同じ素材でロー&ベイクドケーキ (original) (raw)

今から15年ぐらい前だろうか。ローフードに夢中になっていた時期があった。それまでの食生活はずっと玄米中心のマクロビだったので、「生で食べる」ことを軸としたローフードの考え方がすごく新鮮だった。

「生で食べると酵素が生きている」

「消化に負担がかからない」

「調理が簡単で時間が節約できる」

マクロビでは「生野菜や果物は体を冷やすから控える」という考え方だったので、カラフルな野菜や果物をふんだんに使ったサラダ、色とりどりのスムージーが食卓に並ぶローフードはおしゃれで目を惹いた。

ローフードの源になっている「ナチュラルハイジーン」の哲学を学ぶため、「フィット・フォー・ライフ」「女性のためのナチュラル・ハイジーン」など関連書籍を片っ端から読み漁り、またローフード講座にも足繁く通った。

中でも忘れられないのが初めてローフード料理を食べた時の事。本や講座でひととおり知識は身に付けたものの、実際にどういう料理なのか今一つピンときていなかった。何しろ当時はローフードが流行り始めた頃で、ローフードレストランなどどこにもなかったのだ。

とにかくローフードに夢中だった私は、東京目白にできたばかりの「ラ・ターブル・プリム」というローフードカフェを探し当て、飛行機に乗ってわざわざ食べに行った。自分でも呆れるぐらいの猪突猛進スタイル。

初めて食べたローフード料理は、それはそれは美味しくて感動ものだった。かぶを麺に見立て、細長く切って作ったローパスタ。カシューナッツベースのローガトーショコラ。小麦粉を使ってないことと、熱を加えてない生の調理なのでお腹にもたれず、何より素材が生きていると感じた。

その後、しばらくはローフード熱が続き、野菜をパスタのように細長く切ることができる菜麺器や低速ジューサーを買ったり、チアシードやローカカオパウダー、カシューナッツ等、ローフード生活に欠かせない輸入食材を熱心に買いそろえたりした。(身土不二、地産地消などのマクロビの考え方はいつのまにか忘れてしまった)

あれから10年以上が経ち、私のヴィーガン生活も紆余曲折を経て、今は原点に戻って基本はマクロビ生活で、時々ローフードを取り入れる感じで落ち着いている。同じ素材でも季節によって焼いてみたり、冷やしてみたり。

今回はバナナとココナッツミルクと抹茶で、ローとベイク、2つのタイプのヴィーガンケーキを作ってみた。

<ローバナナケーキ>

ローケーキは小麦粉を使わない。だからお腹にもたれない。ロースウィーツを経験すると、もう小麦粉の焼き菓子には戻れなくなるぐらいの衝撃を受ける。私も初めて食べた時は「何なんだ、この美味しさは」と驚き、それから病みつきになった。

ローケーキのメインはアーモンドやカシューナッツなどのナッツ類。数時間水に浸してふやかしたカシューナッツ、レモンの皮のすりおろし、レモン汁、ココナッツミルク、バナナ、抹茶を用意する。

すべての材料をフードプロセッサーにかけ、なめらかになるまでよく混ぜる。完熟バナナは十分甘いので、特に砂糖などの甘味は必要ない。

丸型に流し込んで2~3時間冷凍する。切りやすく固まったら、食べる分だけカットして残りは冷凍し、その都度半解凍していただく。

しっとりなめらかなのにアイスとはまた違った食感だ。ナッツベースだからしっかり食べ応えもあって、なおかつ軽い。うーん、やっぱりローケーキの美味しさは格別だ。

<ベイクドバナナケーキ>

秋から冬にかけてはじっくり焼いたケーキが食べたくなる。こちらも小麦粉を入れずにおからベースで。材料はローケーキと同じだけど、おからが淡泊なのでちょっとメープルを加えてみた。

すべての材料をフードプロセッサーでよく混ぜる。丸型に流し込み、飾り用の別のバナナをのせ、ココナッツパウダーを振る。

180℃で40分ぐらい焼いたらできあがり。こちらもしっとりとしたケーキに仕上がった。おからなので罪悪感フリー、いくらでもおかわりできそう。

ローフードにはまっていた時は、真冬でも毎朝スムージーやコールドプレスジュースを飲んだり、アーモンドやカシューナッツで「ロー海苔巻き」や「ローカレー」などを作ったりしていた。

でも、輸入食材を毎日の食卓のメインにするのはやっぱりおかしいし、寒い朝は温かい味噌汁やスープを飲むと体が喜ぶ。そんなこんなでローフードばっかりの食生活は自然と終わっていった。

それでも身に付けたローフードの知恵はとても役に立っている。デトックスしたい時は、人参やビーツにリンゴを加えたコールドプレスジュースでファスティングするとすっきりするし、ナッツミルクを搾った後の搾りかすで作るエナジーバーは最高だ。

振り返ってみても、あっちに転がり、こっちに転がりのヴィーガン暮らし。韓国の禅食にはまって、韓国のお寺に泊まりに行ったこともあった。この先はおそらく、外ではなく内に向かうような気がしている。やっぱり和食、じゃないかな。

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