第3回会津磐梯山ウルトラマラソン(2024/6/16) これぞ天下の磐梯山!裏磐梯・猪苗代湖巡りで強くなれ! (original) (raw)

"会津に行ってみたいなぁ"という軽過ぎる気持ちで参加しましたが、今までで一二を争うくらいきつかったです。磐梯山ジオパークの誇る厳しいコース、後半容赦なく降り注ぐ日差しと吹いてくる熱風、更に身体を冷やす手立てがないなど、初心者にはとてもおすすめできないハイレベルな要求事項が並んでおりました。世の中ではよく、“ここを走れればどこでも走れる”という言葉が聞かれますが、正にその言葉が当てはまる大会だと思います。並の100kmでは達成感が得られないという方には是非挑戦していただきたいところです。(出走人数:246名 / 完走者:143名 / 完走率:58.1%とはなかなかです。)

www.powersports.co.jp

覚悟はしていましたが実際に走ってみると、悠久の時の中で火山が形成した地形がいかに厳しいのかを思い知ることになります。急かつ長い坂も多くて、走り倒すのは結構骨が折れます。その分、上った先には絶景が待っていますので、“上ってよかった!”と思うことも一度や二度ではありません。ほとんどずっと見えている(あるいはその気配を感じている)磐梯山との対話の一日でもありました。

湖は実はそれほど見えず、“その姿を見ながら下る”のではなく、主に“その姿を見てから下る”ことになります。高い位置で見られるスポットは少ないので、止まってでも写真を残しておくとよいでしょう。近くからもよいのですが、高い位置からの姿はまた格別です。

前半は山の中で木陰も多く、更に曇っていたので快適だったのですが、お昼前くらいから完全に晴れてしまい、その光と熱の中を上ったり、日陰のない道をひたすら進んだりします。被り水など勿論ありませんしドリンクも常温なので、身体を内外から冷やすこともできず、ただ耐え続けました。自販機やコンビニで何か買えればよかったのですが、リサーチ不足でした。

エイドでは特産品も登場し、おにぎり(おこわが特にうまい)、ガトー塩っこら、塩羊羹、甘酒、塩麴唐揚げ、笹団子などをおいしくいただきました。フィニッシュ後のお蕎麦もそうですが、やはり現地で食べるものは、都会で食べるよくわからないものに比べて圧倒的にうまいです。

これだけの山岳コースともなると運営も応援も大変過ぎるのですが、山の中でも日陰のない道路でも、交差点の信号待ちでも応援していただけて本当に力になりました。観光案内所の職員さんがサイクリングロードの終わりで誘導して下さっていたと翌日に知った時は、胸が熱くなりました。

走りは、最初は観光気分で呑気に走っていたのですが、途中で“これは本気を出さないと危険なやつだ”と察知したため、ダメージを抑えつつギリギリ10時間を切る体感と力配分を重視しました。低血糖と暑さで頭が働かなかったのですが、2019年の白山白川郷ウルトラ100kmで34℃の中耐え抜いた経験が支えてくれました。エイド以外は歩くことなく走り続け、今日でまたちょっとだけ強くなれたかなと思います。
(9時間51分台、137bpm, 171spm, ストライド1.01m, 上下動比6.8%, 上下動7.1cm, 左右接地時間バランス48.2%:51.8%, 接地時間256ms)

折角の初会津なので、翌日は亀ヶ城公園や土津神社を散策したり、レンタサイクルで猪苗代湖畔を走ってから遊覧船はくちょう丸に乗ったり、天鏡閣会津民俗館を見学したりと存分に楽しんできました。会津のべこの乳製品も色々と味わい、大満足です。

猪苗代、磐梯、北塩原の皆様、この度は走り応え満点の大会で支えていただき本当にありがとうございました!会津は奥が深いので、また遊びに行きたいと思います!

東北のウルトラで超おすすめなのが秋田内陸リゾートカップ100kmです。ババヘラアイスと笑顔は最高です。

savarun.hatenablog.com

いわて銀河もその名の通りのスケールの大きさを感じられる大会です。やはり東北の山々は量が多いです。今振り返っても出てよかったとしみじみ思います。

savarun.hatenablog.com

今年の100kmはあと一本、笹団子、手打ち蕎麦、海賊汁などとにかくエイドが豪華過ぎるえちごくびき野です。超楽しみ。

savarun.hatenablog.com

続きのページには、どこよりも詳しいであろうコース解説や無駄に長い観光情報など、赤べこのように粘り強く綴っています。大会に関わって下さった方に、わざわざ遠征してきてこれだけ楽しんだランナーがいるのだと伝わると嬉しいです。

コメント、スター、↓のバナーなど、何でもいいので反応をいただけますと、私の脳内に新たなジオパークが形成されます。次回予告は“蓮の花咲く早朝の郷”です。

にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ
にほんブログ村

前日

7年ぶりの福島へ(郡山経由)

金曜夜もいつも通りの食事で普通に眠り、7時頃起床です。朝食は金沢白麹の豚汁をサッと作って柔らかな甘さを堪能します。別所の金澤マドレーヌも温めるとバターの存在感がグッと増してうまいです。お箸、スプーン、箸置きは輪島のものです。

石川の味をよろしくお願いします。

11:50伊丹発→12:55福島着のIBEXで移動です。往復27,680円はまずまず安い方だと思います。珍しく窓側の席にしたのですが、途中文字通り突出した巨峰が一つだけあり、一人独特の緊張感を持ちながら眺めていました。当たり前過ぎることですが、上っている時は坂と段差と岩と砂しか見えないのですが、それが積み重なるとあんな頂までいけるのかと、離れて見ると本当に不思議に感じます。

70人乗りで荷物棚も小さいです。

やるしかないですね。なんとしても。

福島の大地が近づいてきました。

13:10福島空港発→13:50郡山着、14:15郡山発→14:52猪苗代着です。合計1,700円程ですので、距離の割には交通費は抑えられました。

赤べこのように粘り強くあれ。

須賀川といえば円谷監督です。

移動中は鈴木大拙『日本的霊性』を数年ぶりに読んでいました。日本人の中で古くから培われてきたものの感じ方があったからこそ浄土教や禅が独自の発展を遂げたという内容で、鎌倉仏教に重きを置き過ぎていることや、各国固有の文化を説きつつも日本を上位に置くような記載があることはどうかと思うものの、太平洋戦争に否定的だった大家の代表的著作として得るもの、感じるものが多いです。

