日米合作 ブロードウェイミュージカル『RENT』(2024)観劇記 (original) (raw)
日米合作 ブロードウェイミュージカル『RENT』を観劇しました。
前回のビリー・エリオット観劇記は観劇から少し時間が経っていたこともあり、
当時の熱量をそのままに書くことができなかった反省があり……
今回は昼公演を見終わってすぐに書き始めています。
概要
日時 / 8月31日(土)昼公演
劇場 / 東急シアターオーブ
座席 / 1F 16列 左ブロック中央寄り(S席)
上演時間 / 3時間弱(途中休憩20分)
キャストボード(キャスト替えないのでちゃんとしたボードは、ない!)
▽ステージ(撮影可)
▽パンフレット 2000円
表紙の文字が「RENT」の文字型に切り抜かれてて、おお~~~。
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あらすじ
公式HPのものはコレ。
とはいえ群像劇特有の人間関係こんな感じ~の概略的なものなので、
引用しながら少し要素を補足します。
舞台は20世紀末のNY-イースト・ヴィレッジ
決してハイソではないけれど、夢と目標に実直に生きる人々が集まる文化の街。
劇中でよく「ラ・ボエーム(La Bohème)」「ボヘミアン(Bohemian)」
というフレーズが出てきますが、まさに言葉の持つ雰囲気通りかなと。
元ネタであるプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム(La Bohème)」が、
80-90年代にあったらどんなお話だろう?という制作の経緯があるそうですが、
未履修なのでそれと関連付けた話はできない!申し訳ない!
日本で例えると高円寺とかが近いかな。大阪だと中崎町かな~。
荒廃したアパートに住み、家賃(レント)も払えず貧しい生活を送るマークとロジャー。
荒廃具合がエグい。映画版でも「エエ~⁉こんなところに人が住めるのか⁉」
と思ったものだけど改めて壮絶な環境。暖をとるためにアパートの中で焚火してるし。
「寒すぎて足の感覚がない!」「家賃なんて払う方がおかしい!」的なセリフがあったり、無銭飲食のシーンもあるんですけど、実は彼らには遠い地にきちんとした家庭があるわけで、まあ…それでもこの生活を選んだわけですから……自業自得ですね……。
でもなんだかんだそんな荒れた生活を送る彼らを見守る街の人々もいるわけなので、
シビアというよりはエネルギッシュな貧困という感じ。
映像作家を目指すマークは女性弁護士ジョアンと付き合い始めた
元恋人のパフォーミング・アーティスト、モーリーンに今も振り回されている。
そこまでヘビーな恋愛関係じゃない。気にするな。
シンガーソングライターを目指すロジャーは、曲が書けず悶々とした日々を過ごしているが、
ナイトクラブダンサーのミミと出会い、互いに愛し合うものの、心はすれ違う。
ロジャーは元々美少年ロックシンガーとして輝いた過去を持っていて、とある理由で曲が書けない。でもどうしても書かないといけない理由がある…というのがこの作品の持つ大テーマと直接関わってきます。そしてロジャーとミミを中心に話は進んでいきます。
共にHIVポジティブのエンジェルとコリンズは永遠の別れを迎える。
ある日、行方不明になっていたミミが手遅れの状態で発見される。
真っ直ぐな気持ちでミミに向きあうロジャーが、
やっと書き上げたラブソングを捧げると…
しっかり2幕の最後までネタバレしていますけど!!!と思うけど。
実際話の展開はあくまで「流れ」なのでこのストーリーを受けて何を考えるか?が大事だという公式からのメッセージなのかなと受け取っています。
観劇の経緯
元々映画版の「RENT/レント」(2006)は見ていて、しかも確か高校時代(白亜紀)とかに見たので物語は知っているけど、あんまり共感できる人間がいね~な……と思ったものでした。それでもOPナンバー的位置づけの「RENT」はかなり好きで、普段からよく聞いているくらい。いいんだよね~めちゃくちゃロックで。
主人公のマークって、一見インテリメガネで育ちの良さがプンプンしているのに、
廃墟みたいなアパートに住んでるし、家賃なんて払ってられるかよ!と見た目と行動がギャップありすぎて大好き。そのマークの良さが出てる楽曲というのもあってお気に入りのミュージカルナンバーでした。
先日の『ビリー・エリオット』のテンションを引きずって、こちらも大好きな『マチルダ』は次いつやるのかな?とミュージカル情報をチェックしていく中で、見つけました。英語で歌う山本耕史のマークを!
