「ダルタニャン物語11 剣よ、さらば」アレクサンドル・デュマ著 (original) (raw)

長かったダルタニャン物語もこれが完結編です。

登場人物が次々と様々な最後を迎えます。

国王ルイ14世により破滅させられるフーケ財務卿を救おうと、アラミスは自らが知る王家の秘密、ルイ14世に双子の兄弟がいるということを使い、秘密裏に国王を入れ替えるという陰謀を実行しました。

首尾よくバスチーユに幽閉されていたフィリップを救い出し、ヴォーのフーケの邸宅で開かれた大饗宴の最中にルイと入れ替え、ルイはバスチーユに送り込むことに成功しました。

しかしその時になって初めてフーケにそれを告げると、フーケはその計画に猛反対し、自らバスチーユにルイを迎えに行きます。

アラミスとポルトスにはその数時間だけ逃亡の猶予を与え、自らの領土ベル・イール・アン・メールに逃げ込むことを許します。

ルイを連れ出し元の邸宅に戻るとルイを元に戻し、フィリップは逮捕させます。

その頃、許婚者ラ・ヴァリエールの裏切りにより傷ついたラウルは父アトスと共に領地に戻っていたのですが、そこにかつてフロンドの乱の折にアトスと深くつながっていたボーフォール公がやってきます。

彼はアフリカ遠征の司令官に任ぜられ出発しようとしていました。

その副官としてラウルを連れていくことを乞いに来たのでした。

あまりにも危険な任務でありアトスは断りたかったのですが、ラウルが喜んで受けると言ってしまいます。

ラウルは許婚者の裏切りにより傷つき、死に場所を求めているのだと悟ったアトスですが、ラウルの意志は固く仕方なく許してしまいます。

ラウルは副官として船団の準備を任せられそのためにアトスと共に出発地トゥーロンに向かいます。

その途中、サント・マルグリット島で不穏な噂を聞き島に渡ってみると厳戒態勢の中監獄のような場所から物が投げられます。

それを拾ったラウルに対し守備隊から一斉射撃され、危なく命中するところでした。

しかしその守備隊に居たのがダルタニャンでした。

ダルタニャンはルイ14世に対する陰謀に加担した双子の兄弟フィリップを護送し、その監獄に収容し監視していたのでした。

ちょうどその後、国王からの帰還命令が届き、アフリカに旅立つラウル、故郷に戻るアトスたちと最後の別れをしてダルタニャンはパリに戻ります。

国王のもとに戻ったダルタニャンに与えられた次の任務はベル・イールに向かい反乱軍を討伐するというものでした。

その首魁は言うまでも無くアラミスとポルトス、それを成し遂げれば元帥にも昇進という命令を受けます。

ダルタニャンは何とか二人の命だけは救おうと策を練るのですが、国王に付けられた副官にはそれらをすべて押しとどめる命令書が国王から直接渡されており、結局は司令官を解任されパリに護送されます。

そして国王軍は総攻撃をベル・イールに対して行い、ポルトスはその島内の洞窟の中で岩盤に押しつぶされて圧死してしまいます。

アラミスは小舟で脱出しますが、警戒していた国王軍の艦船に拿捕されます。

ところがその船長はアラミスが管区長を勤めるイエズス会の一員でした。

そこで船長にスペインへ逃れることを命令したのでした。

アフリカの戦線に赴いたラウルは、命を粗末にするようなことはアトスから禁じられていたものの、戦況の悪化の中で仲間を救うために身を捨てた突撃を行い、戦死してしまいます。

その報告を聞いたアトスもそれで精神力をすべて奪われたかのように亡くなってしまいます。

その葬式に間に合ったダルタニャンですが、その場に現れたラ・ヴァリエールには厳しい言葉を投げかけるのでした。

その後も銃士隊長として国王に仕えていたダルタニャンですが、とうとうフランス王国元帥の地位への昇進の機会が巡ってきます。

そのためには海外遠征軍を率いたという経験がなければならず、オランダ遠征軍の司令官として出陣します。

苦戦を強いられるのですが、なんとか勝利しフリーズ地方というところで敵軍を撃退します。

そこにフランスから元帥授与の命令書が届き、それに手を伸ばしたその時に敵陣から流れ弾が飛びダルタニャンの身体を貫いてしまいます。

その最後の言葉が「アトスよ、ポルトスよ、また会おうぜ。アラミスよ、永遠にさようなら」でした。

悲劇的な結末になってしまいましたが、それも仕方ないことだったのかもしれません。

ダルタニャン物語 11 剣よ、さらば (講談社文庫 て 3-16)