往復チケットを買うことにより140円も節約できました。お菓子代になります。

郡山では乗り換えの時間をフル活用し、駅のサンエトワールさんで郡山のソウルフードクリームボックスと、食品館ピボットさんで会津のべこの乳をゲットできました。クリームボックスはデニッシュ生地に甘いクリームが思い切り塗ってあるのですが、パン生地が意外としっかりしていたこともあっておいしく食べられました。会津のべこの乳は低温殺菌ですから非常に滑らかで飲みやすいお味でした。

福島のご当地フードで幸先よく出発です。

郡山から猪苗代までは二両編成の電車ですが、はぴらいん福井とは異なり、すし詰めで乗れない人はおらず、私も最後の方は座ることすらできました。

ローカル線はいつもときめきます。

猪苗代

猪苗代駅から受付へ

郡山に着いた時点で分かっていましたが、やはり猪苗代も暑いです。かなりの暑さと言ってよいでしょう。とりあえず少し遠回りでもまだ日陰がありそうなメインストリートを歩き、街の景色も感じ取ります。

おすい?おすい?(分かる人向け)

工房ポプリさんは、15時過ぎともなるとほとんど売り切れ状態で、人気の程が窺えます。パリパリサルサは前腕並みの長さですが、これが結構おいしくてたったの150円というお買い得品でした。

見た目のインパクトだけでなく、しっかりおいしいのが偉いです。

完売でしたが気になる存在です。

受付会場のカメリーナは建物も立派でしたし、周囲の公園もきれいに整備されていました。ただし遮る物がないので日差しは容赦なく降り注きます。噴水コーナーだけがオアシスでしたが、子供の遊び場なので、ある程度の年齢になると暑さを耐え忍ぶしかないだろうなと思いながら歩いていました。

磐梯山がずーんと構えています。

こちらがカメリーナ。大きくてきれいです。

受付は非常にあっさりしていました。必携品のマイカップを忘れてもここで買えるのでまだ諦める必要はありません。大会Tシャツはなかなか渋みがあって好みです。参加人数的にレアですので、是非練習で積極的に着用してアピールしたいところです。

この簡素さが大会の厳しさを予感させます。

観光案内も興味深く拝見しました。

お宿

やまなかやさんにお世話になりました。会場からほど近い上に素泊まり二泊で11,200円、大変良心的な価格設定です。そもそもお休みの時期にもかかわらず、ランナーのために特別営業して下さっているだけでもすごいことです。到着後笹団子までサービスしていただき恐縮です。

磐梯山の麓に民宿エリアがあります。

笹の香りもよかったです。えちごくびき野も楽しみです。

部屋が広く畳も香っていて快適そのものですが、一人で使わせていただくには申し訳ない気すらします。ウェアを広げて置いておけるので、翌朝の準備が非常にスムーズで助かりまくりです。確か大会の宿泊プランの所から辿っていったと思います。2/25には予約を完了しています。

これは4人部屋でも余裕でいけます。

冷蔵庫以外にステップマシンもありました。

夕食

宿からは少し距離がありましたが、喜源さんにしました。禁煙のお店を厳選し、明らかにおいしそうだったのでお邪魔したところ、期待を上回るおいしさで大満足です。みそかつ定食は中に味噌が入っているのですが、揚げ具合といいお肉の厚みと柔らかさといい、絶妙のもので、腕が光っていました。

間違いなく名店です。営業時間が短いのでご注意を。

夜は17:00開店で17:30頃に到着したのですが、一人だったのでカウンターに入れました。席数が少ないので、複数名で行くと待つことになるかもしれません。そもそも4名以上はご遠慮くださいとの注意書きが貼ってあったくらいですし。

会津のべこの乳もうひとしぼりやヨーグルト、卵、チーズなどを仕入れて宿に戻りました。ご当地牛乳やヨーグルトはこの機会を逃すと手に入らないので、連泊のチャンスはフル活用します。リオン・ドールさん(CGCグループなので金沢のマルエーやニュー三久との親近感も)ではパンも買い、うち二つを食べてお腹も充たされました。21:30頃消灯です。

夕方の街もよい感じです。

「あの子」の悲しい逸話も胸に抱いていただきます。

レース当日

レース前

ギリギリまで寝る方がよいので、3時40分に起床しました。ウルトラあるあるとして、移動のバスが早すぎて2時起床という展開もざらですので、こんなに恵まれた環境があるものかと朝から感謝です。

もっと食べておいてもよかったですね。

荷物預けは4:45までなので、そこに間に合うように移動し、そこも問題なしでした。全てがスムーズです。晴れると暑くなるのは自明ですが、ありがたいことにスタート前は曇っており涼しいくらいです。

前回前々回優勝の正岡選手の、“80km、90kmの上りは覚悟していないとしんどいかも”という言葉を胸に刻んでスタートを待ちます。

朝は涼しかったです。曇りさえすればいい風も吹きます。

【ちょっと真面目な話】

練習

二週間の流れは以下の通りでした。全く調整しませんでしたが、大会のきつさを考えると、もう少し量を落としておいた方がよかったと思います。

日曜:千歳JAL国際マラソン(3時間16分台)
月曜:スロージョグ4.5km
火曜:スロージョグ、懸垂逆上がり、懸垂
水曜:有酸素ジョグ60分(11.2km, 117bpm, ライトレーサー4)
木曜:朝有酸素ジョグ37分(6.9km, 118bpm, ズームフライ4)夜健康ウォーキング60分(6km/hからビルドアップ)
金曜:閾値走5km(19:49, Hanzo R)、夜健康ウォーキング60分(6km/h)
土曜:有酸素ジョグ110分(休みあり、ハイパースピード2
日曜:野田山6本(8:30~7:40, エンペラー2)
月曜:オフ
火曜:朝有酸素ジョグ63分(11.9km, 128bpm, ライトレーサー4)、夜健康ウォーキング60分(6km/h)
水曜:閾値走5km(20:11 Hanzo R)
木曜:朝有酸素ジョグ52分、懸垂逆上がり、懸垂、夜トレッドミル30分(7km/h, 15%)
金曜:有酸素ジョグ41分(7.8km, 128bpm, 188spm, ズームフライ4)
土曜:オフ

装備

シューズは奥熊野いだ天以来のズームフライ5(28.0cm)です。少々重くピッチもやや出にくいのですが、分厚くて脚へのダメージが少ないため、終了後も何日も終わったことを引きずらないのが魅力です。唯一の難点はアッパー中央部の素材がスポンジ状で破れやすいことで、きつく締めるのが好きな私のせいで二足連続でちぎれてしまいました。

身体に優しいシューズなのは間違いありません。

アンダーアーマー半袖、バイオギアタイツ、初登場のTIGORAアームカバー以外はフルと同じです。アームカバーは涼感を売りにしたものでよさげだったので買ってみました。

