タカショーの雑多な部屋 (original) (raw)
はじめまして、タカショーこと鷹杉 奨(たかすぎ・しょう)です。
ここでは、普段の趣味について色々載せています。主にカラオケ、パワプロ、映画が多いですかね。
選手名:真田 一球(さなだ・いっきゅう)
守備位置:投手
背番号:01→19
誕生日:不明
投打:右投右打(たまに左打)
経歴:巨人学園(東京)→巨人学園野球部の監督→楽天(05年ドラフト8位)→京都ウォーリアーズ(12年)
パワナンバー:10000 60446 47516
全くの野球素人ながら、高い身体能力を買われて巨人学園に入学。
投げては剛速球、打ってはホームラン、走っては盗塁orランニングホームラン、守っては好守の大活躍を遂げた。
甲子園には2度出場し、南波高校戦では9回2死までノーヒットノーラン、明訓高校戦では8回まで無失点の好投を見せた。
高校卒業後は巨人学園野球部の監督を長年務めたが、新球団・楽天イーグルスにドラフト指名されて入団。
開幕戦から4番ピッチャーとしてデビューし、2ホーマー&9回途中4失点で勝ち投手になった。
その後、キャッチャーを守ったり、ドリームトーナメント編ではショートを守ったりと、器用さを見せる。
能力のパラメータは仮面町さんの一球さんを参考にしています↓
※タカショーのこだわり
・フォーク……プロデビュー戦で杉下茂ばりの落差のあるフォークを披露。その後は全く投げていないが、オーペナで奪三振を増やすために取得させた。
・変幻自在……覚えたてのチェンジアップとストレートで緩急を付けたピッチングを高校時代に披露、変幻自在のゲッコウガ忍者もかかっている。
・サブポジの守備力……投手と遜色なく動けていたキャッチャーはピッチャー時と同じS、高校時代によく守っていた外野手とドリームトーナメント編で守っていたショートはB、それ以外はCに設定しました。稼いだ経験点で全ポジション守備力Sに出来ましたが、他の特殊能力を獲るために断念しました……。
この一球さんをケガあり設定で今の楽天に入れると、日本時代の大谷翔平選手クラスの活躍を見せてくれました。
<10シーズン平均の成績>
防御率:2.37(全シーズン防御率2点台で七夕投手より安定していた)
勝利数:11.1
被本塁打:4.7(打者726人と対戦して被本塁打0のシーズンもあった!)
打率:.279(首位打者1回獲得)
安打:128.9
二塁打:19.6
三塁打:9.9(18本マークする年が2回)
本塁打:17.5
打点:70.9(打点王1回獲得)
盗塁:39(盗塁王7回獲得)
この年が、二刀流として一番輝いていました↓
何と、この年は最多勝と最多奪三振と最優秀勝率と首位打者と打点王と最高出塁率を獲得。何故か盗塁数が伸びなかったが、未だに大谷翔平選手が成し得ていない投打のタイトル同時獲得を達成できました。
対ピンチを伸ばし、パワーを付ければ全タイトル獲得も夢じゃないので、オーペナに新人として入れてみるのもいいでしょう。
昔作ったバージョン↓
選手名:本賀好子(ほんが・すうこ)
守備位置:一塁手・外野手
背番号:12
学年:高校1年
誕生日:10月27日
投打:右投右打
経歴:浜甲中学→浜甲学園高校
パワナンバー:10800 60348 16693
速読によりバットコントロールは優れているものの、それ以外の能力はオールGなので、代打で使う他ありません。チャンスメイクしたい時の代打としての起用が無難かも?
