Silver grass (original) (raw)

花組公演『エンジェリックライ』『Jubilee』のチケットが余りまくっている。

神戸新聞では長年宝塚を取材する演劇評論家が「これほど取りやすい状況は珍しい」とまで話した。

宙組娘役の転落死事件から1年で出た記事なので、大々的に「売れない公演」とされたのはタイミングか悪かった。しかしイメージキャラクターの満を持しての宝塚大劇場御披露目。三井住友VISAカードシアターとして冠公演にまでしたので、関係者もかなり多く招待しているだろう。

そこまでして売れてないという、大コケっぷりだ。

同記事は人数問題も取り上げた。

「5組の所属俳優の数は現在、星75人▽花72人▽雪69人▽月68人▽宙60人で、不均衡な状態が続く。俳優の死後、宙組からは6人が退団。トップスター芹香斗亜(せりかとあ)さんと、あと1人の退団が決まっている。」

手厚いスポンサーだけでなく、人数も2番目に多い花組でこの売れなさは言い訳出来ない。

花組トップコンビは、若手時代からゴリゴリに推された同士である。出来る売出しはほぼやった。

つまりこれで売れないとなると、宝塚歌劇団の戦略でスターを生むのは厳しい。プロデュース力が失われているということだ。

しかし今の花組で唯一弱い売り出しがある。それが同期~予科本科のスターを集める、宝塚音楽学校の絆だ。

日本中から批判を浴び、殺伐としたビジネスの現実が垣間見える宝塚歌劇団

今やビジネスが始まる前の、同期~予科本科の関係性は最後の砦である。

宝塚の提供する夢では、唯一信頼出来る本物の絆。

逆にいえばそれ以外は全て揃っているのに、その1点が欠けているとここまで苦戦するのか。

今や宝塚の売りは歌でもダンスでもない。同期~予科本科の関係性ということだ。

・即退団の97期

まずは新トップスター永久輝せあの同期である、綺城ひか理の即退団。明らかに柚香光と水美舞斗、礼真琴と瀬央ゆりあのようにする狙いが見えていたのにだ。残ってくれないのは時代もあるだろうが、下準備も足りない。

永久輝せあが移動後、ずっと同期売りしていれば違っただろう。しかし綺城ひか理は入れ違いで星組にいったため、舞台上での期待には繋がらなかった。

人事によって友情にヒビが入ったようにも思え、お披露目かつ退団公演ながら観る気が失せる。

・飛び降り事件の加害者疑惑105期

トップ娘役に就任した星空美咲は、宝塚音楽学校時代に飛び降り自殺未遂があった頃に本科生だった。

同期や予科本科で絡みを見たいスターがあまりいないので、いまいちテンションが上がらないのも大きい。

しかしもし出てきたとしても「もうひとつの飛び降り事件」が有耶無耶なままでは不信感が募る。

・すっかり抜けてしまった100期

聖乃あすかの元にはかつて星風まどか、華優希、音くり寿と同期のヒロインが集中していた。同期がトップ娘役という最も美味しい売り出し時代も長く、ここからは自力でというのも分かる。

しかし2番手、出来ればトップ就任確定までは同期か予科本科のトップ娘役であって欲しかった。

人気の95期も

礼真琴→1作前(直前)

