シマの遠吠え (新生) (original) (raw)

2019年製作のB級サスペンスSF作品。

3022とは西暦かと思ったら、3022日目・・という意味だとクライマックスで判明した。だからなんだ?という結末の無い地味な一編で、こうしたSFは数多い。監督は「アンチライフ」で晩年のブルース・ウィリスを彼らしい姿で魅せたジョン・スーツ。主演はオマー・エップス、だれじゃそれ?と思ったが、北野武の「BROTHER」で準主役を演じた黒人だ。あのとき、たけしは彼を大変高く評価していて「今のうちに彼を起用出来てラッキーだ。」とか言っていた。その後、オマーに日の目が当たったとも思えないが。

さて、本作はステーションで働く人間の孤独を真面目に描いたという点で評価できる。4人で10年間の勤務、5年経ってヤバクなったころに大事件発生。地球が爆発した!何故・・だれもが思う疑問は本題と関係が無いので一切語られない。思い切った判断である。エウロパを目指せ・・という希望もエウロパ自体登場しないのだ。

ここでは、残り僅かな人類の生き残りが一人また一人と死んでいき、幻想が現れる精神状態になりながらも、相手のために生きようとする人間を描く事に徹底している。この割り切りはB級SFとして正しい。ラストは「これで終りかい!」とツッコミが入るであろう。でもここまで徹底しているのだから、妙にスケール感やまとまった結末は無くてもいい。観終わってスカっとするより、ジワ~っと記憶に残る方を選んだのだ。

ただ、話の途中で数年後にたった一人で孤独を背負う主人公の姿を差しはさむのが分かり難い。野暮なテロップも出さないので、観る者はストーリーに困惑してしまう。クライマックスでやっと分かるが、必要な演出だったか疑問だ。

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前回、IPクリーニングというCDの音質改善手法を試し、その驚愕の効果に舌を巻いた続きとなる。

オイラもCDの音質改善グッズは色々試してきた。ミドリの塗料を円周に塗るものに始まり、レーベル面に貼るもの、静電気や磁気に注目したもの、紫外線を照射するもの、コーティングするもの、キズをリペアするもの、クリーナー各種・・今でも実践しているのは、磁気、静電気のお祓いぐらいなものだ。このIPクリーニングは、これまで試したケミカルグッズを遥かに蹴散らすほどの効果を魅せた。

CD製作過程でついた剥離剤の悪影響がそれだけ大きいということなのだろう。しかし、ここで素朴な疑問が出る。CDが音楽メディアの主流だった30数年間、こんな事はとっくに分っていたはずだ。誰もが考えそうな事であって、それを公開しなかった業界の闇が恐ろしい。こんな簡単に激変してしまっては、ソフトの信頼性や関連商品、上位再生機器に大きな影響が出てしまうだろう。また、アルコールを使うことはリスクもある。CDの劣化、変質を招かないかという声もあるのだ。これは以前、太陽光でCDの音質改善を発表した例と同じで、試すマニアの自己責任である。そんな理由もあって、伏せられてきた事だったのかもしれない。(NHKでは昔からCDを何度も洗剤で洗って剥離剤を落としていたという。)

何枚も処理してくると、手際も良くなってくる。ただ、試しに2回処理して聴いてみると、1回目より明らかに効果が高い。おそらく、拭き取りが不十分だったのだろう。アルコールゆえにフキ残しが分かり難い。一回で完了するにはコツと慣れが必要だ。

音質に色付けするわけではないのでジャンルに向き不向きは無い。違いが分かり難いCDもあったが、高域がピリ付くとか低音がぼやけるといった印象のあるCDは特に変化が分かり易い。

徒労であっても消毒用エタノールIPは1000円弱で本来の用途がある。買って損は無いだろう。

IPクリーニングとは、ユーチューバーの喜古英男氏が発見したCDのクリーニング法で、劇的な効果があるのだという。

世にCDのクリーニンググッズは数知れず、そんな中の一つだと思いきやそうではない。これは、CD制作工程で盤面に塗られる剥離剤(イソプロピルアセテート?)を溶かして除去し、光の透過性をアップさせるのだという。使うのは消毒用アルコールIPとしてドラッグストアで売られているイソプロピルアルコールで、読取り面に一吹きしたら指で均一にならし、ティシュで拭き取るだけ。しっかり拭き取る事と、レーベル面はやらない事が注意点だ。さっそく試してみよう。

