あべのハルカス美術館|あべのハルカス美術館開館10周年記念 広重 -摺の極- (original) (raw)

あべのハルカス美術館はわりといつもそんなに混雑する出し物をしていないので、平日ならそんなに混んでいないものと思って行ったらまあ混んでた。ここ5年ぐらいに行った美術展のなかでいちばん混んでた。そもそもハルカス自体が混んでる。エレベータがすし詰め。外国人旅行客が多い。

入場・即・係員が「だまって見ろ(意訳)」という注意書きを持って立って来場者を見つめている。みんなそういうの見てない。係員が座るパイプ椅子には「順路気にせず好きなとこから見ろ(意訳)」という注意書きが立ててある。みんなもちろんそんなんも見てない。列を作る必要もないのにゆっくり並んでいちいち順番に見ている。
とりあえずいったんすべての展示をスルーして最後の展示室まで行って総量を確認し、ひと部屋ずつ遡ってあいたところから見た。これはあんまりよくなかった。編年なので、最後のほうがいちばんうまい。やっぱりいっぺんは前から順に見たほうがよかった。多分混雑を避けるためには夜に見に来るのがよいと思う、ハルカス美術館は平日は20時まで開館しているので。ゴッホとか、フェルメールとかは混むのはわかるけど、広重もそんなに混むとは思わなかった。大規模展だからかもしれない。あと夏だし、美術館は涼しいし。

前期・後期でかなり大幅に出展品が入れ替わる。前期のうちには行けず、後期展示を見た。広重といえばで一番有名な「大はしあたけの夕立」は舟二艘のあるやつないやつを並べて展示してあったが、これは後期展示のみ。とにかく量が多い。ひと通り見るのに2時間かかった。2時間かけて最初の部屋まで戻って、そこからもういっぺん気になるところを見ていくと3時間だ。
花鳥画の「海棠に鸚鵡」「鮎」、「江戸高名会亭尽 両国 青柳」などがよかった。一時期だけ作っていたという美人画はなんとなくすこやかで押し出しの強いどっしりと構えた感じの、なんというか巨人の岡本や阪神の大山みたいなスラッガー顔の女性が多かった。あと着物の柄のセンスがあんまりない。渋い。もうちょっとかわいいのを着せておやりよという感じである。
個人蔵の出展品が多く、そういえば四代目市川猿之助の浮世絵コレクションはどうなっているんだろうなと思った。役者絵が多いと聞くから広重のものはあんまりないかもしれない。あんな流れで家に火をつけたりしなかったのはコレクションを毀損したくないからじゃないかと思ったが、いまでもコレクションとして保たれているのだろうか。

作品いっこずつについての感想はない。なんしか「絵が異様にうまい」「彫りが異様に細かい」「版下絵を描く人もすごいが彫師がたいがいすごい」「摺りがずれてるとむしろなんとなく安心する」ぐらいのものである。

一部写真撮影可能なものもあった。


(金沢八景・野島夕照(部分)。こういうふうに寄りで見ると、確かに版画だなあ、と思う)


(木曽海道六拾九次之内 鳥居本(部分)。三角座りがキュート)


(木曽海道六拾九次之内 長久保(部分)。犬)

どれも相当寄りで撮ったものである。実際のサイズ感で見るとちょっといやになるぐらい細かい。

前売り券を買いそびれたので当日券を買ったのだが、見終わってからハルカス内のレストランフロアで昼食をとったところ、レジのところに前売り券相当額まで引いてくれる割引券が置いてあった。今から行く人はまずハルカス内でごはんを食べて割引券をせしめて行くとよいと思う。

あべのハルカス美術館開館10周年記念 広重 -摺の極-
https://www.aham.jp/exhibition/future/hiroshige/
2024年7月6日~9月1日 あべのハルカス美術館
主催:あべのハルカス美術館、NHK大阪放送局、NHKエンタープライズ近畿、朝日新聞社
協賛:竹中工務店、NISSHA
特別協力:ジョルジュ・レスコヴィッチ財団
観覧料:一般1900円