補給のため、ジェルなどを持っておいた方がよかったと思います。

持ち物

イカップは必携です。これがないと手酌になります。ジェルフラスクも一つ持っていきます。途中で摂取し易いよう、アミノバイタルも二つ持参します。ライトは18時以降も走る場合は必要ですが、明るいうちに終わるので不要と判断しました。スマホはジッパー付きのジップロックに入れておきます。

60km地点行きの袋には、経口補水液、日焼け止め、替えのアミノ酸アミノバイタル、終了後用のアミノプロテインを入れておきました。

レース

序盤~前半

まずは朝の柔らかな光に照らされながら、田園風景の中を進みます。常に磐梯山に見守られながら走る旅路の幕開けです。

終盤でまたこの景色に出会うことになるのです。

長瀬川傍の猪苗代町運動公園には、楽天の野球場もありました。

水田も見事なまでの日本の原風景です。

北上する時間もそれなりに続き、段々と磐梯山の横側へと回り、前方にはまた深い山が見えます。そこに分け入っていくのかと思うと冒険心がくすぐられます。

行く手に見えるあの山の先まで行けるのです。

裏磐梯へと向かう時間です。さながら横磐梯。

何と言うか、東北の山は”量が多い”ですよね。大きくて重みがあると言いますか。それが随分近くに迫っているので、他所の地域とは違う趣があります。

単にでかいだけでなく、分厚くて重そうなのです。

早々に信号待ちもありました。その後すぐに11kmの酢川野エイドです。こちらでお水をいただき、マイカップの使い心地を確かめます。この辺りはバスも通っていて、民家の数も多かったです。

商店街もちょくちょくありました。

全体で数か所ですが信号はあります。

まずはこちらで一休みです。

エイドの後は少し上りますが、すぐに終わります。

今年も日本全国でこういう景色を沢山見られました。

この先おそらく13kmくらいからはお楽しみの上りです。疲れるので私も好きではないのですが、上りに最適な練習といえば上り坂を上ることですので、ここは絶好の機会です。たくましいフォームを探求する必要は一切なく、“これくらいの体感なら止まらずに進み続けられる”という感覚を磨くのが主目的です。斜度10%なら仙骨意識で問題ないと確認できました。

1枚目からトンネルまでは7分程でしたが、上りはその前から始まっています。

多分ここで200mくらい上るのでしょう。トンネルまで至れば一区切りです。その後も少し下ってはまた上る展開で、あまり楽ではありません。16kmのウォーターステーションは水のみですが、十分です。この辺りから、左に秋元湖の姿がちらちらと見えるようになります。

橋の上では笑顔のカメラマンさんに撮影していただきました。

橋の上からの眺めはいつだって素敵です。

この辺りも全体に上り基調だと思って間違いありません。

ガーミンさんの高度計785m辺りで一瞬落ち着きます。

呼吸が乱れない程度の力で進んでいくと、22kmエイドの中津川渓谷レストハウスに至りました。常設のトイレもあるので、ここで一度立ち寄っておきます。

標識が見えてから5分くらいでしょうか。

ここのトイレは使いやすかったです。

給食でおにぎりがふるまわれますので、ありがたく頂戴しました。おこわが具材も豊富で特においしかったです。水分補給もしっかりしてから出発です。

おひとり様一つずつです。

肉も入っていて満足感が違います。

レストハウスがあるくらいですから当たり前なのですが、この先少し行ったところで中津川渓谷が見られます。紅葉でもないですし、橋の上からは上手く撮れなかったのですが、“ここが名前だけは聞いたことのあるあの!”という喜びはありますね。

案内のすぐ先には橋が架かっています。

こんなに奥深い場所を走れるなんて、恵まれた人生です。

その先の磐梯吾妻レークラインでは、またたっぷり200m程上ります。途中斜度10%標識も登場しますし、ここもまた結構長いのです。ピークかなと思って油断させておいてそこからまた数分上るということを繰り返します。

写真では伝わりにくいですが、しっかり上っています。

中津川渓谷から15分程。高度計は973m。左手の景色は素晴らしいです。

このまま下りかと思いきや、10%標識のお出迎えです。

それでもどうにか淡々と進み、自分のリズムを探していきます。磐梯山の北側は「裏磐梯」と呼ばれる地域になるのですが、緑も多く、時折見える湖沼がまた清々しい気持ちにさせてくれます。1888年磐梯山水蒸気爆発で山体が崩壊して沢山の湖沼群ができたとのことです。

今度こそピークです。山体崩壊の跡が見えているのでしょうか。

大体標高1,000mくらいでピークです。せっかく200m上ったのにすぐに200m下るという勿体ない展開ですが、ウルトラとはそういうものです。下り始めの辺りに「三湖パラダイス」という標識があったので、察しのよい私は、“ここで見ておかないともう見られないのでは”と理解し、コースアウトして上からの姿を見届けておきました。

ここから小野川湖を是非。秋元湖と檜原湖も近くで見られるはずです。

下りの途中で斜度10%表示も見ました。爽快な時間です。

上は涼風峠、下は小野川湖です。走りながら撮る技術よ。

しばらく下り、一段落したところで、右手に小野川湖を感じながら進んでいくエリアに入ります。ペンションやコテージが並ぶリゾート地区がこの先も時々現れるのですが、確かにこれくらい日陰もあって風も涼しければ避暑地として成り立つと感じました。

28kmの給水所までは下りです。

景観に馴染む茶色いセブンイレブンを見て、会津にいるのだと改めて感じます。この途中で一か所、私設エイドを用意して下さっていた方がおられ、折角なのでとタンクの水をいただいたのですが、これが非常に冷えていておいしかったです。今日一番の冷えでした。

京都のローソンやマクドを思い出します。

エイドの少し手前で、小野川湖畔を走れます。間近。

33kmの休暇村多目的広場では、一口ガトー塩っこらやバウムクーヘンをいただき、会津山塩ようかんは走りながら食べて元気を出すことにします。塩が前面に出てくる感じではなく、より甘さを引き立てたり、うまみを加えたりするところで力を発揮していました。エイド到着時で3:12:59でした。

こちらで裏磐梯の味を楽しむと共にお腹も充たしてあげましょう。

中盤

天気はどんどん良くなっていきますが、まだ木陰もあり、風も暑くはありません。山の中はキャップも腰のポケットに収納したままでしたが、ここから先は使用しています。往路のランナーさん達と道路を挟んですれ違い、信号待ちを経て少しずつ上り始めます。磐梯山噴火記念館、磐梯山3Dワールドと気になる施設が両脇を固めます。

