化石の金曜日: 更新世の化石の新しい年代測定が人類進化の物語を書き換える (original) (raw)

This is the Japanese translation of this site.

ギュンター・ベヒリー
2024/3/29 6:45

今回の「化石の金曜日」では、1921年にザンビアの金属鉱山の採掘場で発見され、しばしば現生人類の古代の祖先と考えられていたホモ・ローデシエンシスの有名なブロークンヒルの頭蓋 (カブウェ1) のレプリカを紹介します。この頭蓋骨、およびアフリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアから発見された数百のホモ属の化石の年代測定は、グリューンとストリンガー (2023) による「Direct dating of human fossils and the ever-changing story of human evolution」と題する画期的な新しい研究で最近修正されました。これは、以前の仕事であるグリューン (2006) の最新の追跡研究を示したものです。

何と、また書き直し?

実はこの研究は、37年にわたる共同研究の総括を示すものです。この印象的な新研究についてメディアは、驚くことではありませんが、「Recent fossil dating techniques change our ideas of the human evolution timeline」(ロンドン自然史博物館、2023) とか、「A new look at some old fossils has just rewritten the story of human evolution」(スポルディング、 2023) といった見出しで飾って報道しました。なぜ私たちはこのような見出しを何度も繰り返し目にするのでしょうか?進化の理論は重力の理論と同じくらい確立されているとしばしば主張されます。「新しい実験が重力の物語を書き換えた」というような見出しを最後に見たのはいつだったでしょうか?

そうは言っても、著名な古人類学者であるライナー・グリューンとクリス・ストリンガーによる非常に広範な新しい研究は、間違いなくいくつかの非常に重要な結果を産出しました。

  1. 著者たちは、過去100万年間に見つかった主なホモ属の化石の年代測定を概観し、U-系列とESR年代測定について、特に浸出やオーバープリントなどの様々な誤差の発生源を強調して批判的に議論しています。「骨の問題は、それが開放系だということです。ウランが骨に入り込むことで年代測定が可能になりますが、時間の経過とともにさらに付加されたり洗い流されたりすることもあります」とクリス・ストリンガー教授はプレスリリース (ロンドン自然史博物館、2023) で述べています。科学者たちは、いくつかの場所で「得られた直接年代は、他の方法を用いた推定年代と一致しない」こと、および「いくつかのケースでは、ここで議論された直接年代は、古人類学の従来の考え方に挑戦するものであった」ことを発見しました。
  2. 彼らは、アフリカ、レバント、ヨーロッパにおけるホモ・サピエンスの最古の出現年代を再測定し、「もしアピディマ1が本当にH. サピエンスであれば、ユーラシア大陸において知られている我々の種の存在の最古の記録となり」、推定年代は約21万1000年で、一方イスラエルのミスリヤ洞窟の資料は、「依然としてレバントにおける既知の最古のH. サピエンスの派生集団を示している」もので、年代は15万2000年であることを確認しています。どちらも、伝統的な「出アフリカ」というシナリオでの発見を予測されるものよりも、はるかに早い年代です。ロンドン自然史博物館のプレスリリースによれば、「ヨーロッパにおける初期のホモ・サピエンスの存在は、最初に考えられていたよりも15万年以上早かった」のです (ロンドン自然史博物館、2023)。
  3. 著者たちは、より最近に記載されたヒトの種、ホモ・フローレシエンシス、ホモ・ルゾネンシス、ホモ・ナレディ、ホモ・ロンギについても議論しました。彼らはホモ・ルゾネンシスの年代を13万4千年とし、より若い、二次的なU-オーバープリントによって歪められたと思われる約6万5千年という年代を反駁しました。彼らはまた、ホモ・ナレディについて、骨格の特徴による当初の推定年代が非常に不正確で、後の放射年代測定よりも4倍も古くなってしまったことに言及し、「ホモ・フローレシエンシスについて、想定される『形態学的時計』が135万年ずれていたことは、言及する価値があるかもしれない」と述べました。ダーウィン的推論が経験的検証に大失敗したもう1つの例です。
  4. 最後に、彼らが人類の進化についての現在の理解の最新の要約を提供し、「過去200万年の間に複数の系統 (我々の見解では種) が共存し、そのうちの少なくとも4つは過去10万年まで存続している」、また研究により「H. サピエンスのような系統の起源について、深層にある単一の点を探すことは、最終的には無益な作業となるかもしれないことが示されている」、と認識していることは注目に値します。

覚えておくべきメッセージ

しかし、グリューンとストリンガー (2023) の最も重要な覚えておくべきメッセージは、ゴールウェイ-ウィザム他 (2019) に基づく図85です。この図は、ホモ属とされるいくつかの異なる種が更新世に同時に生息し、さまざまな遺伝子流動を経験したことを示しています。このことは、私や現在の総意に対する他の何人かの批判者たちにとって、これらの仮定された種はすべて単一種ホモ・サピエンスの異なる個体群で、せいぜい亜種か地理的品種として認定されるにすぎないことを強く示唆しています。そのような再分類についての詳細な論議を、私は現在準備中の古代ホモを扱った本の中で提供する予定です。

ヒトの化石とその年代についての最近のデータは、実際には類人猿のような祖先から現生人類への進化の物語を支持しておらず、類人猿のようなアウストラロピテクス類と現実のヒトとの間にはギャップがあること、またヒト種は多様で、過去においては現在よりも大きな形態的・遺伝的多様性を特徴としていたに過ぎないことを支持しています。聖書的視点を持つダーウィン批判者は、このことが、最初の夫婦に基づき、デザインされたヘテロ接合の多様性と著しいボトルネック効果を伴う集団遺伝学モデル (サンフォード他、2018; ヘスフェルとゲイジャー、2019) と非常によく共鳴することを興味深く思うかもしれません。

更新世のホモ属の新しい年代、グリューンとストリンガー (2023) の図85より。フェアユース。

参考文献