柚香光→2作前

朝美絢→4作前

同期~予科本科がトップ娘役時代に2番手として、トップスターの基盤を固めている。

また明日海りおは準トップスター就任直前、柚希礼音もトップスター就任直前まで予科本科のトップ娘役であった。

月城かなとは5作前だが、トップになった月組で同期がトップ娘役の時代があった。

一方永久輝せあが予科本科のトップ娘役だったのは、雪組時代の大劇場8作前まで。不振の原因と思われる以上、同じ轍を踏むのは避けたい。

・扱いにくい103期前後

『儚き星の照らす海の果てに』でバウ主演が決まったのは103期の希波らいと。

しかし103期は故人の期であり、予科本科の102期は遺族の期。

102期と103期一丸となってストライキでも起こしていたら、まさに革命の期として美談にも出来たが。

実際は自殺直後に102期の舞空瞳と天飛華音が主演公演を強行、舞空瞳は事件を茶化す言動が度々ある。

舞空瞳は倫理的にも最悪だが、音校の絆頼りになる今後の商業的にも大失敗であった。

現実の「仲間の死」を越える夢を見せるには厳しく、103期前後での同期~予科本科売りを諦めるしかない。

こうなると一刻も早く同期~予科本科売りが出来るスターを移動させて欲しいとも思うが、他組もスターを売り出す必要がある。

新生花組宝塚音楽学校の絆という伝家の宝刀抜きで、どこまでやれるのかを試す枠なのかもしれない。

有沙瞳と読み違える『阿修羅城の瞳』の宝塚化が発表され、小柳奈穂子までが礼真琴×有沙瞳の構想を練っていたと知らしめた。

弁護士になるつもりがニート状態でモラトリアム期間を過ごし王女と結婚する「小室圭さん眞子さん」を描き、皇室を風刺した『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-』は既にやっている。

コロナ真っ只中で中止が多く、第1~2弾の円盤で売上を補填するためだったのだろう。

とはいえ、急ごしらえではあった。

小池修一郎の次くらいには原作に強い小柳奈穂子が時事ネタ、つまり礼真琴作品の構想が無いとは意外だったが

単に「有沙瞳が相手役で考えていた」ということか。

阿修羅城の瞳』は運良くやもめ状態で出来るので、潤色の得意な小柳奈穂子の本領発揮となる。

結局礼真琴×有沙瞳作品を実現出来たのは、谷貴矢『Le Rouge et le Noir赤と黒~』であった。『RRR×TAKA"R"AZUKA〜√Bheem〜』を抱え梅田芸術劇場シアター・ドラマシティに対応する、若手の自由さと柔軟さが功を奏した印象である。

一方で、無理矢理そのままやった作品も多い。

公演中の『記憶にございません!』-トップ・シークレット-も礼真琴×有沙瞳想定感がある。

しかも原作を考えればやもめ体制にぴったりなテーマと群像劇。三谷幸喜新作映画「スオミの話をしよう」の公開がなければ、やる時期は違ったかもしれない。

石田昌也としては『ロックオペラ モーツァルト』の焼き直しな面はあるだろう。とはいえコンスタンツェも『ドン・ジュアン』のエルヴィラが報われる姿のようである。

世の中的に「いかにも有沙瞳」の役だ。

最も礼真琴×有沙瞳的だったのは『阿弖流為 -ATERUI-』の大野拓史がやった『柳生忍法帖』。

有沙瞳がトップ娘役前提で作りすぎて、何をやらせるか明らかに困っていた。

それでも文化庁芸術祭賞に導き、今に繋げた大野拓史。カレンダー通り退団公演だとして、2本立てなのに外されたのは意外だ。

レビュー『エスペラント!』も2025大阪・関西万博を意識している感があるため、退団公演にしては商業的過ぎる気もする。

そもそも礼真琴も出演があるだろう舞空瞳サヨナラショー、退団記者会見、タカラヅカ・スカイ・ステージの公開収録トーク&ライブ……星組宝塚大劇場公演にこんなにも負担が追加されてるとしたら、過重労働の見直しとはなんだったのだろう。

