和田秀樹氏「人生100年老年格差」を読んだ (original) (raw)

ブログの毎日掲載をあきらめたら少し余裕ができた。

前から和田秀樹氏の考えに興味があったので、1冊読んでみた。
なぜ「人生100年老年格差」(2019年)を読んだか?
氏は高齢者専門の精神科医なので、専門に近い著作がいいと思った。
また、タイトルの元になったと思われる「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」には疑問点が多かった。

医師が語る医学の話は信用したい。
しかし、それ以外の分野の話についてはよく考えたい。
テレビには様々な専門家が出ているが、専門以外の分野の話はお粗末、ということと同じ。
和田氏も、人の話を疑ってかかることを勧めている。

さて、本の話に戻るが、この本では人生100年時代がどのようなものか、医学の見地から推測しているが、あまり明るい話ではない。
寿命が100歳に伸びても、健康寿命はこれ以上伸びないという。
特に問題なのは脳であり、脳というのは、原則的に分裂して新しい細胞を作らない唯一の臓器だそうだ。
そのため、和田氏は、
「毎週、高齢者の病理解剖の報告会に出ていましたが、85歳以上で、アルツハイマー認知症の変性が脳にない人はいませんでした。」
なので、このくらいの歳になれば、みなアルツハイマーになっているのが普通らしい。
治療薬の開発もうまくいかないという。
(2019年時点)

だから、

人生100年時代に対する戦略としては、脳をなるべく長持ちさせたり、仮に認知症になっても、その進行を遅らせたり、なるべく生活の質を維持していくための方策などが、より重要になってくるのだと思います。

この点についてこの本から以下のことを学んだ。

認知症であっても残存機能を使い続けることが大切。
そのためには「意欲」を維持することが必要。

・意欲の維持に寄与しているのは、脳の前頭葉と男性ホルモン。

前頭葉の機能を維持するには、日常の繰返しを避け、変化を取り入れる。
いつも違う店に行く、違う本を読む、違う人間関係を作るなど。
また、テレビや本の内容について自分の頭で考える。

・男性ホルモンを活性化させるには、肉食を取り入れる。
男性ホルモンの原料となるコレステロールを下げる薬には慎重に。

前頭葉の機能が衰える60代になれば、起業など(’LIFE SHIFT'が提案するような)マルチステージの生き方は難しくなる。

・脳機能の面から、歳をとって学び続けることは難しい。

・いつまでも働き続け、生産性維持に努めると、最後には挫折が待っている。

・高齢になると、個人によって身体や脳の能力に大きな差が生じる。

・年齢とともに老化は進む。人と比べず、各年代の平均レベルを目指し、自身の老化を受け入れることが大切。

和田氏が言うように、これらについて自分はこう考える、ということが大事なのだが、専門家の意見なので素直に受け入れたい。

この本には他に過激な意見も見られたので、それについてはまた次回に。