ペンションもあってリゾート地に来た感が湧きます。

往路の皆様とすれ違います。頑張りましょう。

気にならない人などいないでしょう。

この先は徐々に上っていて、「ゴールドライン」という不穏な標識も見えてきます。この辺りでガーミンさんの標高は811m。この先400m弱上ることになります。実際にゴールドラインに突入するまではそこまでの傾斜ではないので、前にいた方の背中もどんどん遠ざかっていきました。

正に序の口というやつです。

檜原湖遊覧船乗り場もあり、コースアウトするか迷いましたが、道路を横断することになるため我慢しました。リゾート地を訪れても高貴な遊びに興じることができない星の下に生まれたのだと納得して進みます。

すぐ向こうには檜原湖が広がっていましたけど。

ゴールドラインが本気を出すのは41kmのウォーターステーションを過ぎてからの4km程です。ざっくり350mくらい上りますが、とにかく長いですし、何度も嘘の最終コーナーに心を挫かれそうになります。

ここから嫌な予感が現実のものとなります。

見た目にも急坂だと分かります。

な、長い……。

GPSで42.19km時点で4:02:12。サブ4ならずです(上っています)。

そこから更に4分程後の光景です。上っています。

本格的に上り始めてから望湖台までで20分程かかり、結構上ったかなと思いきやこがね平まではまだあります。時に応援の声をいただきながら何とか走り、こがね平エイドに着いた時は嬉しかったのですが、更に実はそこから最高到達地点の海抜1,200mまで100mくらいは上るという事実を知った時には“やはりジオパークは甘くない”と思いました。まあガーミンさんの高度計的に覚悟はしていましたけどね。

やっと望湖台です。しかし湖を望む余裕はなし。

こがね平まではまだ上ります。

このエイドでも一口ガトー塩っこらをいただきます。そしてここで悟ったのですが、ホットコーラもホットアクエリアスも甘過ぎて飲めないし、この先もどうやら水に頼るしかないという事実が待ち受けていました。いかに普段のウルトラやフルで甘やかされていたかを実感する瞬間ですが、感じ入っていたところで事態は改善しませんので、“早く終わらせないとまずいことになる”ということを頭に置いて再出発です。

ここで地元銘菓は嬉しい限りです。

エイドの出口で磐梯山を撮っておきましょう。

この先の上りも心拍数は上がりつつもゼーハーはならないレベルで、とにかく走り続けられるペースと動きを続けるのみです。どうせそのうち終わるのですから、騒ぐことなどありません。エイドから5分程行くと、ようやく待ち望んだその時が訪れます。

GPSでは45kmくらいです。やっと休めます。

待望のピークを過ぎると、もう何の不安もなく下っていくばかりです。左手にちらちら見える猪苗代湖がいつその全貌を明らかにしてくれるのか心待ちにしながらのご褒美タイムです。磐梯町に入る頃にはとっくにフラットから下りになっていたと思います。

駐車場はフラットですけどね。

今度はひたすら下っています。これぞウルトラ。

幻の滝の表示の奥には熊出没注意の看板があります。「幻の滝」と言っても、見えなかったりするわけではなく、沢山の名もなき滝があるとのことです。

幻の滝入口付近でも応援が。ありがとうございます。

熊はおそろしいです。くわばらくわばら。

幻の滝給水所は51kmということになっていますが、GPSでは50kmに至っていなかったので、“今日は少し短くて済むのかな”と都合のよいことを考えたりします。しかしこの淡い考えが後に心理的プレッシャーを強める一因になります。ともあれ後半は前半程の上りはないため、“サブ10はいけるでしょうね”などと調子よく話して再出発です。

今思えばいわて銀河の時も似たような展開でした。

ランナーの走行にご協力いただきありがとうございます。

この小さな橋付近で50kmでした。5:48:58ですから速くはありません。

ここから56kmのウォーターステーションまではひたすら下りで、途中猪苗代湖を一望できる絶景スポットもあります。しかし例によって数は限られているので、少々大回りになってでも駐車場に入って貴重なその姿を残していきます。遠くに広がる猪苗代湖の青さは何と美しいことでしょうか。

この姿をずっと待っていました。写真より遥かにきれいに見えます。

わかり易い撮影スポットもあるので、お見逃しなく。

急カーブの連続で少し下るごとに向きが変わるのですが、磐梯山が目の前に迫ったり、今度は猪苗代湖が見えたりと、非常に喜びと驚きに満ちた時間でもありました。身体一つで走って来た者のみがその最中にいられる、どんな詩人も富豪もハリウッドスターも感じることのできない、自分だけの確かな瞬間です。

方向転換する度に景色が一変します。

空の青も山の緑も花の黄色も、最高じゃないですか。

56kmのウォーターステーションから先もまだ下りは続きます。何だか日差しが強くなってきて、吹いてくる風も熱を含んでいますが、下りであれば危機感はありません。下りは楽だぞと調子に乗っている時間です。

まだ少しは下りが続きます。

伐採された跡でしょうか。左に大きくカーブしていく眺めはよかったです。

お酒が飲めると旅行もまた一層楽しいでしょうね。

しかし58km辺りで下りも急に終わりを告げます。そのまま平地ならまだよいのですが、左折して日当たり抜群の上り坂に導かれることとなります。この坂もそれなりに長いのですが、それまで10数km下って来た脳にはショックは大きく、更に暑さという苦しみが花を添えます(添えてほしくありませんでした)。心が折れて歩いてしまう人もいると思います。

おうい、日陰や。

普通100kmで残り42kmともなればもう楽勝気分ですが、今日という今日はそうはいかなさそうです。この先涼しくなることはありませんし、終盤にも坂が待ち受けているのですから。

もうちょっと優しいコースになりませんかね。

エイドの前は下るので、少し精神的に回復します。

とにかくここは耐えて60kmLAC会津磐梯にやってきました。到着時で5:46:27です。まずは預けていた手荷物を受け取り、日焼け止めをたっぷりと塗り直します。経口補水液を入れていてよかったと心から思いながら、ジェルフラスクに入れてアミノ酸も溶かします。

唯一身体を冷やすことのできる水をいただき、奥へと進むと甘酒、塩麴唐揚げ、おにぎりと豪華給食陣が。まだそこまで暑さにやられていたわけではないため、全て大喜びでいただきました。お茶がほしくなったので引き返して麦茶をいただいたりして、この1kmでは11分弱を要しました。

ここで食べておいて本当によかったです。命拾いしました。

残りあと4時間くらいですから恐れることはないはずなのですが、ここから先は太陽が照り付けてどう考えても暑いのです。しかも間は8kmも空いている上、途中のビニールハウスからは熱風が吹き付けてもきます。多分ここらで脱落した方も多いと思います。途中磐梯山撮影スポットもありましたが、とても明るい気持ちにはなれません。サンシェードも投入し、頭を守ります。

