【調査資料】公益法人の公益性とは?守られていなかったらどうなる?認定基準と欠格事由について (original) (raw)

浜田聡事務所へ、公益法人について問い合わせが来ます。そのうちの一つに、公益社団法人日本PTA全国協議会があります。

www.nippon-pta.or.jp

www.tokyo-np.co.jp

toyokeizai.net

日本PTA全国協議会については、質問主意書も提出しています。

日本PTA全国協議会の会長が同会における不明瞭な会計や決済プロセスの徹底調査等の方針を打ち出したのち、任期の途中で突然解任されたこと等に関する質問主意書:参議院

▼質問

社会教育関係団体であるPTAの活動の趣旨や目的はそれぞれの団体ごとに定められており、全国で様々な活動が行われている。子供たちの健全育成を目的とした活動や、そのための会員相互の学び、学校支援活動や地域での諸活動など、PTAが実施する活動は、これまでも地域や学校において大変重要な役割を果たしてきている。PTAにはそれぞれの地域ごとに協議会という任意団体が結成されており、各都道府県・指定都市六十四協議会により構成する保護者と教職員の全国組織として公益社団法人日本PTA全国協議会(以下「当該法人」という。)が存在する。昨今、当該法人の正会員であったさいたま市PTA協議会は令和五年十二月二十二日に当該法人の脱退を表明し、その理由について、当該法人に対する公開質問状(以下「質問状」という。)に十分な回答が無い事等とされている。質問状には、当該法人の総会において前会長が約束した不明瞭な会計や決済プロセスの徹底調査等について言及されており、埼玉新聞では「日P協会館(東京都港区)の修繕費に約二千万円が支出され、受注したのはさいたま市内の業者だった」等と報道されている。また当該法人は同年九月七日に記者会見を開き、不明瞭な会計や決済プロセスの徹底調査を正会員と約束した前会長を事務局員へのハラスメント行為を理由に解職した旨説明したが、前会長も同日に記者会見を開き、当該法人の現執行部に対し名誉棄損等の法的措置を検討すると表明している。

租税などの国民負担や子育てに係る負担への関心が高まる昨今において、保護者から徴収されるPTA会費の一部が納められている当該法人への事業の透明性確保は子育て世帯にとって極めて重要であり、学校に通う子供を支えるという大きな役割を担い、地域の教育委員会とも連携を深めるPTA協議会の全国組織である当該法人に関する問題はこども・子育て政策を主要政策として掲げる政府においても極めて重要な問題と考え、これらを踏まえて、以下質問する。

行政改革推進本部より平成二十年三月三十一日に発出された「指定等法人に対する国の関与等の透明化・合理化について」によると、指定等法人が講ずべき措置の一つに「会計処理の明確化及び透明化」のほか、料金の適正性、透明性の確保(料金及び積算根拠のインターネットによる公開)があるが、公益法人に対する情報公開の在り方の見解については、現在の政府においても変わりないか。

二 当該法人は、公益法人でありながら当該法人の正会員であったさいたま市PTA協議会が発出した当該法人の会計に関する質問に十分回答していないとされている。質問状で問題視されている当該法人の会計や決済プロセスについて、政府が当該法人に対し、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第二十七条第一項に定められた検査を行う考えはあるか。

質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

▼答弁

一について

「指定等法人に対する国の関与等の透明化・合理化について」(平成二十年三月三十一日行政改革推進本部資料)は、「国からの指定等に基づき特定の事務・事業を実施する法人に係る規制の新設審査及び国の関与等の透明化・合理化のための基準」(平成十八年八月十五日閣議決定)に基づき、同閣議決定にいう「指定等法人」に対する国の関与等について各府省が講ずることとした措置内容を取りまとめたものであり、お尋ねのような「公益法人に対する情報公開の在り方の見解」を示したものではない。