前回のお話し↓
ゲームセットは聞こえない~超能力野球奇譚~ 1回裏 野球アンチと宇宙人とゲーマー 11球目 ゲーマーは徹夜を惜しまない - タカショーの雑多な部屋
<前回までのあらすじ>
浜甲学園の野球部が復活し、練習試合の相手も決まった。小回りの利くセカンドが必要となり、帰宅部の宅部(やかべ)カオルを勧誘したが断られる。しかし、宅部は水宮とエースの座を賭けたストラックアウト対決を挑んできた。
<主な登場人物>
水宮塁(みずみや・るい) 1年。中学野球では神奈川県有数の好投手だった。
津灯麻里(つとう・まり) 1年。スポーツ万能の少女。遊撃手(ショート)を守る。
千井田純子(ちいだ・じゅんこ) 2年。チーターに変身する俊足の少女。
東代郁人(とうだい・いくと) 1年。IQ156の天才。アメリカでは捕手(キャッチャー)を守っていた。
山科時久(やましな・ときひさ) 3年。バスケ部のスター選手で、中学時代は強肩強打の中堅手(センター)だった。
番馬長兵衛(ばんば・ちょうべえ) 3年。元・改善組の番長。怒ると腕がムキムキの赤鬼と化す。ケンカは負け知らず。
デヴィッド真池(まいけ) 2年。ロックンローラー。
取塚礼央(とりつか・れお) 2年。高校野球に未練のある幽霊に憑かれたかわいそうな人。
烏丸天飛(からすま・てんと) 1年。烏の口ばしがついた少年。妖怪退治のスペシャリスト。
本賀好子(ほんが・すうこ) 1年。津灯の親友。速読ができる。
火星円周(ひぼし・えんしゅう) 1年。動作がおかしい。実はオラゴン星人。
宅部カオル(やかべ・かおる) 2年。中学時代はバッティング・ピッチャーだった。今はプロ顔負けのゲーマー。
柳生妃良理(やぎゅう・きらり) 理事長の娘で、家庭科教諭。野球部廃部を目論みながら、野球部の監督に就任した。
<本編>
宅部さんと野球部のエースを賭けたストラックアウト勝負。俺はいつもよりボールの握りに気を付けながら、5球で真ん中高め・真ん中低め・内角中・外角中のど真ん中周辺の4つのコースに当てた。次はど真ん中に当てるぞ。
(※外角と内角の区別は右打者の設定)
「あれ?」
ど真ん中低めにボールがいってしまった。1番簡単なコースなのに、どうして? その後もど真ん中を狙うも、ことごとく違うコースへ行ってしまう。残り1球になってしまう。
「しゃあない、外角低め(アウトロー)狙うか」
だが、力みすぎて低いボールゾーンに……。俺は4個で終わった。
「じゃあ、次は俺の番やね」
宅部さんがセット・ポジションから、体の柔らかさが伝わるフォームでボールを投げる。
球速は俺より遅いが、確実に狙ったコースに当てている。内角高め→内角中→内角低め→真ん中高めで、順番に当てていった。
「次は真ん中低めで」
俺が苦戦したど真ん中を避けて、下のコースを狙った。これも見事に当たる。
「これで俺の勝ち、浜甲のエースは、この宅部カオルってコトで」
「むうう……」
ゲームばかりやってた人に負けるなんて……。だが、宅部さんは火傷に辛子を塗るウサギのように、追い打ちをかけてくる。
「あっ、浜甲はセカンドがいなかったんやね。じゃあ、セカンドは俺が守るから、君はエース(仮)でええよ。困ったときはいつでもリリーフするからね。じゃあねー」
彼は早口でそう言って去って行く。何という奴だ! かくなる上はコントロールを磨いて、ストラックアウト勝負にリベンジして、エース(真)になってやる!
