【ネタバレ】別れて生きる時も 第二十八章「信頼の絆」その五 (original) (raw)
TBS 1978年2月10日
あらすじ
井波(中野誠也)と結婚して半年、美智(松原智恵子)は初めて知る幸せをかみしめた。 新聞社の嘱託となった夫を助けるため美智も印刷会社で働いた。二人は愛と尊敬、信頼で固く結ばれ、しつこい小野木(伊藤孝雄)のいやがらせにも揺るがなかった。やがて二人の間に女の子が生まれ麻子と名づけた。昭和十六年十二月の開戦以来、男たちは次々と戦場に送られていた。
2024.9.25 BS松竹東急録画。
原作:田宮虎彦(角川文庫)
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井波美智:松原智恵子…字幕黄色
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松本:織本順吉
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吉岡俊子:姫ゆり子
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医師:穂高稔
吉岡純子:神林由香
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戸川美子
看護師:西海真理
ナレーター:渡辺富美子
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井波謙吾:中野誠也
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音楽:土田啓四郎
主題歌:島倉千代子
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脚本:中井多津夫
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監督:八木美津雄
井波が吉岡家へ走る。このドラマ、あまり〇年〇月みたいなのが出てこないけど、井波さんが上着を着てない、緑が青々して見えるから昭和16年の夏? いや、このあらすじを読んだ感じだと、さすがにもう昭和16年は過ぎてる?
井波「すいません、奥さん!」
俊子「はい! どうしたの?」
井波「今、うちへ帰ったら女房がおなかが痛くて動けないって寝込んでるもんですから、医者に来てくれるように頼んだんですけど、奥さんにも」
俊子「ええ、いいわよ。陣痛じゃないかしら」
井波「ええ、美智もそう言ってるんですが、出産予定日までにあと10日以上あるんですよ」
俊子「そりゃ早くなったり遅くなったりするものよ。とにかく行きましょうね」
井波「すいません」
俊子「純子、ちゃんとお留守番しててちょうだいよ。ああ、ああ、いけない、いけない、これ、やっちゃいましょうね」
井波「すいません、急いでお願いします」
俊子「はい! 大丈夫よ、慌てなくたって。すぐ生まれるわけじゃないんですからね。かけて待っててください。すぐ行きます」
井波ととし子で井波家へ。
井波「あっ、先生、どうも。どうでしょうか?」
医師「やっぱり陣痛が始まってますね」
俊子「でしょう?」
井波「で、いつ生まれるんでしょうか?」
医師「まあ、あしただと思っていただいていいでしょう」
井波「あした…予定日より12日早いんですけど大丈夫でしょうか?」
医師「ハハハッ。赤ちゃんは順調に育ってますよ。念のために今夜中に入院したほうがいいでしょう」
井波「はあ」
美智がまた痛がる。
井波「お…おい」
医師「大丈夫です。まだまだ生まれませんよ。それじゃあ、陣痛がおさまったときを見て連れてきてください」
井波「はあ」
医師「じゃ、どうも失礼します」
井波「どうもありがとうございました」
美智「うう…」
井波「おい、大丈夫か?」
美智「うん」
夜、リヤカーに風呂敷に包んだ荷物と美智を乗せた。
井波「美智、痛まないか?」
美智「大丈夫よ。どんどん行ってちょうだい」
井波「よし、じゃ、行くぞ。いいか? つかまってろよ」
美智「はい」
井波がリヤカーを引く。
俊子「はい。じゃ、戸締りして、すぐ行きますから」
岩崎醫院
俊子が美智の着物の帯を締める。「早く休んで」
美智「すいません」
病院といっても和室に布団なのね~。しかし、この時代は産婆さんじゃないの?とチラホラ旧ツイッターで見かけた。確かに~。
井波「どうもすいませんでした」
俊子「いいえ。さあ、これで準備ができたわね。あとは赤ちゃんのお出ましを待つばかり。フフフ」
ノックの音
看護師「井波さん」
俊子「はい!」
