3つの習慣で『ひらめき』を操れ! ビジネスパーソンのためのアイデア創出術 (original) (raw)

右頬に手を置き、はっとした表情をする女性

いくら考えてもいいアイデアを思いつけず行き詰まった経験が、誰にでも一度はあると思います。

そんなときに、次々とアイデアを生み出して周囲から一目置かれる人を見ると「あの人にはもともとひらめきを得る才能があるから自分とは違うんだ」と感じてしまうかもしれません。

しかし、アイデアマンはなにもせずにひらめきをただ待っているわけではありません。アイデアを生み出すための準備を徹底して行なっているのです。

その準備とは、大量のインプット

「アイデア創出は、ひらめきなどではなく大量のインプットによって生まれる」のだと、東北芸術工科大学教授で編集者の菅付雅信氏は語ります。*1

つまり、アイデアは事前の準備によって意図的に生み出せるのです。

本記事では、アイデアが浮かばなくてお悩みのビジネスパーソンに向けて、アイデアマンと呼ばれる人たちが共通して実践している3つのインプット習慣をご紹介します。

あなたもこれらの習慣を取り入れて、アイデアを生み出す力を身につけませんか。

「ひらめき」を加速させるインプット術1:読書

アイデアを意図的に生み出すには、先にも述べたように大量のインプットが必要です。
なぜなら、アイデアはこれまでに得た情報の組み合わせによって生まれるからです。

前出の菅付氏は、「知っている既存のアイデアの数が少なければ、組み合わせのバリエーションも限られてしまい、これまでになかったような斬新なアイデアを考えることもできない」と述べています。*1

たとえば、いまでは当たり前の「パソコンにフォント機能を備える」というものも斬新なアイデアのひとつでしょう。フォント機能は、Appleの共同創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏が学んでいたカリグラフィーから得たアイデアだという話は有名です。もしジョブズ氏がカリグラフィーを学んでいなければ、現在のフォント機能はなかったかもしれません。

このように、日々触れる情報や学んだ知識が組み合わさることで、「ひらめき」に結びついていくのです。

サイコロ状のものにアルファベットが書かれており、IDEASと表されている

とはいえ、忙しい日々のなかで多くをインプットするのは困難な人もいることでしょう。そのような人にもおすすめなのが、すきま時間の読書です。

たとえばこのようなすきま時間に、みなさんはなにをしていますか?

筆者は何気なくスマートフォンを手に取り、SNSやネットニュースなどを眺めがちです。特に通勤時間は、電車に乗っているのが5〜10分ほどで短いため、なにもしないことも多いのですが、時間の使い方を変えてみることにしました。

さっそく電車内での時間を読書に充ててみたところ、普段よりも月に2冊ほど多く本を読むことに成功。

1回の通勤時間は短くても、1か月で見ると1時間半〜3時間となり、けっこうな読書時間の確保ができるものだと気づきました。

まとまった時間をとれなくても、すきま時間でのインプットはまさに “塵も積もれば山となる” です。

突発的なすきま時間にも対応できるよう、かばんに本をしのばせてみてはいかがでしょうか。

乗り物の中で本を読む男性

「ひらめき」を加速させるインプット術2:リサーチ

新しい企画を提案したいのにアイデアが浮かばなかったり、文章を書きたいのに最初の一文を書き出せなかったり……。そんなとき、ただひらめくのを待っているだけでは、時間ばかりが過ぎてしまいます。

行き詰まったときにすべきなのは、徹底的なリサーチです。

株式会社電通でクリエーティブ・ディレクターを務めるコピーライターの橋口幸生氏は次のように話します。*2

僕の場合は「調べる:アイデアを出す」を「8:2」くらいの時間配分で取り組んでいます。
多くの人は、対象物について調べずに、いきなりアイデアをひねり出そうとします。
だから行き詰まるのです。
8割の時間をインプットに費やせば、まったくアイデアが出ないという状況は、まず起こりません。

橋口氏は8割もの時間を調べるために充てています。アイデアを出すためには、その土台となるインプットやリサーチがどれだけ重要かが理解できる割合です。

仕事で言えば、ブレインストーミングがいい例でしょう。なにも考えていない状態でブレインストーミングに参加しても、活発にアイディアをだすのは難しいものです。事前にリサーチをしておけば、スムーズにアイディアが出てくるはずです。

たとえば、普段から以下のようなリサーチを心がけてみるのはどうでしょうか。

前出の菅付氏が述べていたように、アイデアは大量のインプットから生まれます。リサーチを通じて、アイデアの基盤となる情報を蓄積することが重要なのです。

グラフが描かれた資料のうえに、虫眼鏡が置いてある

たくさん読書をし、リサーチをしても、どうしても行き詰まりを感じてしまうこともあるでしょう。そんなときは、他者の助けを得るべきタイミングかもしれません。

「お互いに話すと情報ネットワークがつながりあい、ひらめきに変わる」と述べるのは、公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀氏。*3

つまり、誰かと話すことがアイデア創出の助けになるのです。

さらに同氏は、アイデア創出と脳の働きについて以下のようにも述べています。*3

「話す」つまり「他者に説明する」ことで、前頭前野の「ワーキングメモリ(*1)」が深く使われるということが起こります。するとネットワークの広がりが大きくなり、ひらめきも増しやすく、記憶の定着も促進されるでしょう。

*1 ワーキングメモリとは、脳の前頭前野が強くかかわる短期メモリのこと。作業記憶とも言う。

仕事で行き詰まったとき、同僚と雑談しているうちにひらめきを得たり、解けない問題について質問しているなかで答えを導き出せたりした経験がみなさんにもあるのではないでしょうか。

これは、話すことでワーキングメモリが活用され、情報が脳内でつながったからなのです。

軽食をとりながら談笑するふたりの女性

もし在宅ワークで他者と会話する機会が少ないならば、誰かに説明するつもりで文字にしてみるのもおすすめの方法です。

同氏は「自分で原稿を書くことも、結局のところ、他者への説明」であるから、ワーキングメモリを深く使うと話します。*3

他者に説明しようとアウトプットすることで情報ネットワークがつながり合い、アイデア創出の助けになるのです。

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アイデアマンになれるのは特別な才能をもった人に限りません。大量のインプットを行なえば、誰だってアイデアマンになれるのです。本記事で紹介した3つのインプットを参考に、あなたもアイデアマンになるための一歩を踏み出してみませんか。

※引用部分の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。