前述した通り、「RENT」という作品自体は面白かったけどそこまでかな…と思っていたのでスルーしていたのですが、ゲネプロ映像を見てしまってですね。
英語で歌う山本耕史、すごく良いですやん!!!!!!!すごい!!!
と思って気づいたらチケットを取っていました。
(あとビジュアルが良すぎる この山本耕史好きな人パンフレット絶対買った方がいい めっちゃかっこいいから ホンマ 頼みますわ)
山本耕史さんについて
絶妙に作品をニアミスしてきたので山本耕史さんが舞台に立たれているのを見るのは実は初めてだったのですが、
すっっっっっっごい。私は早く次の山本耕史ミュージカルを観たい。
普段テレビとか見ないからずっと新撰組!の土方歳三で止まってたよ。(昔すぎる)
余裕があるときに過去に遡って作品を拝見したいと思います……。
あとwikiを拝見したのですが、
ものまねレパートリー
携帯カメラのシャッター音
すきま風
ムース
無くなりかけのマキロン
すげぇや。
東急シアターオーブ
文句なし。いい劇場です。
1F前方ブロックでしたが双眼鏡は5倍だと頭から腰元くらいまで入る感じ。
表情がギリギリ見えるかもって感じなので、推しの毛穴まで見たい人は8倍以上を推奨します。
本編
前置きが長くなってしまったのですがここから本編について書きます。
▽ここから舞台本編の内容に触れます(ネタバレ注意?)========
ストーリーについて
十数年前に映画「RENT/レント」を見た際とは結構印象が変わりました。
映画と舞台というフォーマットが違うもので比べるのもなんだか無粋だな…とも思ったのですが、そんなに頻繁にやっている作品でもないので自分と同じように映画しか見ていないという人にも参考になればと思ってあえて書くことにしました。
舞台版の良さ
そもそも映像と舞台では演出の仕方も、キャストによるキャラクターの個性も全然違うのですが、舞台版では全体のストーリーと登場人物の行動の理由を把握できる部分が多くなったなと思います。
映像では複数のロケーションに分かれて別々の人物のシーンを作る必要があるという都合上、作品に一本筋を通すために主人公マークの存在感が大きい。(あくまで私見ですが)
その割にはマークと人の繋がりが薄めで(修学旅行のカメラマンのお兄さんみたいやな~~と思ってた)結局何のためにいたの?という印象もありました。
そして、尺が短いのもあってどうしても描写が足りない人物がいる。
当時はミミって自己中でヤバい奴だな!という印象が強かったのも事実で。
イーストヴィレッジという舞台が持つ意味合いもただの設定寄りに理解していて、だから全体で何が起こっているのか?というのが咀嚼しきれなかったのですね。
で、実際舞台になって見ると同じ板の上で複数のドラマが展開されるので、
あまり描写のなかった関係性が補完され、全体の雰囲気(みんな怒ってるな~悲しそうだな~みたいなやつ)もダイレクトに感じるし、彼らが共有している思想も理解できた。
そして、ボヤボヤしていたマークの解像度も上がるので良い事づくめでした。マークがちゃんと主人公してる!
改めてストーリーに対して抱いた印象
めっちゃみんな真剣に生きてて尊敬しました。(アホの感想文)
色々なものをかなぐり捨ててイーストヴィレッジに生きるということ、
環境がさせるものもありますが、それぞれが相応のしっかりした思想を持っています。
その思想が火花を散らすこともあるけど、それはあまり物事を考えずに生きていると起こりえないイベントなので、ヒリヒリするシーンだとしても自然とかっこいい生き方をしているな~と思える、レベルの高い人間関係がこの作品の大きな魅力だなと。
……レベル低い人もいるけど……。でもそこを一気に昇華してみんなを良い方向に導くのが、おそらくこの作品内で飛び抜けた人気を持つエンジェルの存在ですよ……。
登場人物について
そろそろエンジェルについて語りたくなったので、各登場人物について、キャストさんの印象も含めて。
マーク / 山本耕史さん
まずは主人公のマーク。マークは劇中で最も変わらなかった人物ですね。
これは良い意味でも悪い意味でも。彼は周りに比べて”明らかなアンラッキー”を引いていない方の人間で、深刻なのはお金がないことくらい。支えてくれる人もいる。
ではマークの個性って何?というと、実は周りがめちゃくちゃ見えていない…あんなにカメラを振り回しているのに!