看護師「私、下のほうで寝てますから。陣痛が5分置きぐらいになったら呼びに来てください」
井波「よろしくお願いします」
看護師「お大事に」
看護師役の西海真理さんは「おんなは一生懸命」1、2話では芸者衆の一人。
井波「産着、ここへ置いとくからね」
俊子「奥さん、なんにも怖がることなんかないわよ。あっという間に楽になってしまいますからね。じゃ、今日はこれで」
美智「今日はどうもありがとうございました」
廊下
井波「どうもお手数かけました」
俊子「いいえ、どういたしまして。心配しなくても大丈夫よ、お父さん。じゃ」
病室…というか旅館の一室みたいだな。
井波「さてと…男かな? 女かな?」
美智「あなたはどっちがいい?」
井波「どっちでもいいけど、そうだな…女の子かな」
美智「じゃあ、麻子ね。私は、どっちかっていうと男の子がいいわ」
井波「じゃあ、誠一郎か」
美智「フフッ、それより双子がいいわ」
井波「もしかしたら、そうかもしれないよ。だって、君のおなか、こんなに膨れてるからね」
笑い合う2人。
美智「でも、あなたがそばにいてくれるから安心だわ。怖くなんてちっともない。あなた、ありがとう」
井波「バカなこと言うなよ」
美智「私は、こんなに幸せになれるはずじゃなかったの」布団から手を出して井波の手を握る。「あなたのおかげよ。私が母のおなかにできたとき、父は、うちを出たっきり行方知れずになってしまってたの。母が私を産んだときね、行商の帰りで急に陣痛がしたんですって。おまけに雨が降りだして助けを呼ぼうにも人家は、なし。結局、暗いあぜ道で私を産んでしまったの。母は自分の手でへその緒を結んで、はさみで切って…そんな私が…この優しい旦那様がそばについててくれて赤ちゃんが産めるんですもの」井波の手を頬に引き寄せる。
美智の長台詞は結構珍しい。
<陣痛は断続的に続いて朝を迎えた>
看護婦室
井波「すいません」
看護師「はい」
井波「痛みが激しくなってきたんですが、お願いします」
看護師「はい」
病室
看護師「ちょっと診察しますから」
井波「あっ…はっ」廊下へ。
看護師「陣痛がおさまったようね」
美智「ええ」
看護師「分娩室のほうに移りましょうか」
美智「はい」
いつも思うけど、体の調子が悪い時に布団から起き上がって立ち上がるの大変だあ。これがベッドならどんなに楽か。
廊下
井波「どうですか?」
看護師「分娩室のほうに行きますから」美智に付き添って一緒に階段を降りる。なんで階段ある所に病室があるんだよ~。
分娩室前
看護師「あっ、旦那様はこちらで」と止められた。
分娩台に上がった美智。また陣痛で苦しみだす。
こういう井波さん、最近も見たばっかり。
うるさいおばさんつきで中西さんも大変そうだったな~。しかし、リヤカー、和室以外、「たんとんとん」のころと変わりなく見える。ファンタオレンジに大阪寿司は食べませんが。
俊子「井波さん、まだ?」
井波「もう2時間ぐらいになりますよ」
苦しむ美智と廊下で待つしかない井波。
産声が聞こえた。
廊下
井波「先生」
医師「ちょっとばかり難産でしたが、いい赤ちゃんが生まれましたよ。女の子ですよ」
井波「ありがとうございました」
医師「すぐお部屋のほうへお連れしますから。あちらでお待ちください」
井波「はあ」
分娩室へ入ろうとする井波をさりげなく止める医師。
俊子「井波さん、おめでとう」
ホッとした表情の井波。
お宮参りなのか退院のときに寄ったのか分かりませんが、井波、美智、麻子でお参り。
美智「ねえ、あなたは何をお祈りしたの?」
井波「麻子が無事に大きくなって心の優しい女の子になってくれるようにってさ」
美智「私はね、親子3人、いつまでも一緒に暮らせますようにって。私は小さいときから父親の味って知らないでしょう。だからせめて麻子には父親の優しさをうんと味わわせてやりたいの」
軍服を着た男性とその両親らしき人たちとすれ違い、じっと見つめる美智。
井波「僕はね、麻子の顔が見られただけでも幸せだと思ってるんだ。よく召集を今まで免れたと思ってね。だからもういつ召集が来ても覚悟はしているよ」
美智「イヤ…そんなのイヤ、イヤや」←おおっ、久々の京都弁。
井波「これから吉岡さんちへ、お礼に行かなきゃね。麻子のことじゃ、すっかりお世話になったんだから」
勝ち抜け耐へ抜け護り抜け
國民精神總動員本部
こういう看板も道端にあるけど、やっぱり戦時中っぽくないのは、ふと思ったけど「岸壁の母」だと新聞記事のアップとか登場人物が話題にしたりとか、そういうのが全然ないせいだろうね。今が何年かも分かりゃしない。
女性「奥さん! 大変よ。吉岡さんの旦那さんが戦死したって公報が入ったの」←字幕”広報”だったけど、公報ってこっちじゃない?
