ダンダダン/トリリオンゲーム/ファブル (original) (raw)

●新番組・ダンダダン。OP・ED、音楽・画像共に、すごくキャッチーでよし。OP作画、シルエット演出がウルトラ特撮を感じさせつつ何となくケモノヅメ辺り思い出して快適。OPスタッフに湯浅の名が無いのがなんか不思議なくらい。しかしくりーぴーなっつさんはホンマ、飛ぶ鳥を絶滅させる勢いでアニメOP業界に食い込んできてその能力に恥じないな。言葉回しの滑らかさが素人目にもカッチョイイよね。

原作は王道からヒネったお話でありつつ「偏執的に近い猛烈な描き込み作画」によってその特徴を立たせている作品ってとこがキモで、その補完としてサイエンスSARUのとんがったとこ全開による「アニメ作画の動き」で補完という方向性。結論としてはまあ、満点である。

そこここで本気の技量を発揮するアクション作画もいいけど、テンポよくディテイルを呈示しつつエンタメに徹する日常描写の演出もヌケがない。様々な要素をギッチリ詰め込んで、コンパクトに提示するってことでなかなかレベルの高い「第1話」だったんじゃなかろうか。オカルンの花江夏樹・モモの若山詩音ともにすんごく手堅い。花江さんもともかく、若山さんごっつエエ演技派になったな…。んでその相手となるターボババアとセルポ星人に田中真弓中井和哉、対照的にベテランで固めたワケだな…と思ったけどふと気づくとこれルフィとゾロだなこれ。

エフェクト・クリーチャ系の亀田祥倫は期待通りの成果として、キャラデザと総作監恩田尚之ってのもスゲエわなあ。俺この人最初に知ったの湖川御大のビーボォー云々からの知識だぞ。そっから現状、60歳越えて経歴途切れずに第一線にも程があるこんな戦場でバトルしてるっての、ホンマに感心の極みというか。…ともあれ、こんなん見せられたら期待するしかなわな。視聴継続。

●新番組・トリリオンゲーム。主役二人の「強キャラ」具合に裏打ちされたムチャとハッタリで成り上がる坊っちゃんたちの話。これ、原作漫画のおもろさからのドラマアダプテーションがかなり強力で、個人的にドラマ2期目を待ってるくらいの作品だけど…アニメの方はどうかってことですが。

アニメ、序盤2話を連続で放映。状況設定を判りやすくするってことで、戦略的にアリだと思った。一応1話時点でもシメの話にはなってるけどね。現時点で原作の流れにほとんど差異はなく、これからどうなるかってのも判りやすい。アニメ的展開をいかにおもろくするか、ちょっと気にしてみよう。

…ま、感想書くかどうかはわかんないっす。あと何だ、池上先生の美麗キャラ絵をアニメに落とし込むの大変そうだな―って思った。がんばってんだけどね…。

ザ・ファブル・再終話。冒頭、宙ぶらりんだった貝沼さんの死体がめでたく…いや晴れて…まいいや、結局見つかってしまう。当然ながら元凶のイサキさんはその帳尻合わせで始末されんのだが、彼を殺す直前まで実にカジュアルなスズキさん(とクロさん)の対応がなんかいい。こういう事柄と常に隣り合わせな人々、ってことなんだなあ。そのスズキさんでさえ、サトウの特殊性については「暗殺の金メダリスト」と表現する。…「ノーベル殺人賞をもらった世界でただひとりの女よ…」ってのを思い出したが、あんま関係ないな。ま、なんだかんだでスズキは去る。生きたまま、割と協力的に分かれたし、再登場あるかな。

サトウとヨーコの反省会らしき何か、改めて「あんたは無表情過ぎる」と指摘されてんのがもうそれだけで可笑しい。それじゃあってんで状況に合わせた表情を瞬時に作るサトウさんが可笑しい。キミら案外普通の市民に向いてるんじゃないかなと思う。

状況はなし崩しに職場クリスマス会へ。ヨーコさんはまだ見ぬオクトパス社長を酒と暇の手慰みにしようと手ぐすね引いて待つ。願わくばお互いにおもろかったなで終わる話でありますように。そしてお話は、ヒナコのサトウへのワンタイムパッドメッセージでシメ。…元気でやってくよという意思表明だけど、これは…再会しない方がキレイな関係性かな。

●総評。毎回面白く次回へのヒキも強い優れた作劇と、低空とは言わんが中空飛行な感じの作画/制作費を呈示してくるという…ううん、こういうのは確かに、70~80年代のカッツカツな制作状況を生き抜いてきた高橋監督にとってはお手の物なんかな。実際この作品見ようとした動機の一つは、御年80になんなんとする高橋監督がいかにその力量を行使できるのか、その確認ってとこもある。その結果として…いやはやまあ、これは面白かった。

当然その面白さは原作漫画由来のものだが、これは右から左の凡庸な船頭では無理無茶だよ。適切な間合いと演出、それありゃこその動画作品だわ。高橋監督は割と積極的に若手スタッフの裁量で仕事させると聞くけれど、それをキッチリ手綱とってここまでの統制を取れるってのは流石に一流のアニメ監督、衰えんなあと感服したりした。

演技に関してはよくここまで関西系の声優をかき集めてきて、その上で違和感なく練り上げたなあというね。それ踏まえて、元から関西弁キャラじゃない沢城みゆきはとりあえず措いといて、大塚明夫花澤香菜、あとチャラ男梶裕貴の方々はスゲエってことでもある。本人のキャラと演技で勝ち取った役ってことだからなあ。…上で一旦措いといた沢城ねーさんですけども、この人の演技力と「ああー…こういう人多分いるんだろうなマジで」ってリアリティはなにものにも代えがたかったです。スゲエ。

当然主人公・ファブルの興津和幸はマジ、ようあんなワケ判らん役をアニメのキャラに落とし込んで面白くやれたなあという賛辞しかありません。「――」を余韻としつつ語尾が流れがち、という折衷世界に押し込んだの、話が進むだに「このやり方しかねーよな…」って感じだった。総監督・音響監督とともに構築した演技なんだろうな。

とまれ、とても楽しかった。低予算故のほころびは各所にあれど、それを飲み込んでなおあまりあるグッジョブ具合だったと思う。…原作のストックはあるのかな? あるならぜひ、そのうちまた、続編アニメを鑑賞したいものだなと思いました。…監督、そのころまで現役で居てはるかなあ…。