「ボヘミアン」の流儀に一番則っているのがおそらく彼。周りから見ると実は恵まれた環境にいるのにその有難さを捨てて自ら苦しい方向に向かう。それが美学だと思うタイプ。芸術家ですね。
で、”持たざる”人間がマークを見るわけですよ。だってそこにいるからね。
普通の人だったらイラつきますよね。こっちは無一文で稼ぐ手段もなく今にも死にそうなのに、お金のためにこんな映像撮りたくないんヤダヤダ~~~><とか言ってたら。撮れよって思うよね。お金もらえるじゃん。
だから取材先のホームレスのおばさんにも嫌がられるし、持たざる者に対するノンデリ発言が出てしまう……。
マークって「ボヘミアン」「ボヘミアニズム」に対するアンチテーゼなんですかね。
かつては同じように暮らしたロジャーが不幸に巻き込まれても、まだ「映像が~~」とか言ってたからね…ロジャーに寄り添ってあげてよ…
でもマークは根は善人なのが憎めない。
元恋人のモーリーンを奪った相手にも結局真摯なアドバイスをしちゃうし、友人の恋人を憔悴した友人に代わっていの一番に助けにいくし。男前~~!
山本耕史さんについては冒頭触れているので割愛。
ロジャー / Alex Bonielloさん
主人公マークのルームメイト。昔は人気のあったバンドマン。イケメン。
その後荒れに荒れてドラッグに溺れた末、外に出れなくなってしまったひきこもり。
おまけに愛し合った元カノに病気を貰う、死期が近いらしい。
死ぬまでに一曲書きたいんだって。やっぱりマークに近いところあるね……。
もう、ロジャーは終始ショボショボ。しわしわピカチュウ。
生きる気力がないとショボショボしていた時に転がり込んできた(マジで転がり込んでくる)勝ち気な女、ミミちゃんにわずかながら生命力を与えられる。
ミミちゃん、元カノに似てるな~わら とか思いながら惹かれていくわけですが、
自身の病気のこともあって恋が実ってしまったらミミちゃんを悲しませてしまう…と
わざと距離をとるロジャー。なんというかこの時点で不器用ですね……。
なんだかんだ恋仲にはなった後、最終的にミミちゃんの方が危険な状態になるんですが、ここでロジャー選手、喧嘩した後だったので気まずくて逃げます!!!!!!!!!!!(大要約)
結局「なんか俺の知り合いに似てんね わら」くらいしか会話してなかったマークがミミちゃんを助けにいく。前の行動の動機が怪しくなってしまった……。
ロジャーは、短期間で色々な不幸が重なって本当にかわいそうではあるんですが、
なんというか個人的には好きになれないキャラでした……。周りがあーだこーだしている中でずっとショボボン…ってしてるし……ロジャーに関しては良くないところが舞台で逆に目立ってしまったなと思います。
でもこういうクズな男の人ってめっちゃいるよね~と思うのでリアルではあるんだけども。
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演じたAlex Bonielloさんは、おそらく今回のキャストの中では最も世界的な場数を踏んでいる方だと思うのですが、ロジャーとしてオーラまで完全な役作りをされていて。
苦しい時の声がとにかく切なくて美しい、こんなに歌に感情って乗るんだ、と驚きました。
ご自身のアーティスト活動もありギターの音色ひとつですらもロジャーの思考が伝わってくるようで、表現者としてすごいものを見たな…という感動がありました。
ミケランジェロとかキアヌ・リーヴスとかもそうですけど(大雑)
マルチな才能がある方って本当にすごいな~と思います。
モーリーン / クリスタル ・ケイさん
モーリーンはとにかくいいキャラ!!
