ロアーの映画ログ(ブログ支部) (original) (raw)
これは本当にネタバレも実話も何も知らずに観た方が良いやつだった。
【アプローズ、アプローズ ! 囚人たちの大舞台】 2020年 - フランス - 105分
原題:
Un triomphe/The Big Hit
監督:
エマニュエル・クールコル
キャスト:
カド・メラッド
ピエール・ロタン
マリナ・ハンズ
ロラン・ストーケル
落ち目の舞台俳優エチエンヌは、刑務所の受刑者たちに演劇を教えるワークショップの講師を務めることとなる。かつて自分も演じた「ゴトーを待ちながら」を演目に選んだエチエンヌは、劇場での公演を目標に囚人たちに演技を教え始めるが...
実話を元にした映画だそうだけど、これは本当にネタバレも実話も何も知らずに観た方が良いやつだった。
”予想外のラストが、あなたを待っている”というキャッチコピー通り、確かに衝撃のラスト...どうしてもアメリカ映画脳で観てしまうけど、そうだった、これはフランス映画だった。
大分私情入りまくりの講師エチエンヌが選んだ演目は、よりによって「ゴトーを待ちながら」。え、難しくない?と思ったけど「彼らは誰よりも待つことを知っている」と言う台詞になるほど納得。
エチエンヌが彼らの犯罪の内容を頑なに"知らなくて良いこと"と跳ねのけていたのが役者同士として向き合っている感じで良かったし、めちゃくちゃ長い台詞に「こんなのできる訳ない」と荒れていた文盲の囚人が、言えた瞬間、涙を流すシーンがすごく印象的だった。
ラストにはとにかくびっくりしたけど「ゴトーを待ちながら」とのリンクやエチエンヌの夢だった大舞台というのが、実話の筈なのにすごく劇的?というか創られたかのようにテーマが一貫してきれいに流れていて、別の意味でもびっくり。
決して派手ではないけど、待つことや自由の価値について考えさせられるいい映画だった。
(2023/05/31)U-NEXT(字幕)
シェイクスピアってこんなエグい作品も書いてたんだ...(声顰め)っていう。
【タイタス】 1999年 - アメリカ - 162分
原題:
Titus
監督:
ジュリー・テイモア
キャスト:
アンソニー・ホプキンス
ジェシカ・ラング
アラン・カミング
ジョナサン・リース=マイヤーズ
原作:
シェイクスピア『シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)』
ローマ皇帝に使えるタイタスはゴート族との戦いでたくさんの息子たちを失い、その弔いとして、捕虜として捕らえた女王タモラの長男を殺害する。 息子を殺されたタモラは次男・三男と共にタイタスに復讐を誓うが...
ジュリー・テイモア × シェイクスピアなんて、かなり私好みっぽい!と思って観た。
想像しちゃいたけど、まあまあ、まあまあまあまあ、かな〜り独特な世界観だった。ジュリー・テイモアもだいぶグリーナウェイ系の感性の人種だよね。
原作であるシェイクスピアの『タイタス・アンドロニカス』は読んだことなくて、ざっとWikiで登場人物とあらすじを確認してから観た。
ミリ知らからだとちょっと厳しかったかも。とにかく映画は長いし、人数多いし、夜中に観たので若干ウトウトしちゃったし。
ジュリー・テイモア × シェイクスピアは前にも「テンペスト」を観たことがあって(舞台の「真夏の夜の夢」もいつか観たい)あれもプロスペローを女性に改変してて独特だったけど、この「タイタス」も時代感覚がめちゃくちゃなテクノロジーや服装が混ざりあっていて、甲冑を着た中世っぽい軍隊が出てきたと思ったら、変なバイクがブンブン唸ってて、冒頭からだいぶかっ飛ばした世界観。こういうの全然嫌いじゃない。
この手の作品の何が良いって、こういう万人受けしそうにない映画を、おそらくかなりの莫大な費用を使って作っているところ。
「テンペスト」の時同様CGはなぜかすごくしょぼいんだけど、その代わりセットの壮大さや衣装の造形はすっごく良くて、なんかもう画面が贅沢。
アンソニー・ホプキンス、アラン・カミング、ジェシカ・ラング、ジョナサン・リース=マイヤーズと、キャストも絶妙に私の好きどころを揃えてるし。
お話とては、シェイクスピアってこんなエグい作品も書いてたんだ...(声顰め)っていう。最初期の作品だそうで、尖ってた時代のシェイクスピアなのかも。そのエグさに初めのうちはほとんど上演されなかったそうだけど、...うん、まあ、分かる。映画ならまだしも、舞台上でレ⚫︎プだの、舌を切る・手を切るだの、全部見せられたら流石にお腹いっぱいで、うわってなるもの。
映画でも映像は芸術的だったものの、手を切った代わりに枝を刺すってどう言う...最悪の生花...