盤面に負担がありそうだし、不可逆的な変化が予想されるので、まずは試聴用CDは使わずに試す。実験用に2枚所有しているCDや、ほとんど聴かないCDから始める。

比較試聴は簡単なので、気構えることなくサッサとスタートしたが、ギョッとするほどの違いを感じた。ただし、CDによる変化量の差が結構あって、確信を持つのに10枚以上処理した。間違いない。このクリーニングは過去最大且つ最高の効果だ。

まさにベールが剥がれた解像度の高さ、一音一音が大変ハッキリしている。目ヤニで霞んだ眼に目薬を差したくらいの違いがある。全域でモヤツキが払拭され、音場の見通しが素晴らしい。それゆえに実に細かな音まで立ち、密度が上がったように聴こえる。この費用対効果は高額なCDPの存在が疑問に思えてくるほどだ。本来、この位変わって初めて劇的な変化というべきだろう。

いや、感心してばかりもいられない。次回はもう少し突っ込んだリポートをしよう。

表題のユーチューブを最近よく見ている。この方は長年オーディオ販売店に努めておられた御仁で70歳過ぎで始めたユーチューバーである。この方の考え方がまた極端で面白い。

長年の経験から裏打ちされる発言には自信が満ち、この衰退した業界と騙された消費者を憂いて諸悪を切り捨てていく口調は過激だ。中には当然と納得のこともあるが、おかしな解釈をしていると思える部分もあり100%頷くことはできない。

オーディオは趣味ではない・・と公言するので、どうゆうことかと総じてまとめれば、良い音を得ようとアレコレ試行錯誤していくことは無駄であって、販売店が勧めるオーディオセットを買えばいいと言っているのだ。当人が販売店主だった頃、客はアドバイスを聞かず雑誌がベストに選んだ機器を安く売るのを望む。どうせその組み合わせでは上手く鳴らない。プロのいう事を聞いておけば、つまらぬ散財をしないのに・・ということだ。消費者をそんな泥沼に落とす雑誌を徹底非難する。そうした機器の組み合わせに試行錯誤して、自分の音を見つける作業そのものを否定しているのである。また、趣味のオーディオを広めた故・菅野沖彦氏を徹底的に批判している。亡くなってから悪口を言うのは実に見苦しい。

この方にとってオーディオには「いい音」と「悪い音」しか無く、一早く「いい音」を手に入れて聴いてくれという事になるだろう。その「いい音」とは普遍的で個々の好みというものは認めず、実に独善的な考え方だ。オイラは人によって耳の聞こえ方が違うと考えているので、自分が素晴らしい音だと思っても他人が同様に感じるとは思っていない。食べ物に好き嫌いがあるように、どんなに美しい音でも不快に感じる人がいるのだ。

この方の考え方だと、たとえば金持ちが大金をポンとだして「最高の音を出すオーディオをここに置いてくれ」と専門家に頼むのが一番となろう。確かに趣味ではない。

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次回はこの方が発見したIPクリーニングというものを試してみよう。

2024年公開の超A級SF作品。前作の後編で、ついに話が完結する・・と思いきや、実は3部作にする予定だと判明。騙されたというヤツだ。

まあ、予感はしていたのでさほどの落胆は無い。本作は、主人公が覚醒して皇帝の座に付くまでを壮大に描く。上映時間166分、「ジョン・ウィック」の時みたいに飽きることも無く、静かに展開している割に引き込まれていく。たしかにここまで主人公の成長を丁寧に描くと、ここで終わるわけにはいかない。大変重厚かつ荘厳に描くスペースオペラとして、3作目「砂漠の救世主」にも期待したい。