作中では2人の人間に慕われていますが、それも分かるな~という感じ。
浮気はするけど私可愛いから許してね♡というのが、何故か許される……。
モーリーンは作中の成長が見どころでしたね。元々どうしても人を惹きつけてしまう才能があって、本人はそれを素直に享受している、気持ちのいい人物である上に、
本当に人を傷つけてしまったと気づいた時には、真剣に向き合う……。
愛しいキャラだな~と。彼女はチャーミングですごく好きです。
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クリスタル・ケイさんといえば、「恋におちたら」着うたにしてました。ちなみに相手はオカンです。
元々歌声がめっちゃ好きなんですが、演技も最高でした……。
この作品のコメディエンヌのうちの一人ですが、間の取り方とかも本職でスタンダップコメディをやられている方かと思うくらい、上手い。
自由奔放なキャラを表すがごとく、色々なテイストの衣装を着る役なんですが、どれも似合う。見た目の印象がかなり変わるので、演技と衣装がチグハグになってしまいそうなものなのですが、彼女は一貫してモーリーン。すごい!
途中、ラバーのパンツを履いているシーンがあるのですがよく見たら繋がっていると思っていたブーツの部分に線が入ってて、どういう仕組みなのかが気になりました。
そして華がありますね~~~~~!可愛いのなんの……。眼福でした。
ミミ / Chabely Ponceさん
問題の人物、ミミ。
当時はミミって自己中でヤバい奴だな!という印象が強かったのも事実で。
前述したとおり、映像版では結構ミミのイメージが悪くて正直見るのが怖かったキャラクターです。
舞台版のミミ、こんなに可愛い子だったんだ!という嬉しい発見がありました。
映像版では描かれなかったミミの苦悩、ミミが周りにどう受け入れられているかという補填があったので、ようやく咀嚼できるようになった!
当時はロジャーを振り回すファムファタールだ!!(怒)と思っていたんですが、
今回のミミは良くも悪くも、年齢相応の女の子だなと思いました。
Chabelyさんの演技もあってあどけなさが残ってるミミ。だからドラッグにも溺れるし、一時の感情に任せて説明のつかない行動も衝動的にとってしまう。
最初ミミはロジャーに一目ぼれした認識なんですけど、ロジャーが自分のせいで悩んでいると知った時には自分から姿を消すまでにロジャーのことを好きになっていて、
アアアア~~~~~~!ミミちゃん!!!泣 となってしまいました。
(でもドラッグはよくないよ! そこはロジャーの肩を持ちます!)
ミミちゃんが生きてて…本当によかったよ……。
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Chabelyさん、歌声が透き通りまくっていて、ミミの印象がガラっと変わったのは実はこれが大きいのではないかと思ったり。
レミゼでいうエポニーヌ的な、泥の中で咲く一凛の白い蓮の花みたいな雰囲気を醸しております。声だけで。正直こんな繊細なイメージをミミに抱くと思ってなかったです。
だからミミがあっけなく命を落としそうになる時、冒頭持っていたロウソクの火が同時に浮かぶようで、強い風が吹いたら本当に消えてしまう…という焦燥感がありました。
あと表情がよく動いて見てて楽しかった!ミミは結構ダークなメイクをしているのですが、それでもってキュートさは常にあって。Chabelyさん素敵~!
エンジェル / Jordan Dobsonさん
ついにお待ちかねのエンジェルです。まさにエンジェル。
エンジェルがみんなの寿命を伸ばしている。
映像でもかな~り好きな人物で、めちゃくちゃ楽しみにしていました!
