「壁から死体」 (original) (raw)
こんばんは!
ジジ・パンディアンの「壁から死体?」:今年の七月の新刊で、コージー・ミステリーの一作目です。「秘密の階段建築社」の事件簿シリーズで、原題は、Under Lock & Skeleton Key です。第二作目まで創元推理文庫から刊行予定だそうです。
この本は読書会でいただいた本で、読書会では、参加された出版社の方がお土産に新刊本をプレゼントしてくれることがあり、ありがたくいただきました。
主人公は、ザ・ペンテスト。ラスベガスで大成功したイリュージニストでした。私たちある程度の年齢層の日本人のイメージでは、引田天功でしょうか。彼女は代々続くマジシャンの家系で、名前に、ザ、がつくほどのイリュージニストでしたが、スタッフの裏切りで火災事故を起こし、ラスベガスにとどまることができなくなり、家族が住む「秘密の階段建築社」に戻り、失意の日々を過ごしています。そしてなんということか、自分を陥れたスタッフの死体が、実家の「秘密の階段建築社」が請け負ったお宅の壁から見つかります。驚愕の展開です。少し変則な密室物でしょうか。
この本の面白さは、からくり建築とマジシャンの繰り広げるマジックの意外性にもありますが、古典ミステリーのオマージュなのかな、と思える記述もあり、往年のミステリーファンが楽しめる作りにあると思います。昨日紹介したジョン・ディクスン・カーの「三つの棺」から、カーが紹介した密室殺人の定義が以下ですが、
1 殺人ではないが、偶然が重なって生じた事態が、あたかも殺人のように見えるもの。
2 殺人だが、犠牲者が自殺に追いやられるか、なんらかの偶発事故で死ぬもの。
3 殺人であり、あらかじめ部屋に持ち込まれ、無害に見える家具のなかにひそかに隠されていた機械装置で殺されるもの。
4 自殺だが、殺人のように見せかけるもの。
5 殺人で、目くらましとなりすましから謎を生み出すもの。
6 殺人で、犯行時に部屋の外にいた誰かがやったにもかかわらず、なかにいた者がやったはずだと思われるもの
テンペストの友だちのアイヴィーの分類の一部を紹介します。
1 時刻の偽装
2 実際には殺人ではなかったというもの
3 部屋の中に死因となりうるがあらかじめ置いてあった
4 犯人は殺人現場の部屋に入らなくても被害者を殺すことができたけれど、あたか も入らなければ殺せなかったような状況だった
5 犯行現場の部屋は、絶対に入ることができないように見えるけれど、じつは出入り口があった
ね、どうなんでしょうね。
お休みなさい。2024/10/22