アンソニー・ホプキンス演じるタイタスの息子たちが戦争で殺されたことをことの始めとするか、女王タモラの息子がタイタスに殺されたことをことの始めとするか...結局、復讐の発端ってどこになるんだろう?
とりあえず、復讐に燃えたタモラによってタイタスがどこまでも酷く辛い目に遭わされ続ける一種の老人への精神虐待みたいなお話だったし、自身よりも大切な身内を傷つけられた方がより辛い的よね的なアレで、もうどんどん不幸が積み重なってて、ちょっとかわいそうではあった。でもタイタスも自ら自分の子どもたちを殺してたりして、なん?ってなる。
ジェシカ・ラング演じるタモラも最初はまあ同情の余地はあったのに、生き残った下の息子たちがおバカだし、愛人がいたりして可哀想さがだいぶ薄くなる。結局どっちもどっち。復讐のドロ沼過ぎてロクな人たちがいない。それが狙いなのかな?
まあ、とりあえずそんな感じでタイタスはアンソニー・ホプキンスといえば...な人肉系のお話に走る訳だけど、コック帽を被ったアンソニー・ホプキンスがかわいかったので、私的にはほっこりだった。
いかにもバカ王子っぽいアラン・カミングも良かったな。タモラのバカ息子たちも皇帝の次男もみんな、若くて綺麗なラヴィニアに夢中なのに、その娘をポイっと捨てて、でっかい子どものいる熟女のタモラに走った性癖、素直で良いと思う。とはいえ、ジェシカ・ラングはセクシーで美魔女でかなり良かった。変なヘルメットみたいなのを被ってたりもしたけど、森の中で着てた赤い衣装がエッチさとおしゃれさの両方を兼ね備えてて特に好きだった。
(2024/11/01)GEO宅配レンタルDVD(吹替)
"虚"とは一種の"希望"だと思った。
【八犬伝】 2024年 -日本 - 149分
監督:
曽根文彦
キャスト:
CAST---
役所広司
内野聖陽
寺島しのぶ
磯村勇斗
黒木華
土屋太鳳
栗山千明
原作:
山田風太郎『八犬伝【上下合本版】 (角川文庫)』
高校に入って映画に鞍替えする前は、それこそ幼稚園の頃からものすごーくたくさん本を読む子どもだったので『南総里見八犬伝』との出会いもわりと早くて小学校の図書室だった。私が読んだのは子ども向けに噛み砕かれていて挿絵も漫画っぽいものではあったけど、思い返せばあれが和製ファンタジーとの初めての出会いで、子ども心にもワクワクするお話で、意味も分からないまま、仁・義・礼〜を一生懸命覚えようとしてたな〜なんて、大人になった今でも思い出せるくらいには印象深い作品だった。
なので『八犬伝』が好きだったから観よ観よ〜!という軽い気持ちで映画を観に行って、まさかボロボロに泣くとは思ってなくてハンカチの用意を怠った。演技がものすっごく上手い人たち揃いの映画だった時点で気づいて覚悟しておくべきだったのに...
