ふる里を 峯の霞《かすみ》は 隔つれど 眺《なが》むる空は同じ雲井か〜須磨の地で京に残してきた人たちのことを考え 悲しい気持ちになる源氏🪷 (original) (raw)
ふる里を 峯の霞《かすみ》は 隔つれど
眺《なが》むる空は同じ雲井か
須磨の地で京に残してきた人たちのことを考え
悲しい気持ちになる源氏🪷
〜住みなれた都の方を 峰の霞は遠く隔てている。
わたしが悲しい気持ちで眺めている空は
都であの人が眺めているのと同じ空なのだ
【第12帖 須磨 すま】
ふる里を 峯の霞《かすみ》は 隔つれど
眺《なが》むる空は同じ雲井か
総てのものが寂しく悲しく見られた。
隠栖《いんせい》の場所は行平《ゆきひら》が
「藻塩《もしほ》垂《た》れつつ侘《わ》ぶと答へよ」
と歌って住んでいた所に近くて、
海岸からはややはいったあたりで、
きわめて寂しい山の中である。
めぐらせた垣根も
見馴《みな》れぬ珍しい物に源氏は思った。
茅葺《かやぶ》きの家であって、
それに葦《あし》葺きの廊にあたるような建物が続けられた
風流な住居《すまい》になっていた。
都会の家とは全然変わったこの趣も、
ただの旅にとどまる家であったなら
きっとおもしろく思われるに違いないと
平生の趣味から源氏は思ってながめていた。
ここに近い領地の預かり人などを呼び出して、
いろいろな仕事を命じたり、
良清朝臣《よしきよあそん》などが
家職の下役しかせぬことにも
奔走するのも哀れであった。
【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
🌊🎼波の時刻 written by 藍舟🌊
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※ 藻塩《もしほ》垂《た》れつつ侘《わ》ぶと答へよ
こちらは、有原行平が須磨に流された時の
「わくらばに 問ふ人あらば 須磨の浦に 藻塩垂れつゝ わぶとこたへよ」からきています。
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