礼真琴×有沙瞳でこんなに構想が出ているのは、演出家とスターにちゃんと人間関係があるからだ。

人としての繋がりこそが、宝塚歌劇団であって欲しいものである。

有沙瞳も大劇場ヒロイン格をやる予定だったと、星組トップ娘役を設けない「礼真琴やもめ期」で表面された。

今の池田泉州銀行イメージガールは既に宙組トップ娘役の春乃さくらなので、池銀特権が行使されることはしばらくない。

むしろ有沙瞳が約2年後の大劇場ヒロイン格を待たず退団したことで、スポンサー側も特権の在り方を考え直すかもしれない。

また芹香斗亜のプレ退団かつ桜木みなとの今後を占う宙組公演全国ツアー『大海賊』『Heat on Beat! -Evolution-』の売れ行きがなかなか厳しい。

それがまた礼真琴宙組スライドの必要性を知らしめている。『Tiara Azul -Destino-』は舞空瞳だけでなく、礼真琴も星組を離れそうな雰囲気だ。

とはいえ、礼真琴×有沙瞳の想定で企画された作品はあっただろう。星組に限らずイワタニ(暁千星)とヒガシマル(詩ちづる)がいると、名の知れた原作が用意される。

じゃあどんなのが礼真琴×有沙瞳だったかというと、それこそが『記憶にございません!』に思えてきた。

まず日本。ヒロイン格である有沙瞳は着物だ。

やはり礼真琴×有沙瞳といえば『阿弖流為 –ATERUI–』、そして有沙瞳は日本物の雪組出身である。

ことみほの恋愛描写はないものの、コンビ性が発揮された『ANOTHER WORLD』では、日本物にしてはポップな着物であった。

「記憶にございません!」原作ポスターはシックで重厚なのに、宝塚版が何故か明るい着物でコントのようなポスターなのも頷ける。

何より原作の内容と群像劇である点。

宙組公演 『神々の土地』のように、有沙瞳がトップ娘役でない以上は出番を分散する必要がある。手っ取り早く分散するなら群像劇だ。

舞台が本場の三谷幸喜が、あえて映像で作った作品をわざわざ舞台化する。無味乾燥さは拭えないが

「日本で群像劇と言えば三谷幸喜」ではある。

あの映画の核は「全部嘘?」と思えるラスト。

家族にも仲間にも本心は見せない。

誰も主人公の本質には触れられない。

総理大臣という孤高の人間。

それが無いとただのコントなので「やもめ公演」にはぴったりなのだ。

以上のことから星組で「記憶にございません!」と企画、打診されたのは納得してきた。

タイミング的には不謹慎過ぎる内容だ。

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しかし三谷幸喜新作映画「スオミの話をしよう」の公開時期なので、宣伝に使われているのだろう。

「記憶にございません!」以来5年ぶりに手がけた映画監督・脚本作品としている以上、他作品に変更は駄目。

せめて喪が明けてからに延期も駄目。

宝塚歌劇団側に決定権は無かったかもしれない。

芹香斗亜が誹謗中傷の時効前に退団することが分かった。

ヘアアイロン事件の故人と母親のLINEは、遺族弁護士が出す前に週刊誌に掲載されている。つまり一連のパワハラをリークしたのは、102期の妹含めた遺族側だ。

週刊誌に上級生への誹謗中傷を掲載させたのは隠しつつ、それを責められたことはパワハラとしたがった遺族。

その結果合意書では会議室に呼び出し、宙組生全員の集まりをひらいたら「過呼吸になったのでパワハラ」という意味不明な文になっていた。

芹香斗亜がしたとされるパワハラは、下級生というより「真風涼帆や天彩峰里を誹謗中傷した加害者」を責めたものといえる。

加害を隠して被害ばかり主張した102期含め遺族には、芹香斗亜も誹謗中傷されたといえるだろう。

死を悼む気持ちが感じられなかったとは思う。しかし宙組生に限ったことではない。

実際に遺族の同期で故人と予科本科ながら、自殺を揶揄した舞空瞳はスルーされた。

遺族である102期が嫌っている、不仲な相手だけ責めるのではただの私怨だ。

週刊誌と戦うのは難しくても、リーク元が明確であり一方的なコメントを出している遺族は訴えやすい。真風涼帆も芹香斗亜もこのまま風化を待つよりは、ちゃんと戦った方が人気も知名度も増す時代になってきている。

以上のことから穏便に済ませたい宝塚歌劇団側が、時効までは囲い込むかと思っていた。

美学はともかく、流れからしても3作退団が予定通りというのは無理がある。

宙組がトップスター芹香斗亜に求めたのは、桜木みなとを初の生え抜きトップスターにする土台作りもあったはずだ。中止が無かったとしても、発表されていたラインナップでは厳しい。

正直、選択肢が少ないため桜木みなとが次期最有力ではある。しかし他組のスター下級生を総動員でもしない限り、売れ行きはワースト。動員バランスが悪くなれば「何故わざわざ宙組を残した」と叩かれる。

当然売上が悪ければ、組の雰囲気も悪くなる。再びトラブルがあれば、今度こそ宙組は解散だろう。自暴自棄でもない限り、いくらなんでも即トップ就任は避けると思いたい。

次によく見るのは既に花組で十分2番手経験のある、専科の水美舞斗がくる説だ。

トップスターとしては問題ない。しかし同期の桜木みなとの上に立つとなると、なかなか複雑に思う。

やはりなんとなく組も年功序列のため、花組出身者が宙組含め他組生より優先されがちではある。しかし宙組御曹司として育った桜木みなとの上に、花組で同期を支えてきた水美舞斗がくるとなると荒れる。

