北海道 上野ファーム (original) (raw)

北海道のガーデン巡りをしてきました。

前回、富良野の「風のガーデン」のバラを取り上げましたが、「風のガーデン」をデザインされた、上野砂由紀さんの庭「上野ファーム」を訪れました。

こちらにもバラが植っているのですが、撮ってきた写真を見返したら、迂闊にもバラが全然撮れていませんでした。

一応バラ中心のブログなので、この時期に上野ファームで咲いているバラには、どんなものがあるのかだけ最初に紹介します。

今咲いている花の一覧がカフェの壁に貼り出されていました。
一番左端の2列がバラです。

上野ファームには、以前、一度行ったことがありましたが、早春だったので、だいぶ雰囲気が違いました。

「ノームの庭」は様々な種類の植物が植えられていて、見通しがきかないくらいに丈高く茂っているところも。
小道を歩いていくと植物に包み込まれるようで、うっとり。没入感があります。

どこもかしこも目を引く花たちでいっぱいです。

ミラーボーダー

射的山への道には萩が咲き溢れていました。
射的山というのは、屯田兵が射的訓練場として使った場所で、頂上には「虹色の椅子」や「空のブランコ」が置かれています。

山道の途中に「森の扉」

この時期は北海道のあちこちの庭でダリアが美しく咲いていました。

どこを撮っても絵になる庭です。

こちらは、春・夏・秋と次々と咲く花が入れ替わっていくようになっていて、この秋の花でいっぱいの場所の下には、球根がたくさん眠っているのです。

近年は温暖化の影響で、花の開花期が少し変わってきているそうですが、雪解け直後から丈は低いけれど、春のエネルギーに満ちたスイセンやエゾエンゴサクなどが咲き乱れ、ゴールデンウィークには150種類くらいあるチューリップが咲き出します。

チューリップは、植え方が工夫されていて、一週間ごとに色味が変化していくように植え込んであるところも。
1週目は早咲きの白、2週目に紫、3週目は黒と色が加わり雰囲気が変わっていく。
北国の花もちの良さが可能にする景観なのだそう。

チューリップが咲き終わり、6月に入るとゲラニウムやシャクヤク、シレネ、ルピナスなどが咲きます。
5月末から6月1週目のいっとき、大小高低様々なフォルムの30品種くらいあるアリウムが宿根草に混じって咲くそうです。
宿根草の中に球根の花を混ぜると雰囲気が変わるのだそう。

6月の2週目になると宿根草の丈がメキメキと伸び2メートルを超えてくるものも。
6月中旬〜下旬はバラのトップシーズン。

7月上旬にはクランベや白っぽい葉にマゼンタ色の花が咲くリクニス、エゾグガイソウなど。
7月中旬にはアンジェリカ・ダブリカが2〜3.5メートルにも育ち、バーバスカムやヒメヒマワリ、モナルダなど、夏らしい黄色と赤のビビットな花が咲いて、ピンポイントで入れたユリが加わった7月下旬から8月上旬にかけては、主張が強い花々で庭がギラギラした感じになるそうです。

色々な種類のエキナセア、上野さんがお好きだというホリホック(立葵)も。
上野さんは、立葵はどこか懐かしく思う花とおっしゃっていましたが、私も立葵にはそういうイメージがあります。子供の頃、踏切脇なんかによく咲いているのを見かけました。
東京では、立葵の花が上まで咲くと梅雨明け、北海道では、秋になると言われています。
まぁ、この頃は異常気象で思いがけない咲き方をすることもあるようですが。

8月は北海道といえども旭川は38度になることもあるそうで、暑いのだとか。
アガパンサスや宿根アリウム、ルドベキア、北海道では盆花と呼ばれるフロックス、ヘメロカリス、タデ科のペルシカリア・・・夏の花々、華やかでしょうね。

9月になると昼夜の寒暖差が強まり、花色も鮮やかになってきて、アスターやシュウメイギク、アクタエア(サラシナショウマ)などが咲き、紅葉も始まってきて、秋色と夏色のコンビネーション。

10月はクジャクアスター、ソリダコ、ダリア、ユーパトリウムなどが咲き、オーナメンタルグラスの穂が出て、シードヘッドの目立つものも。
ドライフラワーと生花が入り混じったような、錆びた感じ、エイジング、アンティークといった言葉で表されるような趣きが出てきます。
庭はボリュームのある草花でダイナミックな様相になりますが、枯れ色も混じり、渋みが加わって、秋の澄み切った大気の中、静けさが感じられるようになってきます。

園内に雪虫が飛ぶようになると初雪もまじか。10月中旬には園が閉まります。
園を閉めた翌日に初雪という年もあったそうです。

12月には根雪が降り、1月ともなると、このあたりは、-27.8度にもなるそうで、明治35年には-41度を記録したこともあるのだとか。

このように、途切れることなく季節の花々が咲き乱れる上野ファームは、夢のような庭。
球根は植えたまま、宿根草も植え替えせずに自動的に入れ替わってい咲くようになっているというのですが、どうしたらそんなふうにできるのだろう?と不思議です。

植栽は、それぞれの花の開花期(1週間〜10日程度)を鑑み、1週間単位で毎月どのように風景を変えられるか計算しながら、デザインするのだとか。

長い知見の上に成り立つ庭なのでしょうが、まるでマジックを見るようです。

雪虫が飛んでいました。
今年は10月14日で閉園になったようです。
初雪が降るのも、もう間も無くでしょうか?