二について

個別の事案に関する回答は差し控えるが、一般論として、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二十七条第一項の規定により、行政庁(同法第三条に規定する行政庁をいう。)は、公益法人(同法第二条第三号に規定する公益法人をいう。)の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において、その職員に検査させることができるとされている。

質問本文に記載していたさいたま市PTA協議会について、本日元会長らが逮捕されたようです。

www.sankei.com

日本PTA全国協議会との関連は無いのでしょうか。少し注目しています。

話を戻しますが、公益法人について、参議院調査室へ調査依頼を出しました。

【依頼内容】

公益法人について(公益社団法人、公益財団法人)

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 | e-Gov法令検索

①認定基準(第五条~を想定)の逐条解説
②これまで、法第三節の各条に該当した事案の詳細
(あれば可能な範囲で、例えば公益認定を取り消された場合、どこに抵触して取り消されたかと、取り消されるまでの過程など)
公益法人が、公益認定申請の際に提出した定款に違反した(している)場合に、考えられる行政庁の対応

【回答】

1 認定基準(第5条)及び欠格事由(第6条)の逐条解説

公益認定基準を規定する現行公益法人法第5条及び欠格事由を規定する第6条の解説です。

▼新公益法人制度研究会「一問一答公益法人関連三法」(商事法務 平18.12.16)

(※著作権の都合でここでは割愛します。)

また、公益法人ガイドラインにも、認定基準について説明されています。

https://www.koeki-info.go.jp/content/nintei_guideline_3103.pdf

なお、公益法人法改正案が本年5月に成立し、同法第5条などが改正されることとなります(令和7年4月施行予定)。

公益法人法改正案 概要

https://www.cao.go.jp/houan/pdf/213/213gaiyou_2.pdf

(出所)内閣府ウェブサイト

第213回 通常国会 - 内閣府

改正法案に関する当室作成資料の抜粋を併せて添付いたします。

公益法人法本則第2章第3節(第27条~第31条)の各条に該当した事案の
詳細

公益法人Informationウェブサイトの「内閣府のお知らせ」に以下の事例が掲載さ
れています。

「公益財団法人国際人材育成機構に対する再勧告について」(令和3年10月25
内閣府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/20211025_kankoku.pdf

「公益財団法人国際人材育成機構に対する勧告について」(令和3年7月1日内閣
府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/20210701_kankoku.pdf

「公益財団法人日本プロスポーツ協会に対する報告要求について」(令和2年3月
13日内閣府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/20200313_hokokuyokyu.pdf

「公益財団法人日本プロスポーツ協会に対する勧告について」(令和元年11月2
2日内閣府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/20200313_hokokuyokyu.pdf

「公益財団法人国際医学教育財団に対する勧告について」(令和元年6月6日内閣
府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/20190606_kankoku.pdf

「公益財団法人全国里親会に対する勧告について」(平成28年7月22日内閣府
大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/content/280722_kankoku.pdf

「公益財団法人日本生涯学習協議会に対する公益認定取消しについて」(平成28
年7月22日内閣府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/other/pdf/280722_torikeshi.pdf

「公益財団法人日本生涯学習協議会に対する勧告について」(平成28年6月3日
内閣府大臣官房公益法人行政担当室)

https://www.koeki-info.go.jp/other/pdf/280603_kankoku.pdf

なお、立入検査の事例の詳細がわかる資料は見当たりませんでした。

公益法人が定款に違反した(している)場合に、考えられる行政庁の対応

公益法人の理事は、定款を遵守する忠実義務(一般法人法第83条)を負っている
ため、公益法人が定款に違反した場合、同条違反となる可能性があります。
その場合、行政庁は、「法令・・・に違反したとき」(公益法人法第29条第2項
第3号)に該当することを理由に、当該公益法人に対して、立入検査や報告の要求(公益法人法第27条)、勧告、命令等(公益法人法第28条)、公益認定の取消し(公益法人法第29条)といった措置を行うことが考えられます。

この件は国会図書館でも調査依頼を出しています。追ってブログでお知らせします。