"虚"と"実"。
もっとわかりやすく書くと"虚構"と"現実"が映画の大きなテーマで、歌舞伎の舞台の奈落での問答シーンにすごく考えさせられた。
『四谷怪談』の鶴屋南北と馬琴という、真逆とも言える思想を持った作家同士の作風についての議論から、段々映画の根幹であるテーマの問答へと変わって行くところが見事過ぎた。
南北の姿は少し滑稽にも思える描写で、照明の暗さや逆さまに顔を出した姿にふと"天邪鬼"という単語が頭に浮かんできた。体勢を変えた後もよく絵や彫刻にある踏みつけられた小鬼のような体勢をしていて、これは全然的外れな解釈かもしれないけど、西洋にも主人公を惑わす悪魔の話ってよくあるし、それと重なるような気がして、それこそ本来の意味の"奈落"での鬼との禅問答のように感じた。
その問答を頭の中で反芻しながら、自身にとっての"虚"とは何かと考えた時、私は"虚"とは一種の"希望"だと思った。馬琴が息子を想う気持ちを作品にも重ねた願いとしての"希望"だったり、作品の続きを楽しみに待つ"希望"だったり、私たちが日々を生きるための糧としての"希望"だったり...それこそ"虚"そのものである映画が好きな私みたいな人たちには、この感覚にわりと共感してもらえると思う。「読者が許す嘘なら〜」っていう馬琴の台詞にも深く頷いちゃった。
映画は滝沢馬琴と葛飾北斎という天才爺さん同士の友情物語の面もあって、お互いに偏屈だのジジイだの言い合ってる癖に、互いが互いの大ファンと伺えるコミカルな描写もあって面白かった。
内野聖陽演じる北斎の豪快さと変な爺さんっぷりと絶妙な優しさがすごく良い。ちらっと北斎の娘・応為も出てきて、わりと写実的な方の北斎の絵を盗み見てた描写が良きだった。それと馬琴と北斎の年齢差がそこそこあったと知って、北斎が本当に化け物に思えてきて、後半はだいぶ"葛飾北斎"というより"画狂老人卍"という目で見てた。
出番はさほど多くなくても、寺島しのぶの演技も流石。今際の際の一言がなかったとしても、あの一瞥だけで全て伝わったのでは?と思えるほどの迫力。言動だけ見ればとんでもない毒親で毒妻に違いないけど、人が誰かを攻撃する時って悪意だけが理由でもなくて、自身の抱える恐怖心から人を攻撃してしまうこともあって、馬琴の妻は後者だったんだろうな。恐怖を実際に言葉にしていたのは馬琴だったけど、きっと妻も同じ気持ちだったんだと思う。究極のツンデレ、、、というより、ツンを貫き通した女だったなぁ...って、ある意味すごくお似合いな夫婦だった気がする。
磯村勇斗も、あれ?なんか顔色悪い?から始まって、肩の薄さだとか背中の精気のなさだとか、段々吸うより吐く息の方が多くなって行くのを見ていて、実際に人を看取る時の「あぁ、もうダメなんだ...」って悟ってしまうあの一瞬の感覚を思い出した。死ぬ演技が上手い人は圧倒的に信頼できる。
役所広司は役所広司と意識せず、最初から演じる役そのものとして観てる感覚なので、逆に褒めどころが出てこない。まあ、きっと他の人が褒めてるから私の褒めは要らんでしょう。
ところで、実は小学校の図書室には『八犬伝』が途中の巻までしか置いてなくて...つまり私は物語の結末を知らなかった。「あれ?もしかして『八犬伝』って未完?だから途中の巻までしかなかったの?」と曖昧な記憶で不安になったので、ある意味映画のストーリーに没入しながら観れた気もする。数十年を経て、ようやく物語の結末を知れて良かった。とはいえ映画ではだいぶエピソードを端折ってたので、今度ちゃんと本も読も。
そんな"虚"の部分である物語のパートもなかなかスペクタクルな和ファンタジーで面白かったし、栗山千秋の妖婦っぷりも似合ってて結構好きだったんだけど、渡辺崋山の「虚を貫き通せば...」と言う台詞が具現化したラストがじーんと心に滲みて思わずボロボロに泣いちゃった。
本当に"絵になる"生き様だった...