遮る物もなければ人も見えません。

対岸の撮影スポットには磐梯山を優雅に仰いでいる方々がおられました。

68kmのウォーターステーションが南ヶ丘牧場だということは覚えていたので、その時を待ちながら黙々と進みます。暑かろうと止まりさえしなければ5分30秒台くらいは刻めます。給水所が近づくと、もうすぐだからと教えて下さる方もおられ、嬉しかったですし、わざわざ日向で声援を送って下さる女性陣に、“日陰に入って下さい”と呼び掛けたりするのも心に潤いが戻るのでよかったです。

地味に信号に引っ掛かったりします。

本数の少ない踏切にかかるとショックも大きそうです。まあ二両なので一瞬ですが。

このフェンスが見えてもまだ着きません。暑いですぞ。

後半~終盤

ようやくウォーターステーションに辿り着いたところで貴重な水をいただき、身体を濡らして何とか体温の上昇を抑えられるように努めます。私は相当丈夫な方だと思うのですが、それ程慣れていない方は危険なことにならなかったのでしょうか。まあ全ては自己責任です。

お礼を言って再出発です。しかし林道では車の砂ぼこりが。

南ヶ丘牧場から次の天鏡閣まではわずか4kmなので、常設のトイレに期待してここではトイレに寄らず。この先は林道になっており、日陰は嬉しいのですが足元は悪く、何度か捻挫しそうにもなりました。しかも地味に上る時間もありますし。翌日の観光プランを立てる際に、“南ヶ丘牧場ピロシキを食べたいな”などと考えていたのですが、この悪路ではそれが無理だと分かったのは、収穫ではありました(当日になってから気付いたら手遅れ)。

下りに切り替わるまでに少々時間がかかります。

72km天鏡閣は歩行区間なのでやっと休めるぞと堂々と歩きます。ここで極めて嬉しいことに水飲み場が。蛇口を捻ると冷たい水が流れます。“ここで身体を冷やせる!”と大喜びでキャップもサンシェードも水を含ませます。もちろんごくごくと飲むことも忘れるはずがありません。身体を外と内の両側から冷やすことのできた唯一の場面でした。

まずは別館に気を取られます。

本館はこちらです。歩きながらだとよくわかりませんね。

命の水がここに。熱を逃がさなくては。

“トイレは常設だからパッと入ってパッと済ませよう”と思っていましたが、建物の中で階段を下りるバリア仕様で、期待よりは手間取りました。それでも大変きれいな設備だったので精神面は回復しました。結局この1kmでも10分以上を要しています。

虫が入らないよう、建物入口のドアは閉めましょう。

エイドではここでも他の選択肢はきついと思ったので、水をいただきました。コース中唯一と思われる果物も用意していただいていましたので、オレンジを二ついただきました。柑橘系は助かります。

このオレンジは染みわたりました。

かなりやられながらも残りは3時間を切っているので、何とか耐え抜くしかありません。長浜への坂を下っていくと、猪苗代湖に停泊するかめ丸が見えてきます。そのどこかほのぼのとした姿に一瞬和みますが、目の前には一分の隙も無い程の日当たりを誇る道路が伸びていますので、いつまでも和んでいられません。光が見えるというと希望の光のような気がしますが、この場合はそうはいきませんね。

“遠かった猪苗代湖がこんなに近くに!”という喜びもありました。

この先に日陰があるとは思えません。

右手に広がる猪苗代湖は木々の向こうでなかなか見えないのですが、左を見れば勿論磐梯山が。そしてこの何もなくただひたすら暑い道の途中にもわざわざ応援して下さる方がおられて勇気づけられます。一つ一つの喜びをエネルギーに変えられると、また復活できます。

写真だけ見ると気持ちいいですが、路上にいると暑くて眩しいです。

猪苗代湖も案外見えません。

でも磐梯山は眺め放題です。

一人で走っているわけではないのだと、百人力です。

立派な建物が見えて来たなと思ったら野口英世記念館でした。これがそうなのかと思っていると階段を通って国道を渡る展開になり、柏崎潮風マラソンを思い出したりもしました。その先でも横断歩道を渡り、サイクリングロードの方へと進んでいきます。

猪苗代といえば野口英世博士です。

ビール関係なしに地下道を潜ります。

サイクリングロードに入って割とすぐの地点で76kmのウォーターステーションです。ここでトップの選手が残り500mという情報が入り、ものすごい世界があるものだと敬服します。

水が全てです。飲まないと危険です。

この頃にはGPSのずれも1.3km程まで広がっており、“サブ10のためには8分は余裕を見ておかなくてはならない”という現実にも焦りを感じます。こうなってくると呑気に走るわけにもいかず、ダメージを受けずに維持できるフォームとメンタル、そして時間配分にも頭を使うこととなり、あまり楽しくありません。目も疲れるので薄目でぼんやりと走る時間が増えてきました。

サイクリングロードは木陰がないわけではないのですが、やはりほぼ日向と思って間違いありません。猪苗代湖も実はなかなか見えないのですが、橋を渡って最後に別れを告げる前にはかなりバッチリ見えるので、ここでも精神的に助けられます。美しいものを見るのは、どんな時にも喜びを呼び覚ましてくれます。

木々の間から少しだけ猪苗代湖が見えます。

最後の方では遠くまで見えるようになります。

アンダーパスを潜り少し行くと道の駅猪苗代と苺ハウスが見えてきます。えらい立派だなあと思いながら左折し、高架を潜って跨線橋を上ります。ここで少し高い位置から見る磐梯山と田園風景はよかったです。

普通に遊びにきたいものです。

ちょっとだけ上から見るのもまた気持ちいいです。

82kmのヨークベニマルエイドに向かう道も、信号で止まるのではという不安と足元の微妙な段差に気が休まりません。暑さと低血糖の影響で意識も時折薄れたりします。まあ走っていると多かれ少なかれぼんやりしているものですが、意識が飛ぶ頻度が明らかに高く、危険な兆候を感じます。

“次は固形物を取ることで糖質云々よりお腹と脳を刺激しなくては”と考えていたところ、こちらのエイドでは笹団子を提供して下さり助かりました。しかも食べやすいように笹を剥いて下さって本当にありがたかったです。甘さも程よく、脳もまた少し活力を取り戻します。

本当に助かりました。補給の大切さを思い知った大会でした。

今思えばここで甘過ぎる常温ドリンクを摂取した方がよかったのでしょうが、その時はどうしても水以外飲む気になれなかったので、お代わりを繰り返して回復に努めました。アミノ酸はまめに摂取していたので疲労は抑えられていたのですが、やはり糖質は足りなかったと思います。

