好きなもの目録 その170 川島雄三とフランキー堺 (original) (raw)

喜劇というと、
吉本新喜劇とかコント55号やドリフのコントや映画を思い浮かべたりして、
今現在に観ると、それほど笑えないんすが、
当時は大爆笑だったのかな?
川島雄三監督の喜劇映画も、テンポが良く、役者が個性豊かで演技が軽妙なんすが、
爆笑って感じはなく、洒落た知的な笑いって感じかな。
私が観たことある川島雄三の喜劇映画の印象は、
物語(映画)が始まってから八分目くらいまでは、
絶え間なく速いテンポで矢継ぎ早に物事が進むのに、
最後あたりになると息切れするのか、とたんにテンポが悪くなって、
明確なオチがないままグダグダで終わるイメージっす。
でも、観て損はないのでメモ。
(『幕末太陽伝』『喜劇 とんかつ一代』など、昔に観たのでうろ覚えだし、
この頃は、観た映画の内容をすぐ忘れちゃうので適当なメモっす)

標題:川島雄三フランキー堺の喜劇

分類:映画>邦画>時代劇 / コメディ

■題名:幕末太陽傳

監督:川島 雄三

音楽:黛 敏郎

出演:
フランキー 堺
左 幸子
南田 洋子
石原 裕次郎
芦川 いづみ
市村 俊幸
金子 信雄
山岡 久乃
梅野 泰靖
岡田 真澄
菅井 きん
小沢 昭一
西村 晃
殿山 泰司
二谷 英明
小林 旭

発表年:1957年

製作国:日本

評価:A ★★★★★

■雑記・その他:
初めて観たときには、まぁ面白いけど、
日本映画のトップ10に入る名作ってほどか?と疑問だったんですけど、
川島監督作品を何本も観た後だと、その良さ、素晴らしさが
よりわかった感じがするかな。
そのテンポの良さ、オールスターキャスト、落語を下敷きにした話の面白さ
(『居残り佐平次』『品川心中』『三枚起請』『お見立て』などから着想してるみたい)
などで、やっぱ川島雄三の代表作、日本映画の代表作になるのかな。
それぞれの人物と物語が、破綻なく密に絡み合っていて、
群像劇としても最高の出来じゃないかな。
ラストシーンで、幕末から現代(映画撮影当時の)になるって
アイディアだったらしいです。
その虚構と現実が入り乱れる演出が、
田園に死す - 寺山 修司』のラストにも影響を与えているとか。
(『田園に死す』のラストシーン観て驚愕したんですが、
川島雄三の影響があったとは)
なんでも調子良く切り抜けてしまう、居残り佐平次フランキー堺)が、
唯一敵わない相手・杢兵衛大盡(市村俊幸)とコンビを組んで
続編でも作ってくれれば良かったのに。『世紀末太陽傳』とか。
石森章太郎の『太陽伝』って、何十年前かに読んだんですけど、
幕末太陽傳』と関係あるのかなぁ。
確か幕末の話だったような。
また段ボール箱にしまってある単行本を取り出す機会があったら
読み直してみるかなぁ。

んで、福田雄一監督の
『HK 変態仮面
明烏
を視聴したんすが、映画『明烏』も
落語の『明烏』『品川心中』などから着想してるみたいっす。
笑いの質が全然違うけど……。
料金未払いで事務所で説教される明子(吉岡里帆)が『居残り佐平次』で、
ホストのアオイ(城田優)が
常連客から逃げるために死んだことにするのが『お見立て』からかな。
映画『明烏』は、『大洗にも星はふるなり』系かな。
舞台を海の家からホストクラブに代えた密室劇。
いつもの福田雄一監督のお約束の寒いギャグなんで、
ムロツヨシ佐藤二朗の演技(キャラ)が好きじゃないと観るのが辛いかも。
(私はムロツヨシ佐藤二朗安田顕が好きなので観れるけど)
『HK 変態仮面』は、前に途中まで観たんすが、
状況を台詞で全て説明してしまうような演出が嫌で最後まで観なかったんですが、
他の映画やドラマでムロツヨシ佐藤二朗安田顕が好きになって、
鈴木亮平も『TOKYO TRIBE』のメラ役とか凄いと思ってから
『HK 変態仮面』を観直したので、今度は最後まで観れました。
鈴木亮平安田顕は全てを曝け出し体を張りすぎ!