正直「宙組は売れる組」でないと、存続の危機は続く。現状を逆転出来るほどの人気かというと、不安が大きい。

桜木みなとより「確実に上」といえる宙組トップスター候補となると単に上級生か、現役最長トップスターで日本武道館公演も決定している礼真琴しかいない。

星組は『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~』新人公演でのパワハラが週刊誌に掲載されたが、中止も起こらず公演は進んでいる。

そもそもタカラジェンヌ週刊文春に狙われ出したのは礼真琴が始まりだ。『1789 -バスティーユの恋人たち-』の大量中止についての記事には、週刊誌に対抗までした。

それでもここまでやってこれたのだから、週刊誌からの攻撃に最も強いスターといえるだろう。その意味でも最適に思う。

また礼真琴の元であれば、95期ブームに乗った同期売りも出来て一石二鳥である。チケットも捌けるようになり、宙組生の精神状態も安定すると思われる。

礼真琴についていたファンが、桜木みなとの熱心なファンになる可能性は低い。しかし基本的に好みの男役ではあるはずだ。

宙組を避けている層が、無視できない組になる効果だけでも十分欲しい。

宝塚歌劇110周年記念行事が終わったら舞空瞳が退団、礼真琴の日本武道館コンサートを餞に、有沙瞳をヒロイン格として実質的な添い遂げ退団、

という流れは星組の想定としてあっただろう。

しかし星組のストーリーを待たずに有沙瞳が退団した。礼真琴も用意された餞ルート通りではなく、宙組の救世主期を追加する道だってあるはずだ。

最後は有沙瞳と組むはずだったと、星組トップ娘役の不在発表で表明された礼真琴。

暁千星のお披露目にとっておいて欲しかった『1789 -バスティーユの恋人たち-』、トップスターで海外ミュージカルなのにシアター・ドラマシティ公演の『Le Rouge et le Noir赤と黒~』、土壇場で用意した餞なら全て納得だ。

池田泉州銀行は実質大劇場ヒロインを確約しても、残ってくれないこともあると知った。だからこそ既に宙組トップ娘役である、春乃さくらを起用したのか。

礼真琴専科説に一縷の望みはあるが、プレ退団ほぼ確の日本武道館コンサートも発表された。

いわゆるやもめ退団で、真風涼帆時代前後の宙組が再現されるのだろう。

轟悠ポジションに収まって欲しいとは思う。

しかし前回の 『BIG FISH』、そして公演中の『記憶にございません!』-トップ・シークレット-はともかく『Tiara Azul -Destino-』が舞空瞳だけでなく礼真琴の退団っぽさもある。

そもそも“ANTHEM”-応援歌-にするぐらいだから、少なくとも星組からは次で離れるだろう。

もう1作あるかと思ったが、真風涼帆と潤花の時もそう思った。コロナの約半年中止がここに来て響いているのか。

ここのところ小池修一郎が、重宝してきた男役の退団公演を務めている。

礼真琴は真風涼帆と同じく、トップ期間に新人公演時代のセルフ再演と再演作品のみ。新作で有終の美を飾る可能性は高い。

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の通り、知名度のある原作を用意するだろう。オリジナル要素は抑えて、そのまま持ってくるかもしれない。

『神々の土地』化する予定だった礼真琴退団公演が、有沙瞳の不在で宙組と重なり過ぎずに済むとは思う。

しかし真風涼帆と潤花が前任であるIwataniとヒガシマル醤油のイメージキャラクター、暁千星と詩ちづるも揃っている。元々かなり宙組っぽいのだ。

星組では有沙瞳だけでなく、天華えまも既に退団している。花組ではトップスター永久輝せあの同期、綺城ひか理の退団も発表された。

水美舞斗や瀬央ゆりあ、伶美うららもそうだが、もう同期を支えてくれる主演級のスターを確保し続けるのは難しいだろう。下級生ならなおさらか。

人材確保は日本中の課題であり、宝塚でも問題となるのは必然ではある。

解決とまではいわないが、大切なのは「不安の解消」だろう。

残念ながら「宙組っぽい」というのは、それだけで不安になるのだ。

宙組のやり方を辿らない、配慮が今は必要である。

火傷、それも焼きごてを押し付けられたあとを見せつけるジャンヌ……ヘアアイロン事件の証拠として、火傷写真をマスコミに流した行為の宝塚化だ。

雪組公演『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-は2024年版として新しい試みはあるものの、ジャンヌ自体は昔も出てきたらしい。

