【ラブライブ!サンシャイン!!】「輝き」って、結局何だったの?【#高海千歌誕生祭2024】 (original) (raw)

1.Aqoursのリーダーとして追い求めた「輝き」

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本日8月1日に誕生日を迎えた高海千歌ちゃんは、言わずと知れたAqoursのリーダーです。偶然出会ったμ'sに影響されて、幼馴染や転校生、新入生に上級生までも巻き込み、総勢9人のグループを引っ張って、ラブライブの決勝の舞台を目指します。ラブライブにおける活躍を通して廃校の危機に瀕した浦の星女学院知名度と魅力を向上させるという目標も掲げつつも、その夢は結局叶いませんでしたが、ラブライブへのエントリー2回目にして見事優勝を果たし、ラブライブ優勝校として浦の星女学院の名前を残すことに成功しました。

他のメンバーの活躍にも注目すべきではあると思いますが、千歌ちゃんこそAqoursにおいて他の誰よりも大きい存在であるといえるところは大きいと言えるでしょう。テレビアニメ2期6話において、東海地区予選でバク転を見事に成功させたことにより、予選をトップで通過して、Aqoursへの注目度を一気に上げたという描写は、その際たる例と言えるものでしょう。結局廃校は免れませんでしたが、学校説明会への参加希望者数を、存続のラインギリギリまで持って行ったというのは、彼女の活躍あってこそのもののはずです。そしてそもそも、浦の星女学院スクールアイドル部/Aqoursを立ち上げたということが、彼女の一番の功績であるのかもしれません。

スクールアイドルを始める前、自らを「普通怪獣」と称するように、彼女自身を「大した取り柄のない存在」として認識していたようです。何かを始めて見てもあまりパッとせず、といったことが続いていたという描写もアニメにはありました。それこそ、水泳が得意な幼馴染と比較していたからこその認識だったのかもしれません。そんな彼女がやっと出会えたものが「スクールアイドル」というものであって、それ故に全力でぶつかって行こうとしたのでしょうか。「スクールアイドルに全力で取り組むこと」ということこそ、千歌ちゃんが「Aqoursのリーダーとして追い求めた『輝き』」であると考えます。

2.作詞担当として綴った「輝き」

高海千歌ちゃんといえば、Aqoursの作詞担当という側面も持ち合わせています。「見たらみかんの刑」と書かれた歌詞ノートが出てきたり、作曲担当に歌詞の納期の督促を受けたりと、歌詞担当としても奮闘しているようです。担当として数々の名曲を世に送り出しており、こちらでもおそらく本人が自覚していなかったであろう才能を発揮しています。

特にアニメの挿入歌で頻繁に登場するキーワードが「輝き」です。「ラブライブ!サンシャイン!!」のアニメを通して、「輝き」は1つのキーワードとなっています。「輝き」とは、「あこがれの象徴」だったり、「心の中にあるもの」だったり、ある時は「全力でつかみ取ろうとする目標」であったり、またある時は「目標に向かって走り続けていた日々」であったりするなど、描かれ方は様々です。「スクールアイドルは輝きそのものの存在」であると言わんばかりの様子であり、スクールアイドル自体が作詞担当である千歌ちゃんにとっての「輝き」そのものだったのかもしれません。

例えば、劇場版の挿入歌に「Brightest Melody」という曲があります。こちらの曲は、劇場版における「ラブライブ勝戦の延長戦」として披露された曲ではありますが、作中における台詞などから察するに、「本来ならラブライブ決勝本番で歌われるはずだった曲」であったと推察されます。すなわち、「スクールアイドルの頂点の舞台」であるラブライブ決勝を「輝きの頂点」として位置付け、この曲で「輝き」を見つけにいこうとしていたのかもしれません。「輝きたい」という一心が、リーダーだけではなく、歌詞担当としても、彼女を突き動かしていたのでしょう。

3.そもそも「輝き」ってなんだろう?

とはいえ、彼女が追い求めた「輝き」とは果たして何だったのか、今アニメを一通り見返したとしても、私の感性で理解できるような自信は全くありません。千歌ちゃんが始めたAqoursは、ラブライブで優勝するという目標こそ果たしたものの、浦の星女学院は結果として廃校となり、目標としていたμ’sのような、「スクールアイドルで学校を守る」という目的は、果たすことができませんでした。物語はテレビアニメと劇場版ともにハッピーエンドにはなっていますが、果たしてこれで「輝き」を本当につかみ取れたのか、今なお疑問に思い続けています。

テレビアニメ2期最終話の挿入歌「WONDERFUL STORIES」が答えであるというのは、1つの有力な見方かもしれません。元々持っていたものに気が付かなかった、その存在にあることがきっかけで気が付くことができたということで、そのきっかけこそがスクールアイドルだったという解釈ができるかもしれません。しかしながら、「輝き」とは具体的に何なのかということについては、あまりはっきりしません。

4.高海千歌なりの「輝き」の答えとは?

私なりの仮説ですが、もしかしたら千歌ちゃん本人が、実は「輝き」とは本当は何なのか、まだわからずにいるのではないかと考えます。ラブライブ優勝を果たした後も、新しい学校でまたスクールアイドルを続けようと決める描写が劇場版でもあるように、大きな目標に辿り着いてもなお、本当は「輝き」を見つけ切れていないのかもしれません。2022年にリリースされたソロ曲「ナミオトリフレイン」からも、そうした心情が読み取れるように感じます。

千歌ちゃんなりの輝きとは、「何かを成し遂げてつかみ取るもの」ではなく、「何かに向かって走り続けている時間」そのものなのかもしれません。おそらくその時は、それ自体が追い求めてきた「輝き」だとは夢にも思わず、いつか振り返った時に初めてわかるものなんだろうと考えます。9周年を目前にしてリリースされた「SAKURA-saku KOKORO-saku」は、そんな時間が「思い出」に変わる瞬間についても歌っている曲ですが、9年間走り続けてきたからこそ、こうした曲も歌えるようになってきたと感じられます。決して永遠の存在ではない「桜の花」を通して、「いつか思い出になること」を意識する一方で、それは「消えない夢」でもあるとも歌っているのも、実にAqoursらしいところであり、作詞担当としての高海千歌の想いが詰まっていると感じています。

物怖じせず、常にポジティブに猪突猛進していく千歌ちゃんの姿こそ、もしかしたら彼女が追い求めていた「輝き」そのものなのかもしれないということを、今の私なりの1つの解としたいです。そのひと時に見せる「太陽みたい輝く笑顔」が、我々に対する「輝き」の形なのだと考えます。そして今日もまた、沼津のどこかで、「輝きって何だろう?」と、もしかしたら自問自答しているのかもしれません。