国際派行政学者の挑戦 (original) (raw)

秋学期が始まる1日前....なんとか単著論文を書き上げました(´・ω・`;) 学期が始まれば授業や事務で、論文執筆は厳しいですから、ギリギリ及第点の夏になりました。正直終わらないと思ったのですが、上田市にある無言館を訪れたことで、背中を押してもらったように思いますm(_ _)m

上田市へは調査の関係で訪れたのですが(先月記事)、既に3度目の訪問で主要な観光地は巡っていました。用務が早く終わったので、少し駅から離れた前山寺(ぜんさんじ)に足を延ばしてみました。別所線塩田町駅から歩くこと30分┏( >_<)┛藁ぶきの門と三重塔を擁す山間のお寺に、心癒されました(*´∀`*)

前山寺

しばらく境内を回ったのですが、別所線は1時間に1本しかなく、時間を持て余すことになりました。そこで予定にはなかった近くの無言館で時間を潰すことにしました...

前知識もなく、ふらりと立ち寄ったコンクリート打ち放しの館内は薄暗く、戦争で亡くなった美大生たちの作品を飾っていました。美術館なのか、慰霊堂なのか、区別のつかない、けれども人間の生が燃え尽きる瞬間の儚い美しさを讃えていました。戦地に赴く前に家族や恋人の絵を描く学生もいれば、戦地で描いた絵を重病のまま抱えて母国に持ち帰り帰国後亡くなった学生もいました。私が普段観る世界一流の美術家と比べれば、作品の完成度は高くないでしょう... ただ、その先を目指せなかった学生たちの無念さが滲み出ているようで、先へ進める平和な時代に生まれた自分への不甲斐なさがこみ上げてきました。

館内は撮影禁止でした。それはただ作品の完成度(画像)だけで、無言館を共有てほしくないからだと思います。先輩方の想いを受け、その後少しは真剣に論文に向き合うことができましたm(_ _)m 何がしたいか分からず無為に時間を過ごしている学生は、是非足を運んでほしいです。先輩方から熱い何かを頂けるはずです。

8月初旬に春学期の採点を終えると、純粋な研究者としての生活が始まります o(●´ω`●)oワクワク♪ 早速共著の論文(第一著者)1本を、公衆衛生分野でTop 5ぐらいの学術誌に提出しました!もう数千年R&R(修正要求 Revise & Resubmit)を頂ていないので(過去記事)、何とかお願いしまっす(>人<*)

そして、満を持して今夏取り組んでいるのが、科研費事業「参加型行政におけるトップダウン式支援の役割:地方政府と地縁団体のマルチレベル分析」です!長すぎるタイトルで恐縮ですがセンスない(^ ^; 市町村の自治会・町内会支援制度(level 2)が、自治会・町内会の参加率(level 1)といかに相関しているかを分析するための調査です。

データ収集には、市町村並びに自治会・町内会の皆様のご協力が不可欠であり、調査依頼をメールでお送りしたり、頭を下げてお電話差し上げたり、必要とあらば現地に赴いて土下座しております大袈裟m(_ _)m

当然厳しいお言葉を頂くこともありますが、青森県津軽地方で無作為抽出した600軒のお宅を直接訪問し調査依頼をしていたPhD学生時代を思えば、何でもありません(前ブログ記事) 以前学会で計量分析研究者は現場を知らないと言った方は同じことしてみて! オンライン調査全盛の時代に、なぜそんな非効率なことをするのかと聞かれることもあるのですが、自分が研究するモチベーションは公共的価値にあるのだと思います。

オンライン調査では、日本の高齢化する自治会・町内会の実態を把握できません。アカデミアで論文数が重要視される中、今後頭を下げることを厭わず地方自治を調査する研究者は減るでしょう... 論文数も大切ですが、自分しかできない貢献をしてみたいです!