その後の数時間、俺は猛烈な投げ込みとランニングを行って鍛えに鍛えた。
***
宅部さんに敗北した翌日、彼はグラウンドにいなかった。もしかして、入部しないのかな? 彼に負けたことは秘密にしておこう。
いつものボール持ちランニングの後、津灯キャプテンの指示により、俺と東代はバッテリーの練習を始めた。東代はつま先立ちで構え、キャッチャーらしさがあふれている。
東代は、俺のまっすぐをいい音立てて、キャッチしてくれる。実に投げやすい。本番で彼のIQ156の配球の組み立てが加われば、鬼に金棒、虎に翼と思われた。
しかし、俺のスライダーが捕れない。東代から見て右に鋭く曲がる変化に、ミットがついていけない。2ストライク後にこれじゃ、振り逃げし放題だぜ。
「ウップス! ソーリー、ミスター・ミズミヤ」
「おいい。キャッチャーフライの落下点読むの上手いのに、どうしてスライダーが捕れないんだよ。変化量を計算してキャッチしろよー」
「ウェル、ピッチャーはワンセコンド(1秒)よりショートで投げてくるので、計算できません」
半年ぐらい野球から離れていたから、スライダーのキャッチングが下手になったのかも。こうなりゃ、スライダーを封印するのも一つの手だ。
そうなれば、俺はストレートとチェンジアップの緩急で攻めることに。だが、2球種だけで抑えられるほど、高校野球は甘くない。
俺はマウンド上であぐらをかいて、東代でも捕れそうなスライダーの握りを考える。
「どしたん、2人とも?」
津灯がブルペンにやってくる。
「オー、ミス・ツトー。私がスライダーをキャッチできなくて、ミスター・ミズミヤが困っています」
「スライダーねぇ。あたしがバッターボックス入るから、何球か投げてみて。その間、東代君はキャッチしなくてええよ」
俺は左打者の津灯に当たる勢いで、スライダーを力投する。東代はボールが彼女に当たりそうになると、目をつむって何か叫んだ。
「OK。大体わかったわ。東代君は、水宮君がスライダー投げる時、今構えとる位置から2フィートぐらい横にスライドしてみて。そしたら、捕れるわ」
「サンクス、ミス・ツトー」
そんなアドバイスで捕れるものか。津灯が打席から外れて、東代は安心の吐息をもらす。さぁ、俺のスライダーを捕ってみろ。
「アウチ! はっ、入った!」
ミットのへりギリギリだが、ちゃんとボールが挟まっている。もう一丁!
「OK! 2フィートジャストです」
具体的な数値がわかれば捕れるなんて、他の野球初心者がうらやむ能力だ。
あとで、こっそり辞書で調べてみたが、2フィートは60センチらしい。もっとスライダーが曲がるよう、磨きたいもんだな。
***
俺が投げ終われば、取塚先輩が東代に向かって投げる。
県予選決勝まで進んだ名投手が憑いているだけあって、俺以上にミットをビシバシ響かせる。
「ストレート以外はどうなんだろ」
「スローカーブがあるで。水宮、ちょっと打席に立ってみぃ」
俺がバッターボックスに入ると、取塚さんがダイナミックなフォームから、遅くて高目のボールを投げる。すっぽ抜けだ、俺の頭に当たると思いきや、俺の体から逃げるように東代のミットに入る。何という落差があるスローカーブだ。
「このスローカーブを打つのは大変だな」
「甲子園の夢がふくらむね!」
津灯はほしいおもちゃが手に入った子どもの顔だ。俺1人だとキツいが、もう1人エース級のピッチャーがいると心強い。
しかし、取塚さんは30球投げたところで、ボールがキャッチャーに届かなくなってしまう。ついにはマウンド上でしゃがみこむ。
「情けないのう。もうダウンか」
「ピッチング、しんどい。全身が痛い」
煙状の幽霊がへたばる取塚さんを見てため息を一つ。憑かれたことがないからわからんが、他者に体を乗っ取られるのって、ものすごく疲れるのかな。
「30球が全力だと、抑えピッチャーかな」
「ほとんど俺1人が投げるパターンかよ」
日曜の試合がとても不安になってきた。打たれまくって、200球ぐらい投げる羽目になったらどうしよう。
「深刻なピッチャー不足のようね」
いつの間にか、グル監が耳たぶをさわりながら、俺の後ろに立っている。全く気配を感じなかったぞ。この人は忍者(くのいち)か?
