オオサカ・ディビジョン『.どついたれ本舗』感想 (original) (raw)

7連続CDも後半戦に入っています

2024年10月16日はどついたれ本舗の新譜発売日でした

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もうほんとにこの開眼簓がかっこよくて最の高である。『Glory or Dust』のMVで開眼したのも最高に良かったし、ARBで開眼したカードも良すぎたし、簓は開眼すると一気にビジュアル担当になり普段のマスコット感との振り幅がすごい。

今回、キングレコード通販でアクリルブロックと缶バッジがいつ売り切れるのかをディビジョンごとにゆるくチェックしてるんだけど、オオサカはアクリルブロックと缶バッジが発売日までに売り切れたディビジョンの1つであり、そうだよな、みんなほしいよなこの開眼簓グッズ…眼鏡なし盧笙とシリアスな天谷奴…と妙な納得をしている。

Laughin' hope

簓の新曲はファンキーでちょっとビター。簓が「顔色を窺って」「空気を読めすぎてて」「薄ら笑い」で「蘇るトラウマにまた苦しむ」人間だとこんなに赤裸々に公的に自己紹介したのは初めてな気がする。白膠木簓においては、目の開き具合と心の開き具合が連動するのかもしれない

というか、2019年の9/7、どついたれ本舗発表時は

糸目/開眼/サングラス

で3人で2個しか確認できなかったオオサカチームの眼球が最新作で

開眼/開眼/開眼

でやっと6個見えるようになったんだった。

眼球の開示状況と個々のペルソナからの脱却状態と絆を5年かけて連動させていたヒプマイはやはりタダモノではない…

On My Way

この曲めちゃくちゃ好き!盧笙は2つめのソロ曲『Under Sail』もめちゃくちゃ好きだし個人的にソロ曲の打率が高すぎるキャラクターである。ヒプノシスマイクは“音楽原作キャラクターラッププロジェクト”なので、曲が強いとキャラの存在感もマシマシで、盧笙は独特のいいポジション確立したなーと思う。

まず2019年のソロデビュー曲『Own Stage』で「挫折し靴紐が解けて」いた盧笙が、5年越しの新曲『On My Way』で「結び直すシューレース」したのが尊すぎる。

ナンバで乗り過ごしたってことは、ナンバにある笑いの聖地・なんばグランド花月とも、よしもと漫才劇場とも遠ざかった人生になったって暗喩かな と気づいて泣いている。

飛行機=華やかな芸能生活 を見上げて

自転車=地道な教師人生 をこいでいる盧笙のことをおもって泣いている オイオイ泣いている

歌詞もいいんだけどトラックも良すぎるよ〜。遊び心というかサービス精神というか、章ごとに鳴る音楽を出し惜しみせず変えているので密度がすごくて、そのどれもがとても気持ちがいい。ヒプマイってたまに、すげー!って仕事をしてくれる人があらわれて蒙が啓くので視聴者としては本当にありがたい。

天谷奴零の新譜『The World Is Yours』については、ドラマトラックとからめて話をしたいので後述。

ドラマトラック『The Trio』

びっくりしたんだけど、3人…特に簓と零の心の機微をすごく丁寧に描写したお話でした。今回の7連続CDは全体的にキャラクターの心の動きを描くようにしてあるのかもしれない。

簓が人の心に踏み込めない人間であるということが盧笙から明言されて、うおおおそれ言っちゃうのかやっぱりその解釈でいいのか…!と大興奮。

簓と盧笙のコンビが雨の日に解散したことも、簓からしたら引き止めたらよかったとか2人で考えたらよかったとかいろいろ可能性があったみたいで、あの解散はやはりバッドエンドだったようだ…

あと簓は合鍵最低51本持ってたし盧笙のスマホに位置共有アプリを勝手に入れていたり本当にやばい人で笑ってしまった。なんとなく前に進んでいるようでありながら世界への警戒心が全然寛解していない。白膠木簓という男、良すぎる。

天谷奴さんは天谷奴さんで、誰にも言わずに軍艦島に引きこもっていた。すごく好意的に見れば、天谷奴さんからしたら、万が一の中王区との交渉が失敗した時のために簓と盧笙は一切巻き込まないほうがいいという考えもあったのかもしれないけどそんな感じではなかったよねえ。簓と盧笙にそんなに心を開いていなかったのが真相だろう。軍艦島に来てくれた簓と盧笙にもとりあえず酒で誤魔化そうとしてたし、大人はすぐ酒でなんとかするからいけない。(これは自戒です)

こうしてみると、どついたれ本舗って全然ナニワ代表の楽しいチーム・どついたれ本舗!って人たちではなくて、簓は「本当にどついてもええんかな?本舗」だし天谷奴さんは「どつくとか物騒だねえと笑ってうやむやにする本舗」って感じだ。盧笙は普通にどつく。

簓と盧笙を適当にあしらって帰した天谷奴さん。もうチームは終わりかもと思う簓と盧笙。しかしここで、なんと天谷奴零が自分が選択肢を間違えたことに気づくという奇跡のようなムーブが起こる。それは妻ナユタとの会話(「1人で抱え込むって傲慢じゃない?」的なやりとり)を思い出してのことだった。ところでナユタ役は絶対碇ユイ役の林原めぐみだろ!と思っていたので全然かすってなくてしょんぼりした。

3人はまた最初に出会った喫茶店で出会い語り合い、どついたれ本舗は真のトリオになるのであった…

この、「現人神が途中で考えを改め残り二人のいる外界に降りてきて真の三人組になる」みたいな展開はヒプマイでわりと多い構造な気がする。イケブクロの山田一郎神、シンジュクの神宮寺寂雷神、オオサカの天谷奴零神は大枠のストーリー的には同じ話ですよね。トップダウン組織の変革の様子が描かれているようだ。時代もヒプマイもチームの人間関係もいつまでも同じではいられないというのは本当にそうで、だからあの頃さっぱりウケなかったロショー・ツツジモリのネタがH歴3年ではバカウケするというようなことも起こる。

そして、山田一郎が“神”ではなくただの“兄貴”になったように、天谷奴さんも“謎の詐欺師”から“妻を失いめちゃくちゃになっていたおじさん”に戻り、オオサカはようやくトリオとして完成した。そういう変身も含めてやはり山田一郎と天谷奴零は相似形であって、2人の関係は業が深いのである。

ところで天谷奴さんとナユタの会話で、このままだとヒプノシスマイクは従来の武器の変わりになってしまうだけだし、政権の早急な置換は苦しむ人がたくさん出るだろうとすでに予想されていた。零はその移行期間の悪役を務めるつもりだと。つまり天谷奴さんはぜーんぶ理解していてたし、現状のこの状態も天谷奴さんの計画どおり。我々はどこまでいっても天谷奴さんの手のひらの上なんだな。

最後に。天谷奴さんのソロ曲タイトルが「The World Is Yours」で、世界は「あなた(たち)」のものだよって優しいことを言っているのに、あなたたちの中に天谷奴さんは含まれてないことに泣いた。

天谷奴さんは自由奔放なキャラに見えて、ずーっと奥さんのため計画のために動いてた無私の人だったんだよね。

「まるで神様きどりね」

「そんな悪役をこなせると本気で思ってるわけ?」

「その何でも背負ってみせるって傲慢さがいつかあなたを一人ぼっちにする」とナユタも言っていたけど本当にその通り。

おいちゃんはいつもそう。

ずっと悪役を演じ続けていつも自分だけを除け者にしていた。

世界は天谷奴さんのものでもあるはずなのにね