(2024/11/03)映画館
3女を見る時の、長女の表情が色々物語ってて笑った。
【紅門 -べにもん-】 2005年 - アメリカ - 90分
原題:
Red Doors
監督:
ジョージ・アリー
キャスト:
CAST---
ツィマー
ジャクリーン・キム
セバスチャン・スタン
中国系アメリカ人一家を描いたインディーズコメディ映画。
3姉妹の複雑な恋模様と生き甲斐を見失って自殺を試みようとしてるパパを中心とした家族の再発見の物語です。
監督&脚本が女性なのもあって女性がメインのストーリーだったものの、ほぼ無言なパパの哀愁漂う存在感が印象的な映画だった。
パパが消えた後やラストでみんなが集まった時など、円卓という食卓の形が生きた構図やホームビデオで家族が繋がる感じがセンチメンタルかつ、温かい雰囲気で中々良き。
セバスタの役どころは3女の同級生でお隣さん。
そんな『ご近所物語』(ちょうど世代)な設定なので淡い恋物語が展開すると思いきや、恋心を拗らせすぎて度を越したイタズラ合戦になってた。
セバスタの方はまだかわいいイタズラだけど、家に忍び込んでベッドにアダルトグッズをばら撒いたり爆発物を仕込んだり、3女の仕返しが色々過激でびっくり(ネズミはあかん!)
「彼は私を愛してるんだから」なんて言ってる3女を見る時の、長女の表情が色々物語ってて笑った。
コメンタリーをザッと聞いたところ、3女とセバスタの関係はあえて言葉を交わさないで進んでいくようにしてるらしく、セバスタは後半まで全くセリフがなくてラストの方でやっと二言程度しゃべるだけ。
でもニュッと出てニュッとひっこむセバスタ、オ⚫︎シッコするセバスタ、箸を使うセバスタなど見どころはしっかりあった。3女の反応を伺ってるシーンがほとんどのため、上目づかいにジッと見つめてる姿がいささかクリーピーだけど、3女に見られてないと思ってる時の嬉しそうな表情がとってもかわいかった。
MEMO---
・唸っててもシーズーかはかわいい。
・パパのひよこ、青いモンスターみたいなおもちゃ、サンショウウオみたいなぬいぐるみなど、気になる謎の小物がたくさん出てくる映画だった
(2019/07/20 )所蔵DVD(英語字幕)
まるでディズニーランドに行った気分で楽しめる映画。
【マペットのホーンテッド・マンション】 2021年 - アメリカ - 52分
原題:
Muppets Haunted Mansion
監督:
カーク・R・サッチャー
キャスト:
ウィル・アーネット
タラジ・P・ヘンソン
ダレン・クリス
イヴェット・ニコール・ブラウン
ジョン・ステイモス
伝説の奇術師・マクフィガンが姿を消してから100年目の特別なハロウィンの夜。怖いもの知らずのゴンゾと友人ペペはパーティーを断り、マクフィガンが姿を消したという屋敷に向かうが、そこは一度入ったら二度と出られないと有名な"ホーンテッド・マンション"で...
予想していた以上にしっかり"ホーンテッドマンション"だった。
お馴染みの台詞や音楽、幽霊たち、アトラクションの要素がそこかしこに散りばめられていて、まるでディズニーランドに行った気分で楽しめる映画。
もちろん、マペットのシリーズなのでコメディテイストにはなっているけど、実写版「ホーンテッド・マンション」以上に事細かにアトラクションのネタを再現していて、その徹底っぷりに思わず感動した。
キャストも全然知らなくて油断していたら、パペットマスター...じゃなかった、ダレン・クリスも出てきて、ミュージカルパートも楽しかった。
短いのもあって、続けて2回観ちゃったほど好きな作品だった。
(2021/10/24)ディズニー+(吹替)
殺活部の人々が謎にテンション上げ上げになる斧だよ!!それを両刀遣い!!!Whoooooo!!
