日本の民話『紀伊の民話』(22) (original) (raw)
・「おじさんの話」(2)
この「おじさんの話」は連載33回で30題、但し1題は別扱いになって最終的に『松谷みよ子の本4』では29題となっている。
①少年少女/現代創作民話全集 2『木やりをうたうきつね/おじさんの話』1971年12月 1刷・1977年4月 6刷・定価1200円・偕成社・150頁・A5変型上製本
見返しの見開きは毛の漉き込んだ淡い朱色の和紙の柄の印刷(裏面は白紙)、アート紙の扉は青紫と黄橙色の2色刷、裏に紫色で「●この全集の刊行にあたって」の宣言文、「社団法人・日本児童文学者協会/『現代創作民話全集』編集委員会」で大川悦生、斎藤隆介、鳥越信、松谷みよ子の連名。次いでアート紙のカラー口絵、裏は白紙。1頁(頁付なし)「● は し が き」は後の版には引き継がれていない。
くじらや悪魔の子がでてきたりして、/それはむかしむかしのことなのだけど、/今のぼくたちともつながっているんだね、/そういえばこんなこともあるよ、なんて、/いちばんおしまいに、おもってくれれば、/うれしいのですが。
下部には寝そべった蓬髪で和服の子供のカットを茶色で刷る。2~3頁(頁付なし)見開きは「もくじ」で、下部に狐や野山を淡い緑色で、そして4頁(頁付なし)は右上に川魚のカットを茶色で、右下に横組みで「作者・**松谷みよ子*1」と「画家・松谷春男***2」の紹介、ともに最後に「現住所」を載せるがここでは前者の最後「‥‥。現住所/東京都練馬区東大泉257-42」を抜いて置こう。5頁(頁付なし)中扉、6頁から本文で147頁まで。全頁挿絵の頁には頁付なし。148~150頁[あとがき]として「● 先生やおかあさん方へ*3」。次いで奥付、私の見ている近所の図書館の本には「57,12,10 購入/122150」の印がある。その裏に「*少年少女/現代創作民話全集」の目録、7点で2点めに本書、最後に「**以下、杉みき子、安藤美紀夫、大川悦生、斎藤隆介先生などを予定 A5変型・上製本**」とある。
前回引用した『松谷みよ子の本4』の「初出と底本」には、本書では9題が「未収録」となっていたが、実際にはカバー裏表紙右上の紹介文に、
おじさんの話はおもしろい。ほんとうかうそか、/わからないけど、そこがおもしろい。全国から取/材した民話、伝説をもとに、作者独特の語り口で/描いてみせる「鯨小学校」など19編の連作短編。*4
とあるように、19題しか収録されていない。これは『松谷みよ子の本』の数え漏らしで実際には10題が未収録なのである。詳細は一覧表にして示すことにする。
②松谷みよ子全集 12『おじさんの話――鯨小学校ほか』昭和47年7月8日 第1刷・昭和51年 第4刷(C)・講談社・182頁・AB判上製本
前付はやや厚く白い紙に1頁め扉は紫色と黄褐色の2色刷で左下に「若 山 憲 絵」、2~3頁めの見開き「も く じ」は右頁下部に白狐、左頁下部に白い狸のカラーイラスト、4頁めは下部に明朝体縦組み、黄褐色で小さく、右側に「監修 坪 田 譲 治/関 英 雄」1行分空けて「編集委員 今 西 祐 行/大 石 真/庄 野 英 二/寺 村 輝 夫/前 川 康 男/水 藤 春 夫/ (五十音順)」とあり、左側に「箱絵・口絵・さしえ 若 山 憲/装本・レイアウト 辻 村 益 朗」とある。次いでアート紙のカラー口絵(裏は白紙)は雪女を描いている。48~49頁の間、96~97頁の間、128~129頁の間に、それぞれ偶数頁から始まっている話の内容に合った、同様のアート紙の挿絵が挿入されている。全頁挿絵の頁、それから各話の最後の余白を挿絵で埋めている場合、頁付が入っていない。174~175頁、松谷みよ子「作品覚書*5」、176~181頁、斎藤隆介「鯨小学校*6」、182頁(頁付なし)「松谷みよ子全集第十二巻収録作品の創作年譜」一覧表で示す。次いで奥付、その裏に『松谷みよ子全集』の広告。
③偕成社の創作『鯨小学校――おじさんの話』松谷みよ子 著/西山三郎 絵(発 行 1986年1月 初版第1刷・定価880円・206頁・A5判上製本)
1頁(頁付なし)扉、3~5頁(頁付なし)「もくじ」3頁は扉、6頁(頁付なし)右下に横組みで著者と画家の紹介。7頁(頁付なし)中扉、8頁から本文で小口側下部に算用数字で頁付、但し全頁もしくは小口側半分が挿絵になっている頁には頁付なし。