本当にミュージカル作品全体を通しても大人気のキャラですし、RENTといえば一番に名前が挙がると思うのでみなさんの期待値は相当高かったと思います。
そのプレッシャーの中で見事なエンジェルを演じられたJordanさんすごすぎる……。
エンジェル、相変わらず、エンジェルでした。エンジェルマジエンジェル。
彼女に関してはもう数えきれないほどの人が、私なんかよりも素晴らしい言葉で想いを綴られていると思うので今更言うことあんまりないな~と思ったりはしますが。
映像版のエンジェルは「犬が窓から飛び降りたの!」のセリフの時ちょっと怖いんですよね。(まあ、セリフ自体が怖いが)
舞台のエンジェルは、「犬が☆☆☆飛び降りたの☆☆☆」みたいなちょっと不思議ちゃんテイストが混じっていて、エンジェルとしての魅力は変わっていないけど、こういう解釈もあるんだ~!と感心しました。
エンジェルは終始明るくて、優しくて、ひたすらハッピーな人柄なのは分かるしその時点で愛されることは確定なんだけど、
お葬式のシーンで各々が口にするエンジェルとの大切な思い出を聞いて、
エンジェルのハッピーはただの雰囲気じゃなくて、一見不幸なこともエンジェルが行動したからこそハッピーに変わってきているということが明るみに出るんですよね。
ただのポジティブだけでは噛み砕けないエンジェルの強さが大好きです。
ラストでみんなの元にエンジェルが帰ってきたとき、思い出すだけでああ~~~~~~~~~泣
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Jordanさん、相当なプレッシャーの中で素晴らしいエンジェルを演じられたと思います。
映像のエンジェルは聖母のような印象だったのですが、Jordanさんのエンジェルは少女姿をした天使に近い印象。
目がくりくりしてて視線もよく動くの、わ~!生きてるエンジェルだ…と冒頭から感動しました。
エンジェルはモーリーンと同じく衣装がコロコロ変わるキャラですが、
「エンジェルの着た服が流行りの服になる」というセリフにも説得力がある、みんなの憧れの存在というオーラもお持ちでした。
亡くなる前のエンジェルは地味なパジャマ姿で髪も短いのですが、それでもしっかりキュートなエンジェルのままなんですよね。あれはすごい。
エンジェルが好きだからRENTを見る!という人も一定数いるんじゃないかな~と思うのですが、Jordanさんのエンジェルも個性的で素晴らしいエンジェルなので是非観てほしい!
コリンズ / Aaron A. Harringtonさん
コリンズが歌うと、シアターオーブがBlue Noteに変わる……。
コリンズ、エンジェルと並んで映像から”聖域”ポジションだったのですが、
とりあえず歌い始めた瞬間に度肝抜かれた。
もうそりゃみんな一流のミュージカル俳優なのでレベルが高いんですけど、
コリンズは異質。声の深さと響きが立体的すぎる。例えるならコリンズだけDolby Atmosで聞いてるみたいな感じ。どうなってるんですかね……?
コリンズも映像のころからお気に入りのキャラクターです。
無政府主義者のアナーキストである側面もあるけど、それですら作中最もまともな人っぽいし、エンジェルの恋人だし。彼らの純愛は落ち着いて見られるし。
陳腐な言い方をするとお父さんポジションとして絶大な包容力を見せつけ、
コリンズになら俺たちのエンジェルを任せられるぜ…!という安心の人物。
ところがどっこい、舞台版のコリンズ、色気がヤバすぎる。雄だ。雄です。
上にある声の影響もあるとは思いますが、めっちゃイケメン……!!!
すみません、もうコリンズは良い奴というのが周知されているんで難しいことはすっ飛ばして直感的なことしか書きませんが、本当にかっこいい~~~~~~~~~!!!
スパダリのコリンズとエンジェルちゃんの恋模様は純粋なラブストーリーとして脳に直接訴えてきました。ドキドキした~~~!!
映像版の2人はエンジェルの死の過程で描かれる人間ドラマ色強めでしたが、
舞台版はときめき成分が多めでこれはこれですごく良かったです……!!!
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Aaron A.さん、かっこよすぎ。
Blue Note感確かめたい人は
をどうぞ。
ジョアン / Leanne Antonioさん
正直自分の中でのMVPはこの方です。というか舞台版でもうとんでもない株の上がり方をしています。コリンズを褒めちぎった後で恐縮ではございますが、主役級の存在感でした。いや、みんな主役なんですけど。映像版から舞台版を観てこの方にびっくりした方たくさんいると思います。
何がいいって、キャラが立ちすぎなんですよ。トップガン・マーヴェリックでいうハングマンみたいな、シン・ゴジラでいう石原さとみ的な方向性の良さがある。(分かって~~!)
