音楽学校の絆が弱い 永久輝せあ新生花組が大苦戦 (original) (raw)
花組公演『エンジェリックライ』『Jubilee』のチケットが余りまくっている。
神戸新聞では長年宝塚を取材する演劇評論家が「これほど取りやすい状況は珍しい」とまで話した。
宙組娘役の転落死事件から1年で出た記事なので、大々的に「売れない公演」とされたのはタイミングか悪かった。しかしイメージキャラクターの満を持しての宝塚大劇場御披露目。三井住友VISAカードシアターとして冠公演にまでしたので、関係者もかなり多く招待しているだろう。
そこまでして売れてないという、大コケっぷりだ。
同記事は人数問題も取り上げた。
「5組の所属俳優の数は現在、星75人▽花72人▽雪69人▽月68人▽宙60人で、不均衡な状態が続く。俳優の死後、宙組からは6人が退団。トップスター芹香斗亜(せりかとあ)さんと、あと1人の退団が決まっている。」
手厚いスポンサーだけでなく、人数も2番目に多い花組でこの売れなさは言い訳出来ない。
新花組トップコンビは、若手時代からゴリゴリに推された同士である。出来る売出しはほぼやった。
つまりこれで売れないとなると、宝塚歌劇団の戦略でスターを生むのは厳しい。プロデュース力が失われているということだ。
しかし今の花組で唯一弱い売り出しがある。それが同期~予科本科のスターを集める、宝塚音楽学校の絆だ。
日本中から批判を浴び、殺伐としたビジネスの現実が垣間見える宝塚歌劇団。
今やビジネスが始まる前の、同期~予科本科の関係性は最後の砦である。
宝塚の提供する夢では、唯一信頼出来る本物の絆。
逆にいえばそれ以外は全て揃っているのに、その1点が欠けているとここまで苦戦するのか。
今や宝塚の売りは歌でもダンスでもない。同期~予科本科の関係性ということだ。
・即退団の97期
まずは新トップスター永久輝せあの同期である、綺城ひか理の即退団。明らかに柚香光と水美舞斗、礼真琴と瀬央ゆりあのようにする狙いが見えていたのにだ。残ってくれないのは時代もあるだろうが、下準備も足りない。
永久輝せあが移動後、ずっと同期売りしていれば違っただろう。しかし綺城ひか理は入れ違いで星組にいったため、舞台上での期待には繋がらなかった。
人事によって友情にヒビが入ったようにも思え、お披露目かつ退団公演ながら観る気が失せる。
・飛び降り事件の加害者疑惑105期
トップ娘役に就任した星空美咲は、宝塚音楽学校時代に飛び降り自殺未遂があった頃に本科生だった。
同期や予科本科で絡みを見たいスターがあまりいないので、いまいちテンションが上がらないのも大きい。
しかしもし出てきたとしても「もうひとつの飛び降り事件」が有耶無耶なままでは不信感が募る。
・すっかり抜けてしまった100期
聖乃あすかの元にはかつて星風まどか、華優希、音くり寿と同期のヒロインが集中していた。同期がトップ娘役という最も美味しい売り出し時代も長く、ここからは自力でというのも分かる。
しかし2番手、出来ればトップ就任確定までは同期か予科本科のトップ娘役であって欲しかった。
人気の95期も
礼真琴→1作前(直前)
柚香光→2作前
朝美絢→4作前
同期~予科本科がトップ娘役時代に2番手として、トップスターの基盤を固めている。
また明日海りおは準トップスター就任直前、柚希礼音もトップスター就任直前まで予科本科のトップ娘役であった。
月城かなとは5作前だが、トップになった月組で同期がトップ娘役の時代があった。
一方永久輝せあが予科本科のトップ娘役だったのは、雪組時代の大劇場8作前まで。不振の原因と思われる以上、同じ轍を踏むのは避けたい。
・扱いにくい103期前後
『儚き星の照らす海の果てに』でバウ主演が決まったのは103期の希波らいと。
しかし103期は故人の期であり、予科本科の102期は遺族の期。
102期と103期一丸となってストライキでも起こしていたら、まさに革命の期として美談にも出来たが。
実際は自殺直後に102期の舞空瞳と天飛華音が主演公演を強行、舞空瞳は事件を茶化す言動が度々ある。
舞空瞳は倫理的にも最悪だが、音校の絆頼りになる今後の商業的にも大失敗であった。
現実の「仲間の死」を越える夢を見せるには厳しく、103期前後での同期~予科本科売りを諦めるしかない。
こうなると一刻も早く同期~予科本科売りが出来るスターを移動させて欲しいとも思うが、他組もスターを売り出す必要がある。