この82kmのエイド到着時点で8:03:15。あまり貯金がないことを理解します。また上りが待ち構えていますので、“ここからが本番だ”と気を引き締めます。時たま曇ってくれるとましなのですが、それでも基本的には日差しが突き刺さり、吹いてくる風も熱をたっぷり含んでいます。

真っすぐ上り続けるのは嫌だなと思っていると左折し、気持ち的に一瞬楽になったしたのですが、そこからがまた長かったです。もう写真を撮る気力もそれ程ありませんので、87kmの給水所で水を飲めることだけを心待ちに淡々と行くしかありません。

ただ真っすぐな上りが見えているのですが……。

橋がなくてはならないということは、結構な高さということです。

水が飲めるのも残りあと3か所です。

上り始めから橋までが13分程、橋を渡って給水所までが6分程でした。

まだしばらく上り、一瞬平坦から下りになったかなと思ったら、行きたくない方向(つまり坂の上の方)へとコース案内の矢印が設置されています。“ここに来てまだこの角度で長時間上るのか”と肉体的にも精神的にも堪えます。

橋の先では少しフラットから下りの時間があります。しかし再度上ります。

完全に個人の印象ですが、今まで参加してきた大会とは、おそらく基本思想が異なるのです。一般的なウルトラマラソンは、“ロードでフルを走った人が楽しみながら次の世界を体験できるように”というコンセプトの元に設計されていると思います。一方この大会は、“ウルトラトレイルも完走できるような強者がロードを走ったらいい練習になるのでは”というところから始まっている気がします。多分トレイル寄りの発想ですので、“強い者の挑戦を待つ”という一言に集約されるのではないでしょうか。

走れるものなら走ってみろと言わんばかりの設計です。

ここでやるべきことはただ一つ。“できることをやる”、これしかありません。“俺は頑張っているんだ”というようなヒロイズムは私には不要です。“できることをやらなかった”という結果に終わると、悔いばかりが残ります。怪我もなく、体力的にも走り続けられる、そこさえ守れば10時間を切れることも分かっています。何だかんだと理由をつけて歩いてしまえば10時間を超えるでしょう。それだけの話です。

自分にしては珍しく険しい表情になりましたが、2023年の飛騨高山100kmでも90km以降に減速しながらも上り切った経験がありますので、いける自信はありました。暑い中で意識が途切れ途切れになりながらも9時間50分で完走した2019年の白山白川郷100kmの時に比べればまだ頭も体も元気です。誰も見てなくても自分で決めて、実行するのみです。

savarun.hatenablog.com

長かった上りも緩やかになり、91km昭和の森エイドに到着しました。倒れるよりはましに決まっていますので、意を決してコーラとアクエリアスを摂取しました。口に含んだ瞬間と残ったあれこれはともかく、血糖値が上がったことはよかったと思います。

入口が見えてかなりホッとしました。

上りはあと500m程という嬉しい情報をいただき、お礼を言って再出発です。最終盤の時間の使い方は、“休むべきは休む、走る時は走る”が鉄則ですので、エイドから離れて少しの間は歩きます。しかし走り出してみると案外身体は動くもので、そこからまた進み続けることができるのです。不思議なことに。

坂の終わりを現実のものとして感じられるようになりました。

それまでよりは緩やかながらだらだらと続く上りも、ゲートを出てから少し行くと完全に終わりを告げます。後は高台からの眺めを噛み締めながら下るのみです。キロ6分かかることももうないでしょう。

このゲートを過ぎれば、もう大丈夫です。

自信を持って下るのみです。

磐梯山牧場に入ってからはひたすら真っすぐ下ります。途中左手に牛がいることにも癒されます。春は桜並木になると聞きます。ここは何故か長く感じますが、95kmの給水所まで来ればもう安心です。今日一日のお礼をお伝えして、いよいよ最後の道のりを行きます。

どこまで行くのかと思うくらいの直線です。

ほぼ後ろ向きですがノールック撮影に成功しました。

一日本当にありがとうございました。やっとここまで来られました。

牧場から出た所では信号に引っ掛かりましたが、下りで貯金しているはずなので焦る必要はありません。誘導して下さるスタッフさんにお礼を言って落ち着いて横断します。

焦る必要など全くありません。旅路も終わりです。

農道に入り、緑の田んぼを進んだかと思えば、左折して聳え立つ磐梯山に対面し、そしてまた東へと向かっていきます。風に運ばれていく雲の影が離れていく様子も、背中を押してくれる涼しい風も、フィニッシュへと連れて行ってくれるように感じました。この光景をこのように感じられるのは、一日走って来たからに他なりません。

遅くても着実に進んでいきます。

左に曲がれば磐梯山。このシチュエーションは熱いです。

恍惚としながら進んでいく時間でした。

GPSは100kmを超え、最後に“あと400m!サブテン大丈夫だよ!”との声援を受けた時は、素直に嬉しかったです。“ホント長かったです!”と笑顔でお応えして左折し、最後にもう一度磐梯山を眼前に据えると、今日一日の感謝が湧いてきます。

暑い中の応援、ありがとうございました。

最後の最後まで磐梯山です。ありがとうございます。

道路を横断して会場に入り、きつかっただけに忘れられない思い出と、ちょっとだけ強くなれた手応えを胸に抱いてフィニッシュテープを切らせていただきました。これだけの厳しい旅路でも、支えていただいたお陰で走り切れました。本当にありがとうございました。

厳しい100kmだからこその感慨があります。皆様も是非。

アフター

レース後

会場

立派な完走タオルをかけていただくと共に労いの言葉もいただいて本当に嬉しかったです。しかしまず何よりも欲しいのは冷たい水でしたので、トイレの洗面台で顔を洗い、頭をすっきりさせます。猪苗代蕎麦のふるまいもあったのですが、先にお水を何杯もいただき、身体が落ち着いてからおいしく味わうことにしました。歯ざわりものどごしも最高でしたし、このおいしさを忘れることはないでしょう。大阪から来ましたとお伝えすると喜んでいただけたのもよかったです。

こんなに安堵の気持ちに包まれることもそうそうありません。

おいしいお蕎麦をありがとうございます。

荷物を受け取り、こちらでも大会のお礼や初めての猪苗代だったことなどをお話しして、いくらかでも感謝の気持ちをお伝えできたかと思います。

くどいようですが冷たい水が欲しかったので自販機にて買い求め、アミノバイタルやアミノプロテインプロテインバーなどをどんどん摂取します。プロテインバーは終了後4本食べたと思います。何か食べなくてはという防衛機能が作用したのでしょうか。

少し雲が多くなってきて、暑さも和らいでいました。

ズームフライ5は流石の耐久力ではありますが、意外なところでは右踵部分が削れています。踵を使った意識はないので、何か踏んだのかもしれません。全体にはまだまだ機能を発揮してくれそうです。ただ、坂が急だからなのか28.0cmで指が中で動くからなのかは不明ですが、右足薬指の爪が内出血していました。珍しいです。