分類:映画>邦画>コメディ

■題名:グラマ島の誘惑

監督:川島 雄三

音楽:黛 敏郎

出演:
森繁 久彌
フランキー 堺
桂 小金治
浪花 千栄子
轟 夕起子
桜 京美
左京 路子
春川 ますみ
宮城 まり子
淡路 恵子
岸田 今日子
八千草 薫
三橋 達也
加藤 武

発表年:1959年

製作国:日本

評価:B ★未確定

■内容・雑記:
太平洋戦争中に、
孤島(グラマ島)に取り残された皇族の軍人と慰安婦達などのキャスト・アウェイ
『ロビンソン漂流記』みたいな島での生活のことを、
戦後に『グラマ島の悲劇』って本にして発売したらベストセラーになるとこから物語が始まる、

アナタハン島の女王」
昭和十九年六月、グアム島で米軍の空襲を受けて沈んだ
日本の徴用船の乗組員三十一人が泳ぎついたアナタハン島で、
一人の日本人女性を取り合いから、殺し合いにまで発展したというもので、
本能をむき出しにしたすさまじい葛藤劇である。
主人公の比嘉和子さんは、結婚相手に付いて任地であるこの島に住んでいた
二十三歳の若妻で、夫が行方不明になった後、上司である男と同棲中に、
漂流者達がやってきて、七年に及ぶ地獄に引き込まれる。
島に墜落したB29の残骸から出てきた二挺の拳銃で、
和子さんをめぐって七人の男が次々と殺された
(もっとも戦後来日した和子さんの話だと、
「私のために殺されたのは二人だけ、私が結婚したのは四人、
相手がピストルを持っていたから仕方なかった」
というように死者の数が違うが)。
生き残った二十人は争いの元である和子さんを殺すことに決めたが、
和子さんは逃げ、昭和二十五年六月、米海軍のカッターに救われ、沖縄に戻った。
二十六年一月、この事件が報じられ、日本中が“アナタハン島”に沸き、
横浜で記者会見を開いて以来引っ張り凧で、
銀座の劇場でこの事件を劇化した芝居に出演し、映画化までされたが、
当人はやがてストリッパーになって姿を消した。
『畳の下の古新聞 - 諸井 薫』より

アナタハン島の、女一人に男多数っていう逆ハーレム状態の事件から着想して、
『グラマ島の誘惑』は男と女を入れ替えて、
戦前の封建主義的な男尊女卑を揶揄するために、
男四人に女多数っていう設定にしたんだと思う。
(『グラマ島の誘惑』にもアナタハン島と同じく、
B29の残骸と拳銃が出てくるし)
舛田利雄監督の『零戦黒雲一家』も、
男しかいない島に慰安婦が一人流れ着くっていうアナタハン島みたいな設定だったなぁ。
あと、篠崎誠監督の『東京島』とかもアナタハン島の女王設定。

沖縄出身で純真な(頭の弱い)名護あい(宮城まり子)が、
皇族の軍人・香椎宮為久(森繁久彌)に従順で、為久のために犠牲になって死んだり、
(太平洋戦争での、日本本土と沖縄の関係の暗喩?)
戦後にグラマ島で核実験が行われたりと社会風刺的な映画。

■題名:貸間あり

監督:川島 雄三

音楽:真鍋 理一郎

出演:
フランキー 堺
淡島 千景
桂 小金治
浪花 千栄子
乙羽 信子
渡辺 篤
藤木 悠
益田 喜頓
山茶花
清川 虹子
市原 悦子
加藤 春哉
小沢 昭一
沢村 いき雄
加藤 武

発表年:1959年

製作国:日本

評価:A ★★★★△~B ★★★☆

■内容・雑記:
今流行のシェアハウスの話。うそ
障子や襖や薄い壁一枚を隔てた日本家屋での共同生活なんでプライバシーがなく、
江戸時代の長屋なんかもそうなんですが、騒音とか下宿人同士のトラブルとか、
当時はいったいどうなっていたんでしょう?

