非常用トイレを使ってみた (original) (raw)

今年の1月に発生した能登半島地震の報道をTVやネットで見ていると、避難された方々が大変困っている事がトイレ事情だと知りました。

『衛生面や臭いが気になり、トイレに行かなくて済むように水分をあまり取らないようにしていた』

『トイレに行きたくなるのは自分でコントロールできずに大変だった』

との声。

災害時に避難所が開設されてもすぐに使用できるトイレがあるとは限りません。

ある調査では、災害発生後3時間以内にトイレに行きたくなった人の割合が回答者のうち約39%、6時間以内を含めると約73%になったそうです。

トイレは災害だけでなく、断水すれば使用不可となります。

私の住む自治体は水道管が古くなっており、いつ大規模な断水が起きてもおかしくないと言われています。

能登半島地震後、しばらくしてネットで非常用トイレを購入していました。

(災害直後は売切れ状態…。)

すぐに届いたのですが、これはあくまで非常用。

今使うものじゃあないなあと思い、空っぽの下駄箱に入れておきました。

それから数ヶ月。

8月8日に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。

様々な情報が飛び交い、スーパーでは水がなくなるといった事が起こりましたが私がこの時に気になったのが、やはりトイレ問題。

ここは1度、試しておかなくては!

そう思い、夏休みを利用して実際に使用してみる事にしました。

今回は少し長くなりますが、そのレポートになります。

まず、私が購入したのはこちら。

セット内容:防臭袋・汚物袋・凝固剤が各60回分

成人1人の1日あたりの平均排泄回数は4回~7回であり、約1週間分(30回~50回分/1人)は備えておく必要があるそうです。

こちらの商品は60回分入っているので1人暮らしの私には充分かと。

ネットでは様々な商品がありましたが、私がこの商品に決めた理由は

防臭袋が回数分入っている事。

これ、ものすごく大事だと思うのです。

数回分をまとめて入れるようなセットもありましたが、使用する度に防臭袋を開け閉めすれば絶対に臭いが漏れるに違いない!

やっぱり臭い対策は最重要課題だと思います。

衛生面を考え、ポリエチレン手袋を100均で購入してセットの中に押し込みました。

ちなみに自宅で被災するとは限らないので、10回分は車内に置いています。

さあいよいよ使用してみます。

簡易的な使用方法が書かれています。

①便座の上に汚物袋をセット

②排泄後、凝固剤1袋を入れる

③防臭袋に汚物袋を入れる

汚物袋を便座に被せればいいのですが、実際の便器には水が溜まっているし、お肌に直接ナイロンが当たるのは何だかちょっと落ち着かない…。

そこで、まずゴミ袋(45L)を便器に被せてその上に汚物入袋を広げ、便座を下ろしました。

こうするとナイロンが直接当たらず、普段と変わらない感覚になります。

ただ、汚物袋の口径がそう大きくないので広げるのに手間取りました…。

まあこれは用を足せば次の分をセットしておけばいいかと。

あとはいつも通りに用を足します。

使用したペーパーも汚物袋の中に入れます。

後は凝固剤を振り入れて口を縛り、さらに防臭袋に入れて口を縛れば完成(?)!

なのですが、ここは実験。

凝固剤の固まり具合いを調べるために、袋を触ってみました。

○直後 →液体を感じる

○約2分後→ちょっとモタっとした感じ

○約5分後→ビーズクッションみたいな感じ

○約10分後→先ほどとほぼ変わらず

その時の気温にも影響されるかもしれませんが、今回はこんな感じでした。

説明書によると、飲んでいる薬によっては固まる時間が変わる可能性があるそうです。

もっとガッチリと固まるのかと思っていたのですが、どうやらビーズクッションぐらいの硬さが限界のようです。

次は気になる臭いの実験。

ウチのトイレは窓が無く、換気扇があるだけ。

ドアを閉めて換気扇を付けなければほぼ密封状態になります。

臭いの実験をするのには適した空間(?)。

お掃除用のフタのないバケツに入れてトイレに置いておきました。

実験を開始したのはお昼なので、後はトイレに入る度に臭いの確認。

ドアを開けるたびにドキドキ…。

寝るまでに何度か入りましたが臭いは感じませんでした。

問題は、

この真夏のトイレの中で一晩置いておくとどうなるか?

翌朝、ちょっとビビりながらトイレのドアを開けると…。

臭いはまったく感じませんでした!

後は各自治体の条例に従って廃棄します。

私の住む自治体では一般ゴミ扱いだったので、この日の朝に一般ゴミとして出しました。

今回はたった1回分で、ゴミ収集日の前日の実験です。

実際はその都度必要となるし、災害となればゴミの収集が滞ることが考えられます。

そうなるとトイレにずっと置いておく事もできなくなるので、やっぱり庭に出すことになりそうです。

そのまま放置すれば万が一臭いが漏れると大変なので、空き缶入れとして使っているフタ付きのゴミ箱を代用するしかないかな…。

実際に試してみて段取りの確認はできたし、使用感も分りました。

後の保管方法や処理についても確認できたので、いざと言うときは慌てることなく使用できそうです。

非常時のトイレ問題。

当たり前のようにしていた事が突然にできなくなるので本当に大変だと思います。

もし非常用トイレをお持ちなら、この機会にぜひ1度お試しすることをオススメします。