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2024年10月15日 金正恩が国防・安全分野協議会を招集したことを報道

本日の「労働新聞」は、金正恩が10月14日、「国防・安全分野に関する協議会を招集」したことを報じた。同協議会の概況は、次のとおりである。

また、本日の「労働新聞」は、同協議会に関する記事に続けて、「滅敵の意志を込めて党決定貫徹に一層拍車を!」との共通題目の下、「無人機」への怒りをばねに増産に取り組む各部門生産現場の状況を報じる次のような記事を掲載した。

なお、これに先立つ14日、金予正は、「無人機」に関し3回目となる短文の談話を発表したが、同談話は、本日付け「労働新聞」には掲載されていない。同「談話」は、全文次のとおりである。

上記動向の内、金正恩による評議会招集は、「無人機」に関する対策を実際に論じるためというよりは、事態を重大視していることを内外に印象つけるための演出の側面が濃いように感じられる。最初の公開動向である「重大声明」が外務省から出されたにもかかわらず外務相の出席がないことからも、同評議会が実質的なものではないことがうかがわれる。

「労働新聞」の一連の記事は、北朝鮮が同件を国内的な思想宣伝の格好の材料として大いに活用しようとしていることを改めて示すものといえる。

一方、金予正の3回目談話は、当初の軍は「主犯又は共犯」との主張とは矛盾するものとも言え、何故、この時期にそのような主張を、しかも何の論拠もしめすことなく打ち出したのかは不可解である。前掲「評議会」での審議内容と関連している可能性も考えられるが、判然としない。

ただ、いずれにせよ、同談話の本当の狙いは、米国に対して、本件に関心を持ち、危機管理(状況鎮静化)に乗り出してほしいとの訴えのように思われる。俗な表現を用いれば、「お宅の馬鹿息子を何とかしてよ」ということであろう。

そうは言っても、金正恩が自ら「強硬な政治軍事的な立場を表明」した以上、当分の間、事態はそう簡単には収まらないであろう。