【SALAAR / サラール】 2023年 - インド - 174分
原題:
SALAAR PART1 - Creasefire
監督:
プラシャント・ニール
キャスト:
プラバース
シュルティー・ハーサン
ジャガパディ・バブー
プリトヴィラージ・スクマーラン
言語:
テルグ語
インドの地図から消された要塞都市カンサール。少年デーヴァと元首の息子ヴァラダは親友同士だったが、とある出来事をきっかけにデーヴァとその母の身が危険に晒され、デーヴァはカンサールを去ることとなる。ヴァラダに恩義のあるデーヴァは「何かあれば俺の名を呼べ、必ず駆けつける」と言い残してカンサールを去り、それから月日は流れ、王位継承の抗争に巻き込まれたヴァラダは、ついにデーヴァに助けを求めるが...
ここ最近、今まで以上にインド映画に力を入れてくれている高崎電気館の秋のインド映画特集にて鑑賞。ブタクサにやられてゾンビ化してるので、今回はやむなく未見の一本だけ(「サーホー」はお家でリトライする)。
「KGF」の監督作だけあって流石、スケールがいきなりどデカい。
「KGF」ではインド国内に政府も知らない大都市が建設されていて、思わず「うぉ~!」と叫びたくなるほど熱くなったけど、今回の「サラール」も巨大な力を持つが故に存在が秘密裏になっている要塞都市(独自国家)が舞台となっていて、いきなりの規模にテンションが上がった。
国家元首の息子と下町の少年の熱い友情から始まり、大人になった少年たちが元首の跡目を巡る勢力争いに巻き込まれるという血と暴力のお話で、テイストとしてはインド・ノワール系の要素もあるかな?
インド・ノワールな映画といえば、私は「血の抗争」が思い浮かぶんだけど、インドの「ゴッドファーザー」的な「血の抗争」ともこれはちょっと感じが違くて「サラール」はなんていうか、重いテイストの時のDC映画みたいなエンタメ性のあるダーク&バイオレンスな映画だった。
首取り合戦が始まった国内は、さながらゴッサムシティのスラムばりに荒れに荒れ、各勢力の助太刀として様々な国の傭兵集団が登場した時は、思わず「絵面~!!!」って心の中で叫んだ。黒旅団やKGB反乱軍と言った集団がざっざっ!と背後から登場してきて、まるで何かの戦闘ゲームのワンシーンみたい。結局、この助っ人の活躍は全然ないんだけど、とにかく絵面の圧が良いのでそれで良い。
「バーフバリ」で有名なプラバース演じる主人公もとにかく鬼強く、かつて王を支えた人物にちなんで"将軍(サラール)"とあだ名が付けられて、これがタイトルにもなってる訳だけど、感覚的には将軍というよりさながら闘神。圧倒的強さ。
しかも見せ場の先頭シーンで使う武器が斧!!
殺活部の人々が謎にテンション上げ上げになる斧だよ!!
それを両刀遣い!!!Whoooooo!!
斧が頭にぶっ刺さる、足が飛ぶ、首が飛ぶというのももちろん、ある。
牛刀や棒で串刺しなんていうのもあった。
いまだに「インド映画って歌って踊るんでしょ?」って言われるけど、インド映画も幅広いので、この「サラール」みたいにゴリゴリのバイオレンスな映画も結構ある。むしろインド映画のアクションシーンは力加減と倫理観がぶっ壊れてるので、殺活好きは多分スカッと気持ちよくなれるやつ。
バイオレンスだけじゃなく、ノワールのエモさもしっかりあって、主人公の姿じゃなく影を映す演出がすごく良かったし、領主たちが身に着けてる腕輪によって投票が行われるのも何だかかっこ良かった。
インド映画の様式美的などんでん返し展開ももちろん、ある。
それが判明して「うぉぃい!これからどうなるんだ???」となったところで、エンドロールが流れ出した...つまりこれ、続編があるってコト?