アメリカの学会で大いに刺激を受け(先月記事)、今週新たなデータ分析手法を不合格続きの論文に導入しましたd(- -) 帰国して一月弱が経ちますが、5年ぶりのアメリカの変わりようは衝撃的で、未だに余韻が強く残っています。

一番の驚きは、高すぎる物価です!自分が渡航した際に最も円安が進み、1ドル=162円でした(T^T) 牛乳2lが4ドル(約650円)、不味いコンビニのサンドイッチ7-8ドル(約1200円)、クソ不味いアメリカ・レストランの朝食22-25ドル(約3500円)...いや地獄でしょ(´・ω・`)

さらに、学会主催校ワシントン大学が提供したキャンパス内のホテルに7泊したのですが、5泊分で大学の年間個人研究費を使い切りました(゜ロ゜)ギョェ アメリカの物価自体が、自分が滞在した2017年頃より上昇しておりました ( ゚д゚)ンマッ!!

魚市場前のスターバックス1号店...ここから歴史が始まった(特別美味しいわけではない)

もう一つの驚きは、ホームレスの数!明らかに増えて、治安が悪くなっとる(゚ロ゚ノ)ノ ヒイィィィ!!! 特に駅前のホームレスの数が多かったです。一度地下鉄に乗る際にホームレスの喧嘩を横切る羽目に...投げつけられた汚物が顔面スレスレ横切りましたΣ(゚Д゚|||)

まぁこれだけ物価も上がれば、普通の労働者はとても暮らしていけないですよね... アメリカの大学教授は給料が高いなんて言いますが、アメリカで日本と同じ生活水準を保つには2.5倍は必要という気がします(^ ^;

アメリカの競争的な雰囲気や研究環境の良さは魅力的ですが、日本に帰ってホッとした自分がいたのも事実です。日本の大学の研究者としてしばらく頑張ろう!そう思えたアメリカ出張でした。

シアトル港前のレストラン・ショップエリア(街は全体的に汚いくせに一部センスの良さを発揮する)

今週は最も大きい行政の国際学会Public Management Research Conference(PMRC)に参加すべく、5年ぶりにアメリカ・シアトルに滞在しております(前回アメリカ開催のPMRC)。アメリカは、自分に行政学者になるチャンスをくれた国であり、一流の研究者としては残れなかった国でもあります(前ブログ)。

開催校 University of Washington

学会では、母校ラトガース大学の仲間や後輩が活躍するのを目の当たりにし、良い刺激になりました。一方で、ぬるま湯に浸かっている自分を情けなく思いました。アメリカの競争の厳しさは、日本の大学の比ではありません。アメリカ上位の大学は、研究環境が優れている分、結果が出なければクビにされます。彼ら・彼女らが、とてつもないプレッシャーの中で闘い続けていることを、表情や会話から強く感じました。

特に印象深かったのは、初めて会った母校の後輩達から、博士論文をトップジャーナルに掲載した自分のことを知っていると聞いたことです。今は彼ら・彼女らの方が業績を重ね、追い抜かれている現状は正直悔しかったです。

ただ、そんな不甲斐ない気持ちになるからこそ、今後も国際学会に参加しなくてはいけないと思います(●`・ω・´●)過去の人扱いを受け止め、隠した拳を握りしめ、今後の巻き返しを強く心に誓いました。研究環境の違いを言い訳にせず、牙を磨き続け、また来るチャンスを逃さず掴みたいです!

南禅寺三門

自分の中で一番尊いことは、望んだ結果が得られなくとも、あきらめず続けることです(先月記事)。大型の研究費を頂き、4年かけて集めたデータでしたが、Top journalの夢は叶いませんでした(・ω・、) こんなことで落ち込めば、Top3以下の学術誌にも不合格を喰らいます(ー△ー;)論文が掲載されるまで自暴自棄にならず取り組むことで、必ず次のチャンスが来ると信じていますd(-д☆)

