引き際とそれを自分で判断する難しさをバイデンと後輩から学ぶ (original) (raw)

アメリカのバイデン大統領に対して、党内からの選挙戦からの撤退圧力が強まっているようだ。

バイデンは81歳とたしかに高齢ではある。

私はバイデンやアメリカの政治についての知識を全く持ち合わせていないが、高齢による衰えはあっても、とりあえず非常に長いに違いないキャリアを持ち、最強国家アメリカのトップである大統領になるくらいだから、実績や政治力でもずば抜けているはずだ。

バイデン自身はかたくなに続ける意志を示しているらしいが、彼にすれば、そんなダントツトップの俺様に、少々歳を取って何回か言い間違いをしたり居眠りしそうになったくらいで揚げ足を取りやがって、自分よりも能力も実績もはるかに劣る奴らから「撤退しろ」なんて言われたら、腸煮えくり返るくらいムカついて、「お前ら如きに大統領が務まるわけがない、他に誰が適任だと言うのか」「冗談も休み休みにしろ」「おれ絶対辞めへんで」ってなるのも無理はない気がする。

つい先日、3つほど歳下の同業者と立ち話をした。

彼は最近になって、本業とは関係のない副業を始めたという。

その理由を聞くと、
「この業界でやっていく才能がないって認定されちゃったときに、自分の創造性を発揮できる別のジャンルを持っておく必要があるって思った」 という。

私がいる業界は確かに若干特殊なところがあって、自身が立ち上げた仕事がなんとなくそれなりにヒットしたと認められると、以降の仕事も次々と入ってくるのだが、そうならなければ、けっこう早い段階で本流を外され、望まぬ閑職に追いやられることが多い(もちろん例外もまあまあ多く、これといって何の実績も無いのに定年まで居続ける人もいる)。

私は彼の仕事を詳しく知っているわけではないが、彼が中心となって続いているプロジェクトのことを見聞きはしていたので

「え、でもあの仕事とか、がんばってるんじゃないの?」
と尋ねると、

「そうなんですけど、あれだっていつまで続くかわからないですし、年齢的にも微妙なタイミングですよね」 という。

さらには、
「その点、先輩は、もう明らかに才能が無いから、諦めて別の道でやっていく判断をするのも簡単そうでいいですよね」
とも付け加えた。

最後の一文は、本心半分いじり半分(と書いたが、実際のところその比率はわからない。いじり1割で本心が9割かもしれない)だろうが、30代後半の奴がもう引き際を意識しながら仕事をしているのかと考えると、なかなか息苦しい業界だと感じてしまう。

と同時に、そいつよりも歳上の俺は、もっと真剣に、深刻に自分の心配をしなければならないのか、と、いきなり何の脈絡もなく通告されたような気持ちにもなった。

バイデンさんの取り巻きの方々、引き際について教えてください。