を指導しています。
〝謙虚〟は、あらゆる情操の源泉となるものです。

空手の基本稽古は、抽象的であるがために「実際の組手の動きとはかけ離れているのに、何でこんな稽古するんだろう ?」といった疑問が生じやすいものです。

空手の基本稽古が抽象的なのは、上記のとおり実際の組手のあらゆる動きに応用が効くように汎用性を高めるためですが、疑問が生じても〝素直〟に基本稽古を続けると、身体操法として優れ、なおかつ汎用性に富んだ動作の軸を身に付けることができます。

〝素直さ〟は〝謙虚〟が源泉となる情操ですが、素直さで身につけた動作は、その人の素直な内面を映し出す組手の動きとなります。
また謙虚は〝自分を弁 ( わきま ) える〟情操も含みますが、自分を弁えることは、人に対する〝心の余地〟を生むものです。

謙虚、自分を弁えることからなる心の余地は、人の心情に寄り添う〝惻隠の情〟となります。
〝惻隠の情〟は徳としての〝仁〟であり、仁は他の義・礼・智・信からなる「五常の徳」の最高位とされています。

空手の心の基本である謙虚さ、そこから派生する惻隠の情は稽古、試合などで表出されますが、稽古の組手であるスパーリングにおいて、自分より技量・力量の劣る相手への〝手加減〟などは、その代表的なシーンです。

空手の心の基本は、修練者のあらゆる内面となり、そして人格となるものです。
新極真会徳島西南支部は〝体の基本〟そして〝心の基本〟を大切にした空手の教示を心掛けたいと思います。

< ご案内 >【新極真会徳島西南支部、道場生・保護者様対象】
次の日曜日 (10/13) は型稽古会 (9 時~10 時 )、昇級審査会 (10 時 15 分~11 時 15 分 )、組手強化稽古 (11 時 30 分~12 時 30 分 ) です。
参加する道場生の皆さん、頑張りましょう !!

また 10/14 ㈪は祝日で阿南道場の稽古はお休みになりますので、道場生、保護者の皆様、よろしくお願い致します。

10.8.2024 記