【映画】個人的な2024年に見たダメ映画大賞かも『ディスクワイエット (2023)』の感想 (original) (raw)

2023年公開、『ディスクワイエット (原題:Disquiet)』を紹介/レビュー。

紹介/感想

基本的にはなるべくポジティブな感想を残すように努めているこのブログですが、たまには批判的な視点でも書いてみたい、というか、もうあまりにも自分に合わなさすぎたので笑い話として昇華したい映画に出会いました。それがこの『ディスクワイエット』。

ジャケットからは病院心霊系ホラーの雰囲気が出てますが、方向としてはいわゆるサイコホラーの類で、ナンセンスなシーンの連続で脳みそを揺さぶりながら、考察を楽しもうみたいな映画。

そういうのね、好きなんですよ。一見意味不明なシーンだけどどこか不気味で、なにか重大な引用とかが隠されてて、とかそういうの。でも、この映画は全然楽しめませんでした。

ネタバレありで批判しますよ!

映画冒頭。主人公が交通事故にあったと思われるシーンから幕開け。ストレッチャーで運ばれるシーンの次は、病室で管がつながった状態で目覚めるシーン。眼の前にはベッドに横たわる見知らぬ老人。鳴らしても誰もこないナースコール。

これから何が起こるんだろうとワクワクでした。この寝てるジジイが今後のキーパーソンになってくるのだろうかと。

次の瞬間、突如として襲いかかってくるジジイ。そして容赦なく金属トレーを振りかぶる主人公。最終的には鋭利な金属で首元を突き刺し、更に胸に何発も追撃。

……いや、やりすぎやろがい! と既にツッコミモードに突入。


その後、ジジイは突如としてベッドのうえで元の状態に戻り、さっきまでこなかったナースもやってくる。そこでようやく、なるほど、そういうタイプの映画かと理解。

つまりこれ、サイレントヒル的なあれですね?と。この人物たち常世のものではないとかそういうあれですね?と。

ここまでで10分ですよ。10分。この先いったいどうやってもたせるんだろうかと既に心配になっています。


追加のジジイの猛攻のシーンなんかは恐ろしいものの、次の新たな登場人物が出てきたあたりがまたひどい。適役になるお色気ナース3人組があまりにもひどい。怖くないとかいうレベルじゃなく、呆れ笑いの域に突入しちゃいます。

なんで美人3人組なの? 露出量どういうつもりなの? せっかく顔を潰したキャラクターとか出してるんだからそっちにしなよ!と思いましたが、そうするとモンスターすぎるしそもそもサイレントヒルすぎるので違ったんでしょうか。わかりません。

なぜか四つん這いで追いかけてくるし、扉は全然開けられないし。いやもうなんなのよ!


物語の最重要人物となる女医と老人。老人はまあいいとしても、女医がまた明らかに怪しいし全く意外な展開を巻き起こしてくれない。期待を上回るシーンが全く出てこない……。

特にひどいのが警官のキャラクター。暴力的で物語をかき乱す悪人として用いられているのでしょうが、「黒人相手だからと犯人と見誤る」というエピソードは理解できるとして、その後実の犯人と銃撃戦をしてそいつを殺しているのに、いまだなお黒人を犯人だと思いこんでいるというロジックがそもそも破綻しています。

彼がもともと異常なまでのレイシストであるとかいうキャラ付けならまだわかりますけど、この人、黒人射殺したあとその場にいる女性も含めて全員に銃口向け始めるんですよ。いや、警察官としてのプライドはないんかというか、どういうモチベーションなの?

「脱出しようという意志の強いもの」としてこの警官が用意されているんだとおもいますが、そもそもそこの発想から間違っているんじゃないかという気がしてなりません。なんかもっと、金持ちの嫌味なやつで、商談があるとかなんとか、そういうベースが用意されてないと成り立たないと思うんですよ。

目覚めたら病院だった。脱出できない。脱出するためなら市民も殺す! いや、そんな警官いてたまるか!


物語終盤には、主人公の善性を見せるために用意したとしか思えないとってつけたような少女が登場。

最後の選択の直前に、女医が登場するもあっさり退場。いや、あいつ結局なんやったん?というモヤモヤが晴れぬままエンディング。

結局、生と死の間のような世界にいた主人公たち。果たして最後、主人公と少女は生き返ることができたのか。それは、あなたの解釈次第……。

って、やかましいわ!! どうせなら答えまで描写しろよ!! この映画でそこにぼやけさせても満足できるほどの余韻ないわ!! と全力でツッコんでしまいました。

まとめ

そんなわけで、あまりにも褒めたいところがなかったので、昔なじみのある批評系ブログみたいなことをしてみました。

もちろん、作品つくりには非常に多くの方が携わっていて、心血注いで作られたんでしょうし、あまり悪く言うのは好きではないんですがね。それでもたまにはこれくらい言いたくなることもあるってもんです。

だってこれ、「サイレントヒル」と「サイコブレイク」の真似にしか見えなかったんだもん。画的に褒められるところもなかったんだもん。

個人的にはそれくらいガッカリしちゃった作品でしたが、逆に刺さる人もいるとは思うので、気になる人は是非観てみてはいかがでしょうか。ネトフリ配信中な一作でした。