与田五郎(フランキー堺)は、人に頼まれればなんでも引き受けるお人好し。
予備校生の江藤実(小沢昭一)に騙され大学受験の替え玉にされそうになったり、
発情した宝珍堂(古物商)の奥さんから逆レイプされそうになったり、
キャベツ巻やこんにゃくを製造したりで貧乏暇なし。
五郎に気がある陶芸家の津山ユミ子(淡島千景)が同じ下宿に引っ越してきたが、
自分に自信がない五郎は逃げ出してしまう。

『神の舌を持つ男』を観たんですが、
古物商役で木村文乃が出演してるんすが、
木村文乃の顔を見ると、なんか乙羽信子を思い出すっす。
向井理が温泉で三助とか、『貸間あり』の五郎も温泉で三助してたし、
なんか共通点が……。うそ

■題名:人も歩けば

監督:川島 雄三

音楽:真鍋 理一郎

出演:
フランキー 堺
沢村 貞子
横山 道代
小林 千登勢
桂 小金治
森川 信
加東 大介
由利 徹
藤木 悠
春川 ますみ
淡路 恵子

発表年:1960年

製作国:日本

評価:B~C ★未確定

■感想:
テンポのいいコメディだけど、あまりまとまりがなく最後は夢オチ。
東京オリンピック前の銀座や埋立地っぽい場所の風景が見れる。
フランキー堺の嫁・横山道代の義妹(親戚の娘)役の
小林千登勢が可愛い。
ゴジラの八、ラドンの松(由利徹)、アンギラスの熊の脱線トリオ
フランキー堺の追いかけっことか楽しい。

■題名:特急にっぽん

監督:川島 雄三

音楽:真鍋 理一郎

出演:
フランキー 堺
団 令子
白川 由美
小沢 栄太郎
中島 そのみ
沢村 貞子
滝田 裕介
太刀川 寛
森川 信
横山 道代
堺 左千夫
塩沢 とき

発表年:1961年

製作国:日本

評価:B~C ★未確定

■内容・雑記:
新幹線大爆破』の元ネタ。うそ
特急こだまの食堂車コック・矢板喜一(フランキー堺)は、
東京から大阪に着くまでに、
食堂車ウェイトレスの藤倉サヨ子(団令子)と結婚して大衆食堂をやるか、
特急スチュワーデスの今出川有女子(白川由美)と
赤坂でフランス料理店を開くかを決めるように迫られていた。
そんな中、政府要人が乗る車両は厳重に警護されているが、
特急に爆弾が仕掛けられたというデマで列車内が緊迫する。

さくらガムの社長・岸和田太市(小沢栄太郎)を籠絡する
女スリ師・伊藤ヤエ子(中島そのみ)がアニメ声。
コック長の渡瀬政吉(森川信)が、ほとんど『男はつらいよ』のおいちゃん。
当時の特急(一等車?)には、スチュワーデス(女性の客室乗務員)がいたことに驚く。
『喜劇急行列車』などの「東映列車シリーズ」より公開年が早いんで影響を与えたのかな?
東映列車シリーズ」は『男はつらいよ』シリーズと『トラック野郎』シリーズの
原点みたいなシリーズだけど。

■題名:喜劇 とんかつ一代

監督:川島 雄三

出演:
森繁 久彌
フランキー 堺
淡島 千景
加東 大介
木暮 実千代
池内 淳子
団 令子
三木 のり平
山茶花
益田 喜頓
横山 道代
水谷 良重 (二代目 水谷 八重子)
岡田 眞澄

発表年:1963年

製作国:日本

評価:A~B ★未確定

■内容・雑記:保留
観たことあるんすが凄い昔でまったく記憶に無いんすよ……。

フランキー堺の役(キャラクター)は、
器用で女にモテるけど優柔不断。
古い(1950年代から1960年代)邦画を観ると、
小津安二郎作品とか独特のテンポでまったりしていて、
今観ると、黒澤明作品でさえテンポがゆったりしていると感じることがあるんですが、
川島雄三の喜劇は息つく暇もなく目まぐるしく展開して、テンポが速くて驚く。