とはいえ、何のキッカケもなく、新たな気持ちで論文に取り組めるほど自分は強くもなく(^ ^; 学会ついでに、京都を巡ってきました!特に印象的だったのが、1291年の創建から焼失と再建を繰り返し、今も最高位の禅寺として22mの三門、国宝の方丈、名勝庭園を誇る南禅寺でした。あいにくの雨でしたが、だからこそ際立つ荘厳さがありました(゚∀゚*)

現在では南禅寺のシンボルともいえる三門は、大坂夏の陣で亡くなった兵士たちの慰霊のため、藤堂高虎によって寄進されたものだそうです。古いものに価値があるとされる寺社において、時代とともに形を変えた南禅寺が人を惹きつけるのは、純粋な美しさへの価値を認められているからだと思います。

南禅寺 庭園

2年以内の論文引用数(Impact Factor)などで決まる学術誌のランキングに振り回され、一喜一憂する小さな自分ですが (。・ε・`。) 価値があると信じて書いた論文が、より多くの人に届くよう、根底にある理論や証明の美しさを磨くことの大切さに気付きました。気持ちも新たに、現在審査中の2本の論文に取り組みたいと思った旅でした!

今月は、人生で一番多く論文審査不合格をもらいましたd(- -) まぁそれだけ論文を書いているということでもありますが... 何度喰らっても不合格はツラい(T^T) 精神的な凹みから復活するのに数日かかります ハァ━(-д-;)━ァ...

最近は涙を拭きながら、ツラくとも手を動かし、次の学術誌に向けて修正を始めます!ツラさは自分の努力が報われず、否定されたことから来るのだと思います。しかし、才能ない自分に、そんな偉そうなこと思う権利なくない? ┐(´-`)┌ いつも通り、努力の方向を間違えただけと認めることにしました。なるべく今まで書いたことに囚われず、審査員の不合格コメントを読みながら、論文を書き直すことにしています。

ある単著論文について既に3度理論枠組みを大幅に修正し、もう初めに書いた論文の陰もありません ( ̄ー ̄;) 自分が努力して書いたことが無駄になるという概念を捨て、いつか使わなかった理論も役に立つと勝手に信じておこうと思います。ということで、今週末も懲りずに論文を提出しました!

4月に新生活が始まり、不安を抱える新1年生、新社会人、若手研究者も多いことと思います。いつか皆さんの不安はなくなる...なんてことはありませんが、不確実な世界で諦めず藻掻いていくのがカッコいい!はず...たぶん ( ̄∇ ̄;)

3月は別れの季節ですが、湿っぽい別れが苦手です(^ ^; 卒業生には、研究会(ゼミ)名の入ったペンを贈呈していますが、それは今後も学んでほしいという意味も込めています。涙の多い卒業はその瞬間美しく見えますが、個人的にそれが一つの終着点みたいに思えてしまうのです。また会ったときに胸を張れるよう、お互い少しでも成長しておこう... 学生時代が人生の絶頂期なんて寂しいじゃないですか。

(inspired by 葬送のフリーレン【一級魔法使い試験編】最終回)

そういう意味で、今年京都市長選に当選し、慶應SFCを退職された松井孝治先生はかっこよかったです!一度政界を引退され、教職定年まであと僅かでしたが、人生最後の大一番に打って出て勝つ...凄すぎです(^ ^; そんな先生が最終講義で残された言葉が、「義理と人情とやせ我慢」でした。言葉の解釈は人それぞれと思いますが、政治・行政に携わる人に響く金言だと思いました。

今回だけは、上記全てある個人に送りたいと思います。3年目にして初めて自分の行政研究会から公務員が誕生しました。国家総合職(行政)に8番で合格したりしましたが、本人の希望もあり地方自治体に勤めるそうです。まだ授業も教えていない自分の研究会に1年目から参加し、驚くほどの勤勉さと事務能力で牽引してくれて、ありがとうm(_ _)m ノンキャリ国家公務員出身の自分は試験勉強で勝てないから、せめてトップジャーナルに論文出して自慢できるよう頑張るよ!