「早速やけど、部員全員でスピードコンテストを開きましょう」
「スピードコンテスト?」
このグル監の提案が、浜甲野球部の運命を大きく変えることになる。
***
グル監の提案により、第1回浜甲野球部スピードコンテストが開催されることになった。ルールは単純で、誰が一番速いボールを投げられるか競うものだ。10球投げて一番速かった球速が個人記録になる。
開催に先立ち、津灯キャプテンがストレートの握り方を皆に教えた。
「では、皆さん。ピースサインを作って下さい」
俺と山科さんと取塚さん以外がピースサインをすれば、まるで集合写真だ。
「薬指から親指を離してあげて、その間にボールを挟む。親指は縫い目にしっかりかけてね。あとは、残った人差し指と中指でボールを押さえ込む。この2つの指も縫い目にかけるよ。あと、人差し指と中指を離し過ぎると、力のないボールになっちゃうんで気を付けてね」
皆がストレートの握りを習得した。今度は投げ方の説明だ。
津灯はオーバースロー(真上)、スリークォーター(ななめ)、サイドスロー(横)、アンダースロー(下)の4種類を実践する。いずれのフォームでも、彼女の体の動きはしなやかで、速球を投げる雰囲気がある。
「スピードコンテストの1位から3位まで、私の特製料理をごちそうしますから、皆さん頑張って下さいね」
皆のシャドウ・ピッチングの勢いが増す。
***
スピードコンテストは、50音順で投げていく。
ジャンピングスローの烏丸さんは時速128キロ、チーターハンズの千井田さんは124キロで、まずまずの結果を残した。
東代との対決で体感150キロの速球を投げた津灯は、意外に振るわず131キロ止まり。まぁ、高1の春、女性というハンデで、この数字は立派だろう。
サイドスローの東代は120キロで、弱肩なのが不安だ。30球肩の取塚さん(夕川)は144キロを出す。
番馬さんは鬼と化して、豪速球を投げる。何と148キロ、プロ級だ。東代が捕れないほどの荒れ球ぶりで、打者が立っていたら病院送りだろう。実戦で使うのは難しい。
タコみたいにくにゃくにゃしたフォームの火星は125キロ、ほぼ手投げの本賀は94キロ、ボールがおじぎしまくる真池は116キロで、3位以内は諦めてもらおう。
ついに、俺の出番だ。番馬さんの記録を抜くのは難しいが、140キロを出してやる。セット・ポジションから足を上げて、神奈川県の野球少年を苦しめてきたストレートを投じる。
***
俺はぶぜんとした表情でストレッチをしている。未だに昨日のスピードコンテスト4位の結果を受け入れられない。
「水宮君、明るく笑ってよー」
「1人暗いと、みんなのムードが悪くなるやん」
津灯と千井田さんがスマイルの押し売りしてくる。笑顔になったところで、昨日のトロトロオムライスは食べられないからな。
「だってよ。取塚さんはわかるけど、番馬さんが148キロ、山科さんが138キロっておかしいだろ。番馬さんは野球未経験だし、山科さんは2年ぐらい野球やってなかったのに」
「番馬さんは逃げる相手への投石、山科さんはバスケのスローイングで肩鍛えてたから、おかしくないよ」
「ピッチャー出来そうな人が増えたことに喜べやん」
「んまぁ、そうだけどさ」
夢国学苑戦で俺が打ち込まれても、代わりのピッチャーがいるのは心強い。残る問題はセカンドか……。結局、宅部さん来なかったな……。
ストレッチ、ランニングの後に、守備練習を行う。今日のノッカーは山科さんだ。ファンクラブの応援に後押しされて、打球の伸びが津灯と段違いだ。津灯のノックがマシンガンなら、山科さんはさながらロケットランチャーだ。
相変わらず、セカンドの本賀さんはエラーしまくる。トンネル。ヘディング、キック、お手玉、暴投のエラーのデパートだ。
「麻里ちゃん、ごめん。やっぱ、私、セカンド守れへん」
彼女は傷だらけの体をさすりながら、大粒の涙を流す。夏大までならみっちり鍛えられるが、4日後の試合には間に合わない。
「うちが守るやん。本賀さんはベンチでお休み」
「千井田さん。セカンドやるんなら、めっちゃ覚えること多いけど、それでも守りたいですか?」
ファーストの送球以外にも、ショートとの連係プレイ、キャッチャーの送球のキャッチ、外野からの中継プレイなど、覚えることはたくさんある。生半可な決意ではどうにもならない。
津灯の怖い顔に押されて、千井田さんは唇を震わせてうろたえる。
「う、うう……。そう言われると、何かムリやん」
「ですよね。じゃあ、左だけど、取塚さんに」
「俺がやるよ」
グラウンドに小柄な少年が入って来る。小柄でくりっとした瞳の少年は、宅部(やかべ)さんだ!
