四国を走るバス運転手とバスガールが登場!昭和の消えた職業映画③「雲がちぎれる時」 (original) (raw)
- 昭和の消えた職業映画第3弾はバスガール!
- おおまかなストーリー
- 映画の感想
- ➀戦争によって引き裂かれた男女のメロドラマ
- ②失恋のつらさを痛感させられる
- ③有馬稲子さんの気丈さがすごい!
- ④バスガール役の倍賞千恵子さんが可愛らしい
- バスガールとはどのような職業だった?
- 余談:令和のいまは運転手の将来が心配
昭和の消えた職業映画第3弾はバスガール!
恋文代筆業、サンドイッチマンに続く
昭和の消えた職業映画第3弾は
バスガールが登場する映画
「雲がちぎれる時」(1961年、
五所平之助監督)です!
こちらはバスガール役を
「男はつらいよ」シリーズのさくら役で
お馴染みの倍賞千恵子さんが
演じております
さくらとは一味違った倍賞さんも
見どころです
さて本題に入ります
おおまかなストーリー
舞台は高知県、土佐
バスの運転士をしている三崎
(佐田啓二さん)はかつての恋人・市江
(有馬稲子さん)が乗車してきたことに
気がついた
三崎は近々車掌の加江子(倍賞千恵子さん)
と結婚の話も出ているときだったのだが
市江を探しに行き、二人は再会する
三崎と市江は戦争で離れ離れになり
久しぶりに再会するも市江は
よりを戻そうとはしなかった
2人が離れ離れになっている間
市江は日系のアメリカ兵と関係を持ち
子どもまでもうけていたのだ
子どもも病気で死亡)
そのような過去を持っていても
市江とよりを戻したい三崎に対し
私はあなたが思っているような
私ではないと言う
以後、三崎は深く考え込んだり
バスの運転でスピードを出し過ぎたり
仕事が荒っぽくなったり
すっかり様子が変わってしまった
三崎と市江の関係はこのままなのか
三崎と車掌・加江子の結婚話はどうなる?
映画の感想
➀戦争によって引き裂かれた男女のメロドラマ
この映画は消えた職業映画で紹介した
「恋文」という映画とストーリーが
少し似通っているところがあって
両作品とも戦争で離れ離れになった男女が
再会する物語です
なので作品選び間違えたかなぁ(笑)なんて
ちょっと思ったりもするのですが
でもこうした戦争で引き裂かれた
男女が当時はたくさんいたのだろうな
ということを改めて感じさせてくれたので
このままでOKということで書き進めます(笑)
戦争は尊い命を奪っていくだけでなく
人と人の心も引き裂いたりと
さまざまな悲劇を引き起こすのですね
②失恋のつらさを痛感させられる
ストーリーで書いたように
有馬稲子さんとよりを戻そうとしても
拒否されてしまって肩を落とし
深く落ち込み考え込んだり
バスの運転が荒っぽくなる
佐田啓二さんを見ていて失恋とは
本当につらいものだなと痛感させられます
同じバス運転手の伊藤雄之助さんから
「人の命を預かっているのだから」などと
注意を受け、まったく仰る通りなのですが
でも仕事が手につかなかったり
深く思い悩むのが失恋であり
本気で人を好きになった証だと思います
よく失恋した人へのアドバイスとして
「ほかにも女(男)は星の数ほどいるから」
なんていうのがありますが
私個人の経験ですとそれは慰めには
ならないですね
失恋しちゃったからじゃあ次の人
なんていうことはそう簡単ではありません
本気で好きになった人の代わりなど
そうそうすぐに見つかるものではないです
失恋してすぐに立ち直れる人もいますが
なかなか立ち上がれない人もいて
私は後者でかなり引きずるタイプです(笑)
そんな一途に1人の女性を想う男性に
佐田啓二さんはピッタリな配役だと思います
見た目もお人柄も誠実そうですからね
③有馬稲子さんの気丈さがすごい!
一方で愛する日系アメリカ兵と死別し
可愛い子どもも亡くすという
つらい経験をした有馬稲子さんの方は
佐田啓二さんのように深く落ち込むことなく
気丈に生きています
男性よりも女性の方が強い生き物だと
以前、美輪明宏さんが新聞に書いていましたが
つらい経験をしたのにどうして
悲しみを抱えながらも強く生きられるのか
男性の私にはなかなか理解が難しいところです
ただ女性の中にも繊細な方はいますので
女性全員が強いとは言い切れませんけどね
(有馬稲子さん(左)と日系アメリカ兵役の仲代達矢さん(右))
④バスガール役の倍賞千恵子さんが可愛らしい
脇役に回っていますが
「男はつらいよ」シリーズの公開の
8年前の若かりし頃の倍賞千恵子さんが
もうピチピチで可愛らしいです
ハキハキとした調子で
お客さんを相手している姿が
印象的でした
バスガールとはどのような職業だった?
ところでそのバスガールですが
誕生のきっかけは 大正時代の
関東大震災まで遡ります(!)
市電の代替輸送手段として
バスが路線を拡大していったのです
当初は車掌はおらず
停留所で切符を売っていました
ところがバスが営業危機に陥り
人気取りのため昭和5年に
女性車掌を採用したのが始まりでした
10代後半から20代後半の女性が勤め
制服は会社によって襟が白だったり
赤だったりしました
洋装の勤務という点でも女性たちに人気で
たくさんの応募があったのだとか
バスガールがいちばん多かった時代は
昭和30~40年代で、就労者数は
約8万人もいたのだそう
昭和30年代の子どもたちにも人気の存在で
「発車オーライ!」
「お降りの方はいらっしゃいませんか?」
といった車掌さんごっこが人気の遊び
だったそうです
しかし仕事はなかなか大変で
出勤の30分前に制服に着替え
梯子でボンネットに上って
フロントガラスを拭き
切符とつり銭を会社から受け取って
バスに乗りました
また臨検といい、乗客が支払った
お金を着服していないか
抜き打ちで部屋に連れていかれ
服を脱がされて調べられることも
あったそうです
特に嫌われたのは身体検査で
またほかに女性の仕事の選択肢が増え
バスもワンマン運行になると
車掌を必要としなくなり
姿を消してしまいました
(澤宮優著『イラストで見る昭和の
仕事図鑑』と以下のサイトを参照)
余談:令和のいまは運転手の将来が心配
バスガールの歴史に触れたついでに
ちょっと心配事を書いておきたいのですが
令和のいまは運転手の仕事はどうなるのか?
というところが気になります
私は車を持っていないので
移動手段はバスと電車が
頼みの綱なのですが
今年に入って運転手不足で
バスが減便されてしまい
1本逃すと次の便まで待つのが
大変なことになってしまいました
さらに通勤・通学時間帯は
減便の影響でぎゅうぎゅう詰めの状態で
これまた大変なのです
人口の多い横浜などでも
減便の影響で困っている方がいるそうですね
運転手の将来はどうなる?
バス会社の将来は?
心配は尽きないですね…
というところで
この辺りで昭和の消えた仕事映画
第3弾記事を締めますが
次回でこのシリーズは最終回です
次回はどんな仕事が出てくるでしょうか
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