バリキャリで強い女性なんだけど、恋人に浮気されてもうダメでござる~~~~~!みたいな演技がめっちゃ可愛いんですね……強いところと弱いところのギャップが大きいんですがあざとさは感じさせず、きちんとその人のパーソナリティとして成立していて、自然にみんな愛しちゃうような感じ。だからいろんな人から鬼電くる。たまには休んでね……。
ジョアンは歌うシーンが結構あるんですが、ヒステリックともいえる性格の声は保ちつつも心地のよい歌い方をするのが不思議。後半は結構ジョアンのことを追っていたなと思います。ジョアンも綺麗なんですよね~あんまり大人の女っぽい表情をする人物がいない(みんな夢追い人なので…)中で、ジョアンはいい意味で目立つというか。
あと、本当はこんなに働くの嫌だけど!!!頑張ってるの!!!でも働くの結局楽しいかも!!!みたいな謎の社畜マインドに大共感。
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Leanneさん、ミュージカル好きが絶対好きじゃん!という歌い方をされるのですが、ライオンキングに出演されていたんですね…何それめっちゃ見たいんですけど…
とにかく歌詞が聞き取りやすい。歌うように喋るという表現がありますが、喋るように歌ってる。こんな感じで。
ベニー / Aaron James McKenzieさん
ベニー、めっちゃいいキャラなんですけど登場機会が少なすぎる!
必要なときにお金を払うあしながおじさんみたいになってるやん!
でも、イーストヴィレッジの民を見守る保護者的なポジションで
この人物もいると安心感マシマシ、という…。
元々はマーク・ロジャー側の人間だったのが、ある種”脱出”に成功して、
でも元のマインドを持ちあわせているという…もっとそういった部分を観たかった。
もったいない。絶対みんな好きなキャラなのにね。
トイレ我慢するからもっと尺伸ばしてベニーの描写増やしてください!涙
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Aaronさん、スポットライトが当たる回数が少なかったのであまり感想を書けないのが本当に悔しいんですけど、個性的なベニーの装いをかっこよく着こなしていてよかったですね…たまたま金持ちの娘と結婚しただけで親の心子知らずの苦労人ポジションに転換してしまった一種の不憫さをよく醸していらっしゃいました…。
本作のテーマについて
全ネームドキャラについて感想を述べたためもう息切れ気味ですが、最後に本作のテーマについて触れます。
(これはひとそれぞれの解釈があると思うので、あくまで個人のボヤキとして…)
まず様々なテーマがある中で人によって強く感じるものが違うと思うんですね。
ある人は「愛」だったり、「夢」だったりすると思いますが、自分の場合は「時間」というテーマを今回深く考えることになりました。
今更かい!って感じなんですが、本作で最も有名であろう楽曲が2幕冒頭の
「Seasons of Love」。
CMとかにもよく使われているのでRENTを知らなくても知ってる人は多い楽曲かな~とは思います。
人生という有限な時間をどう解釈して生きていきましょう、という内容のいい曲なんですけど、「How can you measure the life of a woman or a man? -人生をどう数える?」という歌詞が今回の観劇で刺さりました。
本作では惜しくも若くして命を失う運命にある人物が複数いるのですが、
若いから死んじゃってかわいそう、とかは全然違うな~というのがあって。
実際にエンジェルが死んじゃったときは悲しかったんだけども、エンジェルは自分が満足するだけの愛を全力で人に与え続けたからこれがエンジェルの人生として腑に落ちるというか。悲しいけどかわいそうで終わらせたくないというか……。
プラス、一番チグハグな印象がある主人公マークを咀嚼するのにすごく長い時間がかかってしまいましたが、彼にとっての死は、撮影の締め切りみたいな認識なんだろうな~と。
実際、いい作品を撮影して、〇〇になるぞ!とかは言ってないので、本当にいい映像が撮れたらいいんだな……。
彼には社会的な恵みもついてきていて、それを無下にしているように見えるけど、
彼にとっては本当に無駄なものだったから捨てただけのこと。
この価値観のピーキーさに最初は受け入れがたい~とか、思うんですけど(というか今も普通に思っている)人それぞれの尺度ということでなんとか理解が追いつきました。
これも全部エンジェルのおかげ……。
とはいえ、社会を撮影するのであればある程度社会の規範に沿うべきだなとやっぱり思う……。難しい問題ですね。
マークはサバンナで動物とか撮った方がいいと思う。
で、締め切りといえばOP楽曲の「RENT」ですね。家賃の締め切りに追われているけど、最終的にはそんなもん知らん!とマークが言い飛ばすシーン、そういう彼の人生観が実は冒頭から現れていたのかな~とか思いました。
長くなってしまったので、おわり。