大破には至っていません。まだいけます。

後で知ったのですが、この大会は各CP間のラップタイムごとの順位が出るんですね。34位、20位、13位、5位、11位だったとのことで、最初を抑えた分82kmから91kmは相対的にはかなりいい位置にいたという事実を知りました。100kmは長丁場なので、どこで何が起きるかわかりませんね。

宿と夕食

特に出店があるわけでも何が起きるわけでもなくそのまま解散の流れだったので、少しフィニッシュエリアを見届けてから宿へと戻りました。

よく見るとここにひっそりとタンクが設置されていますね。

この表彰台に上がれる方は本物の猛者です。

最後の風景をもう一度見届けます。

宿に戻るとご家族で完走をお祝いして下さり、とても嬉しかったです。元気な姿で戻って来られたのも、快適に過ごさせていただいたからです。ありがとうございます。

宿のお風呂は16時からと丁度よい時間だったので、早速汗を流し、水シャワーで交替浴の代わりもしました。洗濯も済ませた辺りで急に強い雨が降り、今走っておられる方もスタッフさんも大変だなと心配していました。

雨も小降りになったところで夕食を求めて出かけます。前日お世話になった喜源さんは19時までとのことだったので間に合わず、定食が食べられる禁煙店ということで台湾料理食の味さんにしました。

リオン・ドールさんのすぐ側です。

何の気なしに酢豚定食にしたのですが、こちらの酢豚がカリっと揚げられた上にあんがかかっており、こういう酢豚を作りたいと思わせる味でした。更に野菜も豊富で、棒棒鶏サラダまでついていて、正に回復に最適な素晴らしいメニューでした。味と栄養を絶賛すると喜んでいただけました。

こんなに身体が求めるメニューにありつけるとは。感謝です。

リオン・ドールさんでシフォンケーキと水などを買い、会津のべこの乳たぷたぷヨーグルトと共においしく食べて一日を締め括りました。

街頭の模様が闇に浮かびます。

フードロスの削減にも協力しています(ケチなだけや)。

翌日

亀ヶ城公園・土津神社

消灯は23時半過ぎだったと思いますが、5時半に目覚めたのでそのまま起きました。静かで涼しいのでよく眠れましたし、奥熊野いだ天の時のように腹筋が痛くて辛いといったこともありません。Body Batteryも心拍数も普通に眠れた時と同等の数値でした。

とりあえずスロージョグも交えながら近場を散策することにします。朝の亀ヶ城公園は、日陰も多く、吹いてくる風は涼しかったです。この雄大磐梯山を背負いながら城を築き政を行った人々はどんなことを思っていたのだろうと想像したり、眼下に広がる水田の緑を眺めたりしていました。

散策には丁度いい道でした。

ここに集った人々は、何を思ってあの磐梯山と毎日向き合っていたのでしょう。

博士、怖いです……。

昨日のレースの終盤の上りを遠巻きに見たりしてから戻り、走っていた時間は41分程になりました(キロ8分台後半)。

田んぼもトレイルも、全てがきれいです。

朝の公園も静かで気持ちいいです。

あの熱気が嘘のように静かなカメリーナと磐梯山でした。

市役所付近はお店も多いです。

この時間の商店街は日陰も多くて快適です。猪苗代の朝は涼しいです。

終盤ここを上らされたのだなあと、感じるものがあります。

朝食は取っておいたべこの乳ヨーグルトがメインでした。全然酸っぱさもないし、水っぽくもないので、誰しも食べやすいですし、料理にも活躍しそうに思います。

会津のべこの乳シリーズを色々楽しめました。

荷物も整え、8:30頃に宿を出ようとご挨拶に行くと、お茶をいただくと共に、坂の上には土津神社という観光名所があると教えていただいたので、行くしかありません。荷物を背負っての上り坂でも特に苦にせず、階段も上ってお参りしてきました。推してていただいた通り、風鈴が沢山飾られていて、その音色がまた涼しさを確かなものとして感じさせてくれます。

風鈴の音色は今もはっきり思い出せます。

参道はクマが怖かったので遠慮しました。

砲弾といい亀といい、相当多くのものが詰まった神社でした。

猪苗代湖観光

時間的にバスも魅力的だったのですが、戻りの選択肢が限られてしまうことから、少々距離はあるものの自転車の方がよいだろうと判断しました。

駅前の観光案内所に行くと、私が大会Tシャツを着ていたお陰で昨日の話になり、応対して下さった男性は何とサイクリングロードの最後の曲がり角で誘導をされていたということでした。確かに腕も日焼けしており、一日大変な役割を担っていただいたことに改めて深く感謝しました。こうして再会できて本当によかったです。

応援していただき本当にありがとうございました。日焼けが快癒しますように。

いなチャリの名を冠する自転車は1日1,000円と平均的なラインですが、よく整備されていて大満足です。山に行かない限りは電動アシストも要らないので、1,000円で十分でしょう。

丈夫なブリヂストン製。ベルトタイプで足回りも軽やかです。

猪苗代湖に向かう途中も、磐梯山が悠然と構えていて、昨日の出来事が夢のようにも感じられました。一日ずっと見守られていたのだなと。今日は雲が多く、吹いてくる風も心地よく感じます。昨日走った道を自転車でも辿れるというのは贅沢なものです。

涼しい風の中の磐梯山です。

サイクルステーションにも立ち寄りました。

大会Tシャツを着ていたお陰で、道中やお店で話しかけていただくことが何度かありました。厳しい大会だっただけに、参加した方、応援して下さった方との間にも独特の連帯感が生じたようにも感じました。

帰路も自転車なら辛くありません。そしてそもそもこの日は涼しかったです。

いかにも観光地という出で立ちの遊覧船ですし、猪苗代湖を優雅に巡れるとあっては是非とも乗らねばなりません。100円引きクーポン使用で1,400円です。1時間に1本、およそ30分のコースです。11時の便に乗りましたが、平日ということもあって混雑もありませんでした。

近くで見ると優雅な気もします。誇らしげです。

船内もレトロでテンションが上がります。

湖上では、"俺に任せろ"と言わんばかりの頼もしい姿へと変貌します。

湖上は風も涼しくてとにかく気持ちよかったです。動き出してすぐに磐梯山も姿を見せてくれ、猪苗代湖磐梯山を同時に視界に収めて風に揺られる極上の時間を楽しめました。昨日は見られなかったショットです。

