ぱらりーそーしー日記 (original) (raw)

もうだいぶ前のことになりますが、「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」を観に行きました。

映画の公式サイトはこちらです。

doraeiga.com

ストーリーとしては…

学校の音楽会かいに向むけてリコーダーの練習をしているのび太の前に、不思議な女の子が現れます。
少女は故郷の星(宇宙ステーション?)「ファーレ」にのび太達を招きます。ファーレは音楽をエネルギー源にしていて、演奏の名手「ヴィルトゥオーゾ」であるのび太達と一緒に演奏することで、ファーレを蘇らせようとしていたのでした。
順調に回復して行くファーレなのですが、ノイズという宇宙生命体(?)が忍び寄って来ます。ノイズは音楽を吸収してしまいます。少女の母星はかつてノイズに襲われ、エネルギー源がなくなり、惑星には住めなくなってしまったのでした。
そして、ノイズの魔の手は地球に迫ります。はたしてのび太達はこの危機を乗り越えられるのか。

というもの。(引用で書きましたが、コピペしたものではありません)

何かの危機をのび太達が活躍して乗り越えて行く、というのはドラえもん映画の基本的な形ですが、音楽がテーマなのが新しいと思いました。

で、その音楽がいいんです。
のび太はリコーダー、しずかちゃんはパーカッション(打楽器)、スネ夫はヴァイオリン、ジャイアンはチューバ、少女は歌だったと思いますが、それぞれの魅力を引き出す曲が出て来たり、アンサンブルの妙味を感じさせたり。

また、歌う弦楽器、時に訥々と時にコミカルに語るような木管楽器、華やかな金管楽器とオーケストラの魅力を散りばめた曲がたくさん出て来ますし、シンフォニックな響きにも(特に映画館で観てたので)圧倒されます。ホールでオーケストラを聴く時のように音に包まれますし。

クラシック音楽入門にぴったりですし、その他のジャンル(ジャズとかロック)も出て来ますよ。

どの曲もよかったですが、一番感動したのは、演奏が始まる前のオーケストラのチューニングの場面でした。アマチュア・オーケストラで長く演奏していたこともあり、A(ラ)の音が重なって行きくあの「これから素敵なことが始まるぞ」というワクワク感がたまりませんでした。

で、映画を観た後はこのサントラをしばらくヘビーローテーションで聴いていました。「地球交響楽」はどこかのオケが演奏会でやればいいのにな。

「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」 オリジナル・サウンドトラック

映画自体もそろそろレンタルとかストリーミング・サービスに出て来る(あるいは既に出ている)かもしれませんね。ぜひ、ヘッドフォンとかでもいいので、家でできるなるべくいい音響で、ご覧ください。

9月も後半になっても暑いですね。気温は少ーし下がった気はしますが、湿度がなかなか高くて。
さて、8月に読んだ本から何冊かご紹介します。

怪獣保護協会

コロナ禍の最中に職を失ってしまった主人公は、偶然の出会いから知人に誘われ、「大型動物」保護の仕事に就くことになる。が、大型動物はゾウやゴリラなどではなく、並行宇宙の地球にいる「怪獣」だった。

ゴジラのような怪獣が現れるのはあっちの世界とこっちの世界が繋がった時で、主人公が入った怪獣保護協会は怪獣からこっちの地球を守るとともに、人間から怪獣を守ってもいるのだった。後に主人公が巻き込まれることになるように、怪獣を利用しようとする悪い奴らもいるので。(Apple TVの「モナーク」も連想しました。)

tv.apple.com

で、主人公が同僚とともに危機に立ち向かっていくわけですが、シリアスではなく基本的には軽快な話で、ジョークもいっぱいで笑えますよ。同じ作者の「レッド・スーツ」みたいに。

レッドスーツ (ハヤカワ文庫SF)

お次はこちら。

トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー

子どもの頃、病院で知り合い、一緒にゲームで遊んだセイディとサムは、大人になって再会し、一緒にゲームを作ることになる。心の深いところが繋がりつつも時に疎遠になったり、また人間関係が戻ったりしながら、二人の関係は続いて行く。

という私の筋の説明では興味を持てなさそうですが、なかなか胸熱な話です。ゲームをしない人も楽しめると思います。ゲームの話ではなくて、(恋愛ではない)愛の話でもあると思うので。