しかし数十年出さなかった役を「今」あの形で出した。

今回のジャンヌに、故人と遺族の102期が投影されているのは無視できない。

ジャンヌ役の音彩唯は105期生なので、さすがに102期103期がやることにはならなかった。しかしもっと上級生にやらせることも出来たはずなのに、わざわざ下級生にやらせたといえる。

「上級生の誹謗中傷を流布した下級生」という構図は、過激な風刺だ。

今回の大劇場公演集合日に、遺族である102期の妹が退団した。つまり元々出演予定だった公演で、自分や家族の行いを痛烈に批判されたことになる。

共に過ごしてきた生え抜きトップスター彩風咲奈、故人の同期で遺族の予科本科の上に宙組雪組で過ごしてきた夢白あやを中心とした、今の雪組でやることか?

星組の『記憶にございません!』も酷いが

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102期の舞空瞳と天飛華音は故人と予科本科かつ遺族の同期であるのに、自殺直後の主演公演を強行した。

舞空瞳はパワハラ合意書を締結した直後、退団記者会見で事件を軽んじた言葉を連発。ミュージック・サロンからも103期を排除した。

星組102期は最初から非情だったのだ。

一方雪組は『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』-Boiled Doyle on the Toil Trail-『FROZEN HOLIDAY』を何度も中止させるほど、心を痛めてきたと思われている。この仕打ちはさすがにキツい。

事前発表は無かったのに星組公演『夜明けの光芒』では瑠璃花夏、月組公演『琥珀色の雨にぬれて』『Grande TAKARAZUKA 110!』では白河りりの103期が、続けて主要キャストとして線上に出された。

これも102期の舞空瞳と天飛華音のように、隠蔽や矮小化に手を貸せば手厚く扱われるということなのか。

下級生は事件を軽んじ、踏みつけるほど安泰に。

同期や予科本科という生徒自身の絆より、組織を優先する都合の「いいタカラジェンヌ」であれ。

宙組事件は宝塚の踏み絵にされた。

痛バ(勝手に作ったスター写真グッズを大量に着けた鞄)の宝塚ファンが炎上したらしい。

これには色々な要素が絡んでいるように思う。ネットのネタ元まで探る気にならなかったので苦言を読んだ程度だが、似たようなことは以前からあった。

①オリジナルグッズを勝手に作る行為

正当性のある主張として、まずここがある。スターの写真を勝手に使ったグッズ制作は肖像権の侵害という点。

タカラジェンヌは基本的に、私設FCとして後援会がある。この立場が微妙なのだが「劇団という公式ではないがスターという公式」である。

つまり「グッズが無いから作った」は通用しない。公式に金を落とす方法はいくらでもある。

また学年や立場によって暗黙のルールがあり、立場を越えたグッズやクオリティーは問題になる。

宝塚ファンにとって、いわゆる「推し活」は私設FCで行うもの。会員でない、自己流推し活は批判される。

さらに私設FCでどんなものが作られているか、何が許可されているかはだいたい他言無用である。表立って出来る推し活はほぼ無いため、やってる時点でアウトなのだ。

ただお手紙文化でもあるので、ポストカードをデコって送るとか、写真を使って作るファンは昔から多い。

自分で使うのは駄目だけど、スターに送るのは有りというのは微妙な矛盾ではある。

②スターの認知を狙う行為

作ったグッズを客席でアピールする場合があるらしく、そこも批判の的となった。客席降りも復活し「見て貰おうとするファンが目に余る」という意見も目立つ。

分からなくもないが、コロナ前はもっと積極的だったように思う。客席から舞台へ物を渡すとか、声かけもザラだった。

コロナでライブ配信が完備され、OGもインスタライブなど多く行うようになった。SNSを通して応援するようなやり方も一般化し、そのノリが現実にも出てきた面はある。

しかしある意味、舞台と客席の距離は開いた。古参の方が客席参加型の意識は強い印象だ。

自己表現の場所にしてる違和感は分かるが、公演のイメージに合った服装や組カラーのようなオシャレは良い。

ポスターまで徹底的にモノクロに赤の星組公演 『Le Rouge et le Noir赤と黒~』では、観客の多くが赤と黒の服を着ていた。むしろ他の色を着ている方が目立っていたのだ。線引きが難しい。