「宅部カオルです。よろしくお願いします!」
彼は小学生が使うような小さいグローブを右手でパンパン叩いて、俺達にあいさつする。一昨日の冷たい態度と一変して、今日は和やかなオーラを出している、爽やか野球少年だ。
俺達はポカン口で彼を見ていた。
「そ、それじゃあ、ノック受けてみるか?」
「はい! よろしくお願いします!」
俺はストラックアウトの敗北の恨みがあったので、ボールをポロポロこぼせと思っていたが、彼の守備は予想以上に上手かった。
センターへ抜ける打球のダイビングキャッチ、真池さんがはじいた打球のキャッチ、津灯との阿吽(あうん)の呼吸などなどエトセトラ。高校生の中に1人、プロ選手が混じっていると言っても、過言ではない。
「次はバッティングやるよー」
皆がピッチャー太郎01の速球を空振りする中、宅部さんはレフト方向へ流し打ちする。バットを肩にかついで、いかにも気だるそうな構えなのに、スイングスピードは俺や山科さん以上だ。野球センスの塊すぎる。どうして、こんな野球部のない学校に?
「宅部さん、ピッチャーやりますか?」
「いいですよ!」
彼は腕が伸び切った脱力フォームから、急に左ひじをエルボーのように突き出し、ハエを叩く時のごとく素早く投げる。スピードガンは130キロを計測。。
「カーブいきまーす」
フォークのように縦に落ちたり、ナックルのように揺れたり、打者の手元で小さく曲がったり、彼のカーブは変幻自在だ。
七色のカーブを見た俺は脱帽してしまう。
「ストレートとカーブ投げる時の腕の振りが違うから、それを直したら実戦で使えそうやね」
「夏大までに直しますよ」
スポーツ万能な好青年の宅部さんは、皆から好かれ始めている。あんなイヤミな雰囲気出してた宅部さんは同一人物だろうか? 双子の弟でもいるんじゃないのか?
「宅部、中々やるな! だが、オレもじきに追いついてやる! ドントストップミーナウ!」
真池さんが対抗心を燃やして、バットをチャンバラのように振りまくる。そんなに振りまくると、絶対にケガする、あーあ、腰を痛めておじいちゃんになった。
「宅部。あたいとベースランニング勝負するやん?」
チーター化して闘志むき出しの千井田さんに対して、宅部さんは「ええよ」とクールな無表情。
打席から一塁、二塁、三塁と順番に踏みながら走って、ホームに帰って来るのがベースランニングだ。ラインが書いてあるトラック1周と違い、自らの頭でゆるやかな孤を描きながら走る必要がある。
しかし、豹突猛進の千井田さんは、塁間をまっすぐ走った。四角形のランニングは、ベースを踏む時にタイムロスが生じる。それでも、14秒23はかなり速い。
宅部さんはベースの角に軽く触れながら、颯爽と走っていく。無駄のない走りで14秒20を叩き出す。チーターガールより速い宅部さんは、サバンナの風だ。
皆の尊敬のまなざしを受けて、宅部さんは前歯を出してはにかむ。小動物の可愛さだ、ズルい。
***
宅部さんの活躍が目立った練習後、グラウンドの隅で東代が宅部さんと何か話している。ちょっと気になって近づいてみる。
「オー、ミスター・ミズミヤ! 今からミスター・ヤカベのハウスに来ませんか?」
「えー。でも、母さんが飯作ってるからなぁ」
「すぐ終わるから」
宅部さんはか細い声で早口だ。
「んー。まぁ、それならいいけど」
「あたしも行く行く!」
津灯が割り込んできた。宅部さんは一瞬目玉焼きの目になったが、じきに能面の表情に戻る。
「いいよ」
「グッド! ソー、レッツゴー!」
陽気な2人と違い、俺は名字のごとく水のように冷静だ。あわよくば、宅部さんの高い身体能力の秘密を知り、俺もパワーアップし、ストラックアウトのリベンジしたいところだ。
