【源氏物語213 第十帖 賢木25】源氏は藤壺の宮への情炎を抑えきれない。宮は仏力で止めようと祈祷までなさる。ついには源氏は宮の寝所に近づいた。 (original) (raw)
御所へ参内することも気の進まない源氏であったが、
そのために東宮にお目にかからないことを寂しく思っていた。
東宮のためにはほかの後援者がなく、
ただ源氏だけを中宮も力にしておいでになったが、
今になっても源氏は宮を御当惑させるようなことを時々した。
院が最後まで秘密の片はしすらご存じなしに
お崩《かく》れになったことでも、
宮は恐ろしい罪であると感じておいでになったのに、
今さらまた悪名《あくみょう》の立つことになっては、
自分はともかくも東宮のために必ず大きな不幸が起こるであろうと、
宮は御心配になって、
源氏の恋を仏力《ぶつりき》で止めようと、
ひそかに祈祷までもさせてできる限りのことを尽くして
源氏の情炎から身をかわしておいでになるが、
ある時思いがけなく源氏が御寝所に近づいた。
慎重に計画されたことであったから宮様には夢のようであった。
源氏が御心《みこころ》を動かそうとしたのは
偽らぬ誠を盛った美しい言葉であったが、
宮はあくまでも冷静をお失いにならなかった。
ついにはお胸の痛みが起こってきてお苦しみになった。
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