204~206頁、松谷みよ子「あとがき」は「一九八五年初冬」付、大半は①『木やりをうたうきつね』の「あとがき」の引用であるが小異がある。これについては、次回、その内容とともに検討することにしたい。
次いで奥付、その裏に「偕成社の創作シリーズ」の目録、28点で本書は27番めに見える。
④『松谷みよ子の本 第4巻 童話・詩・全1冊』一九九五年二月二十五日・第一刷発行・講談社・709頁・上製本(20.0×14.8cm)
これは前回も見たところだが395頁(頁付なし)扉、裏は白紙で397頁から本文で543頁まで、挿絵はなくルビも少ない。
さて、収録されている話とその収録位置を一覧にして示して置こう。題は全話揃っている④に拠り、異同を註記した。またそれぞれの順番を、仮に番号を丸数字で附して示し、次いで頁を添えた。
題 | ① | ② | ③ | ④ |
---|---|---|---|---|
鯨小学校*7 | ①6~12 | ①2~7 | ①8~14 | ①397~401 |
こうもりがさのてんぐさん | - | ②8~17 | ②15~26 | ②402~409 |
おせん | - | - | - | ③410~417 |
木やりをうたうきつね*8 | ②13~19 | ③18~23 | ③27~33 | ④418~422 |
油あげときつね*9 | ③20~25 | ④24~29 | ④34~39 | ⑤423~426 |
べにつばき | ④26~34 | ⑤30~37 | ⑤40~47 | ⑥427~432 |
洪水の話*10 | ⑤35~48 | ⑥38~47 | ⑥48~59 | ⑦433~440 |
くちびるをぬう*11 | ⑥49~55 | ⑦48~53 | ⑦60~67 | ⑧441~445 |
日本のおおかみ*12 | ⑦56~61 | ⑧54~59 | ⑧68~74 | ⑨446~450 |
おじさんと うりん坊*13 | ⑧62~67 | ⑨60~65 | ⑨75~81 | ⑩451~454 |
銀の矢 くるみの木の矢*14 | ⑨68~73 | ⑩66~71 | ⑩82~87 | ⑪455~458 |
くまの鳴く声*15 | ⑩74~80 | ⑪72~77 | ⑪88~93 | ⑫459~462 |
からすの話*16 | ⑪81~87 | ⑫78~83 | ⑫94~100 | ⑬463~467 |
サンコ | ⑫88~93 | ⑬84~89 | ⑬101~107 | ⑭468~471 |
山のかっぱ*17 | ⑬94~102 | ⑭90~95 | ⑭108~115 | ⑮472~476 |
年神さまとびんぼう神さま*18 | - | ⑮96~103 | ⑮116~124 | ⑯477~482 |
ウメボシだぬき*19 | - | ⑯104~109 | ⑯125~131 | ⑰483~486 |
ある池のほとりで*20 | ⑭103~109 | ⑰110~115 | ⑰132~138 | ⑱487~491 |
鳥が鳴く*21 | ⑮110~117 | ⑱116~121 | ⑱139~145 | ⑲492~496 |
若葉のころ*22 | ⑯118~125 | ⑲122~127 | ⑲146~152 | ⑳497~501 |
嫁さんのみやげ*23 | ⑰126~131 | ⑳128~133 | ⑳153~159 | ㉑502~505 |
ネス湖の竜は……*24 | - | ㉑134~139 | ㉑160~166 | ㉒506~509 |
ゆうれい | ⑱132~139 | ㉒140~147 | ㉒167~174 | ㉓510~515 |
かえってこないねこ*25 | ⑲140~147 | ㉓148~153 | ㉓175~181 | ㉔516~519 |
黄金の沼 | - | - | - | ㉕520~524 |
おしるこの煮えるまで | - | - | - | ㉖525~528 |
仙人の話*26 | - | ㉔154~161 | ㉔182~190 | ㉗529~534 |
雪おなご*27 | - | ㉕162~167 | ㉕191~196 | ㉘535~538 |
かわいそうなきつね | - | ㉖168~173 | ㉖197~203 | ㉙539~543 |
次回、先述の通り「あとがき」や②の斎藤隆介による解説「鯨小学校」を検討しつつ、内容について見て行くこととしよう。(以下続稿)