「させていただく」大流行。芸能人:そこまで「謙遜」が必要か? 政治家:しょせん「他人事・上から目線」に聞こえる (original) (raw)
この広告は、90日以上更新していないブログに表示しています。
数ある敬語表現の中で、どうしても気になって仕方がないのが
「いただく」「~させていただく」
の多用です。
これについては、使い方に違和感アリとして、ブログ開設初日に取り上げました。
ただ、上記の記事は、まだアクセスも読者もない時の記事。
誰にも読まれないまま、通り過ぎてしまいました。
あれからまる1年。
改めて考えても、やはり「~させていただく」に潜む違和感は拭えないモノがあります。
芸能人がテレビや映画の宣伝といったイベントに出席する際のこと。
ここでのコメントで連発されるのが、
「〇〇の番組に出演させていただくことになりました」
「〇〇さんとは、以前共演させていただきました」
といった言い回しです。
これがさらにエスカレートした形として、
「〇〇の番組、拝見させていただきました」
もよく聞きます。
典型的な「二重敬語」誤りです。
これについては、また後日触れるとして…
「謹んで…」の意味を込めた謙遜として使っているであろうことは、なんとなくくみ取れます。
しかし、「~させていただく」の本来使われる場面とは?
基本的に、
相手の承認・許可を得て行動する場合に使う
という意味合いがあります。
そうした背景を鑑みず、それ以外のケースで必要以上にひたすら謹まれても、決して「好感度アップ」にはつながらないと思います。
却って、卑屈にさえ見えてしまいます。
上記の場合であれば、「出演しました」で十分。
誰かと共演して、どうしても敬意を表したいのであれば、「〇〇さんとご一緒しました」という便利な表現があります。
「さ・せ・て」と「サ行」の音が続いて思わず「かんでしまう」心配もなくなります。
語数も少なくて済みますし、これだけで十分「丁寧さ」や「敬意」は伝わります。
芸能界と同様、「~させていただく」が多用される世界。
それが、政界で の発言です。
タテマエとしては「国民・有権者の皆様に配慮して」の発言のつもりでいる。
ところが、実は全然心がこもっていないように聞こえてしまいます。
最も象徴的と感じるのが、何かの不祥事や災害・事故が起こった時の大臣の答弁です。
現在の混乱にも当てはまるかもしれません。
「関係省庁と連携をとらせていただき、協議を重ねさせていただきながら、早急に対応をとらせていただきたく、現在調整を進めさせていただくべく、前向きに検討させていただいているところでございます」
1つの文章の中に3つも4つも「~させていただく」が入ってくる!
いかにもありそうな言い方ですよね?
全然前向きな言葉に聞こえません!
そもそも、非常に頻繁に使用される
「連携」「協議」「対応」「調整」「検討」
これらはいずれも、一見「何かやる」と言っていながら、なに一つ「具体的な行動」が伴っていない言葉であるように感じてしまいます。
政治家とは「言葉の職業」。
「一般国民はどうであれ、自分自身は無関係だから」の「他人事」発想。
「有権者ファーストを考えるのは、選挙の時だけ」の「上から目線」や慇懃無礼なスタンスが、この言葉遣いからどうしても見え隠れしてしまいます。