こんなに贅沢な空間もありません。

翁島磐梯山の爆発で飛んできた岩が形成したものですし、猪苗代湖自体も噴火の結果川がせき止められて生まれたものですので、この地域の自然のスケールを実感できる時間となりました。

かめ丸と仲良く並んでいます。

72kmエイドで歩いて通過しましたが、内部も気になるところです。有栖川宮威仁親王殿下が御別邸として建てられたもので、明治時代の皇族の高貴な香りが感じられます。

かつての正面玄関はこちらです。

建物はルネッサンス風洋風建築とのことで、シャンデリアや天井飾り、調度品の全てがこだわりの詰まった豪華なもので、なかなか想像もできない世界に触れることができました。

赤べこまでもアールヌーヴォーです(違う)。

客室のソファに座ることもできたので、少しうとうとできたのも特別な経験です。八角塔屋は狭い階段を上り、“外から見えているあの場所か”と分かったのも面白みがありました。

シャンデリアも家具も部屋によって異なります。

天井飾りもシンプルながら変化があります。

鳥取の仁風閣を思い出したりもしました。

ドレスの貸し出しもありました。

別館は平常の管理用事務所ということで、控えめな造りとなっていました。これはこれで熱いものを感じます。

東日本大震災からの復興工事も大変だったとのことです。

記念にクリアファイルと赤べこストラップを購入しました。売店にお店の方がおらず、コロッケレー(カレーコロッケ)を食べられなかったのが心残りです。

旅に行ったらクリアファイルでしょう。

宿題を残してしまいました。また来るきっかけになります。

野口英世記念館は時間がかかりそうだったので見送り、こちらにしました。会津地方の農村の暮らしが分かる貴重な史料と建物がぎゅっと凝縮されています。

サイクリングロードに入る直前に横を通りました。向かいにはトイレも。

様々な刺し子と会津蝋燭の歴史だけでも面白いです。水車小屋は江戸時代に会津で一番古く建てられたものとのことです。

刺し子ってそんなに色々あるのかという驚きが。

箱床の衝撃。寝にくそうです。

江戸時代の貴重な収入源だったとのことです。

動いてはいませんが十分です。

旧佐々木家は1191年から37代も続いた名家で、建物は江戸時代のものだそうです。三階建ての三階は隠し部屋になっていますが、囲炉裏のある「おめえ」や重役を迎える部屋、数多くの農具に養蚕の道具、そして合掌造りの屋根など、見ごたえがありました。

かなりの豪邸です。厳しい冬と農作業の歴史も感じられます。

三階は罪を犯した者を匿う隠れ部屋だったそうです。

この時代のこの地方の名主の暮らしがよくわかる貴重な建物です。

三畳に6人が寝ていたという劣悪な下男ライフ……。

一方中流農民の建屋である旧馬場家には畳もなく、土間と板敷きのみ、主人の部屋も信じられないくらい狭くて暗いもので、その差をまざまざと見せつけられました。

角館や篠山など、地方によって文化が全然違いますね。

人の記憶は失われていきますので、こうして語り継いでいくことの持つ意味を考えながら見学してきました。

猪苗代城址もそうですが、色々な所で戊辰戦争の影が見られます。

パン活・お土産

長浜の遊覧船に乗る前に寄っておきました。どれもおいしそうで迷います。パリッとチーズのカレーパンはひき肉と言いながら大きなお肉も入っており、かなりの満足感ですしカレーがうまいです。レーズンフランスは焼き立てで温かくしっとりしていて、非常においしかったです。

ここでこのパンを食べられたのは幸せでした。

そしてかめまるパンは猪苗代湖をクルージングしながら優雅にいただきました。クリームが品のある甘さで、見た目だけでなくおいしさも光っています。

このデザインは秀逸すぎます。

自転車なら好きなルートを取れるので、寄ってきました。こちらでは笹団子入りのパン、会津若松のパン屋さんのチョコクロワッサンを買い、更に会津のべこの乳アイスも購入できました。このアイスは是非とも食べたかったのですが、甘さも懐かしい感じで、満足感がありました。

立派な道の駅です。でも普通は走ってくる場所ではないでしょうね。

懐かしい味です。懐かしいながらリッチな仕上がりで美味です。

笹だんごが丸ごと入っていてたまりません。

クロワッサン生地に染み込んだバターの風味もよかったです。

お土産も揃っていますし、楽しい場所です。

サイクリングロードでは昨日誘導して下さった男性のことを思い出しながら帰ってきました。自転車をお返しする時にも元気いっぱいにお礼を申し上げましたが、どれくらい伝わったでしょうか。“やってよかったな”と思っていただけると嬉しいです。

記憶を蘇らせてきました。ありがとうございます。

14:52猪苗代発→15:36郡山着のJRで移動しました。ありがとう猪苗代。

あちこちで野口英世博士のエピソードを学べました。

駅舎もかわいくてよいですね。

郡山でパン活

少し時間があったので、大友パン屋さんまで歩き、クリームボックスとチョコマーブルを購入しました。クリームボックスは思ったよりも甘さ控えめで、柔らかい食パンと共に食べやすい仕上がりになっていました。チョコマーブルはカステラとカスタードクリームが織り込まれていてリッチです。創業大正13年の歴史あるパン屋さんも巡れてよかったです。

歴史があり、地域にも愛されるパン屋さんです。

甘いとわかっていても食べられるおいしさです。

16:30郡山発→17:15福島空港着のバスは私も含めて乗客二人でしたが、飛行機はそれなりに混んでいたので、皆どうやって移動したのだろうかと少し不思議に思いました。

安積開拓の歴史を物語る麓山の滝を復元したものとのことです。

18:30福島空港発→19:40伊丹着で無事に帰還しました。

ウルトラマラソンウルトラマンで締めます。

最後に

こうして振り返るだけでも暑さや苦しさを思い出す程の100kmでしたが、それでも時が経つほどに、あの素晴らしい磐梯山裏磐梯猪苗代湖の景色を全身で感じながら走っていた喜びは確かなものとなっていき、辛さは記憶の彼方へと追いやられてしまいつつあります。この体験は代えがたいものです。

普段ふざけて走ってばかりの私も、たまにはこうしたレベルの高い大会に身を投じて、その難しさをどうにかするよう頑張ってみるのも面白くありますし、一応自分で決めた結果を残せたことは自信になりました。

こうしてあの時間をいい思い出として振り返ることができるのも、大会開催にご協力いただいた皆様、宿やお店で温かく迎えて下さった皆様、一緒に走って下さった皆様一人一人のお力のお陰です。厳しい戦いだっただけに、一層そういうことが身に染みて感じられる大会でした。これも走った者にしか分からないウルトラマラソンの醍醐味だと思います。

大会に関わって下さった皆様に、改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ
にほんブログ村