逆に認知は一切ないだろうが、座席で香水をまきだしたのがいた時は本当にキツかった。

結局マナーの問題に思う。

また前述した私設FCでは、認知を狙った行為は普通に行われてしまう。グレーゾーンは全て、会の裁量次第なのが現状である。

しかし私設FCでの脱税も騒ぎになった。当時は私設で切り離せたが、次は無理だろう。

コロナでの中止やチケットが用意できない場合に、お花代(サポート代)が返金されないのも週刊誌で叩かれている。名目はともかく実質手数料の形式で取っていて、大きい金額も絡むので詐偽扱いされても仕方ない面はある。

パワハラも議論し尽くされ、一応解決となった。今最も掘り下げられたくない、宝塚歌劇団のアキレス腱は私設FCだ。

そんな私設FCを盾に、新規や若いファンを批判するのはなかなか危ない橋を渡っている。

③景観を損ねる

結局本音はここかな、という印象だ。

要は「宝塚らしくない」問題である。

舞台を観に来ているファンにとって、客が目立つというのはそれだけで邪魔だ。

その目立ち方が、他の界隈でのやり方となると宝塚ファンの逆鱗に触れる。

今や宝塚歌劇団はバッシングの対象でもあるが、宝塚ファンは宝塚のファンであることに誇りを持っていることが多い。

演劇やミュージカル界ならともかく、アイドルやアニメ等のファンが掛け持ちしてるだけでも嫌そうなのだ。

同じスタンスで応援(推し活)するのを、毛嫌いするファンは多い。

郷に入っては郷に従えなのは分かるものの、新参と古参の相容れなさは難しい。

劇団の方針と私設FCの方針、それぞれの事情だけでなく本音と建前も微妙に違うのだ。

宝塚が新しくなろうとしている以上、ファンも温故知新であるべきか。

ブランク明けなのに新人公演の完全復活が確定した、宙組公演『宝塚110年の恋のうた』『Razzle Dazzle』。

宙組の事件には人数という明らかな問題があったはずだ。人員を増やさず工夫で乗り切ろうというのは、典型的な失敗パターンである。

出来れば宙組を、103期以下全ての期が最も多い組して欲しい。

せめて抜擢経験豊富な新人公演世代のスターを大量異動させ、最も人数が多い新人公演にしないと不安過ぎる。

しかし宝塚歌劇団の村上浩爾理事長は報道陣の取材で、現在在籍者が60人と他組に比べ3割近く少ない宙組の再編について「いまのメンバーで前に進めていくのが大事」と回答した。組替えはあるものの、人数の少なさを即解決する気はないらしい。

その理由は「宝塚は座付き演出家なので、組に合わせた作品ができるので」

つまり舞台のクオリティーに問題が無ければ人数は少なくていい、ということだ。

しかし論点がおかしい。舞台上に大勢いるシーンは少ないし、約半数になる別箱公演のクオリティーが低いわけでもない。

人数の少なさが問題なのは裏側での負担が増え、集客力に直結するからである。

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上記の通り宝塚歌劇団の集客を支えているのは、スター個人についているファンだ。

チケットは売れるとなるとより売れるように、売れないとなるとより売れなくなる。『FINAL FANTASY XVI』のような版権が使えないなら、人海戦術頼りになるだろう。

それにはやはり人気知名度のある下級生を、他組から入れるしかない。特に新人公演世代は組替えで、人気知名度が頭ひとつ抜ける。

今の宙組で急にトップや番手を担えというのは嫌がられるだろうし、トラブルの元だ。

しかし若手ホープならスター自身もファンも受け入れられそうに思う。週刊文春では組替え宙組生への批判が主だったが、一気に大量移動なら変に浮かずに済むだろう。まだ同期がたくさんいる世代だからこそ出来ることでもある。

正直クオリティーについても新人公演は、公演を続けてきた他組と差がついてしまう可能性が高い。今は配信もあるので見比べられ、売上も差があれば明確になってしまう。

そういった点に配慮をしなければ、またトラブルの元となる。

チケットが捌ける下級生を宙組に集めるのは、パワハラの抑止にもなるはずだ。

下級生が集客力を持つことで、健全なパワーバランスの調整も出来る。

どうとでもいえる説明ではなく、まずは客観的に安心させて欲しい。

花組トップスター柚香光と元月組トップスター月城かなとが、スターダストプロモーションで活動すると発表された。親密さを出していた同期で立て続けに所属となる。

同事務所に同年代で同じ元宝塚トップスターとなれば、優先順位や序列を気にしてしまう。

しかし事業部は違うので、別枠として扱われる。ファンもモヤモヤせず純粋に楽しめるだろう。

「同じ劇団の他組のスター」という関係性が継続されるのだ。

予科本科の関係である96期の米津れいみ(拓斗れい)も所属しており、スターダストだけで95期ファン向けの公演が作れそうである。

OGが現役タカラジェンヌについて話すのは基本タブーだ。

しばらくは気兼ねなく話題に出せる、唯一の相手同士となるだろう。セット売りの期待が膨らむ。

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の通り宝塚歌劇団内でも、もはや何度目か分からない95期大売り出しが再始動している。

