松谷みよ子『日本の伝説』(02) (original) (raw)

前回の続き。
・『松谷みよ子のむかしむかし』(1)
前回見た『日本の伝説』全5冊は、先行して刊行されていた『日本のむかし話』全3冊と『日本の神話』全2冊と抱き合わせて『松谷みよ子のむかしむかし』全10冊に改編されている。しかし判型や装幀・内容は殆ど変わらない。違いについては後述する。
一部が切れた墨線の枠で囲われた[松谷みよ子のむかしむかし]と云うタイトルロゴが標題として使われている。これは2種類あって、枠線の切れ方も異なるが、特に目立つ違いは表紙に使用されているもの3字ある漢字が正方形に近いのに対し、背表紙・扉・奥付に使用されているものは漢字が横長に詰めて書かれていることである。枠内の最下部を少し空けて明朝体で巻を「六」の如くに入れる。もともとのシリーズ名は、表紙ではタイトルロゴの下に横長のゴシック体でやや大きく「《日本の伝説1》」と入り、背表紙には最下部に横組みゴシック体で入っている「**講談社」の上、少し空けて青のゴシック体横組みで「日本の伝説⑴」とある。扉では黄土色のタイトルロゴの左側上詰めで明朝体でやや大きく「《日本の伝説1》」と添え、奥付ではタイトルロゴのすぐ下に横長のゴシック体で「《日本の伝説1》**」と添える。巻ごとのテーマは表紙にしか示されない。
出来れば『松谷みよ子のむかしむかし』全10冊を一通り見て置きたいところなのだけれども、今、閉架に仕舞い込まれていることが多い『松谷みよ子のむかしむかし』とその元版『日本のむかし話』『日本の神話』『日本の伝説』を10冊ずつ複数の市の図書館から借り出して、並べて見るのも難儀なので、やはり『日本の伝説』5冊に限ることにする。
松谷みよ子のむかしむかし』講談社・AB判上製本
・六《日本の伝説1》『おばけ・かっぱ・鬼・てんぐの話』丸木位里丸木俊
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷・昭和五十一年 第二刷
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行・昭和五十六年三月 二十 日 第五刷発行・定 価 一五〇〇円*1
・一九七三年十一月 二十 日 第一刷発行・一九八九年 四 月二十六日 第七刷発行・定 価 二〇六〇円(本体二〇〇〇円)
異同は奥付、下部の縦組みと最下部の横組みの箇所に限られるようだ。
第二刷は函にのみ定価が入っていたらしく、奥付や裏表紙などを見ても分からない。第五刷と第七刷は奥付の標題と第一刷発行日の間、子持線の右側に示されている。第二刷は標題の左にすぐ子持線がある。
異同はそれぞれの発行日、発行者が第二刷「野 間 省 一」第五刷「野 間 惟 道」第七刷「加 藤 勝 久」、「発行所」の住所は同じだが第二刷・第五刷は「二-十二-二十一」とハイフンで繋いでいたのが第七刷「二―十二―二十一」と―に、「電話」番号も同じだが第二刷・第五刷「‐」第七刷「―」に、その次に第二刷・第五刷には「振替 東京 八‐三九三〇」があったが第七刷にはない。最後の縦線から後、1行めが「© 松谷みよ子 昭和四十八年」だったのが第七刷は「© 松谷みよ子 一九七三年」とあって、第二刷と第五刷は続いて同じ2行、但し「落丁本・乱丁本はおとりかえいたします。」の1行が第二刷は下詰めだったが第五刷は上詰め、続いて最後に下詰め「(表紙布地は、日本民芸館蔵)」とあるのが第七刷にはない。第七刷は上詰めで小さく3行、

落丁本・乱丁本は小社書籍製作部あてにお送りください。送料小社/負担にてお取りかえします。なお、この本についてのお問い合わせ/は児童局児童企画あてにお願いいたします。

とある。最下部の横組み、第二刷は小さく「Printed in Japan(児1)」の1行のみ、第五刷は1行めに小さく「Printed in Japan」2行めやや小さく「8393-245767-2253 (3) (児1)」、第七刷、1行めは第五刷に同じ、2行め「ISBN4-06-124576-7(児企)」