「明日、また明日、そしてまた明日」だ。無限の生まれ変わり、無限の贖罪の可能性だよ。プレイを続けてさえいればいつか勝てるという希望だ。敗北は一時のものだ。永遠に変わらないものなどこの世にないんだから

レッド 1969~1972(1) (イブニングコミックス)

あさま山荘事件は生まれる前の話なので、この事件についても、それに至る経緯についてもよく知りません。で、この作品を読み始めたわけですが、まずは当時闘争をやっていた人たちの若さに驚きました。20歳そこそこの大学生も多いですからね。そして、それぞれの人物に「逮捕されるまで何日」「死刑確定まで何日」とか書き添えてあ?のが怖いです。

今の状況を考えると若い人はもっと怒るべきだと思いますが、武力闘争はごめんですね。選挙に行きましょう、選挙に。

7月に読んだ本の中から何冊かを。

大奥【通常版】 19 (ヤングアニマルコミックス)

最終巻を読み終わりました。以前にも紹介したことがありますが、すごい作品でしたねえ。

paraly-sorcy-diary.hatenablog.com

徳川幕府の将軍が女で、大奥は男ばかりで…と男女が入れ替わって描かれるのですが、それによって現在の男女平等の問題などが炙り出されます。

といっても堅苦しい話では全くなく、エモーショナルな場面もたくさん出て来ます。
また、時代は江戸時代ですが、これは立派なSFでもありますね。と思っていましたら、第42回(2021年)の日本SF大賞を受賞していました。

未読の方はぜひ!

白亜紀往事

歴史からは消えてしまったけど、かつて恐竜とアリは互いの長所を生かし合って共生を始め、人間の歴史と同じように協力し合うこともあれば宗教に端を発して争うこともありつつも、文明を築き上げていた。

と(特にSFを読まない人には)荒唐無稽な話にも思えるでしょうが、そこは「三体」の劉慈欣なので、娯楽性ばっちりに読ませます。

アリ社会の描写も出て来るSFでは、エイドリアン・チャイコフスキーの「時の子供たち」もおもしろいですよ。

時の子供たち 上 (竹書房文庫)

ムーン・パレス(新潮文庫)

年始に「まだ読んだことのない作家の本を読んでみよう」と目標を立て、本猿さんのブログやお勧めを受けて、このポール・オースターの「ムーン・パレス」を読んでみました。積ん読になっていたのを、ポール・オースターの訃報をきっかけに手に取った、というのもあるでしょう。

まず、アメリカ人作家の本は自分には合うような気がしました。派手な修辞を使ったりしない、どちらかというと簡素な文章だと思うんですが、その簡素であったり平明であったりする文章から立ち上って来るものがよい、というのでしょうか。全然うまく言えませんけど。

アメリカ人作家と大きく括り過ぎてしまいましたが、アメリカ人作家にもいろんなスタイルの文章を書く人がいるでしょう。
また、私は原文を読んでるわけではないので、元の英語の文章が平明だったり簡素だったりするのかわかりません。翻訳家の方が、元の英語の雰囲気をなるべく日本語で再現してくれてるんじゃないかなと思うくらいです。

この「ムーン・パレス」は、いくらかポール・オースターの自伝的要素もあるんでしょうか。
主要な登場人物達がいずれもある意味で一度は死に、そこから生まれ変わるというところは青春小説でもあるように感じました。

自分も大学3回生の時に、失恋をきっかけに、やはりある意味で一度「死んだ」のではないかと思います。それまでの少年時代から連続して来た自分が、そこで一旦完全に否定され、それから解体されて、サナギから蝶が出て来るように新たな自分になって行ったような気がしています。「ムーン・パレス」のM.S.フォッグや若きエフィングのように。

もっとも、私は蝶なんかではなくて、せいぜい蛾というところですが…

自伝的と思ったのは、マーコ(M.S.フォッグ)が散歩の時に、街の様子を細かく描写していたからでもあります。目の見えないエフィングに説明するためではあるのですが、そうやって描写の練習をしているところが、乗代雄介の「」にもあったなと思って。作家になる人って、多かれ少なかれそういうことをするのかな、と。

旅する練習 (講談社文庫)

「まだ読んだことのない作家の本を読んでみよう」をきっかけに、いい作品と出会えたなと思います。まずは読んでみないことには、出会いもできません。

ちなみに、もう一つの目標は「哲学の本を読む」ですが、こちらは全然読み進んでいません…哲学はおもしろいものではあるんですけど、ついSFに手を出してしまったりして、なかなか…

