自分に選択肢があると思うことが大切(選択の科学、第1講、シーナ・アイエンガー著) (original) (raw)

大規模な公務員に対する調査で最上位層にある公務員よりも最下層にある公務員の方が健康リスクが3倍も高い。これは下位層の公務員の方が喫煙や肥満が多いということもあるがそれを考慮してもなお2倍にもなるとされています。

一般に責任が大きいほど心理的ストレスが大きく、下位層で単純作業を行う者はストレスが少ないようにも考えられますが、実際はその正反対ということです。

確かに上位層の役員は責任は大きいし報酬も多いのですが部下や経営について広い裁量権をもっており自分でそれをコントロールしているという感覚があるためストレスは小さく健康リスクも低い。一方下位層の職員は裁量権がほとんどなく常に拘束されているという意識があるため腰や背中に痛みを感じやすく、血圧も高くなり健康リスクが高いとされています。

現在社会で起きるストレス原因として、交通渋滞、顧客からのクレーム、長時間労働などは自らの自由に割り込んでくるものです。

しかし著者が指摘する重要なことは、動物とは異なり人間は認識によって自分に裁量権があり自分で選択しているのだと思うことができるということです。

つまり上位層の役員であっても自分で選択をしているという認識がなければやはり健康リスクは高くストレスを感じやすいし、たとえ下位層で職業上の裁量権は小さくても自分に選択権があるのだと認識している職員であればストレスを感じることは少なく健康リスクも低いということになります。

会社の経営者であれば社員さんに裁量権を与えることも大切ですが、社員さんが自分で決定して仕事を進めているのだという感覚をもってもらうことの方がむしろ大切になるということを覚えておくとよいと思います。

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野健司

水野健司特許法律事務所|技術・知的財産、外国企業との契約書を中心に解決 (patent-law.jp)