オパクスソリアシサビクワガタ 大型系統?? 2024年飼育レコード獲得 羽化報告 (original) (raw)
オパクスソリアシサビクワガタ
Gnaphaloryx opacus Burmeister, 1847
東ジャワ アルゴプーロ産
1.はじめに
オパクスといえば私、私と言えばオパクスのようなイメージがつきつつあるような気がしないでもない今日この頃。2022年、2023年と自作自演でレコードを獲得し、さらなる大型を目指して飼育を継続していましたが、既存の系統よりも明らかに大きい系統が出てきたので記録を残しておこうと思います。
2.飼育記
2-1.2023年11月くらい 産卵セット
WD♂37.4×WF1♀29.7のペア。
いつも通りクリスラ小に材転がし。
この時記事にする気はなく写真すらとってません。
♂はペアリング時点で購入後1年以上経過していましたがバリバリ♀にアプローチしていたことをよく覚えています。♀もWF1かつ添加カワラで飼育した大きめの個体なので、そこそこ期待ができる組み合わせ。
2-2.2024年1月10日 割出
そこそこの数をゲット。初2齢の時点でなんとなく大きめの気がしていました。
カワラ組とシワタケ組に分けて投入。
3.2024年3月 蛹化~
ボトル越しに見えた幼虫がなんとなく大きいな~楽しみだな~なんてのほほんと見ていたところ
!?
2齢投入から2か月で蛹化はさすがに早すぎない!?!!?
あまりにも早い蛹化の割に蛹体重は中々(当社比)。
この個体はぼちぼち大きい予感。
親♀はカワラタケ飼育でしたが、シワタケに投入した個体も悪くない感じ。
月末には羽化してました。35ミリ程度と飼育品としてはかなり大きめ(当社比)。
3.羽化個体紹介
♂①33.3mm GO-D01
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年5月3日 羽化
蛹体重2.1g
♂②35.1mm GO-D03
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年3月22日 羽化
蛹体重2.4g
♂③34.9mm GO-D04
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月2日 羽化
蛹体重2.3g
♂④36.8mm GO-D06
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月8日 羽化
蛹体重2.8g
♂⑤35.2mm GO-D07
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月14日 羽化
蛹体重2.4g
♂⑥35.0mm GO-D08
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月12日 羽化
蛹体重2.5g
♂⑦35.8mm GO-D09
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月12日 羽化
蛹体重2.5g
♂⑧36.1mm GO-D12
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月20日 羽化
蛹体重2.6g
♂⑨38.0mm GO-D16
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 初齢
2024年5月10日 羽化
蛹体重2.9g
当サイクル最大個体。唯一親超えを果たしてくれました。
ちなみに、かなりの還元オバケ個体なんですが…蛹化時にちょっとだけ「おまじない」をしました。有効性については要検証。
2024年飼育レコード号にていつもの自作自演でレコード更新することができました。紙面上の野外レコードを上回ったおかげか前回より評価が少し上がってました。やったね!
管理温度が10℃~20℃となっていましたが正しくは18℃~20℃。転記ミスか?と思いましたが申請メール見返したら10~20になってました。土屋さんごめんなさい。良い子のみんなは気をつけてね!!!
♂⑩35.3mm GO-D17
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年4月18日 羽化
蛹体重2.3g
♂⑪36.6mm GO-D19
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年4月20日 羽化
蛹体重2.6g
♂⑫33.6mm GO-D20
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月7日 羽化
蛹体重2.2g
♂⑬35.2mm GO-D22
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年4月22日 羽化
蛹体重2.3g
♂⑭24.4mm GO-D25
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年4月29日 羽化
蛹体重0.9g
シワタケ食えなかったであろう個体。こういうのも出てくるんだなぁと逆に感心。
♂⑮34.2mm GO-D26
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月19日 羽化
蛹体重2.3g
♂⑯34.5mm GO-D28
2024年1月10日 MT160細オガ@500 初齢
2024年5月26日 羽化
蛹体重2.1g
♂⑰33.2mm GO-D29
2024年1月10日 MT160細オガ@500 初齢
2024年6月13日 羽化
蛹体重2.0g
♂⑱34.1mm GO-D30
2024年1月10日 MT160細オガ@500 初齢
2024年5月28日 羽化
蛹体重2.1g
♀①27.2mm GO-D02
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月22日 羽化
