水木しげるの不思議旅行 - 本の日記もくもくれん:楽天ブログ (original) (raw)

読んでしまうのがもったいないと思う本が時々あるが、この本もその中の一冊。

水木しげるの不思議旅行 [ 水木しげる ]

水木先生はとてもおしゃべり上手なように思う。
子供の頃から水木先生がテレビでしゃべっていると、ついつい聞き入ってしまう。
「しゃべっているのがとても楽しいじいさん」(申し訳ありません)という印象だった。

自分が子供の頃から、大人になっていくまで、ずーと「じいさん」だった水木先生の楽しいお話を、何度聞いたことだろう。必ず何か冗談を言って、面白がらせてくれる。

この本はそのままそれが活字になったという感じだ。

妖怪の話が多かったはずなのに、(インタビューする方がそういう話を期待して振るのだから当たり前なのだけど)、
意外と妖怪の話はあんまり覚えていない。戦時中のいったんもめんの話くらいだろうか。


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正直、子供の頃は水木しげるという人の描いた漫画は読んだことがなかった。
ゲゲゲの鬼太郎も読んだことはなかったし、アニメでもさほど好きな部類ではなかった。
なんせ、「りぼん」「なかよし」等少女漫画の嵐が吹き荒れていた世代である。
水木漫画は美しくなかった。妖怪は当然のことながら、出てくる人間たちも美男美女が誰ひとりいなかった。


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ただ、見入ってしまうのだ。決して美しくないゲゲゲの世界と、水木漫画ではないけど、「妖怪人間ベム」は。
話じたいが面白くどんどん引きずりこまれていってしまう。


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基本この本で話されているのは、やはり死後の世界や妖怪化け物のたぐい。
子供の頃に体験した、近所の祟られている家、墓石に小便をひっかけた話。
人間ばなれした妖怪みたいな知り合いの人たちの話。
物にまつわる怪奇譚。

しかし何よりすごいのは、やはり戦時中での話だろう。不思議な体験含め、その実態、経験じたいが、常軌を逸している。南方の戦場と化け物の存在が、たいした違和感を感じることなく混在している。
それがものすごく怖い。戦争も化け物も、薄い障子の一つ向こうで私たちのすぐ側で存在しているものだということが実感できてしまう。

水木漫画の絵が、実はとても可愛くて表情豊かなのに気付いたのは、大人になってから。


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妖怪だけでなく、いろんな世界を描いていらっしゃる。


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水木先生は好奇心旺盛な人だ。いろんなことに興味を持って、それらをとても面白がっている。
妖怪も死の世界感もその中の一つだと思う。

「しゃべりが楽しいじいさん」の話を、テレビで最後に聞いたのは、亡くなる一、二年前のことだったと思う。九十を超えてなお、冗談は飛び出していた。ユーモアがわからなくなる年寄にはなりたくないもんだと常々思っているけれど、水木先生がすごいのは、的がズレていないこと。楽しみつつ独りよがりにならず、空気を読むことができること。

「描き始めは自分が描いているけれど、途中からは妖怪が描いているんだよ」
なるほど、わかります。
たぶん妖怪たちは、水木しげるという一人の男がなぜか気に入って、
「こいつ面白いやつにしよう」
と、とりついたんでしょう。

いっそ、妖怪みたいにもっと長生きしてほしかったな。

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