***
宅部さんの家は、マンションの10階で、扉に様々なキャラのシールが貼られている。
「ただいま。友人と一緒だよ」
彼が言い終わらない内に、アフロ頭の四角いメガネおじさんが飛び出してくる。
「おーう! カオルの友人たち、はじめましてぇん! たくさんゲームあるから、遊んでいってねぇ!」
口と同時に身振り手振り、実にせわしない父親だ。静の宅部さんと正反対、真池さんや火星を超えるキャラの濃さだ。彼は「バハハーイ」と言って、自室に戻って行った。
「どんな仕事やってるんですか?」
早速、津灯が宅部に質問してくれる。宅部さんはスマホを出すと、何か検索して、動画のサムネイルを見せてくれる。
「ユアムーバー」
色んな動画のサムネイルを順繰りに見せてくれる。どうやら様々なゲームのプレイ動画をアップしているようだ。
「知ってる知ってる! バックルさんて、色んな裏技教えてくれるから好きやわ」
「そんな有名なのか?」
「ハリウッドスターぐらいフェイマス(有名)?」
野球一筋の俺と天才科学者の東代にはピンとこない。
彼の部屋に入ると、ゲームキャラのポスターやフィギュア、ゲームソフトが所狭しに並べられている。教室のスライド以上に画面が広いテレビの電源を付ければ、四方八方から音が聞こえる。
「ワーオ! サブカルチャールーム!」
東代はゲームのソフトを取って、モノクルをいじりながらしげしげと見つめる。
「あー。この子、あたしのお気に入り」
津灯はスマホを出して、お気に入りのウサギキャラの写真を撮る。
「すげぇなぁ。これ全部、自分で買ったのか?」
「ぶっちゃけ言うと、動画で父さんがクリアしたゲーム、半分以上俺がやってて、収入の3割ぐらいもらっとる」
「ワーオ! リッチですねー」
「ゲームで負けたら野球部入部って話やったけど、津灯さんが俺が元ピッチャーってこと知ってたから、自分のことちゃんと分かってるかもと思って、入ってみてね。すぐ入らなかったんは、体を野球やってた頃に戻すために、ここ数日みっちりトレーニングしててね。まぁ、普段から長時間ゲームするために体力づくりしとるから、トレーニング自体は苦じゃないけど、まだ全盛期の7割ぐらいかな」
彼はお笑い芸人の司会者のように話を連ねる。ツッコミを入れるスキも与えないマシンガントークだ。
「ストラックアウトの時は全盛期の何割ぐらいだったんだ?」
「「ストラックアウト?」」
あっ、誰にも言わないつもりだったのに、自分でバラしちまった。
「5割ぐらい? あっ、あの時はエース(仮)なんて言ってゴメンね。自分、他人とは友好的な関係結べるタイプやけど、ピッチャーを見ると、どうしても敵視しちゃってね」
「いや、別にいいですよ。同じ部活にライバルがいるのはいいことですから」
「エース(仮)? ウフフ」
津灯はエース(仮)がツボにハマったようで、ずっと笑い続けている。
「おっ、そうだ。体感型ゲームのゲット・ザ・エンペラーやってみない? 中世ヨーロッパが舞台のゲームで、このリモコンスティック使って、ゲーム用の服着てプレイするんだけど」
「うん! 是非ともやりたい!」
「じゃ、この赤い服着てくれ。姉ちゃんが昔使ってたやつやけど、まだまだ感度ええから」
赤いインナーのあちこちに黒いビー玉に似たものがついており、ボトムスのすそから出たケーブルがゲーム機につながっている。
「対戦モードで、剣闘士をエンターっと。今からキャプテンは女剣士マガリ―な。相手の攻撃を食らうとHP減るから、上手いことよけて、このスティックふるって相手の体にクリティカルヒットさせてや」
TV画面には、女子プロレスでバリバリ現役っぽい女性の剣士が映し出される。胸当て以外が露出してかなりセクシーだ。
「OK。それじゃ、お願いしまーす」
