「メタ・オタク」アニメ3本 (original) (raw)

タイトルの「メタ・オタク」は「オタクの生態がテーマの一つである」アニメという意味で使った。同種のアニメは山ほどあるようだ。最近たまたま見た以下の3本について書く。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

中二病でも恋がしたい!

俺の妹がこんなに可愛いわけがない。

僕にはリアル妹がいる。現実を知っているわけで「妹」を美化したフィクションは受け入れ難い。倫理どうこう以前に生理的にアウトだ。

高校の頃、友人が

「お前のところ妹がいるんだって?羨ましいなあ。可愛いんだろ妹って?」

などと勝手なエロ妄想を盛り込みながら、ニヤニヤ言ってきたことがある。

「んなわけないだろ。お前、姉さんがいたよな。姉の風呂を覗きたいか?」

彼は嫌悪感を露わにした。

「いや。ひたすら気持ち悪い。そういうことか」

現実はそんなもんである。

しかし我が妹も今やアラフィフ。アニメ的「妹」イデアからはかけはなれた存在である。「お兄ちゃん」とアニメのキンキン声が聞こえてもリアル妹と重なることはない。安心して視聴できる。

まだ序盤の印象。

ワリとギスギスした兄妹関係で、思ったよりキモくはなかった。ああ、こんな感じだったよなと少し懐かしく思う。思春期の兄妹なんてギスギスが通常モードでしょう。と思ってるんだけど他の家庭はどうなんでしょうか。大学以降は僕らは仲よかったです。

兄妹が共にオタク設定なのがメインテーマ。妹は女児アニメ好きで、エロゲーもする。厳格な父親に見つかってしまい「オタクなんぞけしからん。全部捨てろ」などという流れになる。兄が頑張ってそれを食い止めようとする。

この父親が磯野波平も真っ青、昭和の堅物である。そもそもオタクは不健全だとかオタク=女児アニメという偏見ステレオタイプは、昭和・平成初期のものだろう。いつの作品だと思って今調べたら2008年頃か。出た当初からすでに想定読者の年齢層は高めだったのでは?などと思った。こんな偏見、今はほとんどないでしょう。

そこまで古臭くない絵柄と設定なのに、昭和・平成初期の価値観で物語が動いているようだ。不思議な感じがした。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

正直、刺さった。めちゃくちゃ面白い。

モテないオタク女(喪女)が、花の女子高生になったらモテまくって友だちもたくさん作って輝かしい青春を過ごせるぞと期待するが当然上手くいかない。リア充たちにぶつぶつ毒づきながら孤独で惨めな女子高生生活を送るアニメ。

ヒドいあらすじだ。救いがない。

Amazonレビューは星4つ。それなりに高評価な一方で、新しい作品でもないのに評価件数は少ない。ということは評価もせずにさっさと視聴抜けした人が多いということだ。低評価コメントには「救いがない」「学校生活どころか家族とも上手くいってなくてツラい」など。

これ大丈夫か?しんどくなったらすぐ止めよう。とビクビクしながら視聴を開始した(アラフィフおっさんである)。

面白いじゃないか。

家族関係。まずは弟。

思春期の普通充キャラの弟が、オタク地味インキャの孤独姉を相手にすれば、ギスギスするのがデフォだろう。「おねえ、しっかりしろよ!」という苛立ちである。勘違いして調子にのる姉へのツッコミが厳しいのは演出上仕方ない。

自分の部屋に突然来た姉の話を、ウザいと思いながらも聞いてやるとか、姉が困ったときには(嫌々)頼みを聞くとか、根本的なところでは関係が良いと思われた。

母は全然普通に娘に接している。父は仕事で遅く帰ってくるので影が薄いけど、BLエロゲをしながら寝落ちした主人公をこっそりベッドに寝かしつけたりと、ちゃんと優しい。

学校へは嫌々ながら頑張って通っている。(的の外れた)チャレンジと(当然の帰結である)失敗を繰り返しながらも、他責思考を駆使して前向きに生きている。偉いぞ。頑張れ、と思う。

作者は黒歴史を自虐でエグりながら書いたんじゃないかと妄想。お疲れ様でした。(と思ったら原作者は男性とのこと。喪女版等からアイデアをもらった?結果的に男性らしさのない作品になったのは作画担当の影響かな?)

学校で友だちできただろうか。と娘を心配していた気持ちを思い出した。娘を持つお父さんにお勧めしたいアニメである。意外とハマるかもしれません。ちなみに海外の匿名掲示板界隈でもバズったらしい。普遍的内容なのだ。

中二病でも恋がしたい!

京アニのラブコメ。前半〜中盤はほぼコメディオンリー。

黒歴史絶賛進行中のヒロイン。

黒歴史を卒業したつもりで、過去を忘れたい主人公と、同じ設定の準ヒロイン。

黒歴史?別にいいんじゃないの?むしろ楽しそう。と何も気にしない脇役二人。彼/彼女らの青春群像劇である。

僕の黒歴史とは違うが、大いに共感して吹き出しながら見てしまう。

共感性羞恥」という言葉はWebで初めて見たと思う。なかなか便利な言葉だ。例えばある事象に対して「恥ずかしい」と書いたときに、

① 上から目線で「恥ずかしいことだ」と非難している

② 客観的立場から「恥ずかしいことだ」と評価している

③ 我が身を振り返って自分も同じだったと感じ「恥ずかしいことだ」と身悶えする

少なくとも3パターンがある。口頭+ノンバーバルコミュニケーションなら一発で伝わるが文章にすると前後の文脈が必要だ。「共感性羞恥」と書けば③だとわかる。

後半、ヒロインが黒歴史を生きているやや重い理由が明らかとなり、恋愛要素がどかっと入ってきた。エンディングに向けてモードが変わった感じ。少しペースを落として視聴中。