美智「戦死?」
女性「ええ」
井波と顔を見合わせる美智。
女性「あの…私、ちょっと急ぐから」
美智「どうも」
何をそんなに急ぐんだか走り去っていく女性。
戸川美子さんは木下恵介アワーの常連。「あしたからの恋」25話では菊久月で和枝と直也の店先でのイチャイチャを見せられた客。「たんとんとん」4話では磯田の金物屋に来た客。「思い橋」12話の団体客のひとり。「幸福相談」では夏目の占いの客…お客様率が高い。
「わが子は他人」では噂好きっぽい近所の主婦。
井波「じゃあ、僕行ってくるよ。君は一旦、うちへ帰って出直してきたほうがいい」
美智「ええ」
吉岡家
弔問客の中に松本社長もいた。
井波「奥さん、この度は…ほんとにどうも…」
うつむくと俊子の青いアイシャドウが目立つんだよね。美智の友達の陽子ちゃんもだったけど、なぜこのドラマの女性陣は青いアイシャドウをしてるんだ!?
井波家
麻子をあやす美智。「早くねんねしなさい、うん? フフッフフッ」
井波「松本さん、みえたよ」
美智「はい!」
井波「さあ、どうぞ」
松本「はあ」
美智「いらっしゃいませ」
松本「あっ、こんばんは。ちょっと麻子ちゃんの顔が見たくなってね」
美智「どうぞ」
松本「お邪魔しますよ」
美智「はい。さあ」
松本「あ~、かわいいね。ハハハッ。トゥルルル…ハハッ。こりゃ、お母さんに似て大きくなったら美人になるね」
井波「ハハッ。そうですかね」
松本「いや、吉岡ってヤツはね、大酒飲みだったが、気のいい職員で、うちの工場では一番腕が立って、みんなから頼りにされていたんだ。しかし、なんだね、戦争というやつは、いい人間を次から次へと殺してしまうね。ハァ…」
井波「どうぞ」←座布団を勧めたのかな?
松本「あっ、どうも」
井波「あっ、美智。いいよ、お茶は僕が入れる。すぐ着替えて吉岡さんとこ行ってこいよ」
美智「ちょっと失礼します」
松本「あっ、どうぞ」
奥へ行ってふすまを半分閉めた美智。
松本「とにかくね、戦争なんか早く終わってくれればいい。おかげでうちの工場もね、今月いっぱいで閉めることになったんだ」
青スーツに着替えた美智が吉岡家へ。「失礼します」
親族か近所の人が数人と純子がいた。「お母ちゃん、2階」
美智「2階? どうしたの?」
純子「寝てるの。具合が悪いんだって」
美智「そう。純子ちゃん」廊下に連れ出す。「純子ちゃん、お父ちゃんがこんなことになってしまって悲しいでしょうけど、純子ちゃんには、とってもいいお母ちゃんがいるんですもの。我慢しなさいね」
うなずく純子。
美智「おばちゃん、ちょっとお母ちゃん見てくるわ」2階へ。
布団の上に正座していた俊子。
美智「奥さん、なんて言ったらいいのか申し上げる言葉がないんですけど、私にできることがあるんでしたら、どんなことでもお力になりたいと思います。奥さん、純子ちゃんのためにも元気を出してくださいね」
俊子「冗談じゃないわよ。あの人を返して。返して!」
美智の目がみるみる潤む。
俊子「なんのために苦労して待ってたと思うのよ。死ぬのを待ってたんじゃないわよ。そうでしょ?」
美智「ええ」
俊子「あんたなんかに分かんないわよ。お国のためだ、名誉の戦死だって寄ってたかって体裁のいいことを言って、もう、みんな帰ってしまえばいいのよ」
美智はそのまま階段を降りた。
井波家
勉強してる井波。「おかえり。美智だろ?」
美智「はい」
井波「麻子、よく寝てるよ」
玄関からなかなか上がってこない美智。
井波「どうしたんだい? 美智」
美智「あなたが戦争に行って死んでしまったら、私も死んでしまうわ」
井波「バカ。くだらんこと言うんじゃない。母親になったんじゃないか」
井波に抱きつく美智。
井波「さあ、上がれよ」
美智「イヤ。このままじっとしてて」(つづく)
俊子と美智の相性が微妙に悪いような?
しかし、次の再放送作を知って、なんだかガックリ来ちゃったなあ。第一希望は木下恵介アワーまたは劇場だったけど、愛の劇場も面白そうな作品が多かったから、もうちょっと見たかったというのもある。2008年なんて私にとっては最近過ぎる。自分でDVDレコーダーを買ってバンバン興味のあるドラマを録画してた時期だからねえ。
昨日、たまたまテレビつけたときにやってた水戸黄門の再放送のゲストに中野誠也さん発見! 「水戸黄門」第20部45話の最後の最後のほうをチラ見。放送は1991年。それにしてもいつ見ても木下恵介アワーに出てた頃のあおい輝彦さんと「水戸黄門」に出てたあおい輝彦さんのイメージが重ならないんだよな。