宝塚OGの芸能界入りが増えたことで、隙間産業的にもなってきた。

宝塚にいる間は、5期も離れればライバルではない。しかし芸能界では10歳くらいの差なら同じ役を取り合う相手だ。

また宝塚のようにある程度ファンがついてきて、集客が見込めるアイドルグループ出身者が乱立した。アイドルを外したがる傾向もだいぶ無くなり、むしろ事件によって宝塚の方が敬遠されてきた。

良くも悪くもイメージが固まっていて、退団後も逸脱が許されない宝塚出身者。扱いにくいのも事実だろう。

そんな中でビジネスが始まる前の素の自分が築いた、本物の人間関係が売りに出来る宝塚音楽学校の同期や予科本科。

それぞれにエピソードがあり多種多様、かつ唯一無二だ。

アイドルはいくらキャッキャしていても合格時には、いや今やオーディション時からビジネスが始まっている。常にカメラが向いていて、SNSを片手に活動しているのだ。明け透けにする前提な以上、全て人目を意識して作ったものではある。

宝塚音楽学校の閉じられた世界は、外部から守られてるともいえる。

ビジネスの責任も、世間の目への対応も免除されながら、スターを目指せる場所なんてもう他にはないだろう。

閉じられた世界だから築ける絆があり、隠して良いからこそ「出せる話」は本物と信じられる。

予科本科の関係だった相手と、入団後に相性の良さを発揮しているのも注目だ。

柚香光と月城かなとは『不適切にもほどがある!』にも出演した仙名彩世と咲妃みゆがトップ娘役時代、予科本科特有の絶妙な親密さで目を惹いていた。

トップスターとしての活躍には、こういった何年も積み上げた土台がある。密な上下関係があったからこそ、生まれた魅力を見せつけて欲しい。

宝塚音楽学校の絆で人気を出せば、受験生の数も増える。

結果的に宝塚歌劇団が存続していく力になるのだ。

星組『記憶にございません!』新人公演主演が御剣海と綾音美蘭の104期コンビとなった。

ラストチャンスで初主演を掴むのは定番でも、コンビとなるとかなり珍しい。やはり『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~』パワハラ告発の影響を感じてしまう。

RRRパワハラ宝塚歌劇団全体への批判がメインだ。名指しで叩いたのは星組プロデューサーのみである。

しかし105期大希颯を責めた上級生をパワハラ犯とはした。加害者の中心は103期であったが、104期も含まれる。しかも長の期という意味では、今度は104期だ。

つまり既にパワーハラスメントの加害者とされ、次もすることはするであろう104期を主演に抜擢したのだ。

新人公演学年で確実にリーク犯でないのは、同じく加害者として叩かれた104期だけ。星組プロデューサーからすれば、一種の仲間意識が芽生えている気もしている。

週刊文春へリークした新人公演出演者からすれば、パワハラ犯と訴えた104期が揃って抜擢されたのだ。正当な恨みとは言い難いが、許せないとは思う。

また105期の稀惺かずとは本公演で息子役なら、新人公演で礼真琴の役もありがちなのに組長の役である。上級生向けの役だからという理由も効かない。既に十分な役付きだが、主演はまだ1度なのだ。

もちろん未発表である次の作品が超大作で、温存してるのかもしれない。

しかし仲間として、足を引っ張ったと自責の念に駆られる可能性は高い。

何より、満を持しての長の期コンビ。本来なら祝福でいっぱいなはずの抜擢に、後ろ暗いものを感じてしまうのも辛い。

105期以下が新人公演内での指導に不満を募らせているのは晒され、疑心暗鬼になってもいるだろう。

そんな状況で主演と長の両立は、リスク管理の観点でも不安になる。

やはりリークなんて誰にとっても、悪い影響しか与えないのだ。