THE GHOST INSIDE 『Searching For Solace』 (original) (raw)
アメリカはLA出身のメタルコアバンド・THE GHOST INSIDEの最新作。
このバンドについては、名前こそ結構前から知っていて、過去にツアー中に凄惨な事故に巻き込まれるも、不屈の魂で蘇ったバンドだということは認識していましたが、実は音源を聴くのは本作が初。
僕は基本的にメタルコアならAS I LAY DYINGやKILLSWITCH ENGAGE直系の、メロディックなスタイルが好きなので、モダンでメロウさが足りないものについてはそこまで強くはハマらず。このバンドについても「とりあえず今はいっか」みたいなテンションで、なんとな〜くスルーしていました(同じようにチェックできてないバンド、結構多いな...)
そんなわけで、本作はこのバンドとのファーストコンタクトとなった訳ですが、聴いてみた感想としては、予想していた音像とほぼほぼ変わらず。あまりキャッチーさには重点を置いていない(というよりは日本とアメリカの感性の違い)、オルタナティヴな空気感も少し漂わせたようなモダンメタル。
ヘヴィでエッジの効いた攻撃的なサウンドに、ミドル〜アップテンポの展開を主軸としつつ、時折疾走パートやリズム落ちのモッシュパートを挟み込む感じで、アメリカのモダンメタルコアらしく、音の破壊力は非常に高く痛快。
それでいて、あまりに非人間的なエクストリーム度には至っておらず、クリーンヴォーカルによる歌い上げも使われているので、なかなか聴いた感触は気持ちいいですね。
メロディーに関しては、やはりそこまでフックのあるキャッチーさがあるわけではないため、ダサく感じない代わりにやや淡白に響く。強烈なメロディーで悶絶したい感性も持ち合わせている僕としては、そこは少々物足りなかったのも確かですね。派手さも少なく、良くも悪くも手堅い印象。
また、ちょっともどかしいな、と感じたのが疾走するパートが早い段階で終わっちゃうこと。M4「Secret」や、M8「Earn It」とかはかなり興奮指数の高い疾走を見せてくれるのですが、あんまり長続きしない。まあ、重心の低いヘヴィパートが重要なジャンルで、疾走をメインにした曲作りをしてないのは普通なんですが、もうちょっと左回りできる時間を長くしてくれてもいいのよ、とは思った。速いサウンドもカッコよく仕上げられるんだから。
ただ、安定してまとまったバンドサウンドに、シャウトもクリーンも両方非常に高いレベルで歌えるヴォーカルの力量、ハードコアモッシュ必至のブレイクダウンのカッコよさなど、高クオリティーのメタルコアとしての水準は充分にクリアしているように感じます。
出音から強靭なヘヴィさを存分に見せつけつつ、サビではメロウな歌唱で惹きつけるM1「Going Under」〜M2「Death Grip」から、モダンメタルコアのお手本のような流れ。オルタナ/モダンメタルキッズであればこの時点でニッコリでしょうね。疾走感と雄大なクリーンパートが交錯するM11「Breathless」まで、どの曲もヘヴィパートの充実度は非常に高く、ヘッドバンギングするのに何も困らない。
個人的な好みから言えば、もう少しウェットで哀愁の聴いたメロディーが欲しくなるのですが、どっしりとしたヘヴィさ際立つサウンドのカッコよさは本物。モダンメタルコア好きなら、きっと誰もがシンプルにカッコいいと思えるアルバムです。
個人的に本作は
"オーソドックスなオルタナ/モダンメタルコアを貫き、モッシュ・ヘドバン必至のアルバム。クリーンも多いがメロディーのキャッチーさはそこそこ"
という感じです。