『百万人の恐い話 呪霊物件』 (original) (raw)
『百万人の恐い話 呪霊物件
住倉カオス著 竹書房文庫 ¥650』
百万人の恐い話の第二弾。
タイトルから、事故物件や瑕疵物件に終始するのかなと思いきや、事故物件、霊視する人、住職の奥様の話、普通の怪談、実際にあった国内外のおぞましい犯罪や奇妙な写真の流行など、ジャンルは多岐にわたっていました。
前作では「もう少し出どころをボカしたほうがよかったのでは」と心配したほど、よく言えば挑戦的、悪く言えば個人情報バレバレな話が多かったように見受けられましたが、本書の前書きが「自分こういうスタンスで怪異に向き合っているんでスミマセン」という、ある意味前作の反省?のような書かれ方で、なんか好感持ってしまった。
視える、とはどういう状態なのか。見間違いや過度のストレス、脳のバグや疾患などなど、いろんな可能性を探りつつ常に冷静な目で体験者に向き合っているのがよかったです。『霊視』『顔の文字』などがそれで、体験者自身も自分の能力を疑いつつ、でもやっぱりこんな風に視えてる…と半信半疑で説明していくのがとても上手く書かれています。著者も体験者の霊視能力を疑っているわけじゃなく、彼ら体験者が出くわした怪異を淡々とルポして考察しているのがとても興味深いです。
『死の影を写す者』『厄ホテル』『幼き慟哭』は、過去に実際に報道された事実を紹介しているんですが、怪談というより人間ここまでおぞましい行為ができるのかとげっそりする。ああいやだいやだイヤな話読んじゃった、という感想しか持てなかった。読むのすっ飛ばしたい気持ちになったのなんて、福澤徹三氏『怖い話』猿の脳みその話以来かも。