日本の伝説(2)海のりょうし・山の木こり などの話

・七《日本の伝説2》松谷みよ子のむかしむかし 7『海のりょうし・山の木こりなどの話』丸木位里丸木俊
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行・昭和五十六年七月三十日 第四刷発行・定 価 一五〇〇円
・一九七三年十一月 二十 日 第一刷発行・一九八九年 四 月二十六日 第五刷発行・定 価 二〇六〇円(本体二〇〇〇円)
第一刷の『六』第二刷との異同は、第二刷の1行のところが空白になっていること、「振替 東京 三九三〇」そして最下部「Printed in Japan 8393-245773-22530) (児1)」とあること、この15桁のゴシック数字は裏表紙左下にも入っているが、第二刷以降にはない。
※昭和56年三月と7月の増刷に異同あるか
ここで昭和56年(1981)7月の『七』『八』『十』第四刷と、3月の『六』第五刷『九』第四刷との異同を見て置こう。「発行者」が3月は「野 間 惟 道」だったのが7月は「曾 我 四 郎」、「振替」が『六』『九』『十』は「‐」で繋いでいたが『七』『八』は「―」になっている。左端、『九』は上述の『六』に同じだが、『七』『八』『十』は小さく薄く、

落丁本・乱丁本は、ごめんどうですが、小社書籍製作部あてに
お送りください。送料小社負担にておとりかえいたします。
(表紙布地は、日本民芸館蔵)

とあって3行めは『六』『九』と同様の濃さ。
最下部横組みの2行め、やや小さく、『七』は左寄せ「8393-245776-2253 (3) (児1)」、『八』も左寄せ「8393-245785-2253 (3) (児1)」、『九』は1行めと同じ位置から「8393-245794-2253 (3) (児1)」、『十』も1行めと同じ位置から「8393-245800-2253 (3) (児1)」。
最下部の横組み2行めの、1989年4月増刷分についてもここに纏めて置こう。『七』「ISBN4-06-124577-5(児企)」、『八』「ISBN4-06-124578-3(児企)」、『九』「ISBN4-06-124579-1(児企)」、『十』「ISBN4-06-124580-5(児企)」。
・八《日本の伝説3》『湖のぬし・山になったくじらなどの話』丸木位里丸木俊
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行・昭和五十六年七月三十日 第四刷発行・定 価 一五〇〇円
・一九七三年十一月 二十 日 第一刷発行・一九八九年 四 月二十六日 第六刷発行・定 価 二〇六〇円(本体二〇〇〇円)

日本の伝説(4)きつね・たぬき・ねこ・へび などの話

・九《日本の伝説4》『きつね・たぬき・ねこ・へびなどの話』丸木位里丸木俊
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行・昭和五十六年三月 二十 日 第四刷発行・定 価 一五〇〇円
・一九七三年十一月 二十 日 第一刷発行・一九八九年 四 月二十六日 第五刷発行・定 価 二〇六〇円(本体二〇〇〇円)

日本の伝説(5)お姫さま・殿さま・長者 などの話

・十《日本の伝説5》『お姫さま・殿さま・長者などの話』丸木位里丸木俊
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行
・昭和四十八年十一月二十日 第一刷発行・昭和五十六年七月三十日 第四刷発行・定 価 一五〇〇円
・一九七三年十一月 二十 日 第一刷発行・一九八九年 四 月二十六日 第五刷発行・定 価 二〇六〇円(本体二〇〇〇円)
次回、元版『日本の伝説』と比較して見ることとしたい。
地元の図書館の蔵書は『六』のみ第二刷で、他は第一刷であった。蔵書印は「52,2,16」付で「64614」から「64618」までの連番、第一刷を多く準備してしばらく増刷しなかったようである。
M市立中央図書館蔵書は昭和56年の3月もしくは7月の増刷で『六』のみ第五刷、他は第四刷(『六』3月『七』7月『八』7月『九』3月『十』7月)である。蔵書印は「58,8,31」付。
旧H市図書館蔵書は1989年4月に一斉に増刷されたもの(『六』第七刷『七』第五刷『八』第六刷『九』第五刷『十』第五刷)で揃っている。これはもちろん消費税導入に伴うものであろう。M市立図書館本館蔵書は『六』を欠くが残り4冊は旧H市図書館蔵書に同じ。
やはり『六』=『1』は人気があったらしく増刷のペースが速い。第四刷は『九』がやや先行しているが、第六刷は『八』の方が先に出ている。(以下続稿)

*1:【9月12日追記】「昭和四十九年」と誤入力していたのを他館で借りた第五刷で訂正。以下の記述も住所のハイフンについて「第五刷・第七刷」としていたのを「第二刷・第五刷」と訂正した。