哲学の本は切実に必要としている時に読むものなのかもしれませんね。(言い訳がましい…) 前述の苦しい時には竹田青嗣ニーチェ入門」には随分助けられましたし。

子ども向けの科学雑誌子供の科学」(大人も楽しい)とオンライン教育サービス「キッズウィークエンド」の共同企画で、「身近なところで化石を探そう!観察しよう!」というオンライン・イベントがありました。

cocreco.kodansha.co.jp

子どもにも見せたくて、もありますが、どちらかというと自分の興味から、このイベントに参加しました。
東京に行かずともこういうイベントに参加できるのは、ほんとにありがたいです。

さて、アンモナイトとオウムガイは見た目は似ているけど違う仲間で、アンモナイトはどちらかというとイカやタコに近い仲間だそうです。

また、貝の中は壁で仕切られていますが、その壁が貝の開口部に向かって凹んでいるのがオウムガイで、凸になっているのがアンモナイト(例外あり)とのことでした。

街中での化石探しの話も楽しかったです。
「街中で化石?」ですよね、普通は。でも、建物に使われている大理石などの石材に化石が入っていることが結構あるようです。
それをテーマにした本も出てますね。

街の中で見つかる「すごい石」

今、住んでる場所でも今度探してみようかな。デパートや高級ホテルもないし、大理石を使った建物が思いつきませんが…

このイベントに参加した後、早速、「子供の科学 2024年7月号 化石の見方・探し方」も注文しました。

子供の科学 2024年7月号

この「子供の科学」、100周年記念事業で、任意の年にタイムトラベルして、その年のバックナンバーの誌面の一部を無料で見ることができますよ。

kodomonokagaku.com

普段と同じようなことを書いている前回投稿は、このブログの閲覧数記録を更新しました。いつもはページ・ビューが10もあれば「今回は多かったなあ」と喜んでいるくらいなので、ちょっとびっくりでした。なんでだったのかな。ともあれ、ありがとうございました。

さて…最近、子どもの読解力が落ちている、という話をちょこちょこ耳にします。全国的なデータを見たりはしていないのですが、身近なところでは、学力テストの結果から、先生たちは児童の読解力低下を気にしているようです。

もし本当に読解力が低下しているなら、それは結構深刻なことなんじゃないかなと思います。

例えば…学生の時、家庭教師として教えていた子は、読解力はあまりなかったような気がします。その子は数学は得意で、計算は私より速いくらいでした。また、文章題も、何を聞かれているかを教えてあげると、私より速く解いたりしていました。

でも、「何を聞かれているかを教えてあげると」というところに問題があったんです。その文章題で何を聞かれてるか教えてあげないと、答えられないんです。自分で読んで問題の趣旨を掴んで解く、ということはできていないんです。

何かについて自分で読んで理解しないといけないことは、数学でなくても、世の中にはたくさんあるでしょう。そこで文を読んで理解できないと、大変に困ることになるんじゃないかと。横にいて教えてくれる人がいるとは限らない、というより、いないことの方が多いんですから。

動画での説明を見せると、文章より早くまたちゃんと理解する傾向があるとも聞きました。
「今時の子だねえ」とか呑気に思いながら聞いていたのですが、もしかして今後は動画を見て理解する力も落ちてくるんではないかと、ちょっと心配になって来ました。心配性に過ぎるかもしれませんが。

なぜそう思ったかというと、「飛ばし見」です。

アクションシーンなどはちゃんと見るけど、合間の静かなシーン、例えば登場人物が静かに話しているシーンなどは、10秒送りとかああいうのを使って飛ばし見してます。

そうすると、伏線を見落としたりもします。何でもないシーンに出ていたものが後で出て来て、「あっ、あん時のあれがここで!」と思うのも映画などの楽しみの一つだと思うんですが、そもそも伏線が張られたシーンを見てないと、そういうおもしろさは感じられませんね。

また、登場人物の表情の変化とか、登場人物が注目したものとか、いろいろと飛ばされてしまいそうです。

そんな感じで、文章を読み解く力が落ちる次は、動画を読み解く力までも落ちるんではないかと心配しています。

こんなの杞憂だといいんですけどね。