マガリ―の相手は番馬さん風の大男だ。マガリ―(津灯)は大男のすねに攻撃するが、相手の地ならしや蹴りをまともに食らってしまう。ダメージが体に伝わり、彼女はひざをついてしまう。
彼女の前に、LOOSERの青文字が表示された。彼女は床に拳を叩きつけて「悔しい」と叫ぶ。やはり、ゲームは苦手なようだ。
「このゲームはやりこめばやりこむほど、強くなれるからねぇ。おかげで、ゲームだこが出来てもうて」
彼が右手を広げると、親指に納豆の豆ぐらいのタコが出来ている。このゲームだこが、カーブの不規則な変化を生んだのか。
「ステイホームで、ボディが強くなりますか。私もトライしたいですね」
「東代君はゲッペラより、こっちのベースボール・フレンズをやろう。日本の野球の勉強になるから」
ベースボール・フレンズ(べスフレ)は、プロ野球チームの選手を操作したり、オリジナル選手を作れたりするゲームだ。
「ミスター・ミズミヤ、バトルしましょう」
「えー。ちょっと待って。母さんに言っとかないと」
母さんに連絡したところ、晩ご飯にラップをしてくれるとのことだった。ありがたい。
「野球部のエース(仮)と正捕手の勝負! これは見逃せません!」
「津灯! そのあだ名やめてくれ!」
「フェイクエースはどうでしょうか?」
「それもダメ!!」
俺と津灯と東代のやり取りを見て、宅部さんはゲラゲラ笑っている。悪い人ではないんだけど、ちょっとヤバイ人かもしれない。まぁ、烏天狗や宇宙人に比べたらマシか?
その後、俺と東代は、実況・宅部と解説・津灯のしゃべりを聞きながら、白熱した試合を展開する。最終的に、俺が延長15回の18対17で東代に勝った。
(初の練習試合まであと4日)
前回の記事↓
前回大会の記事↓
先週、2024年4~6月にかけて個人的にクリティカルヒットした40曲を歌いました。
90点を超えたのは、以下の14曲です。
マカロニえんぴつ「忘レナ唄」
事前の練習では89点だったので、ここまで高得点&高順位になるとは思わなんだ。練習すれば95点取れる?
Pii「お化けひまわり」
となりの妖怪さんのOPソング。EDの方も早くカラオケ配信してほしい。
MY FIRST STORY × HYDE「夢幻」
リーガルリリー「キラキラの灰」
ダンジョン飯の2クール目ED。2期が決まったので楽しみ。
TM NETWORK「BEYOND THE TIME」
TM NETWORK「SELF CONROL」
TM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」
TM NETWORK「Still Love Her」
TM NETWORK「Love Train」
今年デビュー40周年のTMNゾーンで高得点連発。宇都宮さんの歌声は僕のキーにめちゃ合って歌いやすいかも。
振付師・間島茂樹さん追悼
BLUE ENCOUNT× Takeshi Sorimachi「POSON」
言いたいことも言えないこんな世の中はPOISON
KYOKO「風のレジェンズ」
レジェンズ放送開始20周年!
チャージマン研!放送開始50周年!
以上が、大会エントリー曲で90点超えた曲です。
高得点連発で調子が良かったので、他の曲も歌っていきます。
糸奇はな「環」
monobright「アナタMAGIC」
和田光司「FIRE‼」
THE BLUE HEARTS「情熱の薔薇」
出るわ出るわ、自己ベスト曲が。
珍しく、月間グランプリベスト10が、ほとんど男性ヴォーカル曲になりました。自分のキーに合った男性ヴォーカルの曲を極めたら高得点連発出来ますね(当たり前)。
来月はレパートリー3000曲チャレンジで高得点を取ったアニソンを歌っていきます。