いつもの如く、なんの前情報も仕入れず観に行ったら、まさかの続き物だった(原題にはちゃんとPart.1と書いてある、ありがちな罠ハマるガチなワナビー)。道理でまだ全然、刻印の話をしてないはずだ。そもそもこの1部って、まだ全然過去の話しかしてなかった。
まあ、続きものだとしても、今作はまず間違いなく続編も日本で公開してくれるだろうから、ど~んと構えて待ちます。しかもあの「KGF」の監督なら、1部以上に血が沸き立つ展開を用意してくれてると信頼できるので本当に楽しみ。
(2024/10/27)映画館(字幕)
何よりもハビエルのかわいらしさを求めて映画を観に行きました。
【シング・フォー・ミー、ライル】 2022年 - アメリカ - 106分
原題:
Lyle, Lyle, Crocodile
監督:
ジョシュ・ゴードン
ウィル・スペック
キャスト:
ショーン・メンデス (大泉洋)
ハビエル・バルデム (石丸幹二)
ウィンズロウ・フェグリー
コンスタンス・ウー
スクート・マクネイリー
ブレット・ゲルマン
原作:
バーナード・ウェーバー『ワニのライルがやってきた (ワニのライルのおはなし 1)』
売れないショーマンのヘクターは、ある日ペットショップで歌う小さなクロコダイルのライルを見つける。 練習を重ね、ついにヘクターとライルは一緒にステージに立つが、観客の前に出たライルは全く歌うことができずに失敗しまう。仕方なく家を売りに出したヘクターは、ライルを残して新たなショーのアイディアを探しに出るが、屋根裏に大きく成長したライルがいるとも知らず、その家にプリム一家が越してきて..
今日は何だか何をするにも一個失敗してしまって、上映開始時間も10分勘違いしていて、30分前の段階でのんきにご飯を食べているという有様だった。
でも、時々発揮する謎の脚力で徒歩25分の距離をなぜか10分ちょいに短縮できたので、余裕で間に合っての初日鑑賞。
元々が絵本だからなのか、色々はちゃめちゃなストーリーだったけど、とにかくハッピーな気持ちになれる映画だった。勇気を持つことの大切さと家族の大切さ。
吹替上映しかなくて「大泉洋に恨みはないけど、元々はショーン・メンデスよ?何で大泉洋になるの?」と怒っていたものの、ちゃんとオーディションで勝ち取った役ということと普通に歌うまだったこと、それから内容が全部はちゃめちゃだったので、観終わったらまあ吹替でも何でもよかったかな〜って気持ちになったので結果的に吹替に不満なし。とはいえ、選択肢は欲しかった。
登場人物も真面目なパパに自然派ママ、神経質な隣人ときて、このパターンだと隣人は大概当て馬なので自然派ママが最強の難関か?と思っていたら、まさかのチョロさで陥落されていて、そうなると完全にライルが間男のスタンス...と思ったら、案の定で笑った。
それと、これを観にきたんだよ!とも言えるハビエル・バルデムのかわいらしさ。私、何よりもハビエルのかわいらしさを求めて映画を観に行きました。
ハビエルなのににっこにこの笑顔でさ、ワニのTシャツにキャップまで被ってさ、歌って踊ってさ、最高だった。最高だったけど、典型的なダメ親父だった。
大きなことを言っては、裏切って子どもをがっかりさせるタイプのダメ男。何度裏切っても一度大きく挽回すれば、全部帳消しになると思ってるタイプのダメ男(自分もそういうとこあるから分かる)。
決して根は悪い人間じゃないんだろうけど、ことごとくダメ人間だから、結果としては悪い人間だよね。
チョロい登場人物たちの中でハビエルだけが人物描写が根深くて、これがハビエルの演技力によるものなのか、脚本家の人生にモデルになる人がいたのか、つい勘繰ってしまう。前者ってことにしておこう。
ツンデレかと思いきやだいぶデレ寄りだったにゃんこもかわいかったし、この世界の動物たちって実はみんな歌って踊れそう。とにかく気楽な気分で楽しめる映画だったので、何も考えずリラックスしたい時にオススメ。
(2023/03/24)映画館(吹替)