蛹体重1.8g
♀②29.2mm GO-D05
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月12日 羽化
蛹体重2.4g
♀③25.9mm GO-D10
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月8日 羽化
♀④28.2mm GO-D11
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 2齢
2024年4月8日 羽化
蛹体重2.2g
♀⑤27.4mm GO-D14
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 初齢
2024年4月9日 羽化
蛹体重1.9g
♀⑥30.0mm GO-D15
2024年1月10日 微創研カワラ微粒子キチガイ5-5添加@500 初齢
2024年4月23日 羽化
蛹体重2.5g
♀⑦30.5mm GO-D18
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年4月23日 羽化
蛹体重2.4g
♀の最大個体。自己ベスト…というわけではないんですがかなり大きい個体。
♀⑧29.8mm GO-D21
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月17日 羽化
蛹体重2.3g
♀⑨30.2mm GO-D23
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月26日 羽化
蛹体重2.3g
♀⑩30.1mm GO-D24
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月31日 羽化
蛹体重2.4g
♀⑪28.4mm GO-D27
2024年1月10日 MT160細オガ@500 2齢
2024年5月16日 羽化
蛹体重2.0g
4.各種検定
4-1.羽化個体を踏まえた前書き
2023年時点の飼育レコードを超える個体が3頭も羽化してきたことを筆頭に、全ての♂が33ミリを超えて羽化(イレギュラーの1個体を除く)してくるなど、これまで飼育してきた系統では考えられないほど大型化しやすい系統である可能性がうかがえました。
過去記事↓
①オパクスサビクワガタ 飼育メモ - きれいで簡単にふえるやつがすき (hatenablog.com)
②オパクスサビクワガタ (ソリアシサビクワガタ) WF3 飼育記 - きれいで簡単にふえるやつがすき (hatenablog.com)
では、本当に大型化する系統と言えるのか??解析してみることにしました。
加えて、エサによる影響についても検証してみます。
4-2.検定の材料
今回、たまたまほぼ同時期に飼育したWF5の系統がいるので、比較対象として用います。過去記事で取り上げていた系統です。今後、WF5をA系統、本記事で取り上げているCBF1をD系統とします。B系統じゃないのか、というツッコミは無視します。
D系統
A系統
なお、A系統はカワラタケでしか飼育していないので、エサの比較はD系統のみで検証します。
検定方法として、比較する集団の母数が異なる点、正規性の検証が面倒くさい点から、マン・ホイットニーのU検定を用います。計算ソフトはエクセル。※筆者の統計学の成績は底辺です。たぶん、より適切な検定方法があると思いますが、お遊びみたいなものなので温かく見守ってください。
4-3.大型化の検証
計算の過程で外れ値として扱うべきと判断した個体は除外しています。
有意水準α=0.01>p=0.005655
D系統はA系統と比較してかな~~~り有意に大型であると言えますね!
有意水準α=0.05>p=0.015861
♀も、♂ほどではないにしろ有意に大型化していると言えそうです。
ちなみに、D系統の方が還元値が悪そうだとなんとなく思っていたのですが
有意水準α=0.05<p=0.666342
全くそんなことはなかったです。
4-4.エサの影響検証
カワラタケとシワタケ、感覚的にはややカワラタケの方が大型化するのかな?と思っていましたが
有意水準α=0.05<p=0.135833
気にするほどの差はないようです。
有意水準α=0.05<p=0.148915
還元値についても同様。パッと見はシワタケの方が良さそうですが、カワラタケの添加の有無で結果が変わりそうな予感がします。
有意水準α=0.05>p=0.028460
♀はシワタケ飼育した個体の方が有意に大型と言えるようです。面白いですね。
5.所感
虫は!!! 血ゲー!!!
…と感じてしまう結果。可視化できる差がしっかり出てきたことに驚きです。
今回も飼育レコードを獲得できたことはこの「当たりの血」を引けたことが大きいと思いますが、累代方法の確立や有効なエサの検証などこれまで別の系統でやってきた飼育経験も決して無駄にはなっていないのかなと思います。カンタケは不適。オオヒラタケはちゃんと羽化するけどコレジャナイ感。マットは死ぬからやめとけ。
真の野外レコードは40ミリに達するそうなので、元も子もないですが38ミリ程度で偉そうなことは言えません。今回のレコード登録もあくまで通過点。40up目指して飼育を続けていきます。実は僅差だけど裏レコも超えてないよ。
以下、今後の方針メモ。
①エサは基本カワラかシワタケに絞り、親♀の食べたエサに依らず飼育する。シワタケでデカい♀を作りその子をカワラで飼育すればデカい♂ででくるんじゃないの?という安直な思考と、エサ慣れ検証の両立。保険のかけ方的に二兎追うものはなんとやら、というオチにはならないはず。余裕があれば材飼育も試す。
②温度は高かろうが低かろうがさっさと羽化してくるので、菌糸が安定しやすい冬に幼虫をやらせたい。
③飼育系統を絞るため野外品ガチャはいったん終了。でもデカい♂は買う。
④親にする予定の個体を乾燥死させない。