高峰秀子 part.4 (original) (raw)
男世界に関わる黒澤明が、三船敏郎という好素材を得て「泣ける天使」という傑作を創ったのと、女性映画の殿堂と言われた松竹育ちの木下恵介が、水戸光子主演で「女」 」という傑作を創ったのは、偶然にも同じ昭和二十三年である。
私は『雁』に出演したことで数々の女優演技賞をいただいた。けれど、東野(英治郎)さんは助演男優賞はおろか、映画批評にもほとんど取りあげられなかった。あれほどの名演技を見すごし、一言の賛辞も発しなかった日本の批評家の眼に、私は心底失望した。
『浮雲』の「富岡」は、いつも受け身じゃらしがなくて、そのくせちょっとインテリで、女好きするヌエのような男である。 富岡が森(雅之)さんなのか、森さんが富岡なのか、わからなくなるほどの名演技であった。
成瀬巳喜男 / 透きとおるメロドラマの波光よ(映畫読本)◆市井の哀歓を淡々と描いた名匠・成瀬巳喜男の全仕事。遺文、未映画化シナリオ、中北千枝子インタビュー、対談:成瀬巳喜男×高峰秀子、成瀬組スタッフ・キャスト名鑑ほか。
今後会うことがなく、と決まっている、行きずりの人間の好意や優しいほど清らかで美しいものは、当面にない、と私は思っている。
「美はしき出発」では原節子さんと初めて一緒に行きました。無口な、すてきに美しかった原さんに口をきくの胸がドキドキしました。
【グッドバイ(1949)】新東宝が私のために一本書いてくれって、太宰(治)さんに頼んだ作品です。それで鎌倉の料亭で顔つなぎしたんだけど、太宰さんはきったなくてね、<中略>なんか野良犬が照れちゃったみたいな人だった。
物心ついてから、映画館で見た「戸田家の兄妹」「父ありき」など小津作品から受けた印象は「俳優の一人一人が丹精された庭木」のようであり、画面が「能」「舞台見たような気品」に耐えていたことだった。
『ぶらりぶらぶら物語』(1962年)◆小林桂樹、高峰秀子、松山善三『名もなく貧しく美しく』のトリオが、北九州から東京まで3,000kmの縦断ロケで描いた型破りの新型喜劇。 監督・脚本:松山善三 出演:小林桂樹、高峰秀子、団令子、三木のり平 ほか
いろいろな人に化けられて、いろいろな人生を生きられるから俳優ってのは魅力があるんですってね、そういうことを皆さんおっしゃる。でもこっちはめんどくさい。この間一本終わったのに、今度看護婦になるのてなもんで、めんどくさいわけですよ。