さて、本作は俳優陣も前作を越える豪華布陣で、それも重鎮の脇役とかではなく、今が旬なトレンド俳優を揃えているのがいい。でも舞台がほとんど砂の惑星で終始しているので、オイラとしては若干物足りない。戦闘シーンも、もっと盛り上げた派手さがあってもいいと思う。他のエンタメ監督ならカットであろうシーンが多く、ダラダラ進むのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の持ち味なので、どうしても好みと合わない。また、原作ありきの造りなので、この世界観を知っている前提で進行する。まあ、それは今時の連作はすべてそうだ。視聴者に優しくない造りが当然となっている。

敵役の次期男爵を演じるオースティン・バトラーという若い男優は、なかなか不気味な迫力があって気に入った。PART3ではもう観ることは無いが・・レア・セドゥはいったいどこで出てきたのか分からなかった。勿体ないなあ・・

原作はかじった程度しか読んでいないので知らないけど、核ミサイルだなんて俗世的な究極破壊兵器が出てくるのはどうかと思う。少なくともオイラは興ざめした。

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ジョン・ウィックもついにチャプター4まできた。この中身の無いシューティングゲームがついに超A級の大台に乗ったのだ。何故このシリーズがここまで人気があるのか、まったく理解不能である。

本作はついに上映時間も169分となった。2時間50分近くも同じような銃撃戦を見せ付けられる。キアヌのファンは飽きるという言葉を知らないのだろうか。今回、小道具にヌンチャクを持たせただけで、彼がやっているアクションは基本的にチャプター1から同じだ。ただ、ケブラーの背広で至近距離の弾丸もモノともしない殺陣は、もはやコメディである。

呆れながらも見る気にさせるのは、ドニー・イェン真田広之が出てくるからで、さすがにカッコイイ役柄を当てられ見せ場も多い。ドニーの現代版「座頭市」は、すでにSW「ローグ・ワン」でやっているので新鮮味がない。また、盲目なのに銃撃戦をやるのも子供向け漫画のようだ。真田広之はハリウッド・アクション映画では必ず殺されてしまう。たまには最後まで生き残るのを見てみたい。主人公とこの2人との関係は懐かしい香港ノワールを思い出す。

今回最高に笑ったシーンがある。それはスターになれないアクション俳優スコット・アドキンスが演じるデブの悪役だ。格闘になると、あまりにもきれいな蹴りが炸裂!あんな不健康そうなデブの悪者が修行で会得する技を魅せちゃギャグにしかならんでしょうが。(笑)

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オイラにとって、大音量という定義を音像や音場が維持できる限界の音量としたところ、それを数値化するのを勧められた。そして前回、スマホの騒音アプリで大体何ⅾBなのか判明した。これって、部屋の状況や試聴位置、システム概要が分かっていれば、測定音量が分かる事で鑑賞スタイルが想像できそうだ。趣味人同士が会えない中で、互いの音を理解するのによいツールだと思う。

さて、オイラの大音量とは前述したとおりであるけど、これってスピーカーの大きさで変わるのだろうか。というのは、前回の測定値は大型のメインスピーカーによるものであって、小型のTADモニターだと大音量と感じる数値が異なるかもしれないと思ったからだ。同じ試聴位置で音像が維持できず、部屋に飽和する音量をセカンドシステムでも計ってみた。

なるほど、スピーカーのゲインが違うので感覚で調整するしかないが、TADの方が音像が崩れにくい。音場はそもそも小型が優れているのは当然なので勝負にならない。騒音計で見ると、5~8ⅾBは高い数値で大音量と言えそうだ。ただ、これは貧弱な小型スピーカーだと歪みが増えて逆の結果になる気がする。現在のセカンドシステムは大音量でも大変心地良く鳴ってくれるから得られた結果だ。

副産物として、小型スピーカーは音場が正しく得やすい替わりに、部屋の影響を受けやすいのが分かった。テスト試聴の時はニアフィールドで聴いていたので気付かなかった事で、FALでは不動のセンターボーカルが、TADにすると、試聴位置が同じではボーカルが左に寄ってしまう。これが、30㎝身を乗り出せばセンターに来るのだ。

一般的に大型SPの方が部屋の影響は大きいはずだ。おそらく、直接音の音圧、能率、立ち上がりや切れ込む早さなどが、反射音をねじ伏せているのかもしれない。小型スピーカーは広い音場を正確に再現する替わりに、部屋の反射にクリティカルだといえようか。