【仏像の知識】聖観音とは?- 観音さまの基本形(いろいろな姿に変身する前の姿) (original) (raw)
聖観音(しょうかんのん)とは
聖観音 (東京国立博物館で開催の大報恩寺展にて撮影。聖観音のみ撮影OKでした)
観音さまはなんと、33もの姿に変身できるといいます。
どの姿に変身するかは、相手の状況や願いごとによって違うわけですね。
変身したお姿を「変化(へんげ)観音」と呼ぶのですが、それに対し、もとのお姿を「聖(しょう)観音(※)」といいます。
つまり、聖観音とは、観音さまの基本形、といえるかと思います。
(※単に「観音」とよぶ場合も「聖観音」を指します。
観音菩薩(かんのんぼさつ)、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)ともよばれることがあります。)
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聖観音像の特徴
①アクセサリーなどをつける姿
聖観音のモデルは王子時代の釈迦であるため、ショールをまとっていたり、アクセサリー類をつけています。
②長い髪を高く結い上げている
螺髪スタイルの如来とは異なり、長い髪を結う宝髻(ほうけい)という髪型です。
③蓮華や水瓶をもつことが多い
水瓶には、使ってもなくならない功徳水(極楽浄土にある8つの功徳をそなえた水)がはいっているといわれます。
(④阿弥陀如来のサポート役をつとめる※)
阿弥陀如来の脇侍として三尊形式で祀られることも多いです。
宝冠や額に阿弥陀の化仏(けぶつ:小さな仏)をつけていることも。
(※)この場合は「聖観音」とは呼ばず、「観音菩薩」と呼ぶのが一般的です。
聖観音像の実例
阿弥陀如来の脇侍ではなく、単独で祀られている例を紹介します。
奈良 薬師寺 東院堂
薬師寺の聖観音(美術展チラシを撮影)
薬師寺東院堂のご本尊。白鳳時代のお像で、国宝に指定されています。
奈良 不退寺
不退寺の聖観音(「奈良国立博物館だより」の表紙より)
在原業平の作と伝わり「業平観音」の名でも知られています。
「聖観音」として伝わっていますが、別の観音像と一対であり、元は三尊像の脇侍だったのではないか、と考えられるようになったそうです(2022年度の修理のときに判明)。
愛知県 瀧山寺
お写真は公式サイトから見られます>>>瀧山寺(滝山寺)岡崎市・天台宗吉祥陀羅尼山薬樹王院 | 聖観音菩薩立像
運慶あるいは慶派仏師の作とされます。
私は東京国立博物館で開催の運慶展で拝観したのですが、着色はきれいだし、お肌はすべすべだし、大変美しいお像です。
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おわりに
変身する前の元のお姿なので、比較的シンプルなお像の聖観音。
派手さはありませんが、蓮華や水瓶を持つ指先も優美でしなやかなお像が多いように思います。